ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

SOPHIA  DEFIANCE

2013-09-29 23:25:49 | Pageant系
 以前、元Pageantのリーダーでギタリストの<中島一晃さん>が、Pageantのカヴァーバンド<Go To HongKong>を結成されたんですね。しかもヴォーカルが男性と聞いてさらにビックリ!で、なによりもあのPageantの曲を中島さんのギターで生で聴けたらとライブを観に行ったんですけど、その中性的でパワフルなハイトーンにビックリ!こういう声を出せてPageantの名曲群を歌える男性ヴォーカリストが存在したんだと、ほんとに驚きました。そのヴォーカリストは“モリケン”こと<森川健司さん>です。自分はその時までモリケンさんのことを失礼ながら全く存じ上げなかったもので、ちょと調べてみたら、80年代に<SOPHIA>というバンドに在籍していたとのことで、残念ながらアルバムを1枚のみリリースして解散してしまったようで、しかも唯一のそのアルバムもCD化されていないようなのでガッカリ。ところが・・・今年2013年9月に突如CD化されて発売されて超ビックリ!すっかりあきらめていたもので本当に驚きました。もちろん即予約して手にいれました。
 <SOPHIA>は、1980年10月に結成され、モリケンさんは81年9月に加入されたそうで。で、当初はNOVELA等のコピーをされていて、のちには初期RUSHのようなオリジナル曲を演っておられて、スターレスに並ぶバンドとして人気を博したそうで。そして84年12月にはインディーレーベルから4曲入りミニアルバムを発表し、おりからのジャパンプログレムーブメントにのって86年2月に今回紹介させていただくアルバム「DEFIANCE」を発表されたそうです。メンバーは、ギター<土坂健司さん>、ベース<林伸哉さん>、ドラムス<細川博史さん>、そしてヴォーカルモリケンさんの4人です。
 アルバム1曲目は「DEFIANCE」。シーケンスのアップテンポのリズムからシンセのキラキラサウンドのリフとギターリフがはいって、パワフルなドラムからダイナミックなリフが。そしてアップテンポのベースのドライブ感たっぷりのリフのノリノリモードにのってハイトーンののびやかなヴォーカルがはいって、サビではミドルテンポで歌い上げて。間奏ではダイナミックなブレイクリフからギターのエモーショナルなソロが。その後ブレイクリフからヴァースにもどって、サビではミドルテンポで歌い上げて。ラストはパワフルなドラムフィルからアップテンポのノリノリモードでリズミカルなヴォーカルがはいって盛り上がっていって。
 2曲目は「DANCIN’ DOLL」。ミドルテンポで綺麗なコーラスがのびやかにながれ、キーボードのしっとりとしたリフに、ヴォーカルが力強く歌い、ギターがエモーショナルにのびやかに奏でて。その後ヴァースにもどって、ヴォーカルが力強く歌い、ギターのアヴァンギャルド風のソロへ。終盤ではヴァースにもどって、ギターがのびやかにメロウに奏でて。
 3曲目は「MONOLOGUE」。テクニカルなドラムフィルからミドルテンポのリズムがはいって、それにのってギターとキーボードが哀愁を感じるリフを奏でて。そしてギターの躍動感あるリフにのってヴォーカルが力強く歌い上げて。スパニッシュ風というか、情熱的な曲ですね。
 4曲目は「LACHER」。ピアノのしっとりとした音色が響き、ヴォーカルがゆったりとしっとりと。それが一転アップテンポのパワフルなリズムがはいって、ノリノリモードでギターのカッティングリフにのってリズミカルなヴォーカルがはいって、サビではミドルテンポでドラマティックに歌い上げて。間奏ではギターのパワフルなカッティングのソロが。その後ヴァースにもどって、ゆったりと歌い上げて。
 5曲目は「PRISM」。シーケンスのリズムとピコピココンピューターサウンドからはじまって、鐘の音が幻想的に響いて。その後ダークで壮大なリフがはいってアップテンポでギターのパワフルなリフとキーボードの哀愁を感じるリズミカルなリフが。その後キーボードのパーカッシブでリズミカルなリフが変拍子でながれ、ノリノリモードでギターのファンキーで軽快なリフがはいって。中盤ではミドルテンポでキーボードがゆったりと奏でたあと、パワフルなブレイクリフからドライブ感たっぷりのベースリフがノリノリで。その後パワフルなバンドリフと叩きまくりドラムソロの掛け合いが。終盤ではアップテンポの疾走モードでドライブ感たっぷりにノリノリで展開して。その後ミドルテンポでギターのリズミカルjなリフとシンセのケーナ風サウンドのリフがながれて。
 6曲目は「LIBERAL」。ミドルテンポのゆったりとしたリズムからギターがのびやかに奏でて。それが一転アップテンポのベースのドライブ感たっぷりのリズムにのってノリノリモードでギターリフとパワフルなヴォーカルがはいって、サビではリズミカルなベースラインながらミドルテンポでゆったりとのびやかに。中盤ではピアノのしっとりとしたリフからギターがメロウにのびやかに奏で、そこから一転アップテンポのノリノリモードになってギターのテクニカルなソロが。そしてミドルテンポに戻ってダイナミックなリフがゆったりとながれ、ドラムが叩きまくって、さらにギター・ベース・キーボードのテクニカルなユニゾンリフが。終盤ではアップテンポのノリノリモードでリズミカルな弾きまくりベースにのってヴォーカルがリズミカルに。そして歌い上げて、ラストは劇的に盛大にFin。
 7曲目は「IN TEARS」。ギターとベースがしっとりとゆったりと奏で、ミドルテンポのリズムがはいってヴォーカルがしっとりと歌い、徐々に盛り上がっていって。間奏ではギターのエモーショナルなソロが。その後ヴォーカルがメロウに歌い上げて。終盤では一旦止まってからギターがミドルテンポでリズミカルなリフを。そしてキーボードのクリスタルサウンドのリフがながれて。
 まさしくあの頃のヴィジュアル系バンドのサウンドですね。派手な装飾いっぱいのキラキラサウンドで。ほんとは初期NOVELA系のドラマティックな曲展開を期待していたんですけど、もっとストレートでPOPな感じですね。これ、できれば今の音で、生に近いサウンドでミックスやり直してくれたら嬉しいかも。ともあれ、モリケンさんの中性的なハイトーンヴォーカルをたっぷりと堪能できて、テクニカルでタイトでパワフルなリズム隊にかっくいいギター&キーボードも楽しめるアルバムですね。
 アルバムライナーノーツによれば、このアルバムはプロデューサーの影響で、それまでの初期RUSHタイプのプログレサウンドではなく、ニューウェーブ色の強い曲調に変化してしまったとか。それによってファンに受け入れられなくてバンドは衰退してしまったとか。レコード会社につぶされてしまった典型的な例なのでしょうか。そのままだったら他のプログレバンドのように名盤が生まれたかもしれないかと思うと非常に残念でなりません。となるとなんとか84年発表のミニアルバムを聴いてみたいものです。どなたかyoutubeとかにUPしてないかなぁ・・・

REGULUS  STAR★REGULUS

2013-08-31 10:44:28 | Pageant系
 先日、伝説のプログレバンド<Pageant>のカヴァーバンド<浪漫座>のライブを観にいったわけですが、そのときの女性キーボーディストが<JonTAMAさん>でして、そのかっちょいいキーボードサウンドに聴き惚れ、その美しさについつい見とれてしまって。で、ライブ後にロビーに出ると、なんとそのJonTAMAさんが物販コーナーにいらっしゃるじゃありませんか。そこにあったのがJonTAMAさんが参加されているこの<REGULUS>の2012年に発表された1stアルバム「STAR REGRULUS」。JonTAMAさんが弾いておられるならば、と即購入です。
 <REGULUS>、現メンバーは女性ヴォーカルの<Mikkaさん>、ギターの<Shigeo Suzukiさん>、ベースの<Masayoshi Tokudaさん>、ドラムスの<Mikio Ogawaさん>、そしてキーボードJonTAMAさんの5人編成です。2010年に様式美HR/HMバンド<Rachel Mother Goose>を脱退したJonTAMAさん・Mikkaさん・Ogawaさんが主体となって活動し、2011年にバンド名を<REGULUS>として本格的に始動され、ライブ活動や音源制作に取り組まれたようで。
 アルバム1曲目は「RUN TO THE RIVER」。強烈なロングスクリーミングから衝撃的にはじまって、ミドルテンポのヘヴィなリフにのって力強く歌い上げていって。最初のリフがPageantの“人形地獄”に似てて嬉しくなっちゃいました。間奏ではエモーショナルかつヘヴィなギターソロが。バックのクラシカルなオルガンリフも素敵ですね。パワーバラード風のヘヴィでかっちょいい曲ですね。
 2曲目は「PASSION DOUBT」。重厚なパイプオルガンサウンドが響き、そこから一転アップテンポのリズムがはいって、ハードポップ調に明るくキャッチーなサビへ。サビのリズミカルなオルガンリフ、かっちょいいっす。間奏ではテクニカルなシンセソロ、そしてブレイクからエモーショナルなギターソロへ。
 3曲目は「NIGHT OF SILENCE」。シンセのしっとりとした音色がゆったりと響き、落ち着いた感じのナレーションが。その後ミドルテンポのオルガンリフからヘヴィリフとパワフルなドラムがダイナミックに。そしてミドルテンポでゆったりとストリングスサウンドのリフの力強いヴァースへ。サビでは重厚なキーボードリフと叩きまくりドラムをバックに歌い上げて。間奏ではのびやかでエモーショナルなギターソロが。その後オルガンリフからシンセリフをバックにのびやかに歌い上げて。
 4曲目は「REGULUS」。ギターのリズミカルなリフからはじまって、シンセリフがはいって盛り上がっていって、アップテンポのパワフルなリフから力強いヴォーカルがはいって、サビは躍動感たっぷりに。間奏ではエモーショナルなベースソロからダイナミックなリフが。その後アグレッシブなギターソロ、そしてギターとシンセのユニゾンリフが。中世風あるいはバイキング風の力強いハードロックですね。ラストにはエモーショナルなギターソロが。
 5曲目は「ERECTRONIC DANCE」。ダイナミックなリフからパワフルにはじまって、ドライブ感たっぷりに疾走していって。かっちょいい様式美系ハードロックですね。間奏ではテクニカルなオルガンソロがスリリングに。続いてアグレッシブなギターソロが。
 6曲目は「REALIZED DAYS」。しっとりとしたキーボードの音色がゆったりと響き、ダイナミックなリフがはいって、ストリングスサウンドをバックにゆったりとのびやかなヴォーカルがはいって、サビでは力強くドラマティックに歌い上げて。間奏ではエモーショナルなギターソロが。ラストは盛大に劇的に。
 7曲目は「DROP WOMAN」。ダイナミックなリフからアップテンポでリズミカルに。そしてサビで歌い上げて。間奏ではミドルテンポでギターのエモーショナルなソロが。その後、静かになって綺麗なスキャットがながれ、徐々に盛り上がってパワフルなヴァースに戻って、サビで力強く歌い上げて。
 8曲目は「TALK TO A MIRROR」。テクニカルなリフからアップテンポでギターとオルガンのユニゾンリフが疾走モードでながれ、力強いヴォーカルがはいって。後期Rainbow系のかっちょいいハードロックです。リフがFire Danceに似てますね。間奏ではアグレッシブなオルガンソロ、続いてギタ-のクラシカルなソロが。ラストはギターとオルガンのユニゾンリフにのってヴォーカルが力強くのびやかに。
 9曲目は「COMPASS ROSE」。爽やかなコーラスから、アップテンポのノリノリモードでリズミカルなリフとヴォーカルがはいってドライブしていって。サビではシンセリフをバックにパワフルに。間奏ではスリリングにパワフルに交響曲“新世界”のリフを。そしてエモーショナルなギターソロへ。
 プログレではないんですけど、かっちょいい様式美系ハードロックですね。パワフルな女性ヴォーカルとじょんたまさんのかっちょいいオルガン&シンセサウンドも楽しめる素敵なアルバムです。関西を拠点に活動されているようですが、機会があればライブ観に行きたいっす

Pageant 夢の報酬

2010-02-22 21:42:24 | Pageant系
 このブログの一番最初に紹介させていただいたバンド<Pageant/ページェント>。1986年に日本プログレ史に残る名盤「螺鈿幻想」を発表。このアルバムのあまりの素晴らしさにもうとにかくなにか書かずにはいられませんでした。このアルバムを聴いて日本プログレを追求してみよう、そしてその素晴らしさを紹介させていただこうと。そう思ってこのブログを始めたようなものです。
 その素晴らしいバンド<ページェント>ですが・・・以前紹介させていただいたとおり、名盤「螺鈿幻想」で一躍脚光を浴びるも、中心人物であるギタリストの<中嶋一晃さん>が87年に脱退してしまうんですよね。ページェント・サウンドの要でもあった中嶋さんの脱退の衝撃は大きく、このままではいけないと、このバンドの危機を救うべく“ミスター・シリウス”宮武さんがサポートし、89年にセカンドアルバムを発表。ですがこの2ndアルバムってアチコチのサイトを見るとあまり評価されてないみたいだったんです。それとこの“目”のジャケットがどうも苦手なので、自分もついノーマークにしていました。
 で、最近になってあらためて聴いてみたんですけど、たしかに1stとは方向性はやや異なるものの、とっても素敵なアルバムなんですよね。メインの<永井博子(大木理沙)さん>のヴォーカルが生き生きと伸び伸びと素晴らしい歌唱を披露してくれていて、演奏もこれまた素晴らしいっす。
 1989年に発表された2ndアルバム「夢の報酬/The Pay For Dreamer’s Sin」。メンバーはヴォーカル&キーボードの永井さん、ドラムスの<引頭英明さん>、ベースの<山田和彦さん>、ギターの<マエノ・ヒロユキさん>、キーボードの<カシマ・ユウゾウさん>、そして宮武さんが2曲で素敵なフルートの音色を響かせてくれています。
 アルバム1曲目は「海の詩/A Mare」。美しい多重コーラスからスペーシーに幻想的にはじまって、そして一転アップテンポになってノリのいいリズミカルなベースリフにのってメロディアスなギターフレーズがながれて。その後ミドルテンポになって美しいヴォーカルのヴァースへ。サビに向かってアップテンポになってメロウに歌い上げて。中盤一旦リズムが止まって美しいコーラスがながれ、そしてアップテンポのノリのいいリズムが入ってアグレッシブなギターソロが。バックではベースがうねりまくってます。終盤にはエモーショナルなシンセソロも。ラストはドラム叩きまくりでFin。めっちゃかっくいい曲ですね。
 2曲目は「グレイの肖像/The Picture of Drian Grey」。秒針のようなリズムのリフからはじまって抒情的なシンセサウンドがゆったりとながれ、暗くしっとりとしたヴォーカルが。目の前に寒々とした光景が浮かんできます。1ヴァース後はダイナミックなシンセリフとテクニカルなギターフィルの掛け合い、そしてエモーショナルなギターソロへ。その後美しいピアノリフからオーケストラサウンドをバックにゆったりとしたフルートの音色がたおやかにながれて。中盤からは2ヴァースへ。しっとりとした歌声が味わい深いベースラインとフルートの音色と共に抒情的に響きます。その後ダイナミックなリフからヘヴィなギターソロ、そしてパワフルなヴォーカルがはいってドラマティックに盛り上がっていきます。終盤は再びしっとりとした抒情的な曲調になって静かにFin。
 3曲目は「アルカロイド/Alkaloid」。アップテンポのテクノ系リズムとアヴァンギャルドなギターのスペーシーな感じからはじまって、そしてめっちゃファンキーなビートにのってパワフルなヴォーカルがはいって。明るく楽しいノリノリのポップサウンドですね。間奏ではラテンなパーカッションソロからパワフルなベースラインにのってのアグレッシブなギターソロへ。
 4曲目は「ラピス・ラズリ幻想/Lapis Lazuli」。壮大なスケールのリフから劇的にはじまり、そこに泣きのギターが加わって。そして一転叙情的なイメージのなか美しいヴォーカルがゆったりとながれて。オペラチックな雰囲気です。その後エモーショナルなギターフレーズと美しいスキャットがながれ、そして美しいヴァース、さらに情感たっぷりに歌い上げるサビへ。めっちゃドラマティックです。中盤では落ち着いた雰囲気となり、美しいコーラスがながれるなか、ギターのアルペジオ、そして美しいピアノソロ&フルートソロがたおやかにながれて。その後リズムがはいってメロディアスなシンセソロがたっぷりと。終盤もめっちゃドラマティックに盛り上がって、情感的なギターソロのあと劇的にFin。素晴らしい曲です。
 5曲目は「A Forget Me Not」。美しい多重コーラスからゆったりと幻想的にはじまって、澄んだ透明感のあるヴォーカルがしっとりと美しくながれて。表現力豊かなヴォーカルが存分に堪能できます。あまりの美しさにしみじみと聴き入ってしまいます。
 6曲目は「Perperual Perfection」。パワフルなドラムからミドルテンポで雄大で美しくのびのびとしたフレーズがながれ、そして力強くのびやかなヴォーカルがはいって。大地を感じるようなダイナミックで広大なイメージの曲調ですね。中盤はヘヴィなギターリフから咆哮のようなパワフルなスキャットが響きわたり、そのままアグレッシブなギターソロへ。その後エモーショナルなギターフレーズから再びヴァースへ。終盤はドラマティックにパワフルに盛り上がって叩きまくりドラムや弾きまくりのエネルギッシュなギターソロが。ラストは力強いコーラスが響いてFin。 
 ポップな曲やファンキーな曲もありますが、前作の路線である叙情的でドラマティックな曲もあり、なによりも永井さんの美しく、時にパワフルに、時にしっとりとした表現力豊かなヴォーカルがたっぷりと味わえますね。
 <ページェント> これほど素晴らしい作品を作り上げたバンドが正式アルバムわずか2枚で消えてしまったのは本当に残念でなりません。

夢幻 3

2009-11-02 07:29:16 | Pageant系
 ずっと以前に紹介させていただいた、日本プログレ界の重鎮<林克彦さん>が80年代中期に率いていたシンフォニック系プログレの代表的なバンド<夢幻/Mugen>。そのアルバムを紹介させていただきます。
 2ndアルバム発表後、バンドはドラムスに<引頭英明さん>、ベースに<長嶋信行さん>という<ページェント>のリズム隊を迎えてシングルをリリース。そしてドラムスが<形山和夫さん>に、ベースが<松浦正平さん>に変わり、ギターに<藤井卓さん>を迎えて、3rdアルバム「過ぎ去りし王国の王女」を88年に発表されます。タイトル曲はイギリス幻想文学作家アルフレッド・エドガー・コッパード氏の作品にインスパイアされて作られたそうで、ジャケットはバーン・ジョーンズ氏の絵画だそうです。
 アルバム1曲目は「過ぎ去りし王国の王女/The Princess of Kingdom Gone」。オーケストラサウンドが静かに静かにながれて、耳を澄ませて聴いていたらいきなりバーン!とダイナミックなシンフォニーがはじまってビックリ!そして落ち着いた雰囲気になってしっとりとしたヴォーカルが情緒たっぷりにながれ、その後リコーダーの素朴な音色がたおやかなメロディを奏でて。そしてスネアのボレロ風のリズムが刻まれ、味わい深いベースラインがながれ、それが徐々に盛り上がっていって、アップテンポのパワフルなシンセリフが。そのままうねるベースをバックにエモーショナルなシンセソロ、そしてギターソロへ。それだフェードアウトすると再び静かで幻想的な雰囲気に。鐘の鳴るなかしっとりとしたヴォーカルがながれ、そしてダイナミックにバンドがはいって劇的なエンディングを迎えます。ラストはしっとりと静かにFin。
 2曲目は「シャロットの姫/The Lady of Shalott」。ダイナミックなオーケストラサウンドとバンドのワルツリズムのリフからはじまります。どこかかげりも感じるもののダンサブルな力強い曲ですね。中盤ではシンセのゆったりとした哀愁ただようメロディが味わい深いベースラインとともにながれドラマティックに展開していき、ラストはマーチングスネアのリズムでFin。
 3曲目は「Legend of The Forest」。パワフルでダイナミックなリフからはじまってアップテンポの変拍子リフで複雑ながらもリズミカルに展開していきます。ベースがうねってますね。サビのコーラスではパワフルな女性ヴォーカルも加わって。終盤ではドラマティックかつアグレッシブなキーボードソロが。ラストは劇的に盛大にFin。
 4曲目は「幻惑のリジェイア/Dazzling Ligeia」。ミドルテンポのコミカルでリズミカルなキーボードリフからはじまるポップ調の曲です。中盤ではテンポダウンしてメロトロンが響くなかキーボードソロ。ヴァースの後はエモーショナルな泣きのギターソロが。終盤にはチェロ風の音色のゆったりとしたソロも。
 5曲目は「黒豹/Black Panther」。華々しいファンファーレのようなリフからはじまるも、しっとりとした落ち着いた感じのヴァースへ。そして歯切れのよいパワフルなサビのあと、ダイナミックなシンセソロ。その後ヴァースをはさんでエモーショナルなギターソロが。ドラマティックな曲です。終盤は再び静かになるも、すぐにスケールの大きなダイナミックなリフが。
 6曲目は「Trident Rock」。哀愁ただようキーボードリフのあと、ガボット調のフレーズがながれ、そしてダイナミックなリフが。その後地響きのようなベースリフにのってシンセソロ。そしてストリングスサウンドの重厚なリフのあと、パイプオルガンの荘厳なサウンドが響き、続いてフルートの素朴な音色がながれ、ストリートオルガンのような音色も。このようにどんどん展開していきます。そしてゆったりとした雄大な雰囲気で壮大なスケールのサウンドが響き、ヴォーカルがはいって叙情的になるも、ラストは複雑なリズムでパワフルなリフでFin。
 7曲目は「貴女に・・・/Una Donna」。ゆったりとした優しく美しいサウンドが広大にながれていきます。そしてしっとりとしたヴォーカルがピアノリフをバックにたおやかにながれ、そこにドラムとベースもくわわって。深い味わいのベースライン、いいですねぇ。中盤ではダイナミックなサウンドのシンセソロがドラマティックに展開されます。感動的ですね。ラストはしっとりと美しく静かにFin。 
 このアルバムでは前2作の路線を継承しながらも、強力なリズム隊によってよりハードに、ダイナミックなサウンドに。なので曲がよりいっそうドラマティックで劇的な印象を受けます。1stアルバムが繊細な美なら、3rdアルバムは情熱の美みたいな。まさに“静”と“動”ですね。ドラマチックですばらしい作品です。
 バンドは残念ながら89年に解散。その後、林さんは以前紹介しました元ページェントの中嶋一晃さんが結成した<夜来香>に参加されたり、現在はプロデュース業のかたらわ、奥様と西新宿でプログレ専門のCD店を営んでおられます。

夢幻 2

2009-10-31 07:04:19 | Pageant系
 ずっと以前に紹介させていただいた、日本プログレ界の重鎮<林克彦さん>が80年代中期に率いていたシンフォニック系プログレの代表的なバンド<夢幻/Mugen>。そのアルバムを紹介させていただきます。
 1stアルバム発表後、いくつかのレーベルからセカンドアルバムをリリースしたいとのオファーがきたそうですが、これからというときにリズム隊の2人が音楽性の相違で脱退してしまい、バンドは林さんと中村さんの2人だけに。林さんはオファーをくれたレーベルに断りの連絡をしますが、あるレーベルが大物プログレバンド<NOVELA>のリズム隊に手伝ってもらってアルバムを制作するよう進言してくれたそうです。そして出来上がったのが86年に発表された2ndアルバム「レダと白鳥/Leda & Le Cygne」です。
 アルバム1曲目は「Leda Et Cygne」。静かに静かにゆったりと幻想的にはじまり、ピアノをバックにしっとりとしたヴォーカルが荘厳にながれて。その後、重厚なオーケストラサウンドが響き、そしてダイナミックなオーケストラリフとともにアップテンポのドラムがはいって明るく華やかな曲調に。終盤ではアコースティックギターのゆったりとした哀愁ただようリフが抒情的にながれ、フルートとともにしっとりとしたヴォーカルがたおやかにながれます。そしてバンドインとともにドラマティックに展開するもエンディングはしっとりとFin。
 2曲目は「La Rosa」。オーケストラの寂しげな奥深い雰囲着からはじまり、ヴァイオリンの切ないメロディがゆったりとながれます。中盤からアコースティックギターの素朴な感じのリフをバックにヴォーカルがはいって歌い上げます。しっとりとした美しいバラード風の曲です。リコーダーの素朴な音色もいい味だしてますね。
 3曲目は「Salome」。オーケストラサウンドとハイハットからワルツリズムではじまって、リコーダーとメロトロンの音色が響き、そしてパワフルなドラムとピッコロのような音色がリズミカルに。そしてダイナミックなリフと力強いヴォーカルがはいって。ミュージカルっぽい雰囲気ですね。変拍子がなんとも心地いいっす。中盤にはテクニカルなギターリフ&シンセリフが。とっても楽しく愉快に展開していきます。終盤では一旦落ち着いてゆったりとしたヴォーカル&メロトロンの音色がしっとりながれ、パイプオルガンの音色とともにアップテンポのパワフルなドラムがはいってスリリングに展開してFin。
 4曲目は「Edmond’s Old Mirror」。ミドルテンポの打ち込みリズムからはじまって、シンセの幻想的なサウンドとともに抒情的なヴォーカルがはいって。徐々にドラマティックに盛り上がっていき、サビでは歌い上げて。中盤ではダイナミックなリフのあと力強いリズムをバックにメロトロンの哀愁ただよう音色がながれ、そしてギターソロが。さらには伸びやかで美しい音色のヴァイオリンソロも。終盤にはエモーショナルなギターソロ、そしてメロトロンの音色が響き、ダイナミックなリフがはいって、ラストはガラスが割れる音でFin。とってもドラマティックな10分強の大作です。
 5曲目は「Brugge」。静かに静かにゆったりと抒情的なピアノの調べからはじまって、しっとりとしたヴォーカルがかすかにながれて。曲は徐々に盛り上がっていき、中盤からはオーケストラサウンドとドラムがはいって、そしてエモーショナルなフルートソロ、続いてしっとりとしたメロトロンソロが。しっとりとしたドラマティックな美しい曲です。
 6曲目は「Carmilla」。パワフルなドラムからはじまるアップテンポのメロディアスかつスリリングな曲。シンセリフと力強いヴォーカルが絡み合い、中盤ではしっとりとしたフルートソロも。
 7曲目は「Pavane Pour Une Infante Defunta」。ストリングスの重厚なサウンドがゆったりと荘厳にながれ、そこにリコーダーの素朴な音色がたおやかにながれて。中盤ではシンセの幻想的な調べがしっとりと響き、そして再びリコーダーの音色が抒情的にながれてしっとりとFin。 
 前作と同じ路線ですが、NOVELAの西田さんと笹井さんの他にもページェントの中嶋さん、宮武さん、大木さん、アウターリミッツの川口さん、という当時のプログレ・オールスターがゲストでバックアップされていて、前作同様にしっとりとした美しい曲もあれば、前作よりもパワフルでスリリングなシンフォ・プログレも堪能できます。リズム隊が強力なうえに要所要所で宮武さんのフルートや川口さんのヴァイオリンが曲をより美しく盛り上げています。ラスト曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」はラヴェルの曲で、それに歌詞をつけてヴォーカル入りで発表するはずだったのですが、クレームがついたために歌は断念し、リコーダーで歌メロを演奏されています。ライナーノーツには歌詞が記載されていて、ライブでは歌入りで演奏されたそうです。で、再発のときに再度交渉したもののやはりNGだったそうです。難しいですねぇ・・・

夢幻 1

2009-10-29 09:15:47 | Pageant系
 ずっと以前に紹介させていただいた、日本プログレ界の重鎮<林克彦さん>が80年代中期に率いていたシンフォニック系プログレの代表的なバンド<夢幻/Mugen>。そのアルバムを紹介させていただきます。
まずは84年に発表され、86年に一部新録されボーナストラック「レオナルドを私に」を加えて再発された1stアルバム「Sinfonia Della Luna」です。このときのメンバーはギター&キーボードの林さん、ヴォーカル&アコースティックギターの<中村剛さん>、ドラムスの<古田雅也さん>、そしてベース<加藤明さん>です。
 アルバム1曲目は「月色のシンフォニーPartⅠ~Ⅳ」。ゆったりと静かに澄んだ美しいシンセサウンドがしっとりと幻想的にながれます。そしてピアノリフとともに美しくか細い男性ヴォーカルがはいって徐々に盛り上がっていきます。幻想的なキーボードソロ、そして水が滴るかのような透明感のあるピアノリフがながれ、消えていきます。すると今度はスネアのマーチングドラムとシンセサウンドがながれ、ヴォーカルが入って元気のいいマーチ風に。その後、アップテンポのパワフルなドラムとシンセリフがはいってドライブ感のあるハードロック風に。途中ミドルテンポになって美しいシンセソロやオーケストラサウンドの重厚なリフも。そして再びアップテンポのパワフルなドラムにのってダイナミックなシンセソロが響き、時折クラシカルなフレーズも織り交ぜて。それが一旦止まると静かになって地の底からリズムがわきあがって力強くダイナミックなリフが壮大なスケールで響きますが、途中ゆったりとした幻想的なシンセソロも。ゆったりとした幻想的ななか、しっとりとしたヴォーカルがながれ、フルートの音色も加わって。終盤には荘厳なオルガンリフ、そして美しく厚いコーラスが響き劇的でダイナミックな展開に。そして再びしっとりとしたヴォーカルがゆったりとながれ、再びダイナミックなサウンドに包まれます。とっても美しくとってもドラマティックな19分弱の大作ですね。素晴らしい!ラストは劇的なエンディングが。
 2曲目は「魔法の杖」。パワフルでダイナミックなリフからはじまってリズミカルなヴォーカルが。まるで劇場でミュージカルを観ているかのような演劇要素たっぷりな雰囲気がただよってます。アップテンポのパワフルな曲です。間奏ではシャッフルっぽいリズムでシンセソロも。オーケストラサウンドも迫力があっていいですね。
 3曲目は「ヴェネツィア」。ヴェネツィアグラスのような美しい透明感あふれるピアノリフにのって澄んだヴォーカルがたおやかにながれて。中盤ではダイナミックなサウンドになって力強いヴォーカルが。そしてキーボードの可愛らしいリフや華々しいシンセリフがはいって、そして再びパワフルに歌い上げます。終盤にはメロトロンサウンドが響きわたり、パワフルなドラムにのってのシンセソロも。
 4曲目は「舞踏ロマンチック」。アップテンポのリズミカルなキーボードリフからはじまって、変拍子の複雑なリズムでスリリングでテクニカルに展開していきます。複雑ながらもとっても明るく楽しい曲ですね。バックでながれるベースもすっごいいい味だしてますね。中盤ではリフの合間に手拍子やコーラスもはいって楽しい感じに。この曲では特にベースがうねりまくっていてかっくいいっす。終盤はダイナミックなリフとテクニカルなドラムソロのあと、ドラマティックに展開していきます。
 5曲目は「不思議の国のパレード」。が。アコースティックギターの素朴な音色のリフにのって跳ねるようなリズムのヴォーカルがはいって。トラッドソングのようにどこか懐かしく、でもとっても楽しく愉快な感じの2分ほどの短い曲です。
 6曲めは「月の舞いPartⅠ~Ⅱ」。アコースティックギターの叙情的なアルペジオリフからはじまって、しっとりとしたヴォーカルはいって。それが徐々に力強い感じになって、シンセリフもはいって盛り上がっていきます。その後ギターリフと小鳥のさえずりが幻想的にながれ、そして哀愁ただようメロトロンサウンドが響き渡ります。ゆったりとしたシンセリフのあと、幻想的なヴォーカルがゆったりと空間をただよって。中盤ではミドルテンポでキーボードリフにのって華々しいシンセサウンドがワルツリズムで優雅にながれ、時折ダイナミックなリフも。終盤ではパイプオルガン調のサウンドが壮大なスケールを醸し出すも、すぐに幻想的なコーラスが荘厳に響き、そしてボレロ風のスネアリズムがはいって、パワフルなドラムインとともに壮大でダイナミックなリフがはいってアグレッシブなギターソロも。12分の劇的な大作です。
 ボーナストラックである7曲目は「レオナルドを私に」。アコースティックギターの素朴でロマンティックなアルペジオリフにのって可愛らしい女性ヴォーカルが。とってもメルヘンチックな優しい感じの曲調ですね。ピュアでかわいらしい歌声、いいですねぇ。中盤からは男性ヴォーカルもはいって素敵なハーモニーを聴かせてくれます。すべてを包み込む優しさを感じる、心癒される曲です。終盤ではオーケストラサウンドもはいってドラマティックなエンディングを迎えます。 
 アルバム全体がキーボードを主体としたクラシック・シンフォニーで、月明かりの下の夜を叙情的かつ幻想的に表現されたかのような綺麗なサウンドです。林さんの優しいキーボードの音色に、中村さんの中性的なハイトーンの弱弱しい囁くような歌声がぴったりマッチしていて、曲の美しさを優雅に引き立てていますね。なかには妖精の踊りを表現したような可愛らしい曲もあったりします。ボーナストラックでは林さんの奥様の可愛らしい歌声も聴けます。
 残念ながら自分が手に入れたCDは保存状態があまりよくなかったようでジャケットやケースがすっかり黄ばんでいますが、当初は白く美しいジャケットだったのでしょう。できることなら再発してほしいものです。

Sirius

2009-10-26 07:28:11 | Pageant系
 “ミスター・シリウス”こと、<宮武和広さん>。今回は宮武さんが<ミスター・シリウス>の前にやっていたバンド<シリウス>やその他の貴重音源を集めたアルバム「クリスタル・ヴォヤージ/Crystal Voyage」を紹介させていただきます。
まずは<シリウス>を。宮武さんが高校以来の親友である、キーボードの<加納敏行さん>と、ドラムス&ヴォーカルの<稲垣公章さん>の3人でやっておられたバンドです。このアルバムでの音源は1979年9月に録音された音源で、某音楽雑誌主催のテープコンテストに応募して見事に編曲賞を受賞されたそうです。
 アルバム2曲目「Crystal Voyage」。ギターの叙情的なフレーズと波の音が静かにゆったりとながれて。そしてピアノの美しいリフレインとヴァイオリン風の伸びやかなサウンドが響き、その後ゆったりと幻想的な雰囲気のなか素朴な感じのヴォーカルがはいって。それが徐々に盛り上がっていってバンドもはいってメロディアスな曲調に。中盤は再び幻想的な雰囲気になってキーボードとギターの透明感のある美しい音色が空間を飛び交って。浮遊感のあるサウンド、いいですねぇ。その後力強いリズムが入ってギターのエモーショナルなソロが。感動的でとってもドラマティックです。ラストは劇的なエンディングが。
 3曲目「Land Of Eternity」。シンセの幻想的なサウンド、そしてキーボードのリフがゆったりとながれ、そして歯切れのよいリフをバックに力強いヴォーカルが。メロディアスな曲調ですね。エモーショナルなギターソロのあと、幻想的なシンセソロが。その後アコースティックギターの素朴なリフをバックにヴォーカルがはいって叙情的な感じに。中盤にはヘヴィなギターリフのあと、ナレーションっぽいセリフがはいってそしてダイナミックな曲調に。ドラムと手拍子のあとアップテンポの軽快で爽やかな感じになるも、再びゆったりとした曲調になりスケールの大きな展開に。ラストはしっとりとFin。
 4曲目「Two Will Be One : part2」。幻想的なギターリフからゆったりとはじまって心地よい音色がたおやかにながれて。そして美しく力強いヴォーカルがはいって、バンドも入って徐々に盛り上がっていきます。後半にはエモーショナルなギターソロが。短い曲ですけどとってもドラマティックですね。 

 アルバム1曲目は<シリウス>と同時期に別プロジェクトとして立ち上げたユニット<みや竹>の曲です。メンバーは宮武さんの他、ギター<大谷レイヴンさん>、ベース<村岡英彦さん>、ドラムス<藤岡千尋さん>。後の<ミスター・シリウス>の原型となっています。
 曲は「月下美人(suite)」。小鳥のさえずり、そしてストリートオルガンのような素朴な可愛らしい音色がながれたあと、ヘヴィでダイナミックなリフが一節。そしてキーボードのゆったりとしたフレーズがながれ、そこにドラム&ギターが入ってアップテンポになり♪ウッハッ!って掛け声や元気のいい不ぞろいの楽しいコーラスが。それが唐突に止まってアップテンポの爽やかな楽しい曲調に。そして再びゆったりとした穏やかな曲調になるもすぐにアップテンポになって爽やかな感じになり、キーボードとギターのエモーショナルなソロの掛け合いが。めまぐるしくどんどん展開していきます。一旦フェードインしたあと、ピアノのゆったりとした抒情的なソロが。そこにフルートやストリングスやアコーディオンが加わってしっとりとした瑞々しいサウンドが展開されます。続いてはギターのナチュラルサウンドのメロウなギターリフがゆったりとたおやかにながれ、そしてエレキギターのエモーショナルなソロが。それが終わると美しいピアノのリフがゆったりとながれ、そしてバンドがはいってパワフルでダイナミックな曲調に。ハイテンポのテクニカルなドラムのリズムにのってギターとキーボードが弾きまくりで。その後再びゆったりとした曲調になり、美しいピアノの調べをバックに素朴なヴォーカルがはいって。そしてダイナミックなリフがはいって泣きのギターフレーズがながれたあと、激しいドラムをバックにアグレッシブなギターソロが。それが落ち着くと再びダイナミックな力強い曲調になり、そこからもめまぐるしく展開していって、ヘヴィなギターリフのハードロックモードになったあと、劇的なエンディングを迎えます。20分の超大作です。 

 5曲目はボーナストラックですが、なんと宮武さんの奥様である<宮武美代子さん>のユニット<Miyoko>の曲で、1987年に録音された「Wanderer」。ストリングスとフルートの音色からゆったりとはじまって、そして優しく美しいヴォーカルがはいって。どことなくルネッサンスを彷彿させますね。メロディアスなポップス調ですけど、なによりもとっても可憐で美しい。素朴ながらもとっても魅力のある声にうっとりと聴きほれてしまいます。すべてを包みこむような温かさも感じますね。終盤では美しい多重コーラスが響き、そこにフルートの音色が寄り添って静かにFin。

 <ミスター・シリウス>の元となった貴重な音源の数々をこうして聴けるのは嬉しい限りです。願わくば復活も期待したいところです。

Mr,Sirius 2

2009-10-24 08:02:28 | Pageant系
 日本プログレッシブロック界最高峰とも名高い“ミスター・シリウス”こと、<宮武和広さん>自身のバンド、<ミスター・シリウス>。宮武さんが全身全霊を傾けて制作され、1987年に発売された1stアルバム「バレンドリーム/Barren Dream」。”フランス近代クラシックの香りのする、ロマンと美あふれる傑作“と賞賛されるなど大好評。
 アルバム発表後、バンドにはギターに<釜本茂一さん>、ベースに<村岡英彦さん>が加わり、毎週練習に励み、年2回ほどライブをこなして研鑽を重ね、1990年、写真の2ndアルバム「ダージ/Dirge」が発表されます。
 アルバム1曲目は「Fanfare~Legal Dance」。ギターのアルペジオの美しいリフレインにのって優しくおだやかなフルートの音色が響き、そしていきなりヘヴィでダイナミックなバンドリフがはいって、テクニカルかつパワフルな展開に。ギター&キーボードの短い超テクソロもありのダイナミックなオープニングです。
 2曲目は「Love Incomplete」。キーボードのゆったりとした美しいリフからはじまって、そしてのっけからドラマティックな雰囲気で美しく力強いヴォーカルがはいって。その後静かになってゆったりと美しく幻想的な感じに。短いフルートソロのあと艶っぽく優雅なヴォーカルがしっとりとながれ、そしてピアノをバックにフルートの素朴な調べが。ドラマティックに盛り上がったあと、再び静かになって美しいヴォーカルがしっとりとたおやかにながれて。終盤ではストリングスの荘厳なサウンドが響き、そこにヴォーカルが加わって、そしてドラムインとともにバンドが入ってダイナミックに盛り上がり、エモーショナルなギターソロも。ドラマティックな展開の曲ですね。
 3曲目は「A Land Dirge」。アコースティックギターのリフレインをバックにフルートの素朴な音色がゆったりとながれて。とっても優雅な雰囲気ですね。美しくおだやかにながれるサウンド、うっとりと聴きほれてしまいます。中盤からはリズムがはいって躍動感が増して楽しい雰囲気になって。とっても心地よい短いインスト曲です。
 4曲目は「Super Joker」。パワフルでスリリングなリフからいきなりはじまってアップテンポでテクニカルに複雑に展開していきます。そしてちょっと落ち着いてミドルテンポで力強いヴォーカルがはいって。中盤にはテクニカルかつエモーショナルなギターソロが。その後ストリートオルガンのような素朴な音色が響き、そして再びパワフルで超テクニカルなリフが。とってもパワフルでスリリングで複雑ながらも聴き応えのあるかっくいい曲です。ロックしてますね。
 5曲目は「A Sea Dirge」。幻想的なシンセサウンドからゆったりとはじまって、ストリングスをバックにフルートの叙情的な音色が響いて。しっとりとしたクラシカルな曲調ですね。終盤ドラマティックに盛り上がるもラストはしっとりと静かにFin。
 6曲目は「The Nile For A While」。アフリカンなパーカッションから静かにフェードインしてきます。それがおさまると静かになって、そしてパワフルなリズムからはいってアップテンポのパワフルかつテクニカルなギターリフが。複雑に展開していきますが、そこかしこに美しいフレーズが。その後フルートの単独ソロのあと、とっても素朴で穏やかな雰囲気になり、美しいヴォーカルがはいって。そして途中からアップテンポになって躍動感たっぷりに。再びフルートソロのあと、ゆったりと美しいボーカルがながれたあと、アップテンポになってフルートソロが心地よく響き、そしてダイナミックなリフのあとアップテンポの複雑ながらもとっても楽しい感じになり、ドラマティックな展開に。中盤にはヴァイオリン風の優雅なソロ、そしてテクニカルかつアグレッシブなギターソロも。その後一転静かになってゆったりと幻想的な感じになり、美しいヴォーカルがしっとりとたおやかにながれて。そこにキーボードのリフがはいって、再びバンドイン。ダイナミックなリフのあとミドルテンポで劇的な展開に。テクニカルなギターソロのあと盛大なフィナーレを迎えます。21分を超えるドラマティックな超大作です。
 7曲目は「Requiem」。抒情的なシンセサウンドと美しいヴォーカルからはじまり、壮大なオーケストラサウンドをバックに歌い上げます。中盤には重厚なパイプオルガンサウンドが響きわたり、そして再びヴォーカルがはいって劇的に盛り上がってFin。
 1stを”静“だとすれば、この2ndは”動”という意見もあるように、ギターに釜本さんが加わったこともあってかより力強さが増した感があり、前作以上にパワフルでテクニカルなロックや、ドラマチックで壮大なシンフォニックサウンドがたっぷりと楽しめる素晴らしい作品です。これほどの完成度を誇ったバンドのスタジオアルバムがたった2枚とは・・・ほんともったいないっす。

Mr,Sirius 1

2009-10-22 16:14:55 | Pageant系
 <ページェント>にも在籍されていた“ミスター・シリウス”こと、<宮武和広さん>自身のバンド、<ミスター・シリウス>。だいぶ以前にバンド紹介をさせていただきましたが、今回はアルバムの紹介をさせていただこうかと。
 80年代中頃、<シリウス>というバンドをやっていた宮武さんですが、家業を継ぐことになり、バンド活動を停止。でもせめて自分自身納得のいくアルバムを残したい、という思いから自分専用のスタジオを作り、当時高価で大きなミキサーやレコーダーをそろえるなど、大変な負担も。しかも家業があるので、スタジオ作業は朝仕事前のわずかな時間や就業後夜半まで。さらに宮武さんは作曲も1音づつ試行錯誤しながら構築していったそうで、次の音を決めるのに何日もかかることもあったとか。もちろん自身担当のギター・キーボード・フルートも日々練習を重ねて。そして丹念に丁寧に作り上げたアルバムがついに発表されます。それが1987年に発売された1stアルバム「バレンドリーム/Barren Dream」です。基本メンバーはドラムスの<藤岡千尋さん>と、そしてページェントのヴォーカリスト<永井博子(大木理沙)さん>の3人です。そして4曲目のみ、ギターに<大谷レイブンさん>と<清水義央さん>、キーボードに<小川文明さん>が参加されています。
 アルバム1曲目は「All The Fallen People」。いきなり♪ダンドンダンドンとティンパニのパワフルな打撃音が鳴り響いてダイナミックなリフが。そしてすぐ静かになってストリングスのゆったりとした音色が荘厳に響き、一旦Finしたあと再びゆったりとストリングスの音色が響き、そこに重厚なコーラスも加わって。そして小鳥の鳴き声とともに明るく爽やかなピアノリフと美しい女性ヴォーカルが流麗に。透明感のある綺麗なサウンドにうっとりです。その後フルートの素朴な音色も加わって徐々に盛り上がっていきます。中盤からドラムがはいって変拍子ながらもリズミカルで力強い曲調になり、めまぐるしくどんどん展開していきます。明るく爽やかなコーラスのあとエモーショナルなギターソロが。終盤にはアコースティックギターの音色もちょこっと。そして再びストリングスの荘厳な調べがゆったりとながれ、そこに美しいピアノとフルート、さらにはヴァイオリンも加わって、ラストは美しくしっとりと静かにFin。12分弱のドラマティックな大作です。
 2曲目は「Sweet Revenge (interlude)」。アップテンポのめっちゃテクニカルな短いインスト。でもでもわずか2分足らずなのに内容はとっても濃いですね。
 3曲目は「Step Into Easter」。重厚なコーラスからゆったりとはじまって、しっとりとしたアコースティックギターのアルペジオリフとフルート&ピアニカの音色がたおやかにながれて。懐かしさというか郷愁を感じますね。中盤からは美しいヴォーカルがはいって心地よくながれます。うっとりと聴きほれてしまう、心休まる素朴な癒し系の曲です。
 4曲目は「Eternal Jealousy」。美しいピアノソロからゆったりと優雅にはじまって、そしてシンセサウンドが静かに響いたあといきなりパワフルかつテクニカルなドラムが入ってアップテンポの複雑ながらも明るく爽やかな曲調に。まずはピアノのアグレッシブなソロ、そしてユニゾンリフのあと、一旦リズムが止まってシンセの幻想的なサウンドが響き、そこに透明感のある美しいヴォーカルがはいって。そして再びドラム&リフがはいってアグレッシブなギターソロが。その後ゆったりとしたスケールの大きな雰囲気になって雄大にヴォーカルが響き、その後再びパワフルかつテクニカルな曲調になり、アグレッシブなギターソロも。ラストは劇的にFin。複雑な構成ながらもドラマティックな曲ですね。
 5曲目は「Lagrima」。フルートの素朴で美しい音色がゆったりとたおやかにながれ、そこに美しいヴォーカルがはいって。バックでは12弦ギターの綺麗な音色が響いてます。まるで新緑の季節に木漏れ日のキラキラ輝く森の中をお散歩しているかのような、ゆったりとした素朴で爽やかな感じの曲ですね。
 6曲目は「Barren Dream」。シンセの幽玄な雰囲気からゆったりとはじまって、そして美しいピアノのリフレインがながれ、そしてアップテンポのリズムがはいってフルートの素朴な音色が。その後パワフルでダイナミックなリフがはいってめまぐるしく展開していきます。一旦リズムが止まって静かで幻想的な感じになり、ピアノの美しいリフ、そしてシンセの荘厳な響きが。その後ピアノをバックに美しいヴォーカル、そしてフルートの調べがゆったりと美しくながれます。美しいコーラスがストリングスをバックにしっとりと抒情的に響き、そして終盤はアップテンポのピアノリフから軽快なリズムがはいって盛り上がっていき劇的なフィナーレを迎えます。13分強のドラマティックな大作です。
 オリジナルアルバムはここまでの全6曲ですが、このアルバムにはボーナストラックが2曲収録されています。
 7曲目は「Eternal Jealousy」のシングルバージョンです。パワフルでダイナミックな面が強調されているかのように感じますね。
 8曲目は「Intermezzo」。リフからはじまってストリングスサウンドが抒情的に響き、そして静かにゆったりと良く通る澄んだ美しい歌声がしっとりとながれ、重厚なストリングスもはいって。終盤にはストリングスをバックにフルートの素朴な音色が静かにながれてFin。 
 変拍子・転調の多用など超テクニカルなJAZZ的面もあるし、クラシックのようなドラマチックな構成もあり、またアルバムジャケットのように素朴なフォーク・カントリー的な面もあればポップスの面もあるし。かといってバラバラなのではなく、次がどんな展開になるのかワクワクしながら聴ける楽しみがあり、これだけ複雑でもどのフレーズもとっても綺麗で。演奏技術もさることながら、永井(大木)さんの素晴らしい歌唱、透明感があって艶やかで伸びやかで、ときに優しく、ときに力強く表現豊かなヴォーカルに耳を奪われます。そしてハードなギターやパワフルなドラムスの聴き手を圧倒する音と、アコースティックギターやフルートなど聴き手に安らぎを与える音との緩急の具合が絶妙ですね。素晴らしい作品です。
 オリジナルアルバムとはジャケットが異なるんですけど、自分はこちらのほうが好きかな。素朴でしかもメルヘンチックでとっても素敵。この風景の場所に行ってみたくなります。

KEHELL

2007-12-13 21:41:29 | Pageant系
 <ミスター・シリウス>にも在籍し、2ndアルバム「Darge」で素晴らしいギターを聴かせてくれたギタリスト<釜木茂一さん>のリーダーバンド<KEHELL>の唯一のアルバムが手に入ったもので紹介させていただきます。(釜木さんは一時期<夢幻>にも参加されていました。) <KEHELL>は1985年に釜木さんの他、ベースとドラムギターシンセ・トリオとして京都で結成され、88年ころから本格的にライブ活動を始め、91年に東京進出。バンドは新たにキーボードを加え4人編成に。その後ベースとキーボードが入れ替わり、93年にデモテープを制作。このテープはアメリカのプログレ専門誌でも紹介されたとか。ですが、これからというときにキーボードが脱退してしまい、バンドはしばらく休止してしまいます。そして97年に復活!今回のアルバムのメンバーである、ベースは新たに<広瀬泰行さん>、ドラムは結成時からの盟友<濱田亨さん>。原点のギターシンセ・トリオに戻って98年からライブ活動を開始。そして結成から13年を経て初のCDレコーディングを開始し、なんとプログレレーベルで有名なフランスのMuseaレーベルと契約し、99年についに世界発売!しかし・・・この後、様々な理由があって活動が停滞してしまって、ベースの広瀬さんが脱退。バンドは活動を停止してしまいます。これからってときに・・・残念ですねぇ・・・
 では、CDを聴いてみますと・・・オープニングでは打ち込みの軽いドラム音を使っていて、ちょっとビックリしましたが、そのあとは素晴らしい世界が!バックの演奏は全編にわたって澄んだ透明感のある心地よいサウンドで、プログレというよりもほとんどフュージョンの世界ですね。ドラムは強弱がはっきりしていて歯切れが良くて、ベースはサウンドの基礎をしっかりささえながら印象的なフレーズを聴かせてくれて、リズム隊は完璧!そしてクリアなシンセ・サウンドの心地よい響きがサウンドの奥行きを感じさせてくれ、それらフュージョン・サウンドをバックに釜木さんが太いロックギター・サウンドを聴かせてくれます。このギターがめっちゃかっちょいいっす!存在感のある太い音で、思わず「待ってました!」って言いたくなっちゃうくらいです。 釜木さんはライブでもキーボードは加えずにギターを弾きながらペダルシンセを駆使してこのサウンドを再現しておられるとか。「サーカスのような職人芸になってもーてえーらい苦労した」そうです。そういやRitchieさまはソロのときベースペダルを使ってたけどそれとは次元がちがいますね。足でペダルシンセで和音を弾きながらギターでメロディを弾くって凄いにゃ。
 釜木さんはある人に「バンドとして形を残さないと何の意味もない。」そう言われたそうです。レコーディングは完全に納得したものではないにせよ、こうしてCD世界発売という大きな形を残して<KEHELL>の名前を世界のプログレファンに知らしめたことには満足されているのではないでしょうか。釜木さんは「この<KEHELL>、わしのなかではまだ終わってへん。」と。 この言葉を信じて2ndアルバムをずっと待っていたいです。