令和7年7月25日(金)
先頃、久しぶりに地元で出会った若手茶農家と情報交換する機会がありました。彼は「ほうじ茶」が地域の名産品となることを目指し頑張っている若手の一人で、既にその実績が評価されています。
私から、最近の茶づくりについて尋ねてみると、「まだ少量ではあるが抹茶向けに有機栽培を始めた。」という説明を受けました。
近年、抹茶需要が高まり、特に海外輸出向けの需要が増えている中、生産量が不足している実態があり、国や県はこの分野へ参画する茶農家支援を始めています。
衰退気味の茶業ですが、新たな需要により再起のきっかけとなる抹茶は、ようやく茶農家の理解が進み取り組む機会が増えたようで、地元の農林事務所管内では、今年度、抹茶づくりに転換する茶農家が一挙に増えたという報告がありました。
抹茶づくりに欠かせない有機栽培は、化学肥料などを極力避ける事が必要で、肥料などは家畜から出る堆肥の確保が必要になります。
当地区には、富士山麓西側一帯に広がる朝霧高原での酪農や養鶏、養豚などが盛んであり、ここから排出される堆肥の活用が大きな課題となっています。農作物と堆肥供給地が隣接することで、地理的なメリットを活かして使用が進めば双方にとって大きなメリットとなります。
この試みは、数年前から農林事務所が取り組んでいるのですが、堆肥を使用する農家からは利用上の課題があるとして進んでいないようです。このことについて、改善は進んでいるようですが、まだしっくりいきません。
冒頭で触れた若手茶農家は、使いやすい堆肥を県外から求めているといい、使用者の意見を早急に吸い上げ、県内堆肥製造の改善につなげていくことが重要と考えています。県は両者の間に入ってその仲介役をさらに積極的に果たし、必要に応じて支援策を講じることが求められます。
有機農業は、「安全・安心」「健康」というイメージが定着し、既に国内消費者にも理解が進み、価格が高いにもかかわらず消費が進んでいます。今後は、地域自給の促進、生物多様性の保全・地球温暖化対策にも関わる農法として広がることが予想され、新たな課題に対する消費者理解が重要となってきます。
今回の参議院議員選挙では、物価高騰などから食料価格について議論が深まりましたが、消費者にとっての価格は大変重要な意味を持つと同時に、これからの食料確保について「食料自給率」や先に触れた環境関連も含め、その対価をどのように消費者として受け止めていくか、教育的な視点も含め早期に取り組む必要があると考えています。