Sightsong

自縄自縛日記

クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+徳永将豪+増渕顕史+中村ゆい@Ftarri

2017-10-17 22:04:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2017/10/15)において注目のギグ。

 

Craig Pedersen (tp)
Elizabeth Millar (cl)
Masahide Tokunaga 徳永将豪 (as)
Takashi Masubuchi 増渕顕史 (g)
Yui Nakamura 中村ゆい (voice)

旅するカナダの即興演奏家のふたりも、3か月の日本滞在の終盤を迎えた。新宿ピットインでたまたま隣の客席に居合わせてから、どんどん東京のハコに馴染んでいるようにみえる。そしてこの日は、北京の即興演奏家のふたりが観に来ており、無数の神経細胞のいくつかがつながるひとコマに立ち会ったような気がした。

ファーストセット、徳永+ペデルセン+増渕。はじめは抑制という制度が暗黙のうちに制定される。3人ともに慎重に音を出し、広がりの種を探すようだ。ペデルセンはマイクに直接トランペットをかぶせ、最初から打開点の数々を提示する。静かなうちに息遣いが増幅され、やがて、徳永・ペデルセンともにその音の周波数は複数となり、多声として共存してゆく。

セカンドセット、ミラー+中村。ミラーは分解したクラリネットの一部を使い、まるで砂嵐のような音を発する。中村ゆいのヴォイスはホワイトノイズのようにも聴こえる。ミラーさんはクラの連結部をきゅっきゅっと鳴らし、次に喉と口蓋内のふたつをグロウルすることにより、クラを介したうなりへとシフトする。中村さんも呼応してうなりへと移行、しかし、体躯を折り曲げて出ない音を出す。そしてミラーさんはクラのキーを叩き、その木質の音を増幅させた。

サードセット、全員。足し算のようにシンクロするサウンドから、やがて、ひとりひとりの糸が縒り合されて分割し、並行する流れが創出されてゆく。それは分割ではあっても相互に響きあうものだった。ペデルセンさんは高周波を出すためにマウスピースを交換し、ピストンを分解してはまた戻し、音叉をトランペットでさらに共鳴させた。金属を細く削り尖らせたような増渕さんのギターのみが、連続的でない音を発し、その線香花火が、物語とただ流れる時間との間を往還しているように感じられた。そして徳永さんのアルトはひとりであるとともに共振的でもあり、他の多様性を前にしていかに抑制しいかに発散を自身に許すか、そのせめぎあいのようにもみえた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●徳永将豪
Shield Reflection@Ftarri(2017年)
窓 vol.2@祖師ヶ谷大蔵カフェムリウイ(2017年)
徳永将豪『Bwoouunn: Fleeting Excitement』(2016、17年)
徳永将豪+中村ゆい+浦裕幸@Ftarri
(2017年)

●クレイグ・ペデルセン、エリザベス・ミラー
クレイグ・ペデルセン+中村としまる@Ftarri(2017年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
クレイグ・ペデルセン、エリザベス・ミラーの3枚(2016-17年) 

●増渕顕史
杉本拓+増渕顕史@東北沢OTOOTO(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)

●中村ゆい
徳永将豪+中村ゆい+浦裕幸@Ftarri(2017年)


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