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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

幻の中華街から引き継がれた逸品 立川『陳建一麻婆豆腐店』

2021年08月12日 | スイーツ、おやつ
私の地元立川市には、『グランデュオ立川』という駅直結のビルがある。
オープンしたのが1999年で、当初は「立川中華街」と呼ばれたフロアがあった。
 (C)グランデュオ立川

要するに、中華料理店ばかりのレストラン街で、フロア全体も中華風の装飾が施され、
中華の食材や雑貨を扱うお店や、ちょい怪しげな中華風占術(?)のコーナーもあったはず。
開業当初は、バカなTVや雑誌が、「横浜の中華街にも匹敵」などと報じていたが、
横浜の方々だけでなく、地元住民ですら「そんなワケねーだろ!」とツッコんだものだった。
肝心の料理は、大半のお店が高くはないが安くもなく、マズくはないがウマくもなく、
際立った特徴がなく、接客は当然よろしくなかったため(←安定の立川クオリティ)、
21世紀に入ると私は利用しなくなり、気付いたら立川中華街はなくなっていた。

現在のグランデュオ立川には、「ごちそうダイニング」という名称のレストラン街があり、中華料理店が3つある。
その中のひとつが、今回のテーマである『陳建一麻婆豆腐店』
他の2店は知らないが、こちらのお店は立川中華街時代から存在し、人気を誇っていたお店で、
中華街滅亡後も、同じフロア内で営業を続け、連日多くのお客さんで賑わっている。
調べたところ、支店が全国に5店舗あるようだが、最初の開業は立川店であった。

屋号からおわかりだろうが、こちらは中華の鉄人でおなじみ、陳建一さんが手掛ける麻婆豆腐のお店。
単なる名義貸しではなく、レシピを考案したようなことが、かつてのお店メニューに記してあった。
オープン当初は、「日本初の麻婆豆腐専門店」とアピールしており、
専門店らしく料理のメニューも、「麻婆豆腐セット」「ザーサイ」「杏仁豆腐」の3種しかなかった。
なので当時は、着席した途端、「麻婆豆腐セットでよろしいですね」と確認されたものである。
その麻婆豆腐セットは、当初の価格が1000円、22年たった今は1200円。
メインの麻婆に、ご飯、スープ、ザーサイ、追加用の調味料(後述)が付いてくる。


丼や茶わんではなく、平皿に盛られたご飯に、カレーライスのように麻婆をかけて食べる。
ご飯はお替わり自由(現在はスープも)だったので、私は毎回、3皿は食べていた。
お店の看板商品である麻婆豆腐は、なかなかの辛口。ご飯が欲しくなるワケだ。


唐辛子由来のヒリヒリする辛さではなく、それまでに経験のなかった痺れる辛さ。
その要因が山椒(花椒)にあると、これもお店のメニューで説明してあり、
さらに刺激を求める客のために、追加用の香り山椒としびれ山椒、四川唐辛子が小皿で提供されていた。
現在は小皿ではなく、小瓶に入ったものが卓上に置かれている。


20世紀末期はまだ、麻辣(マーラー)なんて概念が世間に知れ渡っておらず、
麻婆豆腐自体、「丸美屋」や「マボちゃん」などで作るものしか知らない立川市民(私だけか?)にとって、
陳建一シェフ考案の麻婆豆腐は、未知との遭遇であり、オンリーワンの味であった。

そんな陳建一麻婆豆腐店だが、実は私、立川中華街と同様、21世紀は足を運んでいなかった。
今回のブログ画像はすべて、今年撮影したものだが、実に21年ぶりの入店だったのである。
ご無沙汰してしまった最大の理由は、いつも混んでいたから
コロナ禍の最近こそ待たずに入れるが、以前はほとんどの時間帯で、店頭に行列があった。
並んで食べるにしては、千円はややお高いし、ご飯がベチャベチャでウマくないなどの不満もあった。
あの頃は、お替わりさせないため、わざとマズく炊いているのか、と疑ったほどである。
久々に食べたら、ほど良い炊き具合になっておりひと安心。当然のようにお替わり。


麻婆豆腐も変わらず美味しかったし、厨房もホールも豊富に人員を確保しており、サービスも問題なし。
さすがは、移り変わりの早い立川で、20年以上営業しているだけのことはある。
メニューも増えたようなので、次回はそちらも食べてみようと思い、その日は退店。

つい最近、陳建一麻婆豆腐店に21世紀2度目の訪問。
注文したのは、新メニューとして加わっていた「エビチリセット」1600円。
+200円で「水餃子」が付けられるので、そちらもお願いした。
エビチリセットは、麻婆豆腐セットと容器こそ違うが、ご飯、スープ、ザーサイの組み合わせ。


上の画像にザーサイが写っていなかったので、あとから来た水餃子と一緒に撮影。


水餃子は「スープ」と「ゴマ」との選択で、スープにしたのだが、セットのカップスープと同じ味だった(苦笑)。
期待していたエビチリは、思ったほど辛くはなく、溶き玉子も入ったマイルドな仕上がり。


ビールなどのお酒と合いそうなタイプではあるが、麻婆豆腐ほどはご飯が進まず。
それでも、水餃子を浸して食べたりして、「ご飯お替わり、さっきの半分でお願いします」と1.5杯食べた。

※水餃子はお肉主体であった

中華の鉄人・陳建一さんは、お父さんの陳建民さんも有名な料理人で、
それまで知られていなかった中華料理の数々→麻婆豆腐、エビチリ、そして私の大好きな回鍋肉などを、
日本人の口に合うようにアレンジし、家庭でも作れるおかずの一品として広めたそうだ。
こちらのお店でもいつか、ご飯が進みまくる「ホイコーローセット」を発売してもらいたいな。

ここまで、こちらの麻婆豆腐とエビチリを紹介したが、今回タイトルの「引き継がれた逸品」は、麻婆豆腐ではない。
ブログカテゴリーが、「中華食堂」ではなく「スイーツ、おやつ」だと気付いた方はおわかりだろう。
そう、私が推奨するこちらの逸品とは、スイーツの杏仁豆腐なのである。


既述したように、こちらの麻婆豆腐は、個人的には未知の味わいであったが、
デザートの「ぷるぷる杏仁豆腐」(正式名)も、予想外のビジュアルかつ美味で、さらに衝撃を覚えたものである。

今から20年以上前の杏仁豆腐は、白い寒天みたいなものが、フルーツと一緒にシロップ漬けで提供される、
下記画像のような「フルーツポンチ」に似たものが一般的だった。フルーツポンチって、もはや死語かな?


その白い寒天には、サクランボや「ドクターペッパー」のような、不思議な香りがついていたが、
その正体は杏仁=アンズのタネの中身で、杏仁豆腐独特の芳香を出すそうだ。
陳建一さんがレシピを考案したとされる、こちらの杏仁豆腐は、
フルーツポンチタイプではなく、プリンやヨーグルトのような形状で提供された。
適度な甘さのシロップが少々かかり、真っ白ではなく、ベージュがかった色の杏仁豆腐は、
とろけるようになめらかで、華やかな杏仁の香りが口内に広がる。


辛く痺れる麻婆豆腐を食べたあとの口直しにも最適な、素晴らしいデザートであった。

感激するほど気に入った私は、その後もこちらのお店を訪問するたび、杏仁豆腐は欠かさず頼んだ。
価格は当時が300円で現在は375円。麻婆豆腐と合わせると、ランチにしては高額になるため、
ある日の私は、店員さんの「麻婆豆腐セットでよろしいですね」という、いつもの問いかけに、
「いや、杏仁豆腐の単品、以上で」と返答し、杏仁豆腐だけを食べて帰ったことがある。
麻婆豆腐セットの用意をしていた、厨房の職人がムッとしたのを見逃さなかった。
その次の訪問時は、ムッとされないよう、杏仁豆腐だけでなく麻婆豆腐セットもオーダー。
ただし、「杏仁豆腐は2個でお願いします」とダブルで注文したところ、
店員さんや周囲の客に、「なんだか気持ち悪い客」認定されたような気がした。
自意識過剰かもしれないが、その日以降はなんとなく通いづらくなり、21年間ご無沙汰したわけである。

そして今回、エビチリセットを食べ終わった際、久しぶりに杏仁ダブルとご対面。


エビチリセットには、+200円の水餃子と同様、杏仁豆腐も+100円で追加できる。
なので「追加100円杏仁」に、さらに「定価375円杏仁」も頼んでみたのだ。
何べん食べても美味しく、何べん食べても飽きることがなく。2個どころか5個くらいまとめて食べたい。
陳建一杏仁豆腐は私にとって、最高の中華デザートである。
こちらでは、昔から麻婆豆腐のテイクアウトはあるが、杏仁豆腐はやっていないのが残念だ。

さっきも書いたが、「麻辣」タイプのカラシビ麻婆豆腐が珍しくなくなったのと同様に、
とろけるタイプの杏仁豆腐も、今ではすっかりメジャーになり、コンビニなどでも買えるようになった。
なので、若い世代の方が陳建一麻婆豆腐店で食事をしても、感激は薄いかもしれないが、
私自身は、「立川中華街」の存在は忘れても(笑)、こちらの「ぷるぷる杏仁豆腐」を忘れることはないだろう。



陳建一麻婆豆腐店 立川
東京都立川市柴崎町3-2-1 グランデュオ立川7F
JR立川駅直結 エレベーター次第ですぐ入れる
営業時間 11時~22時 ラストオーダーは30分前
定休日 基本なし
※現在は20時閉店、アルコール提供なし
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