思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『文車日記』からの、主人公の名前

2017-10-26 15:39:01 | 日記
引き続き、田辺聖子『文車日記』の話しですが。
「あけぼの・くれない」という章で
文学に出てくる女性たちの名前の美しさを取り上げています。

子供の頃に愛読した少年少女小説の、主人公の名前にはとてもいいのがありました。吉川英治氏の「天平童子」なぞ、字もひびきもいいのです。ことに時代小説の女の子の名前が美しくて私は好きでした。「天兵童子」に出てくる少女は千尋(ちひろ)だったかと思います。千葉省三の「陸奥の嵐」は狭霧(さぎり)でした。・・・汀(みぎわ)は「大陸の若鷹」でしたか。渚、桔梗、露路 彼女たちはみんなきれいな名前を与えられて、心も姿も美しいのです。
(抜粋)


と言った思い出から、昔の奥女中は『源氏物語』の巻名から
とった名前で呼ばれることが多くあったという話しに。

言われてみれば、時代小説とかを読んでいて
身分の低そうな女性の名前にしては随分オシャレだなあ、
と不思議に思った記憶が。
本名ではなく、主人から与えられた呼び名なんですね。
浮船、桐壷、藤壺、夕顔、若紫などなど。
良い響きです。
個人的には、明石や須磨の響きが好きです。
これが源氏名の由来ってわけですね。

小説の登場人物が良い名前だなと思うと、
ちょっと読後感も良くなりますよね。

瀬尾まいこ『図書室の神様』の主人公の女性の名前
清(きよ)は、可愛いなあと思っていました。
『卵の緒』の育生(いくお)くんも良かった。
堀江敏幸『めぐらし屋』の40過ぎの主人公の
蕗子さんという名前も好きです。
文章も「蕗子さんは…」と、さん付けなのが、
全体の雰囲気に合っていて良い感じでした。
川上弘美『センセイの鞄』のツキコさんも良かった。

優しい読み心地の物語に、良い名前がハマってるのが、
私のツボのようです。

あと瀬尾まいこは総じて良い。
コメント
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