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鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

新県立中央図書館問題で今後の見通しは

2025年08月14日 | 議会活動
令和7年8月14日(木)

 老朽化が進む県立中央図書館の建て替えは、JR東静岡駅機南口を候補地として進められていますが、財源確保の不手際から建設推進が暗礁に乗り上げ、先頃閉会した県議会6月定例会では所管する文教警察委員会は定例会中の審査が終わらず、閉会後の継続審査となり、その原因究明や検証、再発防止などについて集中的な議論が交わされました。

 数回にわたる継続審査が終了し7月31日には、所管委員会はその審査結果を踏まえ、県教育長に対し事務の適性執行を求めた申し入れを行い、とりあえずの収拾を図っています。

 申入書では、事務の適正な執行を求め、原因のさらなる調査と責任の所在の明確化、再発防止策の報告と県民への謝罪などを求めています。
 申入書を受け教育長からは、「場合によっては第三者による経緯確認も必要になる。報告書をまとめる過程で責任の所在を明らかにしたい。」などと述べています。

 知事は、6月定例会の冒頭で、新県立中央図書館建設に関連し、「昨年11月の入札不調の後、再入札に向けて準備を進めてまいりましたが、当初の計画から財源の見通しが大きく変わることが明らかとなりました。
 こうした状況を踏まえ、一旦立ち止まって整備方針を見直すことにいたしました。東静岡地区にふさわしい施設を目指し、デジタル技術の進展などの社会情勢の変化や、関係の皆様の御意見も踏まえながら、年内を目途に方向性を示せるよう、庁内に部局横断的なプロジェクトチームを立ち上げ検討を進めてまいります。」と説明していました。

 一連の動きの後、知事は記者会見にて今回の申入書に関するコメントを発しています。「今回の事態を大変重く受け止めている。大型事業は見込みで進めるのでなく、しっかりと財源を確保した上で全長一丸となって取り組むことが必要だ。教育委員会はしっかりと調査した上で、再発防止策を検討し、県議会に報告してほしい。」と述べています。

 所管委員会の申入書には、教育委員会への戒めのほか、今回の事案を教訓に全庁的な再発防止を求めており、知事の発言にはこのことに関する姿勢が明確ではありませんでした。来月には9月定例会が開催され、新県立中央図書館建設に向け新たに発足したプロジェクトチームの動向が注目されます。このチームは全庁的に取り組むとしており、県政のトップとしてこの取り組みにより挽回するためにも、明確な再発防止に向けた姿勢を示すことが必要と考えています。
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南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドラインの改訂

2025年08月13日 | 議会活動
令和7年8月13日(水)

 先日カムチャツカ半島付近で発生した大地震により、国内各地で津波が観測されました。東日本大震災の震源地よりもさらに遠方で発生した地震は、岩手県内沿岸で1.5mを超える津波高を観測し、巨大地震への恐怖を改めて感じました。

 南海トラフ巨大地震はいつ発生してもおかしくない状況にあり、時間経過とともに様々な教訓や知見を生かして、その対策が変化しています。常に見直しをかけることで対策の強化に繋がることはいいことですが、震源域に住む方々の意識を高めておくことが必要で、行政等の対策が進む中、防災の基本である「自助」や「共助」に対する意識の低下を防ぐことが重要です。

 先日、内閣府は南海トラフ巨大地震に関し、臨時情報の発表時に住民や企業がとるべき防災対応を定めたガイドラインを改定しました。
 2024年8月に宮崎県日向灘付近で発生したマグニチュード7.1の地震発生に伴い、初めての「巨大地震注意」が発表され様々な課題が表面化し、それをもとにした教訓を得ました。

ガイドラインに記述された臨時情報の基本的な考え方は、
●地震発生時期・規模・場所についての確度の高い予測は困難であるが、一定規模以上の地震の後に更に大規模地震が発生した全世界の事例等をもとに、南海トラフ沿いの想定震源域で大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まった旨を「南海トラフ地震臨時情報」として発表することとしている。

●臨時情報が発表されたからといって、後発の大規模地震が発生するかどうかは不確実である。これを前提としながら、住民は「自らの命は自らが守る」という原則に基づき、行政や事業者等においては「地域や利用者等の安全確保」と「社会経済活動の継続」とのバランスを考慮しつつ、自らの行動を自ら判断することが重要である。

●各主体(住民、地方公共団体、事業者等)は、臨時情報が発表された際に戸惑うことなく地域の実情に応じた防災対応をとるため、日頃から各地域で意見交換・情報交換を行いながら、「臨時情報が発表された時の対応は、あらかじめ決めておく」ことが極めて有効である。

この考えに基づき、ガイドラインの改定は、
●安全確保と社会経済のバランスの重要性を強調。

●「巨大地震注意」発表時の内容を拡充し、鉄道事業者は原則運行規制しない。商業施設は買いだめを控えてもらうよう周知する。

●地方公共団体編を新たに作成し、海抜0メートル地帯を事前避難対象地域に指定するよう促す。
などとなっています。

 災害に関する適切な情報発信はとても重要であり、同時に「自助」「共助」に基づく判断を忘れず行動していきたいと思います。
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米騒動から考える食料受給率

2025年08月12日 | 議会活動
令和7年8月12日(火)

 令和の米騒動はこれから迎える米収穫期に向かって量の確保や市場の安定などに改善が見られるのか、大きな関心事です。
 一方で、政府はこれまで進めてきた米の減反政策を増産に向けて大きく政策転換するなどを発表しています。今回の米騒動をもとに、何が原因でその解消のためにどのような具体的な政策転換をしていくのか、国民や特に米の生産農家に対して、分かりやすく説明することが重要と考えます。

 政府は、2027年以降に米の増産へと大きく舵を切ることを示した背景に、米の生産量不足が価格高騰の要員であることを認め、農地集約による生産性向上や輸出拡大を掲げることで農家を支援するとしています。
 しかし、減反政策に基づき取り組んできた農家は、2年後から増産に切り替わることについてどのような思いを抱いているのでしょうか。農家の声をしっかり聴き、大きな政策転換が理解されるのか、様々な支援も必要であることが予想されます。
 農家に係る大きな課題の一つに担い手の確保があります。私の周囲でも農家を継ぐ人がおらず、米に留まらず茶農家も激減しています。米を作る人の確保ができなければ増産は困難です。担い手が確保できる政策は最優先に考えるべきです。

 さて、米は主食となるものでその確保は食糧戦略として考えるべきものです。今回の米騒動は、食料戦略の中で国民が飢えることがないよう、食料受給率についての視点が見えてきません。
 日本の食料自給率は、カロリーベースで38%と、先進国のなかでも最低水準にあります。日本の食料自給率は先進国のなかでも低く、その数値は年々低下を続けています。
 食料自給率が低下している原因としてよくいわれているのが、米の消費減少と畜産物や油脂類の消費増といった食生活の変化です。
 食生活の変化に対して政府がとった対応は、国内生産を輸入品と競合しない範囲に限定したうえで、穀物や加工原料農産物、食料の輸入を増大させることでした。これが減反政策に繋がっていると思います。

 食料を輸入に頼っていますが、世界の人口が増え続けていることから、食料確保競争が激しくなり、日本の食料輸入が難しくなります。また、輸入食料の安全性については厳しい規定を設けていますが、輸入品への安全における懸念はあります。
 さらに、農産物は天候にも左右され、温暖化を起因とする気候変動などの影響による影響が大きいことで生産量も左右されます。

 今後、食料輸入はさらに課題が増え、国民が飢えないための食料戦略に基づく食料受給率の向上は重要な課題として取り組む必要があります。消費者は国内の農業が維持できるよう理解を深めるため、国は食育などを通じて広めていくことも積極的に取り組む必要があります。

 米騒動は、日本の今後の食料戦略に大きな教訓を残したと考えています。その視点で、食料自給率を向上させることも含め、対策を講じていくことを求めたいと思います。
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富士山開山から1か月 課題は

2025年08月11日 | 議会活動
令和7年8月11日(月)

 今シーズンの静岡県側富士登山が始まってから1か月が経過しました。県は今期から県条例を制定し、富士山の保全や登山者の安全確保のための入山規制などを導入していますが、その効果がどうなのか探ってみました。

 今期から導入された登山規制は、登山口が本県側に3箇所、山梨県側に1箇所あり、今年から同じ金額の入山料(4,000円)が徴収されるようになりました。
 本県では富士山の5合目より上へ行く際には、きちんと装備を調え、ルールに従って安全第一で登る。午後2時~午前3時の間は、5合目より上へ登るための登山口のゲートは閉鎖されるため、山小屋宿泊者は除く入山できません。

 登山に際しては 富士山の保全、安全登山に係るルール・マナーの事前学習(eラーニング)の修了が求められます。
 本県側ルート(富士宮・御殿場・須走)のいずれかのルートから登山を行う方は、静岡県FUJI NAVIアプリをダウンロードし、事前登録を行い、入山証を取得することが必要です。
 入山証は登山当日、登山道入口で確認します。また、入山証を受け取るには、スマートフォンに静岡県FUJI NAVIアプリをインストールし、事前学習テストに合格することが必要です。スムーズに登山を開始するためにも、登山当日までに事前登録を行い、入山証の受け取りを行う手続の流れとなっています。

 7月31日に開催された県議会の特別委員会では、「アプリのダウンロード数が約5万件に達し、登録者数は約4万4千人と登山者の8割が事前登録を済ませている。入山料の徴収や、登山規制のトラブルは特に確認されていない。」という報告がありました。まずまずの効果と言えます。

 一方で、ある新聞記者が自ら登山して得た感想の記事では、県の報告と同様、目立った混雑もなくスムーズだったと報告しています。しかし、マナーについてはいくつかの課題があったようです。
 例えば、登山者が不用意にストックを振り回し、狭い登山道での振る舞いに対する危険や、富士山が信仰の山であるにもかかわらず、その尊厳に対する理解不足の行動などを指摘していました。
 県は事前学習で、ルール・マナーを学ぶとしていますがこの件については検証が必要でしょう。

 富士山と同じように信仰を対象とした世界遺産である熊野古道は、「紀伊山地の霊場と参詣(さんけい)道」として登録され、地元の田野辺市熊のツーリズムビューローは、「熊野古道を歩かれる方へ」と称し、「紀伊山地の参詣道ルール」なるものを提示し協力を求めています。

 先進地の取り組みやその効果なども研究して見る必要があると思います。私もこれらを所管する常任委員会に所属していますので、県議会9月定例会では質問項目に上げていきたいと思います。
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最低賃金改定へ

2025年08月10日 | 議会活動
令和7年8月10日(日)

 2025年度の最低賃金改定額を検討している、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は、先日、過去最大水準の平均6%増の1,118円で決着したのと報道がありました。静岡県の場合は、現在、1,034円が63円アップして1,097円となる見込みです。

 最低賃金は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。原則として、事業場で働く常用・臨時・パート・アルバイトなど雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者とその使用者に適用されます。また、最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金があります。

 地域別最低賃金は、静岡県内の事業場で働く(パート・アルバイト等含む)すべての労働者に適用され、現行は本県の場合は時間額1,034円です。
 産業別最低賃金は、鉄鋼、非鉄金属製造業(現行1,057円)、はん用機械器具、生産用機械器具、業務用機械器具、輸送用機械器具製造業(現行1,073円)、電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業(現行1,042円)となっています。

 最低賃金を巡っては罰則があり、最低賃金を支払っておらず、最低賃金規制に違反した場合には罰則が定められています。罰則は、①地域別最低賃金額を下回る場合であるか、②特定(産業別)最低賃金額を下回る場合であるかによって異なります。 
 支払われる賃金額が地域別最低賃金額を下回る場合には、50万円以下の罰金が科されることになります(最賃法40条)。

 今後の動向ですが、最低賃金は都道府県単位の地方審議会が国が示した目安を参考に、地元の改定額を議論します。これまでは、8月上旬に決まり秋から適用されています。

 働く側にとっては、賃金増加は歓迎ですが、支払う側は企業規模や経済状況、経営状況が大きく影響することから、一律での賃上げには様々な課題が生じます。
 特に、このところ続いている物価高騰は、企業側にとっても大きな負担になっており、特に中小零細企業は、賃上げの負担は決して小さくありません。
 公定価格が導入されている医療や介護分野は、さらに窮地に追い込まれており、数年に一度の公定価格の見直しが、物価高騰に対応しきれなくなっており、その見直しを求める声が上がっています。
 しかし、人材不足が大きな問題となっている中、転職されても困る実情から賃上げをしているところも少なくありません。

 政府は、雇用側の実情を踏まえ、適切な支援策を導入しないと行き詰まる懸念があります。大手企業のようにいかない、中小零細企業や公定価格で運営する医療や介護事業者等への対応を明確にし、雇用と労働側のバランスを取ることが重要と考えます。
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