キング・クリムゾン「太陽と旋律」で植え付けられた<大宇宙と小宇宙>の感覚を最も体現しているのは私にとってはDUBになるのかな。裡に籠めながら外にパワーを放つ音楽の象徴でもある。このアルバムはLPで聴く時はベースをモコモコにして大音量で聴き、カセットテープでラジカセの小さな音圧でラジオを聴くように耳を傾けても又、良し。希代の美メロクリエイターでもあるJoe Gibbs and The Professionalsのアフリカの太古から時間軸を飛び越えるスペース遊泳。
Dave Holland Quartet - Live in Canada (1991 - Live Recording)
めちゃカッコいいので、何度も聴き返してしまった。2666 - The Art Of Listeningなる人によって僅か3日前にアップされたこの映像はアルバムジャケットらしきものが映る事から一見、既存作品の公開のようだが、検索しても影も形もない。謎です。買いたいんですけどね。
Steve Coleman(alto sax)Kevin Eubanks(- electric guitar)を擁したDave Holland Quartetのカナダでのこのライブ音源は90年代に興隆した所謂コンテンポラリー・ジャズの典型だが、このスリリングさは今となっては懐かしく、逆に今、喪失されたものと認識する。典型でありながら先鋭なジャズ。現代のジャズの先端がスムース、トリッキー、ミクスチャーの要素が過大なら90年代は確かな技術に裏付けされた理知と肉体性の共存するプロフェッシャナルなジャズと言えようか。大文字のテーマ、スリリングなリフを導入部に突入する楽器間のインタープレイ、全体が塊になる場面から絶妙にDUOやTRIOでの即興に移行する構成美。私にとって未だに聴きたいのはこういったジャズなのは間違いない。
間章が時折、書いたシャンソンの文章は美しかった。ジャズ批評に於ける戦闘的な思想の記述と違い、人生の悲哀や夢を何気ない 生活の一場面を間章本人のパリを彷徨する足取りと共にスケッチする文体が魅力だった。氏はムルージやアレスキーを評価しジャック・ブレルに対しては批判的なコメントがあった事を記憶する。私はブレルが一番、好きだ。久しぶりに聴くこのアルバムはジャケがカッコ良いが、最高傑作は「偉大なる魂の復活- Les Marquises」(1977)だと思う