山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

ヒメハギ(姫萩)

2016-04-17 16:23:24 | 双子葉離弁花

ヒメハギは春に山地の明るい場所で見られる多年草で、和名は秋に咲くハギの花に似て、全体が

小さいことに由来します。

分類上ではマメ科ハギ属ではなく、ヒメハギ科ヒメハギ属になり、他にカキノハグサ、ヒナノキンチャク

などがこの仲間に入ります。

大きさや色がこの時期に咲くスミレに似ているので見逃してしまいそうですが、近くで見るこの花の

かなり風変わりな形が私たちの興味をそそります。

ヒメハギ <ヒメハギ科 ヒメハギ属> 多年草 

蝶の翅のように左右に広がっているのは側愕片、その内側に小さい愕が3枚あります。

花弁は3枚あり、基部は合着して筒状になっていますが、そのうちの1枚には竜骨弁と呼ばれる

髭状の付属体があります。

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カテンソウ(花点草)~林下に咲く超地味花

2016-04-10 18:01:13 | 双子葉離弁花

カテンソウは比較的明るい低山の林縁や竹林など、少し湿った土壌に群生するイラクサ科の多年草。

草丈は10~30㎝で、葉は1.5~4cmとイラクサ科の植物としてはかなり小さく、葉の形がシソ科の

カキドオシに似ていることから、別名でヒシバカキドオシ(菱葉籬通)ともよばれています。

 

イラクサ科の花期は概ね7~9月ですが、本種は4~5月に上部の葉脇から3~5本の花柄を出し、2.5㎜

ほどの極めて小さな雄花をかためて付けます。

花粉の媒介を昆虫に頼らなくてもよい風媒花で、昆虫を誘うような花弁や蜜はありません。

雌花は上部の葉の付け根にかたまって付きますが、さらに小さな花で、およそ1.5㎜ほどです。

和名の漢字表記は「花点草」、由来は花が点のように小さいからだそうですが、詳しくは不明です。

カテンソウ <イラクサ科 カテンソウ属> 多年草 雌雄同株 

赤く見えているのは雄花の蕾、白く見えているのは蕾が開いた状態です

開いた状態の雄花、花被片と雄蕊は5個で花弁はありません

上部の葉の付け根につく雌花には花柄はなく、花被片は4個だそうですが確認が困難です。

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シロバナサクラタデ(白花桜蓼)

2015-09-18 11:56:25 | 双子葉離弁花

シロバナサクラタデは、水田や農業用水路沿いの湿った場所に生えるタデ科の多年草です。

近似種のサクラタデによく似ていますが、サクラタデに比べ細く華奢な感じの花茎に、いく分小ぶりの

白い花を密に付けます。

優しい淡紅色のサクラタデの魅力は、何と言っても”タデ科の女王”などとよばれる華やかさですが

このシロバナサクラタデの優雅で清楚な雰囲気・・・これもまた捨てがたいですね。

 

シロバナサクラタデ <タデ科 イヌタデ属> 雌雄異株・多年草

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クズ(葛)

2015-09-14 10:08:28 | 双子葉離弁花

秋の七草のひとつ、クズの花が咲き始めた。

木津川河川敷の植物群落の中で、最も大きな地位を占めてきたのはこの植物だろう。

しかし近年、その地位は徐々に侵入してきた特定外来種アレチウリに脅かされているようだ。

 

和名の「葛」は大和(奈良)の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。 

クズの根は太く、多量の澱粉を含んでいて葛粉が採れ、食用にするほか、薬用にも使われる。

風邪で喉を傷めた時に葛湯を飲むと、痛みが緩和されるという。

但し、薬効が期待できるのは、あくまで吉野葛などの本葛でのこと。 

一般的に葛粉(またはカタクリ粉)と称して市場に出回っているものの大半は、ジャガイモなどの

澱粉が主原料となっている。

ジャガイモの澱粉には体の芯を冷やす働きがあるようだ。。

クズ <マメ科 クズ属> 蔓性多年草

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シロバナタンポポ(白花蒲公英)

2015-03-31 17:10:30 | 双子葉離弁花

最近では見ることの少なくなったシロバナタンポポですが、城陽市内の建築廃材置き場に隣接する

荒地で見つけました。

現在、日本に生えているタンポポの多くは、明治時代に渡来した、ヨーロッパ原産の外来種である

セイヨウタンポポですが、シロバナタンポポは数少ない在来種のタンポポで、元来、日本でタンポポと

言えばこの白い花のタンポポを指していたようです。

 

明治時代に渡来したセイヨウタンポポは、染色体が3セット(3n)で、正常な減数分裂ができないため

単為生殖で種子を造ります。

このような生殖方法は、遺伝子交換によるは新たな発展、進化は期待でませんが、生殖のために

パートナーを必要としないため、効率的に種子を造り、環境条件さえ合えば爆発的な繁栄をとげることが

できます。セイヨウタンポポが日本の「タンポポ戦争」で圧倒的な勝利を収めたのには、優れた環境順応性と

単為生殖が有利に働いていたと思われます。

 

これに対して、カンサイタンポポなどの在来種の多くのタンポポは染色体が2セット(2n)で、生殖には

減数分裂で配偶子(花粉)を造り、受粉によって他の株と遺伝子交換を行う必要があります。

つまり、近隣に生殖のパートナーを持つことが必要不可欠なわけです。

 

因みに、このシロバナタンポポは5セット(5n)の染色体をもち、在来種では珍しく単為生殖によって

種子を造ることができます。ただし、環境への順応性という点ではセイヨウタンポポに劣っているのか

城陽市内でも、ごく限られた場所でしか見られないようです。

シロバナタンポポ <キク科 タンポポ属> 

 

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ユキワリイチゲ(雪割一華)

2015-03-24 11:42:20 | 双子葉離弁花

ユキワリイチゲはイチリンソウの仲間で、城陽市内では早春に高塚林道の道沿いなどで見られますが

種を付けて拡散するタイプではないのか、あまり広がりをみせていないようです。

陽光を受けると開花しますが、花弁のように見えているのは花弁状の愕片です。

ユキワリイチゲ<キンポウゲ科 イチリンソウ属>  多年草

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アキニレ(秋楡)

2014-10-29 17:33:32 | 双子葉離弁花

落葉高木にしては葉の長さが3~5cmと比較的小さいのは乾燥への備えと思われます。

楡の木にはハルニレとアキニレがあり、西日本で見られる楡のほとんどがこのアキニレです。

ハルニレは4~5月に花が咲き、種子が熟するのは6月頃ですが、アキニレは9月頃に花が

咲き、種子の熟するのは11月頃になります。

アキニレ

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サネカズラ(実葛)

2014-10-26 17:50:05 | 双子葉離弁花

サネカズラはモクレン科の蔓性常緑樹で、山地の林縁で低木に絡まって生えているのをよく見かけます。

蔓性植物ですが、低木に巻き付いているという感じではなく、どちらかというと寄り添っているような

感じで、宿主の植物にそれほど負担をかけていないようです。

別名のビナンカズラ(美男葛)は、果実の美しさからではなく、葉や茎に多く含まれる粘液が

男性の整髪料として用いられていたことに由来します。

サネカズラ

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サクラタデ(桜蓼)

2014-10-16 12:48:54 | 双子葉離弁花

蓼の女王と呼ばれていますが、確かに小さい花ながら華やかさに満ちています。

花の大きさはタデ科の中では大きい方ですが、それでも 6~8㍉程度といったところでしょうか。

雌雄異株で、花には雄花と雌花があるそうです

見たところ両性花のように、雌蕊と雄蕊の両方が完備しているように見えるのですが・・・

じっくり観察してみる必要がありそうです。

サクラタデ <タデ科 タデ属> 雌雄異株 多年草

サクラタデ















サクラタデ

 

 













サクラタデ














画角にチャバネセセリが飛びこんできました。 昆虫達にも人気がありそうです。
サクラタデ
















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イシミカワ(石実皮)

2014-10-14 12:19:54 | 双子葉離弁花

河原や道端の草むらに生える、タデ科の1年草です。

タイトルでは「石実皮」としましたが、石のように見える皮と解釈すれば「石見皮」かもしれません。

イシミカワの花には花冠がなく、花期には萼片も緑色であまり目立ちませんが、実の時期に入ると

萼片は淡い赤紫色から藍色の肉質になっていくので、一つの花序の中に様々な色が入り混じり

我々の目を楽しませてくれます。

イシミカワ <タデ科 イヌタデ属>  一年草

イシミカワ

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ノアズキ(野小豆)

2014-09-20 09:56:55 | 双子葉離弁花

日当たりの良い野原に生える蔓性の多年草です。

左右非対称の花が、アズキの花に似ていることから、ノアズキと呼ばれています。

現在、食用にされているアズキ(小豆)の原種はヤブツルアズキで、分類上アズキ属ですが、

このノアズキはノアズキ属で、全く別系統のマメ科植物と考えられています。

花の大きさは2㌢弱、右捲きにねじれた竜骨弁に、他のマメ科とは一味ちがった

個性的なものを感じます。

ノアズキ <マメ科 ノアズキ属> 蔓性多年草 別名ヒメクズ

ノアズキ















ノアズキ





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シナノキンバイ & ミヤマキンポウゲ

2014-08-12 22:03:39 | 双子葉離弁花

樹林帯を過ぎて少し湿り気のある草原に出ると、黄色いキンポウゲ科の花の群落が

目立つようになってきます。

何れも似たような黄色い花で、同定には苦労しますが、その中でも比較的よく見られる

シナノキンバイ(信濃金梅)ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)を見比べてみます。

尚、これらはキンポウゲ科ですので、黄色い花弁のように見えているのは全て萼片であって、

花弁はありません。

 シナノキンバイ <キンポウゲ科 キンバイソウ属> 多年草

花の径は3~4㌢程ですが、この種の花としては大きくて立派です。葉は掌状で5裂し

裂片はさらに細かく裂けています。

シナノキンバイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミヤマキンポウゲ <キンポウゲ科 キンポウゲ属> 多年草

花の径は約2㌢と、シナノキンバイに比べると小さく、萼片は丸く光沢があり、平地で見られる

ウマノアシガタに似た雰囲気です。葉は深く3裂し、裂片はさらに細かく裂けています。

シナノキンバイに比べると裂片が細いのも見分けるポイントのひとつ。

ミヤマキンポウゲ

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クサボタン(草牡丹)

2014-08-08 18:36:05 | 双子葉離弁花

これも梓川沿いの遊歩道脇に咲いていたものですが、キンポウゲ科センニンソウ属で

クサボタンという植物です。

和名は漢字で書くと「草牡丹」ですが、この花の形からは、「オイ、これの何処がいったい牡丹なんだ」と

言われてしまいそうですが、実は、似ているのは、花ではなく葉の方だそうです。

 

花は地味な淡紫色で、2㌢前後の小さな花ですが、近付いて見ると先端はパーマをかけた

女性の髪形を連想させるように、開花するに従って外側にカールしているのが判ります。

ところで、この植物はキンポウゲ科ですが、キンポウゲ科のほとんどの花には花弁がありません。

実はこのカールしている花筒も、花弁状に萼が変化したものです。

 

茎は下部から中間にかけて、木本か草本か判らないほど木質化していますが、上部では

木質化していないところから、多年生草本(多年草)とされています。

クサボタン <キンポウゲ科 センニンソウ属> 多年草 

クサボタン

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センジュガンピ(千手岩菲)

2014-08-07 22:17:39 | 双子葉離弁花

上高地から徳沢に向かう梓川沿いの道で見付けたナデシコに似た白い花です。

茎はカワラナデシコと比べると、少し頼りない感じで、他の植物に寄りかかっているか、

または地面に倒れています。

 この時点では名前が判らず、家に帰ってから「日本の野草」(山と渓谷社刊)で調べた結果

ナデシコ科センノウ属のセンジュガンピと判りました。

分布は中部以北となっているので、関西地方で見る機会はなさそうです。

和名は漢字で「千手岩菲」となりますが、千手は栃木県の千手ケ浜で最初に発見された

ことからで、岩菲は中国原産のナデシコ科草本、ガンピセンノウ(岩菲仙翁)からの引用であって、

古い時代に和紙の原料として使われていたジンチョウゲ科のガンピ(雁皮)ではありません。

センジュガンピ <ナデシコ科 センノウ属>  多年草 

茎は柔らかくて枝分かれし、高さは30~40㌢ほど、花は径2㌢ほどですが

純白の花は少し暗い林下でもよく目立ちます。 

センジュガンピ

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オタカラコウ(雄宝香)

2014-08-07 09:16:00 | 双子葉離弁花

8月3日~4日には高気圧が大きく張り出し、晴れの日が続くという天気予報を真に受けて

蝶ケ岳に行ってきました。

結果、天候は大きく外れて雨交じりの霧といった天候でした。

やはり、台風が日本列島に近付く時には山行を見送るのが賢明だったようで・・・ 

幸いにも土砂降りの雨に逢うことも無く、樹林帯を通る登山道では快適とまでは言えないまでも

雨をそれほど気にせず花を楽しみながら歩くことができました。

しかし私の淡い期待も空しく、頂上付近は深いガスに覆われて展望はほばゼロ・・・

登頂の証拠写真?は撮りましたがここでのアップはやめときます。

 

そんな訳で、今日からは登山道で出逢った花などを順次アップしていきたいと思います。

先ずは上高地から徳沢に向かう梓川沿いの道に咲いていたオタカラコウから。

亜高山帯~高山の川や沢沿いの湿地帯に生えるキク科の多年草です。

和名は漢字で書くと「雄宝香」で、宝香は防虫剤などに使われる竜脳香に香りが似ている

ことと、近似種のメタカラコウ(雌宝香)との対比で全体に大きいことから雄宝香と呼ばれます。

同じキク科のフキに似た格好をしているので、ツワブキなどのように食べられるのではとの

興味が湧きますが、これが実は食べられるんです。

韓国では春野菜として市場に出回り、、豚バラ肉、テンジャン(味噌)などを混ぜ合わせて

炒めるのが一般的な食べ方のようです。

但し、この上高地一帯を含む中部山岳国立公園での動植物の採取は禁止されていますので

くれぐれもお間違いのないように

 オタカラコウ <キク科 メタカラコウ属> 多年草 

オタカラコウ

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