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Sightsong

自縄自縛日記

デイヴィッド・マレイ feat. ソール・ウィリアムズ『Blues for Memo』

2018-03-05 23:25:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

デイヴィッド・マレイ feat. ソール・ウィリアムズ『Blues for Memo』(Agate/impartmaint、2015年)を聴く。

Infinity Quartet:
David Murray (ts, bcl)
Orrin Evans (p)
Nasheet Waits (ds)
Jaribu Shadid (b)

featuring
Saul Williams (poetry, spoken word)
Craig Harris (tb) (4, 5, 6, 9)
Pervis Evans (vo) (8, 10, 12)
Jason Moran (fender rhodes) (4, 6)
Aytac Dogan (kanun) (4)
Mingus Murray (g) (6)

デイヴィッド・マレイは一時代を築いた天才だし、ライヴの凄みは身をもって体感したし、大好きなアルバムも多いし、テナーの少し外れた音もバスクラがフレーズに戻ってぴたりとキメるところも最高だし。

というわけでマレイがどんなにdisられても擁護していたのだが、やはりもはや味おじさんとなってここが限界であることは否定できない。いやブロウは相変わらずカッチョいいのだが、もう残念ながら爆発力や突破力はない。何だか悲しくなってきた。息子のミンガス・マレイなんて大したことないのに縁故で参加させたりして(ビッグバンドでの来日時もそうだった)。もー。

それはそれとして、オリン・エヴァンスは良い。一音一音が重くてブルージーで、もっと評価されるべきである。

●デイヴィッド・マレイ
デイヴィッド・マレイ+ジェリ・アレン+テリ・リン・キャリントン『Perfection』(2015年)
デイヴィッド・マレイ・ビッグ・バンド featuring メイシー・グレイ@ブルーノート東京(2013年)
デイヴィッド・マレイ『Be My Monster Love』、『Rendezvous Suite』(2012、2009年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
ワールド・サキソフォン・カルテット『Yes We Can』(2009年)
デイヴィッド・マレイの映像『Saxophone Man』(2008、2010年)
デイヴィッド・マレイ『Live at the Edinburgh Jazz Festival』(2008年) 
デイヴィッド・マレイの映像『Live in Berlin』(2007年)
マル・ウォルドロン最後の録音 デイヴィッド・マレイとのデュオ『Silence』(2001年)
デイヴィッド・マレイのグレイトフル・デッド集(1996年)
デイヴィッド・マレイの映像『Live at the Village Vanguard』(1996年)
ジョルジュ・アルヴァニタス+デイヴィッド・マレイ『Tea for Two』(1990年)
デイヴィッド・マレイ『Special Quartet』(1990年)
デイヴィッド・マレイ『Live at the Lower Manhattan Ocean Club』(1977年)

●オリン・エヴァンス
オリン・エヴァンス+エリック・レヴィス@新宿ピットイン(2016年)
オリン・エヴァンスのCaptain Black Big Band @Smoke(2015年)
オリン・エヴァンス『The Evolution of Oneself』(2014年)
オリン・エヴァンス『"... It Was Beauty"』(2013年)
タールベイビー『Ballad of Sam Langford』(2013年)
ウェイン・エスコフェリー『Live at Firehouse 12』(2013年)


「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」@東京国立博物館

2018-03-05 22:16:06 | 中東・アフリカ

上野の東京国立博物館にて、「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」展。

特別協賛がサウジアラムコ、協賛が昭和シェル石油と住友化学と、サウジに関係する企業。そして多くの作品はサウジアラビア国立博物館の収蔵品。そりゃあ国立博物館の展示はたいへんなものだから、上野でそこまでの物量と迫力は望めない。しかし、歴史をきれいに整理してエッセンスを見せてくれるという点ではとても面白かった。

どうしても興味は歴史上の大きなエポックに関連したものになってしまう。すなわちイスラームの勃興、オスマン朝、サウード家による近現代の支配。しかし先史時代も、ヘレニズム・ローマ時代も、ここは交易の地であり、そのために栄えたわけでもあったのだ。ローマのリアルな彫刻を目の当たりにすると、あらためて驚いてしまう。

面白かったのは、(国立博物館でも引っ掛かったことだが)イエメンなどでまだ使われている折れ曲がった刀・ジャンビアが、サウジの文化にもあったこと。いま確認したら、リヤドであっと思い撮った写真と、今回撮った写真と、同じ刀を狙っていて、笑ってしまった。

今回の展示(19世紀)

リヤドで観た展示

そして銅のペンケース。中には竹のペンを収納する。とてもオシャレで、これを真似した製品が出たら買ってしまうぞ。見覚えがあったのだが、これは、テヘランのゴレスターン宮殿内の展示で見たものと同じである。ハコは何だろうと思っていたのだが、インク壺だった。

今回の展示(19世紀)

 
テヘランで見た展示

●参照
リヤドの国立博物館
ドーハの村上隆展とイスラム芸術博物館
テヘランのゴレスターン宮殿
ジョン・フィルビー『サウジ・アラビア王朝史』
イリヤ・トロヤノフ『世界収集家』 リチャード・バートンの伝記小説


高島正志+河野円+徳永将豪+竹下勇馬@Ftarri

2018-03-05 00:35:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2018/3/4)。

高島正志 (ds, G.I.T.M.)
河野円 (cassette tape recorder)
徳永将豪 (as)
竹下勇馬 (b)

ファーストセットは25分の作曲作品(実際にはもう少し押した)。楽譜は全員異なっていて、左上にいくつかのキーワード、そして時間の流れとともに様々な図や文字。それは演奏者の解釈に少なからず委ねられており、誤差も許容する旨を明記したものだった。各人は楽譜を睨みつつ自己を律しながらも、思考とともに自由に音を発する。その音域は重なるところが多く、音が主体を互いに交換することも多かったように思われた。それは偶然であり意図的でもあっただろう。その中から個々の音がときに抜け出してくる面白さがあった。

偶然のコントロールという点でいえば、河野さんは複数のカセットテープでフィードバックを発生させながらそれを制御してもいて、集団のなかでトポグラフィックだった。また、他が連続的な音を出す一方で、高島さんはパルスをその偶然と管理との狭間で発し続け、時間を前に押し進める役割を果たした。

セカンドセットは30分ほどのインプロ。徳永さんのアルトはファーストセットと同様に、周囲との融合と、異物としての突出との両極を往還する。これは周囲からの音を身体に通過させ、人力でのフィードバックを行うものとも言えるように感じられた。竹下さんのベースのギミックは手段であると同時に目的でもあって、それが発散を手元にたぐりよせるものでもあった。なおふたつの回転するスピーカーが、低音以外の音をぶん撒くことによって、サウンドの停滞を許さない効果があって面白かった。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●徳永将豪
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+徳永将豪+増渕顕史+中村ゆい@Ftarri(2017年)
Shield Reflection@Ftarri(2017年)
窓 vol.2@祖師ヶ谷大蔵カフェムリウイ(2017年)
徳永将豪『Bwoouunn: Fleeting Excitement』(2016、17年)
徳永将豪+中村ゆい+浦裕幸@Ftarri
(2017年)

●竹下勇馬
TUMO featuring 熊坂路得子@Bar Isshee(2017年)
竹下勇馬+中村としまる『Occurrence, Differentiation』(2017年)
二コラ・ハイン+ヨシュア・ヴァイツェル+アルフレート・23・ハルト+竹下勇馬@Bar Isshee(2017年)
『《《》》 / Relay』(2015年)
『《《》》』(metsu)(2014年)