「House for Rent」の張り紙を幾つか見付け、その中の一件に電話をしみたところ大家さんと話が弾み、ついに家を借りることになりました。ゲスト・ハウス暮らしよりは家賃も安く、庭も広いわけですがとにかく家は襤褸。壁板は蟻に食われてボロボロ状態。部屋の壁板の隙間には蟻の運んだと思われる土がビッシリ。電気と水もなく、前の借家人は隣家から電気と水を別けて貰っていたとのことでした。ヨーロッパの何処かの国の人だったけどカンボジア人の奥さんがいたそうで、ならば隣家とのコミュニケーションも問題なかったのでしょうけど。
と、いうことでモンドルキリの田舎暮らしの不便さを十分に思い知らされることになりました。何事につけ一つを選択することは他の多くを失うことでもあるわけですが、また反対に失うことによって得るものもあるだろう、と自分を慰めるしかありません。しかし、どうしても最低限確保したかった温水シャワーはどうにも目途が立っていません。昼間の気温の高い時間帯に井戸水で水浴びする習慣を付ければ良いだけのことですけど。
それにしても何とかならないのかこの汚い浴室は・・・と、蟻の運んだ砂が彼方此方に吹き溜っているトイレ兼用浴室に入ると壁にはやや大きな蜘蛛がへばり付いていました。
裸で水を浴びている時にひょっこり背中などに跳び乗られたらちょっとしたパニックに陥りそう。思えば子供の頃の日本の家にも蜘蛛は結構いました。伯父が「夜来た蜘蛛は殺しちゃいけないんだ。良くも来たって大切にしないと・・・」などと駄洒落を飛ばしてたのを覚えています。
このボロ屋がここまでボロくなった最大の原因は蟻。蟻退治用殺虫剤などというものは町では売られておらす、ゴキブリ退治用スプレー缶しかありません。2缶使い切っても蟻の姿は消えず、大家に尋ねると「水を掛ければ良いんだよ。蟻は水が嫌いだから。胡椒も効果的だよ」と涼しい顔。
草刈をした後の場所を隣家の鶏が来て虫を探します。草を刈った直後は虫を探し易いようです。刈った草を蹴散らしながら。
近所の犬も毎日庭に来て何やら食べているので近くで見たら犬の糞でした。自分の糞なのか他の犬の糞かはわかりませんが、だいぶ乾燥したものです。こちらが無視していると1m以内まで近づいて来るくせに、呼ぶと警戒して逃げて行きます。糞喰う犬に同情し、こんなに美味しいもの喰ったことないだろう・・・とベトナムBiBica社のチョコチップクッキーを与えようとすると石でも投げられると思ったのか一目散に走って逃げました。隣家の猫はわが家の中まで入って来て何やら物色しています。これはネズミ対策になる、と思い仲良くしようと思っていますが、10mの距離にも近づきません。田舎で放し飼いにされた犬猫は、野生動物に近い習性を持っているかのようです。