常識について思うこと

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良好な関係構築のためのケジメ

2012年01月21日 | 政治

アメリカ議会の公聴会で、さんざん叩かれたトヨタの電子制御システムの欠陥疑惑問題、全米科学アカデミーから「シロ」の判定が出ました。既に、米運輸省からも、欠陥がなかったとする最終報告が出ており、本問題に対する調査は、これで終了ということになるそうです。この問題については、当初から疑念があったので、やはりそうだったのかという印象です(「訴訟大国アメリカの限界」参照)。

それでもまず、調査終了というのは結構なことだと思います。ただ一方で、これで本問題を終わらせるというのでは困るとも思います。公聴会でなされた、あの証言は何だったのか、きちんと説明を求めるべきでしょう。

政府の役割として、自国の産業保護・育成が含まれるのは言うまでもありません。それは、政府による海外への強引な売り込みの類を指すのではなく、この問題で言えば、少なくとも真摯に物作りをしていた自国企業が言いがかりをつけられたとも言えるわけで、このようなことが二度と起こらないように毅然とした態度を取るべきでしょう。それが真面目にやっている自国産業の保護につながるはずです。

外国叩きは、自国の内政問題のはけ口として起こることが多いとも考えられます。トヨタ問題の少し前、アメリカでは大手自動車メーカーの経営が破綻し、これが国有化されるという事態に陥りました。一連のトヨタ叩きには、こうした問題も背景にあったのではないかと推察されます。またトヨタ叩きには、アメリカ議会の公聴会という舞台も使われたわけで、これが政治利用された側面は否定できません。アメリカが政治問題化するというのであれば、日本政府としても、同じようにきちんと政治問題化し、これを外交問題として追求するという姿勢があって然るべきでしょう。それは、トヨタ叩きという個別の件に対する解決のためだけでなく、今後、自国の内政問題のはけ口として、安易な外国叩きをするような国々に対して、日本は屈しないという強い姿勢を示すためでもあります。

毅然とした態度の積み重ねが、これからの世界における日本の立場を強くしていくでしょう。不用意に責めてくる国家、人々に対しては、オープンな議論を通じて、きっちりと責任を取らせることが重要だろうと思います。お互いのためにも、言いがかりは、けっして許してはいけません。

本問題、最終報告書も出て、まずは良かったと思います。しかし、これを単純に過ぎたこととして、水に流してしまうのはよろしくありません。ケジメをつけさせず、ただ許してしまうというのは、また同じ過ちを犯させることにもつながります。これから、国家同士の良好な関係を築いていくためにも、ひとつひとつケジメをつけさせていく作業というのは、とても重要なのではないかと思うのです。

 

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