Sightsong

自縄自縛日記

山内桂『波照間』、『祝子』

2018-03-29 23:13:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

山内桂『波照間』(selmo fishing association、2006年)、『祝子』(ほうり)(selmo fishing association、2008年)を聴く。

『波照間』
Katsura Yamauchi 山内桂 (as, sopranino sax)

『祝子』
Katsura Yamauchi 山内桂 (sopranino sax, C-melody ss, as, bs)

『波照間』はアルトまたはソプラニーノによるソロ演奏である。やはりアルトでは、音と音でないものとの狭間、音と音との狭間の往還が表現されている。先日のライヴで感じたように、アルトがその領域内の旅だとして、ソプラニーノは領域間を串刺しにして垂直の往還をしているようだ。ほとんどはスタジオ演奏だが、最後の演奏は宮崎の祝子川渓谷で収録されており、水や風の音と山内桂のソプラニーノとが世界を共有している。

『祝子』には驚いた。その祝子川渓谷において、ソプラニーノ、Cメロディ、アルト、バリトンを吹き(肩まで水に浸かって吹く氏の写真があある!)、それがオーバーダブされ、アンサンブルとなっている。この自然とともにある祝祭の感覚は何なのだ。内に籠っていながら外に向かって開かれてもいる。理由がよくわからないながら、嬉しさに震えてしまった。

●山内桂
千野秀一+山内桂@Ftarri(2018年)
山内桂+中村としまる『浴湯人』(2012年)
山内桂+マーティン・ヴォウンスン『Spanien』(2010年)
山内桂+ミシェル・ドネダ『白雨』(2004年)


齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』

2018-03-29 00:08:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』(JABARA、1996年)を聴く。

Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b, ching)
Kazue Sawai 沢井一恵 (koto)

まるで対をなすようなソロ作品『パナリ』が西表島の海岸で演奏され、波の音が入り周囲の空気と融合するような感覚を与えるのに対し、『八重山游行』は石垣島の「アトリエ游」で録られており、開と閉とによる違いが印象的だ(ただし、『パナリ』の5曲目だけは『八重山游行』の翌日に同じ場所で沖縄の音楽家たちと録られたものである)。

それだけでなく、『八重山游行』での演奏は、いまのテツさんのそれとも異なっているような感覚がある。共演した沢井一恵さんの存在によるものか。それとも韓国音楽の影響によるものか。その場と時間において音楽を完結させようとする意思があったのかなと思えたりもする。

この魅力的な2作品を聴くと、また、琉球や奄美の方に接近するテツさんの音楽を聴きたいと思う。ユーラシアンエコーズのひとつの響きとして。

●齋藤徹
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
長沢哲+齋藤徹@東北沢OTOOTO(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 

●沢井一恵
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)