思惟石

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桜木紫乃『ホテルローヤル』

2017-10-06 13:31:31 | 日記
ホテルローヤルという名前のラブホテルにまつわる、
グランドホテル形式の短編集。

と説明するより、
第149回直木賞受賞作。
と言った方がわかりやすいのかもですね。

それぞれの短編ごとにリンクがあったりしますが、
時系列はバラバラで、さかのぼっていくように収録されています。

最初の「シャッターチャンス」という短編が
べたべたに薄っぺらくて、暗澹とした気持ちになったんですが
(この作家さんの作品として初めてだったので、
 全体の上がりをちょっと疑ってしまった)
「えっち屋」辺りから人物や話しがグッと面白くなりました。

特に「バブルバス」と「星を見ていた」が良かったです。

ラブホテルには後ろ暗くてほの悲しいエピソードしかないのか…
と思わせてからの、「バブルバス」。
たった五千円の余裕ができたからオットを誘ってローヤルに行こう、
と言う恵という主婦。
五千円あれば、あれができる、これが買える、って思いながら、
また五千円が浮いたらまたローヤルに行くよ、って言う主婦。
良いなあ。うまいなあと思います。

心中エピソードを無駄に描写しないで、
ただ起こった事実として行間に入れる感じとかも、
うまいなあと思いました。

しかし、「せんせぇ」からの流れで心中するもんかな。

5点満点としたら、私的には3.5点ですが、
なにはともあれ、読んで良かったとは思いました。さすが直木賞。
コメント
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