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「単騎、千里を走る」荒野の夜空に響く笛の音を聞け

2006-02-14 23:55:36 | 邦画
「単騎、千里を走る。」★★★☆
高倉健主演、チャン・イーモウ監督作品

★昨年10月に東京国際映画祭に主演の高倉健さんを
迎えての上映で見てから、3ヶ月ぶりに再度見ました。
感想はほぼ同様なので、再掲載します。
年齢層が高い客層ですが、健さんの映画だが、
見たことの無い、中国奥地の風景がもうひとつのウリなので
もっとたくさんの人に見てもらいたい。

10年来、音信の途絶えた
息子がガンで入院したと聞き、
逢いに行くが、病室の前で
拒絶されてしまう。

息子の妻から
渡されたビデオで息子の仕事ぶりを
初めて知り、また中国で
遣り残している仕事があることも知った。

ではその遣り残した息子の仕事を
自分がやろうと、彼は中国行きを決意する。

荒波に向かって身じろぎもせずに
立つ主人公の姿に何かが重なる。

意思の疎通の難しい場所で苦労し、
日本とは違う風習に戸惑いながらも、
この撮影が出来たら
自分は息子に近づけるのではないかというよに、
周囲を巻き込んでいく。

中国の奥地で撮影された風景は
息を呑むという言葉通りの絶景で
その中を小さな点のようになって
主人公は走る。

言葉が分かり合えても
意思を通わすことは難しい。

日本から遠く離れた地にいながらも、
息子が何を感じ、何を考えていたかが
やっと分かったような気持ちになれたのは
皮肉なものだ。

でもきっと、そんなものなのだ。

近くにいても、言葉にしなければ分かり合えない、
分かり合えたと思えても、
100%同じ思い思いということもありえない。

それでも人間は、せっかくめぐり合えた人と、
なんとかはかない望みを持ちながら
言葉を発するのだ。

村で知り合った少年が
主人公からもらった笛を吹くことで
伝えたい何かを伝えることができたのだから、
言葉や文字には希望がある。

きっと耳を澄ませば、彼の吹く笛の音が
雑踏のすきまでも風に乗って聞こえるだろう。

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