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【読書メモ】2015年3月 ④ 丸谷才一

2021-04-23 18:29:47 | 【読書メモ】2015年
<読書メモ 2015年3月 ④>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。


『人間的なアルファベット』丸谷才一
「人間的」の意味は、「性的な」ということだそうです。
辞書風に項目立てしたエッセイ集。

月は男か女かという話が面白い。
ドイツ語では、月は男性名詞、太陽が女性名詞。
英語では、月は「彼女」と言うが斑点は「月の男」と言われる。
月が受胎させるという神話も多いらしく、
グリーンランドでは、女性は寝るとき用心のために
腹に唾を塗るというおまじないがあるそうな。

そういえば京極作品に「桂男(かつらおとこ)」という
あやかしの話しがあった。
月にはかぐや姫が住んでいるし、日本はどうなんだろう。


(A―Zでテーマを決めて話しが始まるんですが、
 相変わらずの丸谷節で話があちこちに繋がり飛びまくり
 とっても勉強になりますし、
 テーマはどこ行った?ともなります。
 名エッセイ。

 第一項目アクトレス(女優)は、山田五十鈴から始まり
 篠田鉱造『明治百話』シリーズ(幕末の彰義隊氏や武家屋敷の
 大奥女中の聞き語りって、なにそれ超おもしろそう!)、
 そのネタである幕末女役者(女団十郎と呼ばれた岩井粂八)
 から遡って江戸中期、まだ男役者しかいない時代の女役者の話しに…

 知識のスペクタクル!
 本当、超おもしろい。

 私的には上記の「月の性別」ネタ、特に好きです。
 外国の古い言い伝えとか風習とかおまじないとか、
 そういうの、好きなんですよねえ。
 フレイザー『金枝篇』とか、山本義隆『重力と磁力の発見』とか。

 桂男は、京極夏彦『西巷説百物語』の1話目ですね。
 月に追われた男(仙人という説も)で、
 古くは中国の伝説のようですが
 日本にも平安時代には伝わっていたようです。
 とはいえ「かぐや姫」の方が日本人好みなのかな、
 「桂男」は若干、影が薄いですね)
コメント
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