ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

ミッキー・カーティスと侍 1

2009-04-30 06:57:38 | 70's J-Rock
 70年代初期の日本のロックを調べていくなかでちょっと意外なお名前が。自分はこのお方は昔の歌手で現在は多才なタレントさんってイメージだったんですよね。なのでちょっとビックリ。そのお方とは、<ミッキー・カーティスさん>です。Wikiによると、カーティスさんは10代の頃に“日本ジャズ学校”に通われたそうです。そして大学に進学。音楽活動は兵士の慰問やキャンプ廻りなど地道に活動を重ね、それが認められてロカビリー歌手としてウエスタンカーニバルにも出演されたそうです。当時カーティスさんは<平尾昌晃さん><山下敬二郎さん>と“ロカビリー3人男”として人気を博したそうですが、なぜかカーティスさんだけお二方に匹敵するようなヒット曲に恵まれなかったとか。
 1966年にはアジアでバンド「バンガーズ」を結成。スタンダードやヒット曲やボサノヴァまで幅広いジャンルの“シャレた音楽”を演奏していたとか。そしてヨーロッパ・イギリスの最新のロックに大きな影響を受け、1969年にプログレッシブ・ロック・バンドに転向し、バンド名も<ミッキー・カーティスと侍>に。今回のアルバムは1970年2月にロンドンのスタジオでレコーディングされたものです。メンバーはヴォーカル&フルート<ミッキー・カーティスさん>、ヴォーカル&パーカッション<Mike Walkerさん>、ギター<Joe Dunnetさん>、ギター<泉ヒロさん>、キーボード&リコーダー<John Redfernさん>、ハーモニカ<Graham Smithさん>、そしてベースがのちにFreeにも参加される<山内テツさん>、ドラムスがのちにPYGや井上バンドにも参加される<原田裕臣さん>です。
 このアルバムは当初はイギリスとドイツのレーベルから2枚組で発売されたそうですが、日本発売時には2曲減らされて1枚で発売されたとか。歌舞伎絵のくまどり顔のアップのジャケット、インパクトありますねぇ。見方を変えるとKing Crimsonの1stアルバムに対抗しているかのような気もします。
 1曲目は「Green Tea」。ギターとフルートの幻想的な美しい音色からはじまって、ミドルテンポの哀愁ただようムーディな雰囲気で展開していって、それが徐々に盛り上がっていって。ヴォーカルの合間にはいるギターのエモーショナルなフィル、いい感じですねぇ。感想ではオルガンとフルートとリコーダーでクラシカルなフレーズを奏で、そしてドラムの軽快なJAZZビートにのってフルートソロやナチュラルトーンのJAZZギターソロが。バックのベースもいい味だしてますね。ヴァースはムード歌謡っぽいんですけど、間奏はプログレしてますね。
 2曲目は「Eagle’s Eye」。パワフルなドラムとヘヴィなギターリフからアップテンポではじまってブギーっぽい曲調に。途中からファンキーなリズムになってノリノリモードに。ここでもギターがいい味だしてます。ドラムもかっくいいし。感想ではワウを効かせたファンキーなギターソロがたっぷりと。すると一転ゆったりとしたテンポになってメロディアスな感じに。そして徐々にヘヴィなリフがはいってきてテンポアップして元のファンキービートに。そのままめっちゃ盛り上がってFin。
 3曲目は「Boy With a Gun」。お琴と笙のような音色が幽玄にゆったりと響いて、そしてしっとりとしたヴォーカルがはいって。“和”の雰囲気が漂ってます。間奏では笙のような音色が幻想的に響くなか、お琴のソロが。その裏メロを弾くベースもいい雰囲気をだしてます。ダークで神秘的な曲ですね。
 4曲目は「18th Century」。アコースティックギターのアルペジオからゆったりと抒情的にはじまって、透明感のあるグロッケンの金属音が響くなか、素朴なリコーダーの音色が物悲しげに響いて。短いインスト曲です。
 5曲目は「Four Seasons」。いきなりヘヴィなギターリフからアップテンポでパワフルにはじまり、リフのあとギターはエモーショナルなフレーズを。そして一転ゆったりとしたスローテンポになってムーディな雰囲気になって泣きのギターソロが。その後ヴォーカルがはいってしっとりと歌い上げます。間奏ではシンバルの音が神秘的に鳴り響き、そのままドラムソロに。そしてそれがテンポアップしてバンドが入って晴れ渡った青空のように爽やかな曲調に。その後パワフルなベースとともにめっちゃアグレッシブなハードロックモードに。ギターもオルガンも弾きまくりで、ドラムも叩きまくり。凄いパワーです。
 6曲目は「Mandalay」。ディレイの効いた浮遊感のあるギターリフからはじまって、天の声のようなナレーションがはいって。そしてミドルテンポでオルガンのリフをバックに哀愁ただようヴォーカルが。それが2ヴァースではパーカッションのリズムとともにラップのようなヴォーカルに。間奏はパワフルなリズムをバックにJAZZ調の軽やかなギターが宙を舞って。それが後半にはヘヴィなギターソロに。それが終わると元のフワフワしたサウンドになって、そして哀愁ただよう曲調に。複雑な展開のプログレです。
 7曲目は「Daffy Drake」。明るく華やかなオルガンリフからはじまり、みんなで陽気に歌うドリンキングソングのような楽しい雰囲気に。後半はめっちゃ盛り上がってFin。 
 メンバーの皆さんが己の音楽性をすべて注ぎ込んだというこのアルバム、ロックに影響をうけたとはいえ、固執はせずに様々な音楽要素も取り込み、実験的な部分もかなりある当時としては斬新なアルバムですね。

水谷公生さん

2009-04-29 07:25:51 | 70's J-Rock
 <柳田ヒロさん>のソロアルバムにも参加され、<Love Live Life>でも一緒に活動されたギタリストの<水谷公生さん>。水谷さんは、当初は“水谷淳”という名前で活動され、<ブルーエース>というインストバンドに参加され、そして1966年にGSバンド<アウト・キャスト>を結成されます。その後、68年に<アダムス>というバンドに、71年からは<Love Live Life>に参加されます。
 そしてその71年に唯一のソロアルバム「A Path Through Haze」を発表されます。参加メンバーは、キーボード<佐藤允彦さん><鈴木宏昌さん>、ベース<寺川正興さん><竹部秀明さん>、ドラムス<猪俣猛さん>、そしてコーラスやオーケストラも。そしてクレジットはありませんが、盟友<柳田ヒロさん>も参加されているそうです。ローマ字の名前と大きな“1”という番号、まるでスポーツのユニフォームの背中のようなかっこいいジャケットです。
 アルバム1曲目は「A Path Through Haze」。ゆったりと静かに厳かに、美しく幻想的な雰囲気からはじまります。キーボードとベースのユニゾンのたおやかなメロディが心地よくながれ、そしてドラムがはいってミドルテンポでしっとりと展開していきます。中盤でいきなりヘヴィなギターリフがはいってミドルテンポのパワフルなハードロック調に。そしてオリエンタルな雰囲気のギターソロが。ドラムは民族音楽調にタムを叩きまくって。
 2曲目は「Sail In The Sky」。ゆったりとクラシカルな雰囲気ではじまります。木管アンサンブルが厳かに幽玄な感じで。そしてキーボードのアップテンポのリフレインにのってギターがはいって。軽快なドラム&ベースのリズムにのってエモーショナルなギターソロを展開。それに続いて透明感のあるサウンドのエレピソロも。終盤ではテンポダウンしてヘヴィなギターソロが。ドラムもめっちゃパワフルに叩きまくってます。
 3曲目は「Turning Point」。ギターのメロウなリフレインからゆったりとおだやかにはじまります。エレピの音色が心地よいソフトな曲調ですが、途中ヘヴィなギターサウンドのソロも。
 4曲目は「Tell Me What You Saw」。ヘヴィでダークなギターリフからパワフルにはじまり、そして複雑なリズムのユニゾンリフからスローテンポでめちゃめちゃ弾きまくり叩きまくりのヘヴィな混沌とした音世界が展開されます。終盤では元のヘヴィなリフに戻ってFin。
 5曲目は「One For Janis」。スローテンポでヘヴィなギターリフからはじまるめっちゃパワフルなブルーズ。力強いリズムにのってエモーショナルでハードなギターソロがたっぷりと。中盤ではアグレッシブなキーボードソロも。
 6曲目は「Sabbath Day’s Sable」。美しいピアノのリフレインから静かにはじまり、ハードなギターがはいって、そして艶やかなヴァイオリンの音色がながれて。ギターとヴァイオリンとピアノがそれぞれうっとりするくらいに美しいメロディを奏でて。後半には情感たっぷりのギターソロが。ゆったりとした心地よいアンサンブル曲です。
 7曲目は「A Bottle of Codeine」。力強いドラムのリズムからはじまり、ヘヴィなギターリフがはいって。ミドルテンポのヘヴィブルーズですね。まずはパワフルなドラムにのってエモーショナルでハードなギターソロがたっぷりと。後半からはベースもうねりだして盛り上げます。時折はいるのはバスクラかな?ラストはドラムもめっちゃパワフルに叩きまくって。
 8曲目は「Way Out」。アヴァンギャルドなオルガンからはじまって、アコースティックギターの幽玄な音色がしっとりと響き、そしてギターとクリアーな女性スキャットがユニゾンでゆったりとメロディを奏で、続いてスキャットとギターが交互にフレーズを奏でて。ゆったりしっとりとした抒情的な曲です。
 ハードなロック・ブルーズ・ポップ、そしてクラシカルな曲とバラエティに富んだ構成で、そのどのジャンルにおいてもエモーショナルなギターを聴かせてくれます。その全盛期にソロアルバムがたった1枚しかないとは・・・それだけお忙しかったのでしょうね。その後はギタリスト・作曲家・編曲家として活躍されます。そして長い時を経て、2003年には柳田ヒロさんとのコンビが復活し、<MA-YA>というユニットでアルバムを1枚発表されています。そちらも興味深いですね。

柳田ヒロさん 2

2009-04-28 06:54:13 | 70's J-Rock
 70年代初期、その凄腕で大活躍をされていたキーボードプレーヤーの<柳田ヒロさん>。70年にその忙しいさなかに初のソロアルバム「Milk Time」を発表され、翌71年には2枚目のソロアルバム「7才の老人天国」を発表されます。妙なアルバムタイトルですが、ジャケットは“マッチ売りの少女”がモチーフになっているような気もする奇妙な絵と隅に”HIROYANAGIDA”と書かれているだけで、そんなタイトルはどこにも書かれていないんですよね。今回のアルバムではギターの<水谷公生さん>、ベースの<石川恵樹さん>、ドラムスの<田中清司さん>が主体となって構成され、他にもゲストでフルートの<中谷望さん>や、ヴォーカルの<ジョーイ・スミスさん>らが参加されているようです。但し今回はヴァイオリンの玉木さんは参加されていないようです。。
 アルバム1曲目は「人」。リズミカルなオルガンリフからはじまって、そしてドラム・ギターがはいってパワフルに。オルガンはミステリアスでスリリングなサウンドを聴かせ、そしてテンポアップしてアグレッシブなギターソロや、アヴァンギャルドなフルート(?)のソロが。ラストにはちょこっとオルガンソロが。
 2曲目は「真夜中の殺人劇」。ゆったりとした幽玄な感じから暗くはじまって、そしてパワフルなリフがはいってアップテンポのロックに。ハードなオルガン、めっちゃかっくいいっす。そして一旦ゆったりとしたJAZZテンポになってエモーショナルなギターソロが。続いてはパワフルなビートにのったアグレッシブなオルガンソロがたっぷりと。めっちゃ弾きまくりでもりあがってFin。
 3曲目は「夢幻」。ゆったりと優雅な感じでチェンバロとフルートの音色が心地よくながれて。中盤からはドラムとファズギターもはいってダイナミックなサウンドに。情感たっぷりの泣きのギターソロ、めっちゃかっくいいっす。
 4曲目は「Good Morning People」。軽やかなサウンドからはじまる軽快なポップロック。リズミカルで楽しくてウキウキ♪してきちゃいそうです。キーボードのメロの合間にはいるハードギターのフィルもいいですねぇ。
 5曲目は「Always」。リズミカルなピアノリフからはじまる、アップテンポの爽やかなコーラスが心地よいポップス。
 6曲目は「高層ビル42F」。フルートの綺麗なリフレインとアヴァンギャルドなピアノからゆったりとはじまって、そしてアップテンポの軽快なリズムがはいって。でもピアノはそのリズムに合わせようとはせずに、リズムを無視して弾きまくってます。こういう展開は珍しいかも。
 7曲目は「愛しのメリー」。あの“ダイアナ”のような軽やかなリズムのポップス、というかロカビリーなのかな?懐かしい感じの曲ですね。語り口調のヴォーカルにSaxのソロも。
 8曲目は「憂うつ」。ゆったりとしたムーディな雰囲気ではじまり、アコースティックギターのリフにのって爽やかなコーラスがはいって。おだやかで心地よい抒情的なポップスですね。 
 前作よりも制作時間があったかどうかわかりませんが、ジャムセッションそのままという感じよりも、曲としてまとまっているように感じます。バリバリのハードロックからJAZZやポップスまで幅広いジャンルの曲がはいっていて、それぞれに応じたかっこよく、かつ美しいキーボードサウンドがたっぷりと楽しめます。

柳田ヒロさん 1

2009-04-27 06:55:52 | 70's J-Rock
 70年代初期、各方面からひっぱりだこで八面六臂の活躍をされていた凄腕キーボードプレーヤーの<柳田ヒロさん>。ヒロさんは、日舞の家元という由緒あるお家に生まれ、幼い頃から日舞や三味線を習っていたそうです。それがいつのまにかエレキギターを持って、68年に当時の日本のモンキーズファンクラブがメンバー募集して結成したGSバンド<フローラル>に参加されます。当初はギターだったものの、The Doorsに影響を受けてオルガンを始めたそうです。で<フローラル>は実際に<モンキーズ>の日本公演の前座を務められたそうで。その後、松本隆さん・細野晴臣さんらとサイケバンド<エイプリル・フール>を結成し、アルバムを1枚発表されるも、バンドはメンバーの音楽的相違により解散。そしてヒロさんは前述の通り多くのプロジェクトに参加され大活躍。その合間をぬって70年に初のソロアルバム「Milk Time」を発表されます。このゴリラのジャケット、凄いインパクトありますよね。(でも“ミルク・タイム”でなんでゴリラなのかな?)。このアルバムにはドラムスに<つのだ・ひろさん>、ギターに<水谷公生さん>、ベースに<石川恵樹さん>、そしてヴァイオリン奏者の<玉木宏樹さん>や、フルートの<中谷望さん>らが参加されています。
 アルバム1曲目は「Love St」。アップテンポでチェンバロのような優雅なサウンドが奏でられて。短いインストです。
 2曲目は「Running Shirts Long」。ミドルテンポのパワフルなオルガンリフからはじまり、そしてアップテンポになってアグレッシブなギターソロが。裏ではベースがうねりまくってます。そしてめっちゃアグレッシブでヒステリックなヴァイオリンソロも。パワフルなハードロックですね。中盤からはお待ちかねのハードなオルガンソロがたっぷりと。めちゃめちゃかっくいいっす。あの頃のDPのJon Lord氏を彷彿させる凄いパワフルなオルガンサウンドですね。後半にはベースソロ、そしてドラムソロも。
 3曲目は「When She Didn’t Agree」。ゆったりとした優雅なチェンバロの音色が響き、そしてフルートの素朴で美しい音色がたおやかにながれて。おだやかで心地いい短い曲です。
 4曲目は「Happy, Sorry」。アップテンポの明るく楽しいカントリー風な曲調ではじまり、そしてパワフルなドラム&ギターがはいってロック調に。エモーショナルなギターソロのあとは、ハードサウンドのヴァイオリンソロが。後半からはリズミカルで明るく楽しいオルガンソロ。終盤ではギターもオルガンもバイオリンもベースも入り乱れてのソロバトルが。
 5曲目は「Yum」。ゆったりとしたチェンバロのロマンティックな音色が響き、そこにフルートの抒情的な音色がしっとりとながれて。とっても上品で美しい曲ですね。
 6曲目は「Love It」。ゆったりと艶やかなヴァイオリンの音色が響き、そこにオルガンやチェンバロの音色もくわわって哀愁ただよう美しい曲調に。短い曲です。
 7曲目は「Fish Sea Milk」。暗い空間に様々な音が飛び交う混沌としたリズムもコードもない前衛サウンド。
 8曲目は「Fingers of a Red Type-Writer」。ゆったりとしたテンポでけだるい感じのヴァイオリンのリフからはじまって、ミドルテンポでエモーショナルなギターソロが。JAZZのスイングモードって感もありますね。それが徐々にパワフルなロックモードになり、アグレッシブなギターソロが。バックもめっちゃ盛り上がってます。それが落ち着くと今度は再びJAZZビートでアヴァンギャルドなヴァイオリンソロがたっぷりと。ラストは元のリフに戻ってFin。
 9曲目は「Milk Time」。20数秒のあっという間の美しいストリングの協奏曲です。 10曲目は「Me And Milk Tea And Others」。ゆったりとした艶やかで美しいヴァイオリンの音色が心地よく響きます。とってもロマンティックな曲ですね。午後のティータイムのような感じでしょうか。 
 ヒロさんをはじめ、メンバーの皆さんも多忙を極めておられたでしょうから、このアルバムもフード・ブレイン同様に短時間のジャムセッションをそのまま収録したような感じで、その場のノリで繰り広げられるアツい演奏がたっぷり楽しめます。曲もバラエティに富んでいて、あらゆるジャンルに精通されている凄腕のヒロさんだからこそ、どの曲もとってもかっこよく、美しく聴けるのでしょうね。

09.4.23 伊藤芳輝・吉見・喜多・鳥越

2009-04-25 17:11:21 | ライブレポ Jazz/Fusion
◇ 2009.4.23 横浜野毛DOLPHY
<伊藤芳輝スペシャルバンド>
 先月初めて<スパニッシュ・コネクション>のライブを観て、伊藤さんのアツいギタープレイにすっかり魅了されてしまい、また近いうちにスパコネか伊藤さんの参加するライブを観たいなって思ってました。すると親切な方が興味深いライブを教えてくださったんです。メンバーは伊藤さんの他、先日黒田さんとの共演ライブでも凄い演奏をみせてくれた、ヴァイオリン<喜多直毅さん>、スパコネメンバーのタブラ<吉見征樹さん>、そしておなじみのベース<鳥越啓介さん>。めっちゃ強力な凄腕集結!凄いライブになりそうで、超期待しちゃいます。ワクワク♪

 さて当日。仕事が19時すぎまでかかってしまったので、そのまま夕食も摂らず会場へ。19時半近くに着いたんですけどお客さん結構入ってましたね。団体のお客さんが何組かあってすでに盛り上がってました。自分は片隅に座って、おなか空いていたので食べ物と飲み物を注文して飲食しながら開演を待ちます。ステージは向かって左からタブラ・ヴァイオリン・ベース・ギターのようです。

 20時頃、メンバーの皆様がステージに登場しチューニングを始めます。そして始まった1曲目は「My favorite things」。メロウなギターフレーズ、けだるい感じのヴァイオリンの音色が響き、そしてパーカッションとともにギターリフが。テーマメロをギターとヴァイオリンがユニゾンで奏でて。ここからパワフルでエネルギッシュな展開に。アグレッシブなヴァイオリンソロや激しいリフの応酬も。再びテーマメロに戻って今度はベースソロ。そして激しいエネルギッシュなリフ・テーマメロのあと、リフとタブラの掛け合いも。ものすごい迫力です。

 続いて2曲目は「Thelonious」。メロディアスなギターリフ、そこにヴァイオリンも加わってユニゾンで。そしてアップテンポの跳ねるような感じでギターとヴァイオリンが妖しいフレーズを。そしてギターのエモーショナルでテクニカルなソロへ。その後一転ゆったりとした感じで艶やかな音色のヴァイオリンソロがはじまり、それが吉見さんの手拍子にのって徐々に激しくなって、身体を揺すってのエネルギッシュな演奏を繰り広げて。ラストはギターとヴァイオリンがユニゾンをキメてFin。最初から皆さんすっごいテンション高いっす。圧倒されちゃいます。

 曲が終わると大拍手!「どうもありがとうございます」「皆さんこんばんは、ようこそおいでくださいましてありがとうございます」って伊藤さん。「今日はうるさいセッションです」って。爆笑です。「50近い大人達が子供になって楽しむ」みたいなことおっしゃってたかな?「50超えてる」ってつっこむ吉見さん。爆笑です。
 ここでメンバー紹介がはじまります。「タブラ、吉見征樹!」って。すると吉見さん立ち上がってこの日話題の某アイドルグループの某メンバーの名前を。大爆笑です。「逮捕されちゃったようで」「なにか悩みでもあったんですかねぇ」って伊藤さん。「今日は(某メンバー)がタブラを叩いてます」「でも全然キャラが被らないね」って。
 続いて「ヴァイオリン、喜多直毅!」って。「公園で酔っ払うなんてことはとんでもないね」「公園で裸で弾たことがあるとか?」って伊藤さん。「酔っ払って居酒屋で弾くことはある」って喜多さん。爆笑です。“愛の賛歌”を某歌手風に弾くって。でもヴィブラートが大きすぎて何の曲だか分からないとか。で、実際に弾いてくれますが、確かに曲名を先に言われないとなんだかわかんないっす。「それやるとお勘定安くしてくれるの?」って伊藤さん。「そのときは格調高く」って喜多さん。爆笑です。
 続いて「ベース、鳥越啓介!」って。鳥越さんは最近タバコを止めたそうで。で、心境とか身体にいろいろ変化があるとか。ここで喜多さんが上着を脱いで。ちょっと暑そうでしたもんね。その上あのエネルギッシュな演奏ではねぇ。再び鳥越さんの禁煙の話に戻って。喫煙する喜多さんがタバコ臭いって。で、伊藤さんが「吉見さんのそばにいくとかれい臭が」「インドですからカレーの匂いでしょうか」って。爆笑です。 そして最後に「わたくしがギター、伊藤芳輝です」って。

 3曲目は曲名が聞き取れなかったんですけどカーラさんの曲っておっしゃったかな?ヴァイオリンが静かにゆったりとアヴァンギャルドな感じで。ベースは弓で、伊藤さんはギターの減を手で擦って。抒情的なメロディをヴァイオリンが奏でて。その後一転パワフルな展開になるも、再びゆったりとメロディアスなヴァイオリンソロが。続いてはギターソロ。寂しげで叙情的な雰囲気からはじまって徐々にハードにテクニカルに。続いてギターとヴァイオリンのリフをバックにメロディアスでテクニカルなベースソロが。そして再びヴァイオリンソロ。まずは弦を指で弾いて、そして弓でゆったりとした伸びやかな音色を響かせて。ラストはドラマティックに盛り上がったあとゆったりと静かにFin。

 続いて4曲目。哀愁ただようギターリフからはじまってワルツリズムでゆったりと。ヴァイオリンのメロウで美しい音色が響き、吉見さんがベルでより美しさを増幅させて。その後一転リズミカルでパワフルな展開になり、ヴァイオリンとギターのユニゾン、そしてヴァイオリンのアグレッシブなソロと続き、エネルギッシュなリフの応酬へ。その後タブラソロ。ギターとベースがユニゾンでリフを。喜多さんがエッジをギーギーと弾いて盛り上げます。吉見さんも激しく叩きまくって。この後ベースソロもあり、テクニカルで激しいリフの応酬が。それがスピードアップしていってエネルギッシュにめっちゃ激しく盛り上がってFin。

 「なんでここまでやんなきゃいけないの?」って。爆笑です。喜多さんのヴァイオリンの弓がささくれていっぱい毛が。「伊藤さんとやるとどうも毛が・・・」ってその毛をむしる喜多さん。
 1部最後の5曲目はテクニカルで早いパッセージのユニゾンからはじまり、アップテンポでリズミカルに展開していきます。ヴァイオリンが艶やかなメロディを、ギターが情熱的なメロを、そしてパワフルなリフが。その後ヴァイオリンのアグレッシブなソロ、ユニゾンでのテクニカルなリフと続き、アグレッシブなギターソロへ。ソロのあとはエネルギッシュな激しいリフが、それがもう見ていてギターが壊れちゃうんじゃないかってくらいにアグレッシブに弾きまくっていて。鬼気迫る感じっす。さらにはテクニカルなリフやフレーズをもパワフルに弾きまくってFin。

 曲が終わると大拍手大歓声!メンバーの皆さんは立ち上がって、そして伊藤さんがメンバー紹介を。「ありがとうございます」「タブラ、吉見征樹!」「ヴァイオリン、喜多直毅!」「ベース、鳥越啓介!」「ギター、伊藤芳輝でした」「では休憩してまたやります」って。時計を見ると21時すぎ。ここでしばし休憩です。廻りのお客さんも「凄い!」「想像を絶するね!」って皆さん圧倒されてました。
 休憩中メンバーの皆さんは親しいお客さまと談笑されたり、くつろいだり。喜多さんはチラシを配って廻って営業活動されてました。

 21時20分ころ、ステージに伊藤さんと鳥越さんのお二人が登場!「おまたせいたしました、それでは2セット目をはじめます」「最初は分けてやります」って伊藤さん。最初の曲はギターとベースのDUOです。まずはギターソロ。メロウでテクニカルにはじまって、それがパワフルになっていって。そしてベースがはいってアップテンポでリズミカルな感じに。その後テクニカルでパワフルなベースソロ、そして激しくパワフルなリフ、テクニカルなリフと続き、メロウなフレーズのあと再び激しいリフでFin。 曲が終わると大拍手!「ありがとうございます」「ベース、鳥越啓介!」って伊藤さん。

 次は伊藤さんと鳥越さんが一旦ステージを降りて、今度は吉見さんと喜多さんがステージに登場!「もうひとつのDUOを紹介します」「タブラ、吉見征樹!」「ヴァイオリン、喜多直毅!」って伊藤さんが紹介して。タブラとヴァイオリンのDUOって初めて拝見するかも?興味深いっす。「白熱のあとはゆるい感じで」って喜多さん。ここで喜多さん定額給付金と振り込めサギのお話を。すると吉見さんが「なんで私に言うんですか?」って。爆笑です。「そんな話をすると・・・なんか吉見さん・・・」って喜多さん。爆笑です。
 「えっとじゃあ我々は・・・」って喜多さん。すると「“我々は”って“地球を征服しにきた”って感じじゃないですか」って吉見さん、爆笑です。「“私達”とか“うちら”のほうが」って喜多さん。「うちら陽気な」って吉見さん。爆笑です。
 思いっきり笑わせてくれたあと、DUO演奏が始まります。まずはヴァイオリンソロ。アヴァンギャルド風からはじまって、リズミカルで明るく楽しい感じに。そしてタブラが入ってラテン系っぽい明るく楽しい感じで躍動感もあってノリノリっす。そしてヴァイオリンのアグレッシブなソロ、クラシカルなフレーズと続いて、タブラソロへ。ミドルテンポながら躍動感たっぷりに、そのまま叩きながらリズムを歌って。そしてテンポアップしてヴァイオリンがはいってパワフルなリフと爽やかなフレーズを奏でて。
 曲が終わると大拍手!「タブラ、吉見征樹!」「ヴァイオリン、喜多直毅!」って。

 ステージには再び4人が揃って。すっごい早弾き応酬の演奏に吉見さん「そんなにいっぱい弾くと1音当りの単価が安くなる」って。爆笑です。鳥越さんがちょっと早いフィルを弾くと「安っ!」って。
 次の8曲目は鳥越さんの作曲だそうです。まずはベースソロからはじまります。序盤は幽玄でテクニカルな感じで、徐々にパワフルにリズミカルになって、そしてバンドが入ってアップテンポのユニゾンをキメて。ヴァイオリンとギターのダイナミックなユニゾンリフのあと、アグレッシブなヴァイオリンソロ。再びユニゾンリフのあとパワフルなギターソロが。その後激しいリフの応酬、エネルギッシュなヴァイオリンソロと続いて、オールユニゾンでのめっちゃパワフルなリフでFin。
 曲が終わると大拍手!「ベース、鳥越啓介!」って伊藤さん。ちなみに「情熱の踊り」って曲名っておっしゃってたかな?

 9曲目はJAZZのスタンダードで“残りの人生どうすんの?”って意味の曲だそうで。メロウなギターリフとヴァイオリンのか細いゆったりとした音色からはじまって、そして優雅で美しいヴァイオリンの音色が響いて。抒情的な雰囲気が漂っています。その後テクニカルにパワフルになり、エモーショナルなギターソロへ。それがパワフルにエネルギッシュに。その後ちょっと落ち着いてベースの哀愁ただようメロウなソロへ。そしてそこにヴァイオリンが加わって艶やかな音色を響かせて。とっても美しくドラマティックな展開の曲です。ラストはゆったりと静かにFin。
 続いて10曲目はハイテンポの躍動感たっぷりの楽しいリズムの曲。パワフルでダイナミックでノリノリっす。まずはヴァイオリンのアグレッシブなソロ、続いてギターの軽快でテクニカルなソロ、さらに続いてタブラソロ、ベースソロが。そして短いソロバトルが繰り広げられ、めっちゃ楽しく盛り上がってFin。

 「夜もふけてまいりました」って伊藤さん。次が本編最後の曲だそうで。11曲目は喜多さんの曲で、伊藤さんのカウントからダイナミックなアップテンポのリフがはじまり、ヴァイオリンの雄大で伸びやかな音色が響き、そしてパワフルなリフがはいって、そのままヴァイオリンのアグレッシブなソロ、タブラのパワフルなソロへ。ラスト再びダイナミックでスリリングな激しいリフの応酬でめっちゃ盛り上がってFin。
 曲が終わると大拍手大歓声!メンバーの皆さんは立ち上がって、そして伊藤さんがメンバー紹介を。「タブラ、吉見征樹!」「ヴァイオリン、喜多直毅!」「ベース、鳥越啓介!」「ギター、伊藤芳輝でした、ありがとうございました」ってお辞儀して。もちろん大拍手はそのままアンコールを求める手拍子に。

 すぐに皆さんは座ってアンコール曲のスタンバイを。チューニングのあとはじまったオーラス12曲目はリズミカルで爽やかなギターリフからはじまって、ヴァイオリンのゆったりとしたロマンティックなフレーズが響いて。そしてアグレッシブなヴァイオリンソロ、メロウで優雅なギターソロと続きます。さらにベースのメロディアスなソロ、ヴァイオリンの美しいソロのあとだんだんと静かになってしっとりとFin。
 曲が終わると大拍手大歓声!「ありがとうございました!」って伊藤さん。時計を見ると22時40分近く。前半1時間、後半1時間20分の中身の濃いいライブでした。

 思った通り、いやそれ以上にド迫力の超早弾き&叩きまくりのエネルギッシュでめっちゃアツいすんごいライブでした。「すっげー!」って完全に圧倒されちゃいましたね。音数の多いこと多いこと。熱気が伝わってくる、思わず手に汗握るスリリングでパワフルなライブでしたね。もちろんそれだけでなく、遊びのフレーズも織り交ぜたり笑いもありのとっても楽しいライブでもありました。ときに激しくパワフルに、ときにメロウに美しく奏でられるギター・ヴァイオリン・ベース・タブラ。メンバーおのおののアツい最高の演奏をたっぷり堪能できた夜でした。

Love Live Life +1

2009-04-23 07:00:39 | 70's J-Rock
 <フード・ブレイン>でかっちょいいオルガンサウンドを聴かせてくれた<柳田ヒロさん>の参加されたアルバムをたどっていくうちに、ちょっとビックリするくらいの非常に興味深いアルバムを発見しました。(柳田ヒロさんのソロアルバムはまたの機会に紹介させていただこうかと。) それが1971年に発表されたこの写真の<LOVE LIVE LIFE + 1>というプロジェクトの「Love will make a better you」です。
当時、某Kレコード社では先鋭的なJAZZミュージシャンを紹介していく「ニュー・エモーショナル・シリーズ」という企画を進めていて、<LOVE LIVE LIFE>はその様々なセッションのなかで生まれたプロジェクトの1つであったようです。SAXの<市川宏祐さん>が中心となって、キーボードには前述の<柳田ヒロさん>、ギターには<水谷公生さん>、元シャープス&フラッツの<直居隆雄さん>、ベースには売れっ子セッションプレイヤーの<寺川正興さん>、ドラムはパプニングス・フォーの<チト河内さん>、フルート&SAXには<横田年昭さん>、そして残るはヴォーカリスですが・・・<LOVE LIVE LIFE + 1>の、その<+ 1>とは・・・
 当時すでに「霧の摩周湖」等、ヒット曲を連発し、紅白にも出演し、一流歌手の仲間入りをしていて大人気の<布施明さん>なんです。これにはビックリ!のちに大ヒットする永遠の名曲「シクラメンの香り」など、バラード系というかダンディな雰囲気で、ロックよりもむしろシャンソンのようなイメージを勝手に描いていたんです。でもあたらめて考えてみると布施さんのヴォーカルって表現力もさることながら声が太くて声量もありパワフルですからロックもハイレベルでこなせることでしょう。でもなぜすでにトップ歌手だった布施さんがこのプロジェクトに参加したのかは明確にはわからないそうです。ただ、当時、布施さんのバックバンドを同じレコード会社のこの<LOVE LIVE LIFE>のメンバーがやっていた、という縁での話とか、一説には当時のこういうロックを歌えるヴォーカリストが少なかった、だから<フードブレイン>はインストにした、という話もライナーノーツに書いてありました。ロックの歴史の浅い当時の日本ですからいたしかたないところでしょうか。
 早速聴いてみると・・・1曲目は17分にも及ぶ「The Question Mark」です。この曲の前半はリズムもメロディもコードも存在しない、メンバーが互いにけん制しあいながらフリーに弾き、叩き、吹き、といった前衛音楽です。後半にはベースとドラムがリズムを刻みはじめてそしてやっと待望のヴォーカルが!ところが、エフェクトかけすぎなのかめちゃハイでしかも音が割れていて誰だかわからない。しかも狂ったように叫びまくっていて、この曲ではヴォーカルがあの布施さんとは信じられなかったです。ヴォーカルのあとはリズムにのってギター・キーボード・ベース・木管のインプロビゼーションバトルが繰りひろげられてます。
 2曲目は3分強の「Runnin’ Free」です。映画音楽のような、ビッグバンドジャズのようなスケールの大きな感じで、ここでは布施さんと確認できる、聞き覚えのある布施さんのトーンでのヴォーカルがちょっぴり楽しめます。演奏のほうはトランペット・フルート等のホーンセクションが目立ってますね。間奏にちょこっとベースソロが。
 3曲目はアップテンポのハードロックのタイトル曲「Love Will Make a Better You」です。ファンキーなリズムにのったちょっとエフェクトのかかったシャウトヴォーカルも、ハードなファズギターも楽しめてかっちょいいっす。
 4曲目は8分強の「Shadows of the Wind」です。オペラチックなこの曲。序盤ではこれぞ布施明!って感じの太いディープヴォイスが印象的です。演奏は狂っているようで合っているようでといった不協和音的ですね。中盤にはアップテンポのハードロックが楽しめ、終盤で再びオペラ調になってエンディング。
 5曲目はヘヴィブルーズの「Facts About it All」です。ここで布施さんはこれまで聴いたことのないようなダーティヴォイスでヘヴィにシャウトしていて、それがまたすごいかっこいいのよね。
 オリジナルのアルバムはこれで終わりなんですけど、CD化されたときにボーナストラックとして1曲追加されています。それは71年の3月31日に日生劇場で行われた布施明さんのコンサートのライブ音源から「Love Will Make a Better You」が収録されています。バックメンバーはこの<LOVE LIVE LIFE>のメンバーだそうです。MCから収録されていてそれがいかにも、て感じのやりとりが。
布施「ここで「Love Will Make a Better You」という曲を歌います。この曲はコーラスから始まるんですけど・・・ごらんの通り、ステージにはコーラスのひとは居ません。なのでお客さん皆さまに手伝っていただかなくてはならないんです。いいですか?・・・では私が歌いますからあとについて歌ってください。はい!♪ラ~ラ~ラ~ ・・・
(お客さんの声が小さい。しかも笑い声が聞こえるし。)
布施「これはコーラスが出ないと曲が始まらないんです。この調子でいきますと一晩中かかってしまいます。もっと大きな声で歌ってください。2階のひとも見えてないと思っていては大きな間違いですよ。私はみんな見えるんですから!」
お客「うそぉ~!」
布施「うそって、なんですか?」
お客「だって近眼なんでしょ!」
布施「近眼っていうのは、あの・・・・・・実をいうと全然見えないんですけど・・・」(大爆笑!)
布施「でも見るというのは目だけじゃないんです、心で見ているんです!なぁ~んてキザなこと言ったりして。」(再び爆笑!)
布施「もう一度いってみたいと思います。♪ラ~ラ~ラ~、写真撮ってる場合じゃないよ!♪ララララ~、お母さんひとつよろしくお願いします!♪ラ~ラ~ラ~・・・」
ロックとはかけ離れた歌謡ショーの世界ですね。
でもバンドが入って演奏が始まるとそれはもう別世界!バリバリのハードロックが展開されます。なんといっても布施さんのヴォーカルが凄い!のちのジャパメタ系のヴォーカリスト以上にワイルドでパワフルなヴォーカルで、ハスキー気味のシャウトなんて凄い迫力!先ほどのお客さんとのゆるいやりとりが信じられないくらいです。演奏もめっちゃドライブしていてギターもベースもホーンセクションも超かっこいい!まさにあの時代のハードロックですね。凄いっす。
 このアルバムは90年にCD化されるまで、80年代には中古レコードに¥40000-.もの値がついていたそうです。海外ではブートも出回っていたとか。このCDは98年にあらためてマスタリングされて発売されたものだそうで、自分は2年前に某オクで定価の倍近い値で手に入れました。が、2009年にこのアルバムは紙ジャケ仕様で再発されました。早まったかなぁ・・・ま、しゃーないっす。

The M

2009-04-22 06:53:37 | 70's J-Rock
 以前、いつも会社の帰りに寄っていたCD店の棚にずっと気になっているCDがありました。<THE M>と書かれたCD。いったいどんなバンドorプロジェクトで、どんなサウンドなんだろうか?ってずっと不思議に思っていたんです。先日ふと某サイトを見てみるとこの<THE M>のアルバムが。でも詳しい説明はなくて、紹介者のコメントも「“凄い”バンドだった、って話を聞いたことがある」って。これは面白そうなので購入してみました。すると・・・
 <THE M>、詳しいことは全くわからないんですけど、1969年ころに結成されたようです。メンバーは流動的だったようで、1972年に発表されたアルバム<THE M>に参加されているのは・・・のちにミッキー吉野さん率いる<ゴダイゴ>に加入する<浅野孝巳さん(ギター・キーボード)>、THE M解散後<イエロー>を結成する<垂水孝道さん(ヴォーカル)><垂水良道さん(ベース・ヴォーカル)>の兄弟、そしてのちに<ファニー・カンパニー>に加入する<西哲也さん(ドラムス)>の4人です。<THE M>はよく新宿ACBでライブをやって人気を博していたそうですね。特に洋楽のコピー(CSN&Y、Free、Santana、Cream、Doors、そして、グレンキャンベル、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン等々)を多く演奏していて、「本家よりもいい!」って噂が流れていたとか。アルバム<THE M>にもカヴァー曲が多く収録されています。アルバム全8曲で最初の3曲「時は今ここに」「白い十字架」「愛の断層」がオリジナルで、どれもマイナーの哀愁漂うメロディで、特に「時は今ここに」はめちゃめちゃ劇的でドラマチックです。そしてカヴァー曲はスティーヴィー・ワンダー氏の「My Cherie Amour」、E.Forehand作曲の「Looking For A Home」、サンタナ氏の「Gypsy Queen」、キャロル・キングさんの「It’s Too Late」、最後はIan Mcdonald作曲の「Flight Of The Ibis」です。 孝道さんのヴォーカルは絶品ですね。よく通る中音域でややハスキー気味でかっちょいい!そしてまたコーラスがすっごい綺麗。インストもめっちゃ充実してますね。間奏が幾分長めで各楽器ギター・ドラム・ベース・キーボードのアンサンブルが素晴らしくすっごい楽しめます。ただ・・・このスタジオアルバムを聴く限りではとても洗練されていて上品な感じもして“素晴らしい”のですが“凄い”という形容までにはいたらなかったのよね。ですが・・・写真のライブ盤を聴いてぶっとびました。まさしく“凄い”の一言に尽きます。アルバム<THE M>も72年に発売されてから1度も再発されず、30年以上過ぎてから2002年にCD化して再発されたのですが、もっと凄いのがこのライブアルバム。メンバーが所有していた1972年に新宿で行われたライヴを収録した幻の音源を、スタジオアルバムの再発に伴って新たに発表!それがこのアルバム「1972, LIVE AT 新宿」です。全11曲のうち、オリジナル曲は最後11曲目の「時は今ここに」のみ。あと10曲は全てカヴァー曲です。このライブにはキーボードに<川崎雅文さん>が参加されています。
 1曲目は「Southern man / CSN&Y」。ミドルテンポのダークなギターリフからはじまってパワフルなドラムがはいってそして哀愁ただようコーラスが。間奏ではアップテンポのリズムをバックにエモーショナルなギターソロが。バックではベースがうねってます。終盤ではめっちゃパワフルに盛り上がって。すごい迫力のある演奏ですね。圧倒されちゃいます。
 2曲目は「Evil Ways / サンタナ」。ミドルテンポのファンキーなリズムではじまる楽しい雰囲気の曲。コーラスもキマってますね。オルガンソロもいいムードを醸し出してます。続いてはギターソロ。ムーディな感じではじまって徐々にパワフルに盛り上がっていって。
 3曲目は「Tighten Up / アーチー・ベル&ザ・ドレルズ」。パワフルなドラムからはじまるアップテンポのファンキーで華やかな感じの楽しい曲。序盤・中盤に短いドラムソロやベースソロも。めっちゃノリノリっすね。一旦Finしたあと「Here I go again!」って再びはじまって。
 4曲目は「Light My Fire / The Doors」。ミドルテンポのメロディアスなリフからはじまるポップ調の曲。1ヴァースのあとまずはかっくいいオルガンソロ、続いてはギターソロ。アヴァンギャルドな感じからはじまって徐々にパワフルにアグレッシブに。終盤めっちゃ叩きまくりのドラムも凄いっす。
 5曲目は「Ohio / CSN&Y」。ヘヴィなギターリフから力強くはじまるミドルテンポのブルージーな曲。ヴァースでは哀愁を感じるコーラスをキメて、ラストはパワフルにFin。
 6曲目は「My Cherie Amour / Stevie Wonder」。ドラムからはじまるミドルテンポの爽やかなポップス。トロピカルな雰囲気もありますが、ヴォーカル、かっくいいっすね。コーラスもきれいにキマってます。
 7曲目は「Stand By me~My Girl~Have Marcy」。まずはベースがあのリフを。そしてかっくいいヴォーカルがはいって。ファルセットもキマってますね。メロディアスで楽しいポップスメドレーです。
 8曲目は「You’re No Stranger / エリック・バードン&ウォー」。幽玄な感じで静かにはじまるミドルテンポのメロディアスな曲。2分ちょいと短いんですけどムーディで心地よい曲ですね。
 9曲目は「Groovin’ / ラスカルズ」。ミドルテンポの落ち着いた感じのソウルフルな曲。コーラスもきれいにムーディにキマってますね。
 10曲目は「Unchained Melody」。言わずと知れた美しいバラード。ムードたっぷりで素敵です。終盤ではファルセットもキマって盛り上がります。
 11曲目は「時は今ここに」。ゆったりと美しいフレーズがながれ、ムードたっぷりの甘いヴォーカルがはいって。サビは力強く歌い上げて盛り上がります。間奏ではヘヴィでブルージーなギターソロが。そして徐々にパワフルにアグレッシブになり、テンポもアップしてノリノリ状態に。その後再びスローテンポになってサビへ。そして元の静かでゆったりとした美しいながれになり、それがまた徐々に盛り上がっていって。とってもドラマティックな曲ですね。
 スマートに聴こえるスタジオ盤とは打って変わって、ライブでは元曲はポップな曲が多いのに、前半はめちゃめちゃロックしてます。そしてすっごいドライブ感が伝わってきます。聴いていると白熱する演奏に思わずひきこまれちゃいますね。あのゴダイゴの浅野さんのこんなにロックしてるギターって初めて聴いたし、ドラムもすっごい迫力だし、ベースもブンブンいわしてます。まさにあの頃のハードロックですね。インスト部でギターがメロディを弾いて、キーボードがバッキングを、そしてベースが裏メロを弾いたりするとことかはゾクゾクしちゃいます。もちろんヴォーカルもめちゃかっちょいいっす。後半は一転ソウルフルでムーディに聴かせてくれます。
 <THE M>のその後のことはわかりませんが、数年後には浅野さんはゴダイゴに、垂水兄弟はイエローを結成、西さんはファニー・カンパニーへとバラバラになってしまうんですね。それにしても・・・70年代初期の日本ロック界ってほんと凄いバンドがいくつもあったんですね。いまさらながらに驚いています。

ブルース・クリエイションwithマキ

2009-04-20 21:00:44 | 70's J-Rock
 <Blues Creation>は、1971年8月25日にアルバム「悪魔と11人の子供たち」を発表しましたが、この日にもう1枚のアルバムを発表しています。それがヴォーカルに<カルメン・マキさん>を迎えて制作されたアルバム「CARMEN MAKI BULES CREATION」です。暗い背景にブレた感じが妖しさを醸し出していますね。
 カルメン・マキさんは、高校卒業後に寺山修司さんが主宰する劇団「天井桟敷」に入団し、66年9月に初舞台を踏まれ、活躍していかれます。演技もさることながらその類まれなる歌唱力に音楽出版社のディレクターが眼をつけ、69年2月に「時には母のない子のように」でレコードデビューされます。それがオリコン2位まであがる大ヒットを記録し、続く2作目の「山羊にひかれて」もヒット。大晦日の紅白歌合戦にも出場されます。センセーショナルなデビューでしたが、そんな“人気アイドル”の生活に疑問を抱くようになり、たまたま聴いたジャニス・ジョップリンさんの曲に感銘を受け、スター生活を捨ててロック歌手としての道を歩みはじめたそうです。
 70年に<タイムマシーン>というバンドを結成されますが、翌71年に解散。そんなときに<Blues Creation>と出会ったそうです。そして意気投合して「悪魔と11人の子供たち」と同時進行でこのアルバムを制作されたとか。
 アルバム1曲目は「Understand」。いきなりパワフルなリフからアップテンポではじまります。そしてマキさんのパンチの効いたパワフルなボーカルがはいって。間奏ではテンポダウンしてブルージーなギターソロ、そして元のアップテンポに戻ってワウの効いたハードなギターソロが。明るく爽やかでパワフルな曲ですね。ちょっぴりファンキーな感も。
 2曲目は「And You」。アコギのメロディアスなリフからゆったりとはじまるおだやかな心地よいポップス。マキさんのソフトで可愛らしく綺麗なヴォーカルが楽しめます。サビでは情感たっぷりに歌い上げて。
 3曲目は「Lord, I Can’t Be Going No More」。マキさんのブルージーなヴォーカルからゆったりとはじまって、そしてパワフルなサウンドに。スローテンポのヘヴィブルーズですね。マキさんの伸びやかでソウルフルなヴォーカルと、竹田さんの泣きのギターが満喫できます。
 4曲目は「空しい心/Empty Heart」。ゆったりとした壮大なスケールで展開されるカントリー風ブルーズ。ヴァースではマキさんのソフトかつハードな情感たっぷりの素晴らしいヴォーカルが堪能できます。間奏では伸びやかでブルージーなギターソロが。終盤のヴァースでは歌詞を一部ナレーション風に。8分を超えるドラマティックな大作です。
 5曲目は「母のない子/Motherless Child」。ヘヴィなリフからダイナミックにはじまり、重いベースリフからミドルテンポのヘヴィロック調に。そしてテンポアップしてハードなギターソロが。その後一転バンドが止まって、マキさんがアカペラで情感たっぷりにヴァースを歌って。そしてアップテンポのハードなリフ&ギターソロ、2ヴァースではアップテンポのままパワフルなヴォーカルが。間奏ではアグレッシブなギターソロも。
 6曲目は「今日を生きられない/I Can’t Live For Today」。パワフルなドラムからはじまるスローテンポのヘヴィブルーズ。力強いヴォーカル、エモーショナルなギターソロがたっぷりと。
 7曲目は「Mean Old Boogie」。シャッフルリズムのミドルテンポのファンキーな感じもする、思わず手拍子したくなっちゃうくらいのとっても楽しいブギー。間奏ではリズムチェンジしてアップテンポのアグレッシブなギターソロが。そしてヴァースに戻るとノリのいいブギーに。ラストはテンポダウンしてかっこよくキメてFin。
 8曲目は「セントジェイムズ病院/St, James Infirmary」。ゆったりとしたソウルフルなヴォーカルソロからはじまり、スローテンポでパワフルなブルーズを聴かせてくれます。サビではハイトーンシャウトもキメて。間奏ではシブいブルージーなギターソロをたっぷりと。そしてラストは強烈に歌い上げてFin。 
 現在でも表現力豊かな素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれるマキさんですが、この頃からもうその片鱗がうかがえますね。ソフトにハードに感情豊かな素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれてます。もちろんバンドBlues Creationのほうもこのアルバムでもハイレベルな凄い演奏を聴かせてくれてます。
 この後、マキさんは自らのバンド<カルメン・マキ&OZ>を結成されます。そちらはまたいずれ・・・

ブルース・クリエイション 悪魔と~

2009-04-19 17:49:43 | 70's J-Rock
 自分はこのバンドのことを数年前まで全く知りませんでした。以前自分が開設していたHPのBBSで友人が紹介してくれて初めて知ったわけでして。
 <Blues Creation>は、GSのジャガーズの弟分のバンド<ビッキーズ>の布谷さん・野地さん、そして当時16歳にして“クラプトン”ばりのギターサウンドを鳴らしていた<竹田和夫さん>が中心となって、ビッキーズ解散後の1969年に結成されたバンドです。この年の6月にはデビューアルバムを発表。通の間では“日本初のブルーズ・ロック・アルバム”として評価が高かったそうです。その後メンバーチェンジが何度もあり、70年の夏ごろに竹田さんの他、ヴォーカルに<大沢博美さん>、ベースに<佐伯正志さん>、そしてドラムに<樋口晶行さん>の4人に固定され、そのサウンドもブルーズよりもブリティッシュ・ハードロック色が強くなっていったそうです。そして71年8月にこのアルバム「悪魔と11人の子供たち」が発表されます。
 アルバム1曲目は「原爆落し/Atomic Bombs Away」。いきなり爆弾の炸裂音から衝撃的にはじまり、そしてミドルテンポのダークでヘヴィなギターリフが。ヴォーカルの合いの手のようにはいるギターフィル、めっちゃかっくいいっす。中盤ではテンポアップしてエネルギッシュなギターソロが。
 2曲目は「Mississippi Mountain Blues」。ブルースハープからゆったりとはじまり、そしてアップテンポのブギー調のリフが。ヨコノリのかっくいい曲。間奏ではアコギのソロ・ブルースハープのソロ、そしてエレキのかっくいいソロがリズムにのってドライブ感たっぷりに聴かせてくれます。ノリノリすね。ラストにはドラムソロも。
 3曲目は「Just I Was Born」。アップテンポのダイナミックでパワフルなリフからはじまり、いきなりアグレッシブなギターソロが。すっげーかっくいいっす。そしてテンポダウンしてヘヴィロック調に。間奏で再びアップテンポに戻ってめっちゃパワフルなリズム隊をバックにエネルギッシュなギターソロが。ヴァースのあとの終盤ではバックなしのかっくいい完全ギターソロを聴かせてくれます。
 4曲目は「悲しみ/Sorrow」。パワフルで躍動感あふれるスリリングなリフからはじまって、そしてベースソロのあとミドルテンポのパワーブルーズ調になって泣きのギターを聴かせてくれて。そしてアコギのリフをバックに素朴な感じのヴォーカルが。メロディアスなバラードですね。間奏ではパワフルなベースラインをバックに再び泣きのギターソロが。感動モノですね。
 5曲目は「One Summer Day」。大雨のような音からメロディアスなギターフレーズが静かにゆったりとながれて。そしてヴォーカルがか細い感じで寂しげに歌って。短い抒情的な曲です。
 6曲目は「脳天杭打ち/Brain Buster」。いきなりノリノリのパワフルなJamからフェードインしてきて、そしてアグレッシブなギターソロが。中盤からはアップテンポのパワフルなハードロックインストに。
 7曲目は「Sooner or Later」。いきなりド迫力のパワフルなドラムからダイナミックにはじまるスケールの大きなヘヴィロック。中盤ではメロウに、そして間奏のギターソロでは再びヘヴィにハードに。バックのベースもブンブンうねって凄いサウンドです。終盤ではワウを効かせたギターソロも。めっちゃかっくいいっす。
 8曲目は「悪魔と11人の子供達/Demon & Eleven Children」。いきなり雷鳴が轟き、そしてダークでヘヴィなギターリフが。もろにSabbathですね。そしてテンポアップして躍動感のあるリフのノリのいいヴァースへ。そしてスローテンポになってヘヴィなリフがはいってダークな感じに。その後リズミカルなギターリフとともにアップテンポのヴァースに。それが再びミドルテンポのヘヴィロック調になって。どんどんリズムや曲調を変えて展開していきます。中盤ではミドルテンポでエモーショナルなギターソロが。それがテンポアップしてシャッフルビートのノリノリのハードなソロに。白熱のギターソロがダブルトラックで楽しめます。ラストには吹き荒れる嵐の効果音が。 
 世界でもZEPやDPやサバスなどハードロック全盛のこの時代に、日本にもこれほどのヘヴィロックサウンドを出すバンドがあったなんてほんと驚きっす。ギター・ベース・ドラムはもう世界レベルですね。特に竹田さんのギターはもう凄すぎ!
 アルバム発表前に「第3回全日本フォークジャンボリー」というイベントにも出演し、白熱のライブを繰りひろげ、のちにそのときの音源がライブアルバムとして発表されます。FTBとともに”英語ロック“のさきがけとして活躍されたわけですが、残念ながら72年初めに解散。そして、この年の9月にはメンバーチェンジして、新たに<Creation>として活躍されます。

 そして2008年。その<Blues Creation>が今回、72年以来の36年ぶりに「悪魔と11人の子供たち」のメンバーが勢ぞろいし、しかも実に38年ぶりとなる日比谷野音のステージで最初で最後の復活ライブを行います。それはもう凄いライブでした。おもいっきり歪んだぶっといヘヴィロックサウンド、めっちゃかっこよかったし、聴けて嬉しかった! 樋口さんのドラムサウンドもすっごいヌケの良い音で、アクセントも効いていて歯切れも良くて最高でした。もちろん佐伯さんのベースも素晴らしかったっす。そして大沢さん。当時は“カタカナ英語”なんて批判もあったみたいですけど、現在カナダ在住の大沢さんですから、もう逆に日本語の発音のほうが変なくらいだったりして。そしてなにより、アルバムで聴くよりも声が太くて迫力もあってビックリ!普通は年齢とともに衰えるヴォーカリストが多いのに・・・ちょっと感動。これが“最初で最後”なんてもったいないっす。

09.4.15 DP&YM (DEEP PURPLE)

2009-04-17 00:10:42 | ライブレポ HR/HM
◇ 2009.4.15 東京国際フォーラムA
<DEEP PURPLE & Yngwie Malmsteen カップリングツアー最終日>
 8日の東京を皮切りに名古屋・広島・金沢・大阪と、満員にはならなかったものの、各地で盛況だったDP&YMカップリング日本ツアー。今日がツアー最終の東京です。これまでに期待されていたジョイント演奏は全くなく、それを期待していたファンから失望や怒りの書き込みがいろいろなサイトで見受けられましたね。まあプロモーターサイトには“ジョイント演奏する”とは書かれていない以上は訴訟問題(?)にはならないでしょうけど。でも一部では“3部構成”と書かれたサイトもあったようで。でもまあ追求したところで“言った言わない”の論争で終わってしまうことでしょう。ちなみにそのサイトではこの日の前に“ジョイントはない”みたいなことも書かれていたとか。まったくねぇ・・・
 ところが全く別の情報が某サイトに書かれていました。それは13日に韓国で公演をする<Jon Lordさま>がその帰りに日本に寄るという噂。2002年にその座をDonさんに譲ったDP創始者のひとりであるJon様。2001年のコンチェルトツアー以来、来日はしてないと思いますから、もしその噂が本当ならば8年ぶりにその勇姿を見られる、あのハモンドサウンドを聴けるのではないかと。最終日のサプライズをダメモトでひそかに期待していました。はてさて、Jonさまは登場するか、YngwieさんがDPのライブに登場するか・・・

 さて当日。残念ながら仕事が長引いてしまって19時の開演には到底間に合わず。会社を出れたのが19時だもんね。それから急いで有楽町へ向かって、会場に着いたのは20時。Yngwieさんのライブの最後2曲くらいは観れるかな?なんて。そして扉を開けると聞き覚えのある曲が。なんとALCATRAZZの「Hiroshima mon amour」。この曲めっちゃ聴きたかったっす。そしてRipperさんが本家Grahamさんを上回るような超ハイパワーのハイトーンシャウトで歌っていてこれまたビックリ!いやほんとRipperさん凄すぎっす。この曲最初から聴きたかったなぁ~。せめてあと3分早く会場に着いていたら・・・ま、しゃーないっす。最後は「Rising force」。この曲も大好きなので聴けて嬉しいっす。曲が終わるとYngwieさんは「Thank you Tokyo!」って叫んだあと、ギターを替えて、そしてハイテンポのバンドジャムとRipperさんのハイトーン絶叫シャウトをバックに狂乱のギタークラッシュ!何度も上へ放り投げて落として、そしてモニターにこすりつけたあと、モニターの角にギターをぶつけて破壊ショー!バラバラになったギターは客席へ放り投げて。近くのお客さんは奪い合いです。
 演奏が終わると大拍手大歓声のなかメンバーの皆さんはステージ前に並んで肩を組んで何度も何度もお辞儀を。そしてYngwieさん「See you later!」って言って手を振りながらステージ袖へ。すると客席が明るくなって第1部終了。時計を見ると20時10分です。

 ステージ上はローディの方々があわただしくYngwieさんのセットを片付けて、そしてDPのセットがあらわに。左からベースアンプ4台、ドラムセット、キーボードセット、ENGL2段積ギターアンプ4列です。今日の自分の席は1階席中央やや前の左端です。ステージから25-30mくらいかな。まあまあでしょうか。1階席はほぼ満員。空席は見当たらなかったかも。2階席は見えないのでわからないっす。そうそう、サウンドチェックでは今回はちゃんとオルガンの音が出てました。今日はたっぷりハモンドの音色を楽しめそうです。それとドラムセットではドラムテックの方がメジャーでハイハットのシンバルの高さをチェックしてました。シビアなんですねぇ。ちょっとビックリ。

 開演が近くなると、オールディーズのJAZZっぽい曲が音量大きめでながれて。そして客席の照明が徐々に暗くなって・・・メンバー登場!そして♪ジャーン!ってバンドイントロをかまして。大拍手大歓声!この時点で1階席前方はほぼ総立ち。そしてペイシーさんがスネアでアップテンポの軽快なリズムを。1曲目は「Highway Star」。お客さんノリは悪いけどまあそれなりに。ギランさん、高いとこは歌えてないけどまあそれなりに。なによりも今回はハモンド全開!ソロもかっこよくキメて。やっぱ昔の曲はハモンドサウンドがないとね。そしてギターソロへ。今日もギターの音が小さいっすね。ギターソロのメロディに合わせてギランさん、スクリーム&シャウトを。今日はギランさん、調子良さそうです。最後のサビではSteveさんとRogerさんが曲に合わせてアクションをキメて。

 続いて2曲目は「Things I never said」。アップテンポの軽快な楽しいノリノリの曲。ギランさん、最初ドラムセットの前で歌って、サビはRogerさんと一緒に。間奏はギターソロ・キーボードソロと続いて、最後のサビではRogerさん・ギランさん・Steveさんが3人並んで。とっても楽しそうです。
 さらに続いて3曲目は「Into the fire」。ステージが赤の照明に包まれて。ミドルテンポのヘヴィサウンドが場内に響きわたって。ギランさん、サビではめっちゃパワフルにシャウトをキメて。久々に凄みを感じましたね。
 さらに続いて4曲目は「Strange kind of woman」。間奏のギターソロのあとのオルガンソロもめっちゃパワフルでかっこよかったっす。ソロの間、ギランさんはドラムセットのシンバルをイヂったりしてペイシーさんにちょっかいだしてます。そしてラストではギランさんのスクリームをSteveさんがギターで弾いての掛け合いを。

 曲が終わると大拍手大歓声!「Sparb!アリガト、Thank you very much!」って。そしてMCをちょこっと。「Last night」とか「Fantastick」とかおっしゃってたかな?そして5曲目は「Rapture of the deep」。キーボードの妖しげなイントロからはじまるミドルテンポの曲。間奏はギターソロ・オルガンソロと続いて。ギランさんは手を合わせてペイシーさんを拝んで。それを見たペイシーさんはわざとソッポ向いて。ギランさん、今日はかなりハイですねぇ。曲が終わると拍手に応えてギランさん「Fantastick!」「sparb!」「Thank you!」って。
 そして6曲目はキラキラしたキーボードサウンドからはじまった「Mary long」。第2期最後のアルバム「Who do we think we are」からのアップテンポのポップな曲。間奏のギターソロは静かにメロウにはじまって徐々にパワフルに。ギランさん今度はペイシーさんに向かって敬礼ポーズを。今度はペイシーさんそれに気づかず。そして曲終盤はゆったりとしたロマンティック風の曲調に。ギランさん、ロングトーンが冴えてます。

 曲が終わるとギランさん、ちょこっとMC。そして「Steve Morse!」って。ここからSteveさんのショータイム。7曲目は「Contact lost」。ゆったりとした静かでメロディアスなインスト。Steveさんの繊細で美しいギターサウンドが堪能できます。ただその静かな音色を聴き入っているときに拍手してるバカ客が居たのは残念。
 続いて8曲目は「Sometimes I Feel Like Screaming」。ゆったりとした美しいバラードソング。Steve期の名曲ですね。サビではRogerさんとSteveさんがギランさんと一緒に寄り添って歌って。
 そして一転アップテンポでめっちゃテクニカルなインスト曲「Well dressed guiter」へ。Steveさんめっちゃ弾きまくり!ギランさん、そっとSteveさんの背後に忍び寄って、そして大きく手を上げてお客さんに手拍子を促して。

 曲が終わると大拍手大歓声!「Steve morse!」ってギランさん。続いて10曲目は「Wring that neck」。アップテンポのジャジーなインスト曲。ギランさんはマウスハープで参戦です。まずはアグレッシブなオルガンソロ、続いてギターソロ、そしてオルガンとギターの掛け合いが。そしてSteveさんもRogerさんもオルガンの前に集まって弾きまくって。曲が終わるとギランさんはDonさんと握手して、Steveさんとハグして。
 続いて11曲目は「The battle rages on」。ミドルテンポのずっしりと重い曲。ギランさん、今日はしっかり歌えてますねぇ。けっこう迫力あります。ハイトーンシャウトもキメて。ふと横のスタッフスペースをみるとRipperさんらしきおっきいボウス頭のガイジンさんが居たような?まあそれはともかくもダイナミックな曲でしたね。

 曲が終わると大拍手で盛り上がっているなか、ギランさんは口に指を当てて「シー!」って静まるように合図して小声で「Don Airey」って。ここからDonさんのソロです。まずはブラスサウンドでダイナミックに、続いてはピアノでパワフルなソロを。そして美しいメロディを奏でたあと軽やかに「トルコ行進曲」を弾いて。ここで手拍子するお客さんが結構いましたね。嬉しいなぁ。続いてはいつもの「上を向いて歩こう」を。曲が終わると大拍手大歓声!Donさんはお辞儀して応えて。そして今度はヘリコプターの音や宇宙戦闘シーンの音を轟かせて。その音が徐々に小さくなっていくと照明も暗くなってDonさんもキーボードの影に隠れて真っ暗に。

 すると間髪入れずにハモンドオルガンの強烈なビッグサウンドが響いてオルガンにスポットが。オルガンを弾いているのは真っ白な長髪を後ろに束ねた黒服の巨体の人物。一瞬目を疑いましたがまぎれもなくかのDP創始者であるJon Lord様が!いやもうマジビックリ!まさかほんとに日本に来てくれるとは・・・涙がでそうなくらい超感激っす!まるで水戸黄門の印籠シーンのような、思わずハハァ~ってひれ伏してしまいそうな威光っす。御老公様の登場に場内も「おぉ~!」ってどよめいて大歓声!もちろん自分も「じょぉ~ん!」って叫んじゃいました。12曲目は「Perfect strangers」。Jon様、アクションもキまってすっげーかっくいいっす。ダイナミックなオルガンサウンド&ソロに酔いしれてしまいました。
曲が終わると大拍手大歓声!SteveさんはJonさまに最敬礼。ギランさんはJonさまとハグして。そしてJonさまはDonさんと交代です。

 その余韻のなか、ペイシーさんがハイハットで軽快なリズムを刻んで。はじまった13曲目は「Space truckin’」。ギランさん、一番高いところはごまかしながらもパワフルにシャウトしてます。ヴァースがおわるとSteveさんはドラムセットの前まで行って。そして戻ろうと振り返ったところでおもいっきりコケちゃいましたね。その衝撃でギターの音が出なくなってあわててアンプのほうへ。エンジニアの人たちが集まって原因を調べて。ギランさんも心配して見にいって次の曲用に用意されたアンプを押しのけて。そのアンプをよく見るとなんとマーシャル3段積。それってひょっとして・・・

 ギター音ナシのままド迫力のダイナミックなドラムのあとSpace truckin’は終了。ようやくSteveさんのギター復活!そしてSteveさんはゆったりと静かなフレーズを弾いて。それがYngwieさんのFar beyond the sunに。そこにキーボードとドラムがはいって。ステージ袖にはマーシャル3段積アンプがセットされて・・・そしてここでついに!ストラトを抱えた長髪黒服のギタリストが登場!最後にDPとYngwieさんの競演が実現しました!お客さんは狂喜乱舞!超盛り上がり!拍手喝采大歓声!みんなおそらくあきらめていたことでしょうからこれはほんとビッグサプライズです。
 まずはSteveさんとYngwieさんのソロバトル、そして掛け合い。Steveさんはしきりにステージ袖のエンジニアにむかって「上げろ!」ポーズを。たしかにSteveさんのギターの音が小さいっす。ギターバトルはYngwieさんの弾いたフレーズをSteveさんがなぞって。Yngwieさんが早弾きするとSteveさんは「えぇ~、そんなの弾けないよぉ!」みたいにおどけたポーズを。でもしっかり弾きこなしてしまうSteveさんです。キーボードセットを見るとJonさまが再びオルガンの前に。その横にはDonさんも。そしてSteveさんがあの超有名なリフを。本編ラスト14曲目は「Smoke on the water」。ツインギター・ツインキーボードの演奏はすっごいぶ厚いサウンドで迫力満点!ペイシーさんもそれに負けずにパワフルに叩いて。凄いっす。その音圧・迫力に思わずのけぞってしまいそうです。客席はもちろんお祭りさわぎで盛り上がって、サビも大合唱!
 間奏ではSteveさんが「どーぞどーぞ!」ってポーズでYngwieさんにしょっぱなを譲って。するとYngwieさん、あのアルバム「Machine Head」バージョンの最初の数小節に近いメロを弾いて。これまたビックリです。無論そのあとすぐに弾きまくりソロを。続いてSteveさんのソロですが音が小さくて聴こえないっす。ちと残念。ラストのサビのあとは一旦演奏が止まってお客さんの大合唱。そしてバンドインしてJonさんのオルガンソロが。

 曲が終わると大拍手大歓声!「Thank you!very nice!」ってギランさん。YngwieさんもDPメンバーの皆さんもステージ前にきてピックを投げたりタッチしたり。そして歓声に応えて手を振りながらステージ袖へ・・・もちろん場内はアンコールを求める手拍子が鳴り響いています。
 すると程なくステージが明るくなってメンバーが再びステージに。大拍手大歓声で迎えられます。ペイシーさんがステージ中央に着て深々とお辞儀を。そしてDonさんが「Green orion」を弾きはじめて、バンドもそれに加わって。それが止まると今度はDonさんがリズミカルな跳ねるようなリフを。15曲目はDP最初のヒット曲「Hush」。このヨコノリのリズム、いいですねぇ。間奏まずはオルガンソロ、続いてド迫力のドラムソロへ。パワフルに叩きまくったあと、ペイシーさん、右手を上げてそして左手だけでスネアを。あの技“ワンハンドロール”を披露してくれました。やっぱ凄いっすね。お客さん大拍手大歓声です。

 曲が終わるとペイシーさん、間髪入れずにシャッフルビートを刻みはじめて。そしてベースソロへ。Rogerさんがあの曲のリフを弾くと、お客さん反応して歌いはじめて。そしてはじまったオーラス16曲目は「Black night」。めっちゃノリノリっす。ギターソロもオルガンソロもかっこよくて。そして終盤のギターソロではSteveさんの弾くフレーズをお客さんが歌って。みなさん結構声だしてましたね。盛り上がってましたねぇ。
 曲が終わると大拍手大歓声!ギランさんはアカペラでひとしきり何かを歌って。メンバーの皆さんはステージ前にきて、Donさんは客席にタオルを投げて、ペイシーさんはスティックを投げて、SteveさんとRogerさんはピックを投げて。そして大歓声のなか手を振りながらステージ袖へ消えていって・・・すると程なく客席が明るくなってコンサート終了。時計をみると22時20分過ぎでした。

 Yngwieさんのほうは最後の2曲しか聴けなかったんですけど、Hiroshima mon amourが扉を開けたらちょうど演奏しててビックリ!間に合ってよかったっす。Ripperさんのヴォーカル、凄すぎ!本家Grahamさんを上回るくらいのハイパワーハイトーンは鳥肌モノでしたね。そしてラストのYngwieさんのギタークラッシュショーも凄かったっす。
 そしてDPは・・・ギランさん、5日よりも声が出ていて結構パワフルでしたね。Ripperさんに負けじと元祖ハイパワーシャウターの面目を保ってたかも。Donさんも今回はハモンド全開で弾きまくって。そしてそのDonさんのキーボードソロのあとのビッグサプライズ。Perfect Strangersで、オルガンの前にはDonさんではなく、Jon Lord様が!ほんと超感激っす!涙出そうになっちゃいました。パワフルなオルガンサウンド健在でした。
 そしてその後さらなるビッグサプライズ!Smoke on the waterでついにYngwieさん登場!最後の最後で共演が実現。嬉しかったっすね。 ただ・・・Steveさんが快くYngwieさんを迎えてたにも係わらず、他のメンバーは誰もYngwieさんと目もあわせようともせず、曲が終わってもだれもYngwieさんをねぎらうこともなく、ギランさんもYngwieさんの名前を呼ぶこともなく。喜んでたのはお客さんだけ。あの態度はちょっとあんまりだったんじゃないかな。Yngwieさんは自身のライブとは打って変わって極めて謙虚な態度でリスペクトの姿勢を感じたし。結局Steveさんがうまく間をとりもってくれたからこそ実現したのかな。SteveさんもYngwieさんにけっこう気を遣っていましたね。いっしょに歯で弾いたりもしたり。このサプライズ競演はSteveさんに感謝したいっす。
 まあでもJon様の登場・Yngwieさんと競演と感激いっぱいの最高のライブでした。夜は興奮してなかなか眠れなかったっす。