鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

所有者不明土地の課題

2018年02月13日 | 議会活動

平成30年2月13日(火)

 

 所有者が不明な土地は、公共事業の推進において大きな問題が生じています。

 先日、地元行政から公園整備事業を計画しているが、個人が所有する私有地において所有者不明の土地が多く存在することがわかり、用地買収や借用を進める上で大きな問題になっていると相談をいただきました。

 

 土地には不動産登記簿といって、人の戸籍簿に相当する台帳があり、所有者情報もそこに記されています。土地情報の基本はここに全て記されていることが原則ですが、例えばその土地の所有者が亡くなり、相続が行われていなかったりすると、土地所有者名義の移転などにおいては、亡くなった方の全ての相続権者に了解を頂くことになります。中には何代も相続登記が行われていないこともあり、このような場合ではその関連調査や権利者との交渉においても多大な時間と労力が必要となります。

 関係者が土地所在地域に住んでいればよいのですが、この時代、広く拡散して中には海外在住などということもあります。

 公共事業では、多くの土地所有者に理解と協力を求めることも多く、所有者不明土地は事業の進展に大きな障害となっています。

 

 この問題は全国どこでも同様で、国も国土交通省や法務省などが対策を講じるべき検討を始めました。まず、所有者が不明かどうかを確認することが必要で、地積調査を行いその実態が明らかになっています。

 国土交通省の資料によれば、平成28年度の地積調査によると、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は、約20%とあります。さらに、その関係者など調べた結果、最終的に所在が不明な土地は0.41%とありました。

 

 現在の法制度において、このような所有者不明土地への対応には、公共事業における土地収用の場合の対処方法として、土地収用法における不明裁決制度がありますが、事業認定や不明裁決に係る所有者を探すなどの手続きに多くの時間・労力・費用を要することが課題とされています。そのほか、民法における不在者財産管理制度や相続財産管理制度などもありますが、土地収用法と同じように多くの手間や費用がかかるということです。

 

 国は、明示的な反対者はいないにもかかわらず、利用するために多大なコストを要するといった所有者不明土地の現状に対し、所有者の調査を円滑化する仕組みや、調査の結果、所有者が不明な土地を円滑に利用する仕組みを速やかに検討していくとしています。

 

 これらの国の動向や地元行政で直面している課題を事例として、関連する業界団体などの意見を踏まえ、県議会2月定例会の意見書案として審議いただき、関係省庁に提出する準備を進めています。その意見書案は私が言い出しっぺであることから、案作成やまとめ役として頑張っています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする