満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

ダモ鈴木 大阪公演に寄せて  The Fall - I Am Damo Suzuki

2014-07-19 | 新規投稿
The Fall - I Am Damo Suzuki

 
The fallの「this nation’s saving grace」がリリースされたのは私が就職した1985年。埼玉の畳三畳の社員寮でこのレコードを聴きまくっていた事を記憶する。就職して鬱屈していたという‘ピカピカの新入社員’とは真逆だった偏屈な私の心に沁みたのだ。メロディが沁みたのではない。むしろイギリスニューウェーブ勢の中で感傷的なものを削ぎ落としたような稀有なグループがthe fallだった。その甘口な所が全くないthe fallのとっつきにくい曲の数々が私は大好きだったのだが、このアルバムのA面の「L.A」というナンバーの冒頭でボーカリスト、マークEスミスが「アアアアッア アアアアッア」とCANのダモ鈴木のようなボイスを発している事が気になり、更にB面で「I am damo suzuki」という曲でそのハンマービートを炸裂させていたのだ。これはすごい曲だった。ピートシェリーやジョンライドンと同様、マークEスミスもCANマニアだったのかとニヤリとなり、その夏、大阪に里帰りした時、梅田のspankyというロックがよくかかるディスコのDJに「I am damo suzuki」の12インチあるか?と聞いたが、ないらしく、the fallもこの曲を単なるアルバム収録ナンバーの一つであり、シングルにしていたわけではない事がわかった。そればかりかこのアルバムは日本では国内版すら出なかったのだ。後にソニックユースもカバーすることになる「my new house」という傑作も収録されているThe fallの「this nation’s saving grace」はロック史上屈指のアルバムであり、ダモ鈴木への敬意に満ちたエッセンスが詰まっている。


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