ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

Lucifar

2008-10-04 07:37:35 | ジャパン・プログレ
 某中古CD店のサイトを見ていたときに、石造のアーチとその間から見えるのどかな風景と幻想的なシャボン玉。その色彩の綺麗さに目を奪われてしまったたジャケットのCD。1983年8月から1994年2月までの約10年間にわたって活動されたバンド、<Lucifer/ルシファー>の1993年に発表されたアルバム「MARGINIA」です。
 <Lucifar>は、キーボード&ヴォーカル他の<片岡秀夫さん>が中心となって、そして大勢のミュージシャンが参加されたエレクトリック&アコースティックのバンドで、延べでは10年間で36人の方々が参加されたそうで、カセットテープ4本・CD2枚の計6枚アルバムを発表され、バンド活動後期にはある程度メンバーも固まってフルライブ4回・ミニライブ6回の計10回のライブを行ったそうです。
 その音楽はというと、<Lucifar>のサイトで片岡さんが語っておられますが、“一般的な方法”や“既成概念”などにとらわれず、“歌であっても歌でなく”、“歌メロが必ずしも主旋律ではない”、“歌詞にも意味はない”など、自由に創作されたようですね。そして、“参加したいひとが参加したいときに参加できる素材と場所を通じてコミュニケーションを広げる”ということがこのバンドの基本姿勢だそうです。大勢で助け合って意見を出し合って、ときにはトラブルもありつつも共同作業をして作り上げ、その出来上がったアルバムを“音による記念撮影”と称されています。この発想って素晴らしいと思います。それと、そのアルバムの制作過程を“魔女のスープ”とも例えておられますね。おのおのが持ち寄ったいろいろな素材がどんどん大きなナベに継ぎ足されて、時間をかけて煮込んでいって、素材同士が煮込まれて融合していって、そして美味しいスープの出来上がり、と。
 また、片岡さんは“音を面で捉える”ということも語っておられます。普通音楽を聴くときはどうしても主旋律を耳で追ってしまいますが、そうではなく、全ての音に耳を傾け、絡み合うパートの流れや関連を聞くことによって、あたらな感動がある、とも。実際に全く異なる旋律が4つも5つも同時に演奏される曲もあるとか。いったいどんなサウンドなのかすっごい楽しみです。
 このアルバム「MARGINIA」には片岡さんをはじめとする12人のミュージシャンが参加されています。ベース・ブズーキ他の<新屋敷昇さん>、チェロの<郡山幸治さん>、キーボード・リコーダー他の<片岡以津子さん>、ヴォーカルの<古館都佳さん>、ピアノ・キーボード他の<今井佐和奈さん>、ギター・マンドリンの<南條伸明さん>、ヴァイオリンの<橘一さん>、キーボード・アコーディオン他の<新屋敷知亜子さん>、ヴォーカル・パーカッションの<石川優美さん>、ドラムスの<古川徹さん>、そしてギターの<石川進一郎さん>です。
 アルバム1曲目は「Moon Wind」。とってもおだやかで透明感があって瑞々しく感じる綺麗で爽やかな曲。軽快なアップテンポで美しい女性ヴォーカル&爽やかな男性ヴォーカルを聴かせてくれます。間奏ではテンポダウンしたりアップテンポに戻ったりするなかでピアノ&ストリングスの美しいハーモニーを聴かせてくれます。
 2曲目は「Enter Marge」。軽快なドラムからはじまるアップテンポのポップでレトロっぽくて楽しい曲。特にオルガンサウンドが印象的ですね。間奏のフィドル調のヴァイオリンもいいですねぇ。次の間奏ではハードなギターソロも。70年代のディスコソングっぽい部分もあるかも?
 3曲目は「Quila Rillion」。静かにゆったりとはじまり、そしてアップテンポのヴァイオリンのリフが。水中をスイスイと泳いでいるような透明感と爽快感がありますね。軽快で綺麗なメロディの曲です。テンポチェンジも絶妙ですし、ストリングス大活躍です。
 4曲目は「Endless Green」。パワフルで盛大なリフからはじまり、ヴァイオリンの伸びやかなフレーズがアップテンポのラテンリズムに乗って。間奏ではナチュラルなトーンのギターソロが楽しめます。その後はミドルテンポで美しい女性ヴォーカルとロマンティックなヴァイオリンサウンドが響いて。続いてリズミカルなピアノソロ、そして再びコーラスのあとに、ピアノソロが。続いて美しい男女のコーラスが響いて。そして軽快でテクニカルなモードに。めまぐるしくどんどん展開していきます。ラストは盛大にFin。
 5曲目は「水の園」。美しいピアノリフからゆったりとはじまって、囁くような綺麗な女性ヴォーカルが。おだやかで美しい曲ですね。とってもクラシカルでしかもドラマティック。間奏のストリングスサウンソもうっとりと聴きほれてしまいます。
 6曲目は「Lovers In The Dream」。軽快でポップでとっても楽しい曲。とってもノリノリで、聴いていてウキウキしてきちゃいます。
 7曲目は「Madrigal」。木管サウンドからはじまって重厚なコーラスとパイプオルガンサウンドが響きます。哀愁ただようストリングスのフレーズが。中盤にはアップテンポで木管とハープの楽しく明るいハーモニーが。終盤では教会音楽のような雰囲気にも。ラストはアップテンポでドラマティックにFin。
 8曲目は「Dream Vision」。ゆったりとした叙情的なピアノリフからはじまり、深く太い男性ヴォーカルが哀愁ただよう歌を聴かせてくれます。中盤からは女性ヴォーカルもはいって素敵なハーモニーを。
 9曲目は「Ralph」。ドライブ感たっぷりの軽快なアップテンポのとっても爽やかな曲。大空を高速で飛んでいるかのような爽快感とスリル感が楽しめます。間奏では艶やかなヴァイオリンサウンドもあり、次の間奏ではハードでアグレッシブなギターソロも。パワフルなベースもかっこいいし、綺麗なコーラスもいいですねぇ。終盤にはヴァイオリンソロも。
 10曲目は「The Garden」。ゆったりと穏やかに優しくはじまります。囁くようなかわいらしい女性ヴォーカルの綺麗な曲。サビでは男性ヴォーカルもくわわって素敵なハーモニーを聴かせてくれます。ドラマティックなバラードソングです。ラストは盛大にFin。
 オリジナルアルバムはここまでですが、ボーナストラックが4曲収録されています。11曲目は「Libra Circuit」。シンバルロールからはじまるパワフルかつテクニカルなドラムソロ曲。
 12曲目は「Refrain」。ピアノのパワフルなリフと艶やかなヴァイオリンからはじまり、哀愁ただよう女性ヴォーカルが。間奏ではゆったりと伸びやかなチェロのソロを聴かせてくれます。
 13曲目は「たそがれ色の時間」。ミドルテンポのトロピカルムードたっぷりの曲。艶っぽい女性ヴォーカルにうっとりです。南の島の夕暮れのビーチ、みたいな雰囲気ですね。終盤にはテンポアップしてサンバ調でのヴァイオリンソロも。
 14曲目は「Fright」。パワフルなヴァイオリンのリフからはじまり、女性コーラスが。アップテンポのノリのいい曲。スリリングに展開していきます。間奏のアグレッシブなヴァイオリンソロもかっこいいです。ラストはゆったりとドラマティックにFin。 
 最初にライナーノーツを読んだときには難解な音楽なのでは、とかまえてしまったのですが、全然そんなことはなく、とっても聴きやすく心地よいサウンド。全体的にとっても綺麗で透明感があって、しかもポップな曲調ながら美しくクラシカルで、聴いていると幸せ気分に浸れます。素晴らしいアルバムです。