山内桂『波照間』(selmo fishing association、2006年)、『祝子』(ほうり)(selmo fishing association、2008年)を聴く。
『波照間』
Katsura Yamauchi 山内桂 (as, sopranino sax)
『祝子』
Katsura Yamauchi 山内桂 (sopranino sax, C-melody ss, as, bs)
『波照間』はアルトまたはソプラニーノによるソロ演奏である。やはりアルトでは、音と音でないものとの狭間、音と音との狭間の往還が表現されている。先日のライヴで感じたように、アルトがその領域内の旅だとして、ソプラニーノは領域間を串刺しにして垂直の往還をしているようだ。ほとんどはスタジオ演奏だが、最後の演奏は宮崎の祝子川渓谷で収録されており、水や風の音と山内桂のソプラニーノとが世界を共有している。
『祝子』には驚いた。その祝子川渓谷において、ソプラニーノ、Cメロディ、アルト、バリトンを吹き(肩まで水に浸かって吹く氏の写真があある!)、それがオーバーダブされ、アンサンブルとなっている。この自然とともにある祝祭の感覚は何なのだ。内に籠っていながら外に向かって開かれてもいる。理由がよくわからないながら、嬉しさに震えてしまった。
●山内桂
千野秀一+山内桂@Ftarri(2018年)
山内桂+中村としまる『浴湯人』(2012年)
山内桂+マーティン・ヴォウンスン『Spanien』(2010年)
山内桂+ミシェル・ドネダ『白雨』(2004年)