ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

新月 1

2008-06-30 06:57:33 | 新月・Asturias系
 これまでも70年代の優れたバンドや、日本独自の和音階や情緒を取り入れたバンドをいくつか紹介させていただきましたが、今回もそのなかのひとつ、<新月>というバンドを紹介させていただきます。(新月サイトを参考にさせていただきました。)
 バンドの中心人物である、ギタリスト<花本彰さん>。花本さんは、小学生の高学年くらいからギターを始めたそうです。そして作曲も行うようになり、高校時代には所属していたブラスバンドでバッハの曲にドラムを入れてポピュラーっぽくしたりと、アレンジの才能にも目覚め、音楽の本質を見抜く力を養われていったとか。そしてギターも毎日練習していたそうで、市でも凄腕ギタリストとして名を馳せていたそうです。その頃からブルーズが苦手で、メロディの綺麗なポップスのほうがお好きだったとか。で、自分の進路を音楽に決め、音楽大学に入学したそうです。
 ちょうどその頃はプログレ全盛期だったようで、花本さんは<YES>のコーラスの美しさやオーケストラアレンジが琴線にふれたそうです。そして友人と<OUT OF CONTROL>というバンドを組んでオリジナル曲を作ったり、フォーカスのコピーをやっていたとか。で、初ライブをやったのちに、楽器店に“ヴォーカル募集”のはり紙をしたとか。それを見て花本さんにTELしたのが、ヴォーカリスト<北山真さん>だったそうです。北山さんの繊細な歌詞と素晴らしい声に満足されたようで、そこから北山さんと作曲活動を始めたそうです。
 その後いろいろとあったようで、花本さんは生活拠点を福生に移して、北山さんと新たに<セレナーデ>というバンドを組んだそうです。ベースには<鈴木清生さん>が。<セレナーデ>は2年ほど続いたそうなのですが、ライブはたった3回だったとか。ほとんど作曲活動にいそしんでおられたようで。なので後の代表曲もこの時期に作られたものも多いようです。
 ある日<OUT OF CONTROL>のときの友人が、とあるカセットテープをくれたそうです。それにはギタリストの<津田治彦さん>と、ドラマー<高橋直哉さん>が参加されている、<HAL>というバンドの演奏がおさめられていたそうです。その高度なテクと曲の独創性に花本さんはビックリされたとか。ちなみに<HAL>のほうにも<セレナーデ>の音源が渡っていたそうです。そしてあるイベントで<セレナーデ>と<HAL>が一緒になり、目の前で<HAL>の演奏を見て、花本さんは決心。<セレナーデ>を辞めて<HAL>の津田さんと高橋さんと新たなバンドを組むことになったそうです。ニューバンドは3人でスタートしたものの、ベースとヴォーカルがなかなか決まらずにいたそうで。そして新しいバンドの名前が<新月>に決まったころに、ベーシストが鈴木さんに決まったとか。ヴォーカルは面白いパフォーマンスをする人や、オペラ歌手のような歌い方の女性とか様々な候補がいたしたようですが、最終的には北山さんに決まったそうです。それまでの曲を来北山さんが歌った瞬間に新たな世界が広がったようで、このバンドは“イケる!”と確信されたようです。 1978年ころからライブ活動も本格的にはじまり、よく平山進さん率いるマンドレイクと一緒になったそうです。<新月>は、日本の情緒たっぷりのアコースティックでフォークっぽい歌詞やメロディ、そしてジェネシスを彷彿させるユーロプログレのシンフォニックサウンドで聴衆を圧倒。しかも演劇を学んでいたという北山さんの魅惑のヴォーカル&パフォーマンスもあって人気を博したそうです。
 1979年、ついにアルバム「新月」が発表されます。満を持して登場のこのアルバム、1曲目は「鬼」。電子音とアコースティックなサウンドから静かにしっとりと始まり、そしてパワフルにバンドイン。ヴァースは再びしっとりと。北山さんの繊細で美しいヴォーカルがアコースティックギターのリフにのって。そして徐々に盛り上がっていきます。中盤では変拍子リズムでギターリフにのって美しいキーボードソロが。それが落ち着くとフルートのような音色の静かで素朴な感じに。再び美しい繊細なヴォーカルがはいって、そしてエンディングに向かって盛り上がっていって、パワフルなドラムにのってハードなギターソロが。 2曲目は「朝の向こう側」。アコースティックギターのリフと爽やかなヴォーカルのゆったりとした心地よいポップス。後半はパーカッションも入ってリズミカルに。爽やかなフュージョン系のギターやフレットレスベースの音色もいいですねぇ。
 3曲目は「発熱の街角」。不協和音的なシンセサウンドからはじまり、マーチングスネアのリズムにのってミドルテンポながらも軽快なサウンドが。ちょっぴりコミカルで爽やかな楽しいポップスですね。 4曲目は「雨上がりの昼下がり」。静かにちょっと暗めのか細いヴォーカルからはじまり、中盤からはパワフルに。間奏ではクラリネットのソロも。ラストは劇的にFin。
 5曲目は「白唇」。ゆったりと叙情的にはじまり、ヴァースはしっとりとしたサウンドとヴォーカルが。サビはとっても爽やかで綺麗ですね。間奏はアコースティックサウンドをバックに素朴で綺麗なキーボードソロが。そして一転パワフルにハードなギターリフとともに厚いコーラスが。ラストは再びゆったりしっとりとFin。 6曲目は「魔笛“冷凍”」。強風の吹き荒れる効果音から始まり、不気味なベース音とキーボードの音色が響いて。悲鳴のような音も。ミステリアスでダークなインストです。ホラーっぽいっす。これ夜真っ暗な部屋でひとりで聴いていたらかなり怖いかも。
 7曲目は「科学の夜」。一転アップテンポのパワフルなサウンドからはじまります。♪ダンダカダンダカって、躍動感のあるリズムでなんだかワクワクしてきちゃいます。間奏ではゆったりとしたリズムで囁くようなヴォーカルとヴァイオリントーンのギターが。そして再びリズミカルに元気よく。 8曲目は「せめて今宵は」。可愛らしいキーボードサウンドからはじまり、ロマンティックでゆったりとした優雅な雰囲気に。ピアノとアコースティックギターのリフが心地よいですね。間奏はアコースティックギターのクラシックっぽいソロが。マンドリンのような音色もいいですねぇ。ラストは劇的にドラマティックに幕を閉じます。 
 レコ発ライブも行い、セカンドアルバム制作に向けこのまま順調に活動していくかと思いきや・・・リズム隊が脱退してしまったり、なんとバンドのプロダクション会社が倒産してしまい、プログレがこの時代は低迷していたこともあって、81年に解散してしまったそうです。その後は個々に音楽活動を続け、21世紀に入ってから徐々に再結成の兆しをみせはじめ、2006年にはついに完全復活をはたし、ライブを行ったそうですね。現在は北山さんが多忙のため、4人で活動し、そのつどサポートヴォーカリストを募って活動していく方針とか。今後の活躍も、そして幻のセカンドアルバムも期待したいです。

早坂紗知さん 6

2008-06-28 07:55:09 | 早坂紗知さん
 2004年のツアー後に、ドラマーの<Pheeroan akLaffさん>を迎えてレコーディングにはいったそうです。そして翌2005年の3月にアルバム「beat beat jazz beat」を発表します。レトロチックながらもどこか愛嬌のあるジャケットもいいですねぇ。メンバーは紗知さん、利樹さん、フェローンさん、パーカッションのWabaneさん、そしてピアノの<黒田京子さん>です。このアルバムの曲は全てカヴァーソングです。これぞJAZZ!といった感じの曲満載のようです。
 まず1曲目は「I Mean You」。Thelontous Monkさんの曲。変拍子の複雑なフレーズからはじまるアップテンポの軽快な曲。パワフルなSaxソロとピアノのバトルが楽しめ、中盤ではアグレッシブなピアノとベースのバトル、そしてそこにドラムが入ってスリリングな雰囲気に。そして次はベースソロとドラムのバトルが楽しめます。ラストはSax&ピアノとドラムの掛け合いソロです。めっちゃかっくいい! 2曲目は「Cai Dentro」。Baden Powellさんの曲。Saxのメロディアスで印象的なフレーズからはじまるアップテンポの爽やかで楽しい曲ですね。流れるような滑らかな心地よいSaxソロ、それに続いて軽快で爽やかなピアノソロが楽しめ、ラストはパーカッションソロも。
 3曲目は「Peace Warriors」。Ornnette Colemanさんの曲。いきなりハイテンポのリフからはじまるスリリングな曲。すごく忙しいですね。まるでこっちがせかされているような。スピーディでアグレッシブなSaxソロ、そしてヒステリックなベース&Saxソロも。 4曲目は「Intersong」。Ornnette Colemanさんの曲。一転スローテンポのムーディなSaxソロが響きます。でもでもバックのドラムは忙しく叩きまくってますね。
 5曲目は「Yaye Boye Balma」。セネガル民謡です。おだやかで優しい雰囲気のSaxフレーズではじまりますが、パーカッションが入ると一転して軽快なアップテンポに。それをバックにSaxとピアノがフレーズの掛け合いを。そしてメロディアスな哀愁を感じるピアノソロが。それに続いてアグレッシブなSaxソロを聴かせてくれ、その後に力強い男性コーラスが。終盤にはベースとパーカッションのパワフルなバトルも。 6曲目は「Latin Genetics」。Ornnette Colemanさんの曲。ベースとドラムだけのアップテンポの曲。聴き応えありますね。ラストにちょこっとコーラスが。
 7曲目は「In Walked Bud」。Thelontous Monkさんの曲。軽快で、力強くテクニカルなドラムソロ&パーカッションソロからはじまり、そこにピアノ&Saxが入って、アップテンポながらムーディな雰囲気に。そしてそれが段々パワフルになり、アグレッシブなソロを聴かせてくれます。 8曲目は「My Favorite Things」。Richard Rodgersさんの曲。テクニカルなドラムソロからはじまり、パワフルなSaxが入ってアグレッシブなソロを。中盤で激しいドラムをバックに聞き覚えのあるSaxのメロディが響きます。ラストには美しいピアノの音色が。
 9曲目は「Good Bye」。Gordon Jenkinsさんの曲。ダークな雰囲気のピアノソロからはじまって、そこに哀愁たっぷりのSaxの音色が響いて。ピアノとSaxのみのゆったりとしたムーディな曲です。誰もいない深夜の街角、みたいな。中盤はドラマティックに盛り上がり、ラストは夜霧のなかに消えていくような・・・
 パワフルでダイナミックな演奏も、ムードたっぷりの演奏も楽しめる素敵なアルバムですね。

早坂紗知さん 5

2008-06-27 06:57:18 | 早坂紗知さん
 2002年。早坂紗知さんは、パーカッションの<やひろともひろさん>のプロデュースで、夫であり、ベーシストの<永田利樹さん>らとあらたなユニット<Minga>を結成します。そのユニットで全国ツアーを行ったあと、翌2003年にこのアルバム「Minga/ミンガ」を発表します。レコーディングにはお3方の他にゲストで、ギタリスト<鬼怒無月さん>、パーカッション<Waggane Ndiaye Roseさん>、<Ogimi Genさん>、ヴォーカル<おおたか静流さん>が参加されています。
 1曲目は「Casa Minga」。ミドルテンポながら軽快なパーカッションから始まり、そこにパワフルなベースが入って、そしてSaxが爽やかで力強いフレーズを奏でて。その次はアコースティックギターがなんとなくチャイナ風のフレーズのソロを。リズミカルで楽しくなっちゃいます。そしてパワフルなSaxソロへ。リフレインはパーカッションとベースが。 2曲目は「Break Up!」。いきなりSaxとギターのユニゾンの軽快なフレーズから始まります。バックにはとっても楽しいパーカッションが。動物の鳴き声みたいな音とかジャングルムードたっぷり。Saxソロもおもいっきり暴れてますね。中盤は一旦静かになって、まるで夜のジャングルのような不気味なベース音と神秘的なパーカッションが響いて。終盤にはゆったりとしたムードでSaxがムーディなフレーズを。バックのマンドリンのようなサウンドがすっごく効果的ですね。ラストは再びアップテンポになって楽しくFin。
 3曲目は「Intense Heat」。激しいパーカッションからはじまり、それに乗ってSaxがアグレッシブなソロを。裏でもベースがうねりまくりで凄いっす。 4曲目は「Jelly Fish Suites」。水中の音のような神秘的なサウンドが響き、そこにギターとベースが合いの手のように鳴らして。幻想的なサウンドです。ゆったりムードのままSaxが入って。一旦Finしたあと、ギターが不気味に響いたのちにアップテンポのパーカッションにのってアグレッシブで不協和音的なSaxのソロが。一旦Finしたあとの後半は、静寂のなかにギターが不気味に響いて。終盤にはアコースティックギターのリフをバックにエモーショナルなエレキギターのソロが。それが段々アグレッシブに。そこにSaxも絡んでメロディアスなソロを。
 5曲目は「Ligeuyou Ndeye Dom」。力強いヴォーカル&コーラスからはじまり、そこにパワフルなパーカッションが。パーカッションが段々スピードアップしてそれをバックにSaxソロが。ヴォーカルとSaxの掛け合いのような感じで進行して、ラストはパワフルなパーカッションソロでFin。 6曲目は「The Nights With Midnight Sun」。叙情的なベースソロからはじまり、そしてリズミカルなハンドクラップにのってSaxが入ります。フラメンコのような感じかな。このあとギターが入ってもろスパニッシュ風に。なんか“情熱”を感じるような。その後のSaxソロも情感たっぷり。中盤一旦Finして、ベースとギターのダークな雰囲気に。それが徐々に盛り上がっていって明るさを取り戻し、再びリズミカルなハンドクラップが、そしてギターリフに乗ってSaxがメインフレーズを。その後爽やかでアグレッシブなSaxソロを聴かせてくれてFin。
 7曲目は「Abyss」。ゆったりながらもギターとベースの掛け合いのような感じからはじまって、美しく色っぽいスキャットが。そしてゆったりとムーディなSaxが響いて、再びギターとベースをバックに美しいスキャットを聴かせてくれます。まったりとした雰囲気、いいですねぇ。 民族音楽ベースの“大地を感じる”というかDown to Earth感覚の曲も多く、力がみなぎってきそうな、元気をもらえるような感じかな。ラストのヨーロピアンテイストのまったり感でちょっと落ち着くような感じ。聴き応えのある素敵なアルバムですね。
 アルバム発売後にドラマーの<Steve Jacksonさん>を迎えて都内でレコ発ライブを。翌2004年には全国ツアーを行ったそうです。

早坂紗知さん 4

2008-06-26 12:22:42 | 早坂紗知さん
 1997年にはドイツでおこなわれたJAZZフェスティバルにも出演され、翌98年にはあらたにサックスカルテット中心のグループ<Black Out>を結成するなど、精力的に活動されている<早坂紗知さん>。この年の11月には次回作に向けてニューヨークでレコーディングをされます。そして1999年3月、今度は<早坂紗知&Stir UP!with New York Friends>として「Double Rainbow」というアルバムを発表します。ユニット名の通り、今回は早坂紗知さん、永井利樹さん、そしてピアニストの<フェビアン・レザ・パネさん>の3人のTokyoチームと、ヴァイオリンの<定村史朗さん>、パーカッションの<Emedin Riveraさん>、ドラムスの<フェローン・アクラフさん>の3人のNew Yorkテームでレコーディングされたそうです。紗知さんはこの10年前くらいにフェローンさんとセッションされたことがあったそうですが、当時はまだ黒人ドラマーについていくだけで必死だったとか。でもフェローンさんの素晴らしいドラミングが心に響いて、いつかまたフェローンさんとやりたい、と心に決めていたそうです。New yorkチームの日本人の定村さんは、素晴らしい演奏だけでなくNew York側のコンポーザーとしても活躍されたとか。その定村さんの紹介で参加されたのがEmedinさんだとか。ピアノのフェビアンさんは前作にも参加されています。

 アルバム1曲目は「カナビスの輪/Ring of Cannabis」。この曲では韓国の伝統的なリズム(5.5.6.5.5.4.6)を用いているそうです。ドラム&パーカッションからはじまり、そのリズムとは対照的にピアノの悲しげなメロディがゆったりとながれ、それに続いてヴァイオリンも。そしてアップテンポになってSax、ピアノのソロが。終盤にはダイナミックなユニゾンを決めたあとダンサブルなビートにのっての優雅なソロを。 2曲目は「Double Rainbow」。紗知さんがずっと以前から曲で、タイトルを決めかねていらしたのですが、ヨーロッパツアーのときにふとこのタイトルがひらめいたそうです。鈴とシンバルから静かにはじまり、そこにピアノが加わってそしてSaxも。ゆったりと透明感のある爽やかなメロディを奏でて。まさに雨上がりで大空に虹が見えるような感じですね。中盤からはパワフルなSaxが、そしてそのあとはゆったりと美しいピアノソロが。ラストは元のフレーズでFin。
 3曲目は「Like a Bird(dedicated to Thomas Chapin)」。98年に若くして天国へ旅立ってしまった、尊敬するSax奏者に捧げる曲だそうです。ピアノからはじまって、パーカッションがサルサリズムを叩いて。ダンサブルだけどどこか陰が感じられる曲ですね。 4曲目は「May Storm」。ウエストサイド物語のアメリカをイメージしたそうです。ゆったりとしたムーディなSaxソロからはじまりますが、途中軽やかなパーカッションリズムも。終盤では軽やかなリズムでのピアノソロも。
 5曲目は「冬の遊園地/The Coneyisland In Winter」。ピッコロのような可愛い音色からはじまり、木製パーカッションの素朴なサウンドとゆったりとしたピアノの音色。そしてそれがピアノとSaxに代わって豊かなメロディを奏でて。そしてSaxソロへ。どこか寂しげな雰囲気ですね。後半にはベースソロも。 6曲目は「Black Out」。パワフルなリフからはじまり、ズンズンってベースが響いて。ミドルテンポのダークで不安感を煽るようなミステリアスな雰囲気の曲ですね。ラストはドラムvs他楽器のパワフルな掛け合いも。
 7曲目は「I Remenber Jackie」。ベースソロからはじまり、暗いメロディのピアノが加わって、そして叙情的なゆったりとしたメロディをSaxが奏でて。哀しみのブルーズでしょうか。情感のこもったSaxソロのあとは、アップテンポのピアノソロが。ラストは再びゆったりと。紗知さんが10年前にNew Yorkに行ったとき、日本に帰る前にどこかで演奏したい、と思い、地下鉄構内でゲリラライブをやったそうで。それが大盛況だったとか。その年のクリスマスになんとそのとき見ていたタクシー運転手のJackieさんからクリスマスカードが届いたそうです。それからしばらくJackieさんと文通して、New Yorkデビューのときには再会もはたしたそうで。でもJackieさんはいまは天国に・・・
 8曲目は「Little Tree」。ファンの方から贈られた同じタイトルの本を読んで感動して作った曲だそうです。早いパッセージからはじまる軽快なラテンリズムの曲。テンポチェンジも絶妙ですね。軽快なリズムにのった楽しいピアノソロや、フィドルのような軽やかななソロも。ここでは合いの手のように2本吹きも披露。そしてSaxとラテンパーカッションの掛け合いのあと、テクニカルなドラムソロも。ラストはメインテーマに戻ってFin。
 このアルバムでも夫でありベーシストの永井さんが紗知さんを励ましたり支えてくれたりと常にバックアップされたとか。夫婦の絆って・・・いいなぁ・・・

08.6.21 Y&T

2008-06-24 00:05:39 | ライブレポ HR/HM
◇ 2008/6/21 川崎CLUB CITTA
<Forever!>
80年代のヘヴィメタルブーム時に大活躍したハードロックバンド<Y&T>。その勇姿を25年もたった今、おそらく当時と変わらないであろう、パワフルなアツいライブを体験できて感激しております。残念なのは、ステージでは当時と変わらぬパフォーマンスを魅せてくれたのに、こちらがヘドバンする体力がなくなっちゃったことかな。
 <Y&T>は、1974年にサンフランシスコで<Yesteday & Today>という名で結成されました。そして1981年にメジャーレーベルに移籍し、そのときに<Y&T>という名にしたそうです。このとき発表した移籍第1弾のアルバム「Earth Shaker」がおりからのヘヴィメタルブームもあって大ヒット!とくにそのメロディアスな曲調もあって日本でもヒットして、82年に行われたジャパンヘヴィメタルフェスにゲスト出演し、初来日をはたします。そしてこの年に名曲「From The Moon~Forever」を含むアルバム「Black Tiger」を発表。人気は頂点に!83年には初来日の思い出を歌った曲「Midnight In Tokyo」を含むアルバム「Mean Streak」を、84年にはポップな「Summer Time Girls」を含むアルバム「In Rock We Trust」を発表。このアルバムは45万枚のセールスを記録。しかし、その後はヘヴィメタルブームの衰退とともにヒットチャートからは遠ざかり、90年代には一時解散。しばらくはソロで活動するも、2001年に復活して現在も地道に活動されているようです。

 メンバーは、リーダーでギター&ヴォーカルの<Dave Menikettiさん>、ベースの<Phil Kennemoreさん>。このお二人がオリジナルメンバーです。そしてギターの<John Nymannさん>と、ドラマーの<Mike Vanderhuleさん>の計4人です。
 今回の来日決定の情報を知ったあと、行こうかちょっと迷ったんですけど、やっぱり名曲の数々を生で聴きたくなってチケットを購入。ま、日程が週末だったのと、会場が川崎ってこともあるかな。あとはお客さんがどれくらい入るかがちょっと心配でした。

 さて当日。雨がちょっと心配です。ネットで見ると先に公演が行われた大阪や名古屋は大盛況だったようなのでちょと早めに家を出発。開演は18時ですが、17時すぎに到着。そのまま会場へ。ホールも人がいっぱい!まずは物販コーナーでTシャツとステッカーをGET!そのときに演奏終了後に行われるサイン会のチケットももらったけど、さすがにそれは無理かな?そしてそのままフロアーへ。今回はスタンディングです。開演までまだ30分以上あるけどもう7割くらい埋まってますね。自分は中間あたりの壁際のポジションをGET。壁にもたれかかって体力の消耗をふせぐのです。あはっ!それとメモを取る都合があるので壁際のほうがいいのだ。25年前だったら前列に突っ込んでヘドバンしまくりだっただろうなぁ。お客さんを見渡すとやはり自分と同じ位の年齢層のリアルタイムファンが多いです。頭光ってるひとも目だってましたね。(あまり人のこと言えないけど。) 7:3くらいで男性が多いかな?女性も意外と多かったかも。(オバちゃんがんばってます。)そうそう、親子連れもいましたねぇ。親子でメタルっていいなぁ。

 SEでは80年代のメタルソングがガンガンかかってます。Ozzy・モトリー・RATTなどなど。懐かしいっす。それ聴いてすでに踊っているひともいたかも。開演時間の18時を過ぎたころから場内では“Y&T”コールが。そしてそれまでよりも音量が上がってJudas Priestの「You’ve got another thing comin’」がかかると、ここでもう待ちきれずに皆さん手拍子です。見渡すともうほとんど満員。凄い人気にビックリ!
曲が終わるとフロアーの照明が暗くなって、そして「From The Moon」が流れてメンバー登場!大拍手大歓声で迎えられ、お客さんはどっと前方に押し寄せて。そしてそのまま「Open Fire」に行くかと思いきや、ドラムパターンが違うので、あれって思ったら、曲は「Hurricane」へ。ちょっと拍子抜け。でもでももちろんこれもノリのいいかっちょいい曲なので文句ナシっす。場内ももちろんノリノリ!続いて2曲目は「Black Tiger」。これもアップテンポのかっちょいいハードロック。場内も凄いノリです。Daveさんは金髪のさほど長くないカーリーヘアで、サンバーストのレスポールを弾きながらパワフルなヴォーカルを聴かせてくれてます。Johnさんは金髪ストレートのロングヘアーのイケメンでレスポールJrを操って。ベースのPhilさんはデカいっすね。素顔の某有名バンドのベーシストのような?ドラマーのMikeさんは前任のLeonard Hazeさんのようにワンタム・ワンバスのシンプルなセットで、タイトでパワフルなドラムを叩いています。

「コンバンハ!カワサキ!トウキョー!」ってDaveさん。大拍手大歓声です。「Are you ready? So again!」って。3曲目は「25 Hours A Day」。ミドルテンポのブギーです。ここでちょっと落ち着くかな。間奏ではJohnさんのソロ、Daveさんのソロ、そしてPhilさんのベースソロと続きます。
曲が終わると“Y&T”コールが。ここでDaveさんはギターをブルーのストラトに持ち替えて、Y&Tコールに「All right!」って。「New song!」ってはじまった4曲目は「Dirty Girl」。ミドルテンポのヘヴィなロックです。サビをお客さんに歌わせる場面も。そしてエモーショナルなギターソロをDaveさんとJohnさんが聴かせて。

曲が終わるとDaveさん、再びレスポールに持ち替えて。5曲目は「Lonely Side of Town」。ミドルテンポのヘヴィでメロディアスな曲。ヴァースはJohnさんとコーラスで歌って。続いて6曲目は「Mean Streak」。アップテンポのバリバリハードロック。ミドルテンポの曲が続いていたので、お客さんここで再びノリノリ状態に。間奏ではDaveさんがステージ最前でハードなソロをキメで。
大拍手大歓声です。歓声に応えてDaveさん「ドモアリガト!」「All right!」「Woo!」「Ahah!」そして「F○ck you!」って。をいをい・・・

7曲目はアルペジオではじまるメロディアスな「I’ll Keep On Believin’」です。ミドルテンポのバラードっぽい曲で、間奏ではJohnさんとのユニゾンも聴かせてくれて。曲が終わると拍手に応えて「Thank you!」って。ここで再びストラトに持ち替えて。すると前のMCに応えてか、お客さんから「Dave!F○ck me!」って。爆笑です。もちろん男性客。するとDaveさん、オ○マ口調でなにか言ったあと、「I love you」って。またまた爆笑です。

8曲目はパワフルなタムリフの「Fly Away」。メロディアスで力強い曲。カントリーというか、なんとなく“ネイティヴ・アメリカン”って雰囲気かな。ワウを効かせたギターとダイナミックなドラム、いいですねぇ。Daveさん、ステージ最前まできてMikeさんに手を向けて。拍手に応えて「Thank you!」
続いて9曲目は「Don’t Stop Runnin’」。自分のめっちゃ好きな曲、すっげー嬉しいっす。アップテンポのノリノリのハードロック。場内も揺れてます。「Woo!」ってDaveさん。

ここでスローでメロディアスなイントロが。お客さん大歓声とともに♪オーオーってメロディを歌いだして。そしてアップテンポのノリノリハードロックに。10曲目は「Midnight In Tokyo」です。ものすごいノリですね。ライブの最初のハイライトですな。曲が終わるとまたものすごい“Y&T”コールです。
続いて11曲目はフォーク調ではじまる「Ten Lovers」です。メロディアスなバラードで、エモーショナルなギターソロも聴かせてくれます。拍手に応えて「Thank you!」ってDaveさん。

ここでリクエストとかって言ったかな?でもはじまった12曲目は「Ber Room Boogie」です。Daveさん、ギターをJohnさんに任せて、マイクを握ってステージ最前で語り口調で歌います。ノリノリのブギー、かっくいいっすね。終盤ではPhilさんのベースソロが。ここでJohnさんがビールかなにかのボトルを持ってPhilさんの背後に。そしてそのボトルをPhilさんのベースの指板に押し付けて2人のスライドベースギターを披露。やってくれますねぇ。曲が終わるともちろん大歓声大拍手!それに応えてDaveさん「So again!」を連呼。「Woo!」って。

13曲目は「Anything For Money」。アップテンポのノリのいいハードロックです。「Woo!」「Yeah!」「F○ckin’ great!」って。続いてドラムをフューチャーってはじまった14曲目は「Pretty Prison」です。メロディアスなイントロからはじまって、ヴァースはDaveさんとPhilさんとのコーラスで聴かせてくれ、間奏ではエモーショナルなギターソロを。そしてMikeさんのドラムソロへ。迫力のあるパワフルなソロでしたね。「Mike Vanderhule!」ってDaveさん。大拍手大歓声!です。

アルペジオのメロディアスなギターからはじまった15曲目は「Rescue Me」。これまた好きな曲なのでめっちゃ嬉しいっす。メロディアスなパワーバラード、感動です。「I want you!」って連呼。大拍手大歓声!「ドモアリガト!」ってDaveさん。そして「OK!Excuse me・・・」ってひと呼吸おいたあとカンペを見ながら・・・「ニホンニ、モドッテ、コレテ、ウレシイ!」って日本語で。ここでも大拍手大歓声です。そして“Y&T”コールが。「ドモ!Thank you!」ってDaveさん。

「John Nymann futuer」ってはじまった16曲目は「Summer Time Girls」。メロディアスでポップな曲。間奏ではJohnさんがエモーショナルなギターソロを聴かせてくれます。曲が終わると「John Nymann!」って。大拍手大歓声です。ここでDaveさん、「Excuse me」って後ろからグリーンの四角いボトルを持ってきて。たぶんウイスキーかな?それをひとくち。そしてブルージーなギターソロのあと、17曲目はインストの「I’ll Cry For You」。スローバラード調でDaveさん、心に染み入る泣きのギターをたっぷりと聴かせてくれました。続いて18曲目は「Looks Like Trouble」。ミドルテンポのヘヴィな曲です。

PhilさんがDaveさんのポジションであるステージ中央に。そして先ほどのグリーンのボトルを持ってきて。するとMikeさんがドラムセットからステージに下りてきてPhilさんとなんかジャレあって。とっても楽しそう。ま、酔っ払いがくだまいてるだけにも見えますけど。そしてPhilさん、お客さんに両手をあげるポーズとともに歓声をあげるよう要求。3回くらい練習させられたかな?そしてはじまった19曲目は「Squeeze」。アップテンポのノリのいいブギーです。Philさんがステージ中央でベースを弾きながらヴォーカルも。なかなかパワフルでいい声ですね。DaveさんはPhilさんのポジションでギターに専念。間奏ではハードなギターソロを披露。

そして本編最後の20曲目はやはりあの名曲です。「From The Moon」でもうすでにヴォルテージ最高潮!お客さんみんなで♪オーオーオーってメロディを歌って。そして「Foevere」がスタート。サビはもちろんみんな腕を上げて♪Forever!の大合唱です。場内が揺れてます。間奏ではステージ最前にJohnさん・Daveさん・Philさんが並んで。圧巻ですね。
演奏が終わると大拍手大歓声!「ドモアリガト!カワサキ!」って叫んで、お辞儀をしたあとマンバーはステージ袖へ・・・

アンコールを求める手拍子と“Y&T”コールが鳴り響いて。途中から手拍子のテンポが速くなって、コールが消えちゃったけど。しばらくするとメンバーがステージに戻ってきて大歓声で迎えられます。「All right!」って連呼。で、おもむろに汗を拭いていたクラブチッタのタオルを広げて、書いてある文字を、「・・・since 1988・・・」「Y&T, since 1974」って。で、自分たちは“34年モノ”だって。大歓声大拍手です。そしてDaveさん、ここでメンバー紹介です。「John Nymann !」「Mike Vanderhule !」「Phil Kennemore !」って。そしてPhilさんが「Dave Meniketti!」って。もちろん大歓声大拍手です。「Yeah!Rockin’!」って。

21曲目は「Hang’em High」。アップテンポのかっちょいいハードロック。場内ノリノリです。そしてオーラス22曲目はメロウなギターからはじまるブルーズの「I Believe In You」。ブルージーでメロディアスでしかもパワフルな曲。間奏ではステージ最前で情感こもったギターソロを。そして「I believein you, kawasaki!」って。そして再びギターソロをたっぷりと。感動的です。
曲が終わるとメンバー全員ステージ最前に並んで4人肩を組んでいっせいにお辞儀。そしてメンバーの名前を叫んで。大拍手大歓声のなか手を振りながらステージ袖へ消えていって・・・

このあともう1回アンコールあるかなってちょっと期待したんですけど、すぐに場内が明るくなって、スタッフのひとがアンプのスイッチを消してまわって完全に終了。時計を見ると20時30分過ぎ。2時間半弱のすっごい盛り上がりのアツいライブでした。「Open Fire」など、他にも聴きたい曲はいっぱいあったけど仕方ないっすね。十分満足です。Daveさんのギター、すっげーかっこよかった!特に泣きのギターたまらないっす。ヴォーカルも80年代と変わらないくらいパワフルで迫力があっていい声でしたね。Johnさんのギターもよかったし、Philさんのベースも地響きするくらい唸ってたし。そしてMikeさんのドラムもタイトでパワフルでかっこよかった!前任のHazeさんに負けず劣らずいい音でしたね。音響もしびれるくらいに低音が効いてたけど結構いい音してました。そして、お客さんのノリもよかった!年齢層やや高めだったけど、やはり80年代のメタルを体験したひとはそのときのノリを身体で覚えてるのかな?血が騒ぐのかな?オジちゃんもオバちゃんもノリノリでした。もちろん自分も。やっぱメタル最高っす!

このあとサイン会が開催されましたが、自分は遠慮して会場をあとに。サイン会はなんと楽屋に招かれてひとりひとり時間をかけてまったりと行われたそうです。しかも通訳の方もいらしてメンバーとたっぷりお話もできたとか。そしてリクエストに応えてDaveさんがアカペラで歌ったりしたとか。Philさんは途中で酔いつぶれていなくなったそうですけど。終わったのが11時を過ぎて、「帰りの電車に間に合う?」ってDaveさんが気遣われたとか。バンドのファンを大切にする姿勢、素晴らしいっすね。

桜庭統さん 9

2008-06-22 08:36:19 | 桜庭統さん
ゲーム・ミュージック界等で大活躍されている<桜庭統さん>。その作品群は膨大な数ですが、ご自身のソロアルバムはというと、1990年に発表された「戯曲音創」のみなんですよね。それが、今年2008年1月に、なんと18年ぶりとなるソロアルバム「Forest of glass」を発表します。桜庭さんのHPによれば、ソロアルバムはずっと以前から作りたかったそうなのですが、なにせご多忙のためになかなか機会がなかったそうです。そんな折に、昨年スタジオが完成して、お気に入りのグランドピアノをいれることができ、ソロアルバム制作に至ったようです。
 昨年2007年にはベースやドラムを用いない、従来とは異なる方法でゲームソフト「トラスティベル ~ショパンの夢~」のサントラを創作されましたが、今回のソロアルバムでは、なんとピアノオンリーで創作されました。桜庭さんの何にもとらわれない自由な発想による演奏・楽曲が楽しめそうです。
 アルバム1曲目は「Sign」。ゆったりと叙情的に始まり、徐々に盛り上がっていきます。序章的な小曲。 2曲目は「青い渦」。まるで川の流れのような、おだやかなようで大変起伏があって、柔らかさも激しさも伝わってきます。
 3曲目は「Tone blender」。低音部の連打の激しいリフからはじまるハイテンポのスリリングで攻撃的な曲ですね。ラストは静かにFin。 4曲目は「Tears」。人の感情の高ぶりのような雰囲気も感じられるアグレッシブな部分もある小曲ですね。
 5曲目は「追憶」。静かにゆったりとたおやかにはじまり、そしていくつもの起伏が。時に激しく、時にゆったりと綺麗なメロディがながれていきます。 6曲目は「Broken thought」。沈黙と衝撃音が交互に。そしてゆったりとしたメロディがながれるも急に止まったり、激しくなったり。ややアヴァンギャルドな雰囲気でしょうか。
 7曲目は「Fly!」。空高く飛び上がるような、爽快感のある明るい雰囲気のリズミカルで楽しい曲ですね。 8曲目は「narratage ~この地にありて~」。ゆったりと優しくおだやかに、綺麗なメロディがなだらかに流れていきます。ベンチに座って風になびく草原を見ているかのような感じかな。
 9曲目は「Lost me?」。サスペンスドラマのクライマックスのような雰囲気からはじまって、迷宮をさまようかのようなミステリアスな感覚でながれていきます。 10曲目は「悲しみの森」。叙情的なメロディが静かにゆったりとながれて、あっというまにFin。
 11曲目は「Maze of Mirrors」。ダークな雰囲気の不安げな感覚の調べが。 12曲目は「Resolution」。早いパッセージからはじまるアップテンポの超テクニカルで攻撃的な曲。
 13曲目は「Memory in a forest」。新緑に日が当たってキラキラと光っている森を眺めているかのような、まばゆい場面と影の面が交互に見える起伏に富んだ曲ですね。 14曲目は「ガラスの月」。いまにも砕けそうなガラスの儚さのような、もろいけどその美しさは絶品、って感じでしょうか。
 ピアノだけで描いた繊細で美しいドラマティックな世界、めっちゃ感動しております。

桜庭統さん 8

2008-06-21 08:10:09 | 桜庭統さん
 桜庭統さんの作品をみているなかで、この美しいメルヘンチックなジャケットに目が止まりました。2007年6月に発売されたゲームソフト「トラスティベル~ショパンの夢~」のサウンドトラックアルバムです。なんとCD4枚組!聴き応えありますね。このゲームソフトのストーリーはというと・・・
“1849年のパリ。とあるアパートの一室で、音楽家ショパンは病に冒され、ついに最期の夢をみることとなります。その夢は・・・現実と同じく街には人があふれ、同じ様に生活しています。がひとつ違うことが。それは、不治の病に冒された者には魔法の力が宿ること。夢の世界のショパンも魔法が使えることに。その世界でやはり同じ境遇ながらも必死に生きようとする少女ポルカの生きざまを見て、ショパンも考えを変えていこうと・・・
 誰もが心の中に持っていて、純粋な信じる心に反映して光輝くといわれる宝石<トラスティ>。そのトラスティの輝きが強すぎる少女は過酷な運命に・・・そんな少女を救うべく立ち上がる少年アルグレット。運命の歯車はいかに・・・“
 “ショパンの夢”を題材にしていることもあり、このサウンドトラックにはショパン作曲の代表的な数曲が用いられていますが、そのなかでも「革命」「幻想即興曲」「英雄」「別れの曲」「雨だれ」「華麗なる大円舞曲」「夜想曲」の7曲は<ショパン国際ピアノ・コンクール>で最年少で優勝した<スタニスラフ・ブーニンさん>という方がこのサウンドトラックのために演奏されたそうです。(ブーニンさんもゲームがお好きなのだそうです) そしてこのサウンドトラックでは、桜庭さんは、ドラムとベースは用いずに、ピアノとハープ、そしてオーケストラサウンドを主に用いており、これまでのプログレ・ロック調とは異なり、優しく美しい癒し系の穏やかなサウンドでしめられてます。全69曲が4枚のCDにおさめられているんですけど、緩急を絶妙に配した構成で、全くあきることなく4枚を聴き通してしまいました。
 全69曲の紹介は到底できませんので、いくつか印象に残った曲をかいつまんで・・・まずDisc1では、ゆったりとした美しいピアノの調べと、透明感のある綺麗な女性のスキャットからはじまり、オーケストラが入って盛り上がります。綺麗だけどどこか物悲しいフレーズですね。 3曲目にブーニンさん演奏のショパンの「雨だれ」という曲が。4曲目の「Relaxing place」はフルートの音色とハープの音色が美しいゆったりとした穏やかで素朴な曲。5曲目の「Leap the precipice」は一転してスリリングな攻撃的な曲。迫力のあるオーケストラサウンドが楽しめます。8曲目の「Reflect the sky, Bloom the life」はオーボエやクラリネットのノンビリとした穏やかなサウンドが心地よいです。後半のアコースティックギターもいい感じですねぇ。9曲目の「手の中の淡い光」は柔らかなタッチのピアノのゆったりとした優しい感じの曲。11曲目の「Underground for underhand」はティンパニの迫力が感じられるパワフルな曲。12曲目の「Rapid fire」はダークなイメージのスリリングな曲。13曲目は「立ち向かう覚悟」。タイトルの通りに勇気が湧いてくるような力強い曲。14曲目は「Can you recite the dream?」。ゆったりとした綺麗でドラマティックな曲。17曲目の「あなた次第」はグロッケンの透明感のある音色が印象的。遠くに聴こえるスキャットもいいですねぇ。20曲目の「明暗を分かつ瞬き」はハイテンポのスリリングで躍動感溢れる攻撃的な曲。
 Disc2はいきなり1曲目にショパンの作品のなかでも最も代表的な超有名曲「革命」です。ブーニンさんの迫力のある素晴らしい演奏が聴けます。2曲目は「Dive into the vast expance of plains」です。ティンパニロールからはじまる壮大なオーケストラサウンドのオーバーチュア。4曲目の「背も腹もない壁」はスリリングで力強い曲。5曲目の「Breeze the conductor」は大空を飛んでいるかのような広大な広がりを感じるリズミカルで爽快な曲。6曲目の「揺らぐ銃後」も広い大地を眺めているかのようなスケールの大きな曲。7曲目の「DANTOTSU!」はとってもコミカルな曲。シロホンの音が印象的。10曲目の「Journey to projective mind」はピアノの抒情詩的な曲。11曲目の「追撃」はティンパニの打撃音が印象的なダークな曲。12曲目の「I bet my bellef」はスリリングでワクワクしてくるような曲。13曲目はブーニンさん演奏の、やはりショパンの代表曲の「幻想即興曲」。だれもが聴いたことのあるメロディですね。16曲目の「Endure and resist」はギターとピッコロのような音色が印象的なフォルクローレ調のゆったりとした、どこか懐かしさを感じる曲。
 Disc3も1曲目にブーニンさん演奏のショパンの曲「華麗なる大円舞曲」からはじまります。優雅でロマンティックな曲。この曲もタイトルは知らなくてもメロディにはだれもが聞き覚えのあるはず。2曲目の「A buffer for quiet」は心にしみじみとつたわってくる美しいバラード曲。3曲目の「心の散歩」はゆったりとした優しいメロディの短いピアノ曲。4曲目の「Seize the artifact for tallness」はダイナミックで力強い攻撃的な曲。オーケストラサウンドがせまってくるようです。5曲目の「和を尊ぶ調べ」は、ハープシコードと鐘の音が印象的なゆったりとした壮大な曲。6曲目の「明日から・・・」はメロディアスなピアノの小曲。7曲目の「白き鏡」は、艶やかなヴァイオリンサウンドが印象的な、ゆったりとした心癒される美しい曲。9曲目はブーニンさん演奏のショパンの「夜想曲」。この曲もメロディはだれもが聞き覚えのあることでしょう。美しいロマンティックな曲。11曲目の「雪と氷の境界」は、ハープとベルの音色がとっても綺麗なゆったりとした曲。14曲目もブーニンさん演奏のショパンの「別れの曲」。綺麗なメロディの曲。どこか寂しさを感じますね。15曲目は「Continuous divider」。ゆったりとした叙情的な曲。ベルの音色が印象的ですね。
 Disc4はハイテンポでスリリングな曲調の「Your truth is my false」から始まります。2曲目は「Captured phantom」。ピアノとヴァイオリンの哀愁ただようフレーズを交互に聴かせてくれる曲。3曲目は「The etudes of spirit」。ダイナミックなオーケストラサウンドの攻撃的な曲。5曲目の「Spiral twister」もオーケストラサウンドのダイナミックな曲です。6曲目は「Broken balance」。ハイテンポのスリリングな曲。悲痛の叫びのようなヴァイオリンの音色とコーラスが印象的。7曲目は「The unreasonable theory」。ダークな、うねるような不気味なコーラスの不安げな曲。8曲目はブーニンさん演奏のショパンの代表曲「英雄」です。この曲も誰もが聴いたことのあるメロディの曲ですね。力強い素晴らしい演奏です。10曲目は「革命」をオーケストラアレンジされた「Scrap and build ourselves~革命より~」。元々スリリングな展開の曲だけにオーケストラ効果は絶大ですね。よりスリリングに、よりダイナミックで劇的な曲に。11曲目の「事実と誠実、そして真実」は、ゆったりとした綺麗なメロディのピアノ曲。澄んだ美しいコーラスもすっごい素敵。13曲目の「大切な人」はゆったりとした幻想的な雰囲気の美しい曲。14曲目の「Someone’s evening, Someone’s daybreak」もゆったりとした美しい曲でドラマティックに盛り上がっていきます。15曲目の「鏡天花」は唯一の歌モノで、品田昭子さんの澄んだ美しいソプラノヴォイスによる、とっても綺麗で劇的な曲。オーラス16曲目の「命のかたち」は、優しさの感じられる綺麗なピアノの短いエピローグ曲。 心癒される美しい楽曲がCD4枚に納められた素敵なアルバムです。

早坂紗知さん 3

2008-06-19 06:50:41 | 早坂紗知さん
 復帰後もバリバリ活動されて、94年秋にはドイツツアーを、そして95年も様々な分野で活躍されて、翌96年に<早坂紗知&Stir UP!>のアルバム「Milagros/ミラグロス」が発表されます。--世界中の子供達に捧げる—という副題のついたアルバム、曲のタイトルに“Children”“Baby”などの単語が入った曲が8曲中3曲です。母親になったことにより心境の変化もあったとか。ライナーノーツには、それまでのパワフルで攻撃的なサウンドに“優しさ”が加わった、みたいなことが書かれていました。さっそくアルバムのほうへ。
 1曲目は「Children Children」。アルバム「2.26」にも収録されている曲ですね。可愛らしい子供達の声とオルゴールの音やハーモニカ等の音からはじまり、それがやむとベース音が響いて軽やかなパーカッションと共に爽やかなSaxとヴァイオリンの音色が。広大な自然とすっきり晴れ渡った青空が見えるかのようです。終盤にはラテンパーカッションにのった透き通るような美しい音色のピアノソロが。 2曲目は「Lucifer’s BeBop」。カリンバのような音色とパーカッションからはじまりアップテンポのパワフルなリフが。そしてすぐにゆったりテンポで艶やかなヴァイオリンの音色が。再びアップテンポのリフに戻って2本吹きを披露したあとA・Saxのエモーショナルかつパワフルなソロに。終盤にはゆったりとした美しいピアノソロと、伸びやかなヴァイオリンソロも。どことなくミステリアスな雰囲気もする曲ですね。
 3曲目は「Milagros」。ベースソロからはじまり、ウインドベルの音色とともにリズミカルに。そして透明感のある美しい女性コーラスが響いてSax登場!そこからはアップテンポで軽やかに。Saxソロのあとはピアノソロが。すっごい綺麗な曲ですね。 4曲目は「歪んだ三角形/Distorted Triangle」。ヘヴィギターのような歪んだヴァイオリン音とベースからはじまるアヴァンギャルドな曲。
 5曲目は「Baby Monster」。ハイテンポでパワフルにテクニカルにはじまります。ピアノそしてSaxとアグレッシブなソロが。そして掛け合いのようなバトルも。そのあとは激しいドラムソロがたっぷりと楽しめます。。 6曲目は「You Don’t Know What Love Is」。哀愁たっぷりのゆったりとしたピアノ&Saxからはじまるムードたっぷりの艶っぽい曲。Saxの深く情感溢れるサウンド、たまりませんね。ムードたっぷりのピアノも最高っす。
 7曲目は「Ganimede」。テクニカルな早いパッセージからはじまり、ミドルテンポでダークなアヴァンギャルドっぽいサウンドに。 8曲目は「子供達によろしく/Take Care of All of My Children」。アルバム「2.26」でもエンディングに演奏されてます。ゆったりとした心に染入るような綺麗な曲ですね。パワフルかつメロディアスなSaxをたっぷり堪能できます。最後には再び可愛らしい子供たちの遊んでいる声が。 
 アルバム発表後には国内ツアーを行い、韓国ソウルでのコンサートにも出演されます。

早坂紗知さん 2

2008-06-18 00:05:53 | 早坂紗知さん
 2月26日は早坂紗知さんのお誕生日。85年のクリスマスに「ピットイン」の“朝の部”に出演した若手ミュージシャンが主体となって、86年の2月26日に初めて<2.26コンサート>を行ったのが始まりで、その後、2月26日のコンサートが恒例となったそうです。そしてこのアルバムは、92年の2月26日に行われたコンサートを収録したライブアルバムで、94年になってから発表されました。そのときのメンバーは紗知さんの他、T・Saxの<佐藤達哉さん>、ドラムスの<角田健さん>、パーカッションの<ヤヒロトモヒロさん>、スペシャルゲストのピアノの巨匠<山下洋輔さん>、そして紗知さんの伴侶である夫のベーシスト<永井利樹さん>です。 1曲目は「Bubble Net Feeling」。某釣具メーカーのCM用に書かれた曲だそうです。まずは全員のアグレッシブな音だしからスタート。のっけから超パワフルなソロを聴かせてくれます。終盤にはドラム&パーカッションソロも。 2曲目は「へそ」。ミドルテンポのリズムからはじまるダークな雰囲気の曲。山下さんのピアノソロと佐藤さんのT・Saxソロがたっぷりと堪能できます。 3曲目は「Children Children」。紗知さんが以前参加されていた中世アンサンブル<タブラトゥーラ>用に書かれた曲だそうです。カリンバとパーカッションから静かにはじまり、リコーダーの音色も。3分半くらいから変拍子ながらもアップテンポのリズムにのったSaxの爽やかな音色が響き、徐々にパワフルにアグレッシブに。後半からは軽快なリズムにのったピアノのソロが。ラストは盛大にFin。 4曲目は「Yellow Monk」。前アルバムにも収録されている曲で、こちらは超ロングバージョンです。パワフルでエネルギッシュなSaxソロからはじまり、A・SaxとS・Saxの2本吹きも披露。そしてムーディな4ビートでのエモーショナルなSaxソロやユニゾンも。そのあとはアップテンポのピアノソロ。めっちゃアグレッシブです。ドラムもベースも呼応して激しくエネルギッシュに。 5曲目は「226」。アップテンポでパワフルにはじまります。そしてすぐにピアノソロへ。静かに始まるもだんだんと激しくなり、そしてそこに弓でのベースも加わって。続いてはSaxソロへ。同じくどんどんパワフルにアグレッシブに。ラストはリズミカルなラテンサウンドをちょこっと。 6曲目は「Take Care of All of My Children」。ドキュメンタリー映画「子供達によろしく」のエンディングテーマです。ゆったりとした、優しく綺麗なメロディの曲。途中に紗知さんのお礼の挨拶とメンバー紹介も収録されています。 パワフルでしかも会場の熱気が伝わってくるくらいのアツい演奏がたっぷり楽しめるアルバムですね。
92年中盤から93年9月まで紗知さんは産休に入ります。このアルバムは復帰後に発売されたわけですね。しかも、アメリカとドイツでも発売されたそうです。

早坂紗知さん 1

2008-06-17 06:55:23 | 早坂紗知さん
昨年のこと。カルメン・マキさんのHPの当時の日記を見ていたところ、興味を抱く記事が書いてありました。とある女性JAZZサックス奏者と競演したそうなのですが、そのときそのSax奏者の方は病を患っていて39度を越す熱があったとか。それでも気丈に何事もないかのごとくステージを勤め上げられたとか。もっともその後すぐ数日間入院されたそうなのですが・・・なんとも凄いプロ魂を持ったミュージシャンだなって非常に興味をもって、早速HPも拝見。そして実際の音にも興味を持ってすぐに某通販でCDも購入。これがまたとってもステキな音楽!となるとやはり生で見たく聴きたくなってしまうもの。たまたまそのとき近くのJAZZスポットでライブがあったもので早速観に行ったんです。どんな凄い女性なのかと思っていたら・・・とっても小柄でスレンダーで可愛らしくて綺麗な女性でビックリ!そしてSaxを吹きだすと、これがまたその可愛らしいおすがたからは想像できないくらいのめっちゃパワフルな演奏もあってこれまたビックリ!それ以来ハマってしまいました。
 <早坂紗知さん>。中学時代から吹奏楽部でSaxを始めて、大学ではJAZZのSaxとクラシックのSaxを学び、卒業後に新宿のライブハウス「ピットイン」でデビュー。85年にはピアニスト<山下洋輔さん>のオーケストラに参加し、87年にはドイツのギタリスト<ハンス・ライヒェルさん>に招待されてドイツ・オランダ・スイス等で演奏して好評を得たそうです。その頃から外国人ミュージシャンとのネットワークができてきたそうで。そして88年には初のリーダーアルバム「フリーファイト」を発表。<早坂紗知&Stir UP!>という自己のユニットでも活躍し、90年にこの2ndアルバム「Straight to The Core」を発表されます。
 アルバム1曲目は「Mother of The Veil」。艶っぽくもパワフルなSaxと激しいパーカッションからスタート。まずはベースソロ。それがだんだん激しくなっていって、ここで紗知さんのA・SaxとS・Sax2本吹きの技が早くも炸裂。そしてアグレッシブな展開に。ですがそれもすぐにトワイライトっぽいゆったりとしたムーディなモードに。次はアップテンポでピアノメインの軽やかなモードに。それがどんどんパワフルにハードに。ラストはSaxも入ってムーディモードでFin。 2曲目は「In All Languages」。いきなりトランペットとSaxのユニゾンからスタート。バックではベースが裏メロでそれを支えて。そしてペットとベースのバトルが繰り広げられ、そこにSaxも加わって自由に吹きまくって。リズムのない、お3方インプロ合戦です。 3曲目は「Ska」。軽快なパーカッションからスタートするアップテンポのパワフルかつリズミカルな楽しい曲。思わず身体でリズムをとりたくなっちゃいます。途中トロンボーンの滑らかなメロや、パワフルなソロも。後半にはお待ちかねの楽しいSaxソロが。 4曲目は「Yellow Monk」。Saxのデュエットからはじまり、ミドルテンポでのユニゾンも(2本吹きかな?)。そしてムーディモードでパワフルなソロを。後半からはアップテンポでパワフルでアグレッシブなソロが。 5曲目は「Lonely Woman」。パワフルな重いドラムとパーカッションからはじまるミドルテンポのダークでヘヴィな曲。 6曲目は「Twinkle Twinkle」。パワフルな激しいドラムソロからはじまり、アップテンポでSaxとピアノの軽やかなフレーズ&ソロが。そしてラテンパーカションにのったアグレッシブなソロもたっぷりと楽しめます。 7曲目は「Lady’s Blues」。哀愁感たっぷりのSaxソロからはじまるゆったりとしたトワイライトブルーズです。中盤からはブルーズギターソロも。そしてブルージーでパワフルなSaxソロも。 8曲目は「Free Beauty」。インプロ合戦炸裂!です。それでも印象深いフレーズが。 9曲目は「For Carrie」。静かにはじまり、いきなりチャイナシンバルから重いリズムでダークにパワフルにはじまります。中近東系かな?オリエンタルかな?独特のムードですね。エネルギッシュなソロもたっぷり。 10曲目は「Encounter」。2本吹きとペットとベースのアグレッシブなバトルです。
 若さ溢れるパワフルでエネルギッシュな演奏や様々な音楽性がたっぷり楽しめますね。