数日前にここで、現在は営業していない荻窪のラーメン店について語った。
私自身は、プロレス、プロ野球、競馬・競輪などの過去の名選手、名プレイ、名場面について語るのが好きで、
同様に、雑誌やネットの「かつてあった飲食店」記事も喜んで読むのだが、世間の方はそうでもないようで(苦笑)。
知人からも、「今行ける店を教えてくれ」と指摘されたことだし、今回は、同じ荻窪でも現在営業中の『萬龍軒』を紹介。
お店の場所は、駅北口から出てすぐの北口駅前通商店街内にあり、斜め前には『らーめん鳥繁』があった。

こちらのお店は、この前の冒頭で触れた、御三家と称される『丸信』、『丸福』、『春木屋』ほど有名ではないだろうが、
今年で開業から53年と、ラーメンの街・荻窪で長年支持を集めている、隠れた名店だったりする。
お店の存在は知っていたが、飲んだ帰りに店の前を通ると、既に閉店時間を過ぎていたし、
ラーメン本などでも取り上げられた記憶がなかったため(取材拒否してるのかな?)、入ることがないまま数十年。
今年、たまたま早く飲み屋を出た帰りに、お店の前を通ったらまだ営業中で、
さらに店頭右側、メニュー画像が提示してある看板の「半チャンラーメン」700円が気になったので、入ってみた。

※左側の下から2番目
店内はL字カウンター席のみ。そこそこお客さんが入っており、空いていたイスに着席。
温厚そうなお父さんのワンオペで、忙しそうだったので、お冷の提供と同時に半チャンラーメンを注文。
ついでに、卓上にあったメニューも掲載。こちらは麺の部。「ラーメン」550円は、今の時代ではずいぶん安い。

余談だが、「麺」という字は中国では、小麦粉で作る商品という意味らしいので、餃子も麺類の一種なのである。
裏側はご飯、セット、のみもの。さっきの御三家は、ご飯ものやお得なセットは置いてないはず。

ブログカテゴリーは迷ったが、御三家のようなラーメン専門店ではないので、「中華食堂」扱いにした。
しばらくすると、ラーメンが登場。醤油スープの正統派だ。

いつものように横アングルも撮影。価格は安いけど、丼はやや大きめ。

具材はチャーシュー、メンマ、モヤシにノリとネギで、麺はやや縮れた中太麺。

ラーメンを少し食べたところで、半チャーハンも完成したので、揃ったところを撮影。

一般的な半チャーハンより、私の基準ではやや多め、7割くらいかな。

具材はチャーシュー、玉子、ネギとシンプルだが、味付けはなかなか濃い。

ちなみに、ラーメンも結構しょっぱく(笑)、酔っていたのでウマく感じたが、シラフだとしんどいかも。
参考までに、荻窪ラーメン御三家の単品ラーメンは現在、丸信850円、丸福800円、春木屋950円らしい。
ちょうど前回、「全チャン(というか大盛)とラーメン」で500円という、八王子『萬友亭』を紹介した直後ゆえタイミングが悪いが、
ラーメン千円時代を迎えつつある現代において、半チャンラーメン700円はかなりお得。
ただ、前回も繰り返したように、萬友亭は新規客を拒む営業方針だが、萬龍軒さんは当然、どなたでも入店OKである。
スープは少し残したが、他は全部たいらげ、丼のお店ロゴを記念撮影して退散。

隣席では、常連らしい若者客が楽しそうに飲んでいたし、お父さん店主の対応もよかったので、次回は私も飲ませてもらおうと決意。
数日後、夜営業の開店直後に訪問し、まずは「ビンビール」620円をオーダー。
まずアサヒの中瓶が出てきて、その後、冷水を注いで冷やしたコップ、さらにお通しのもやしサラダの順で登場。

おツマミとして、大好物の「餃子」400円と、「ワンタン」550円をお願いした。
注文後、店主がワンタンを包み始める。作り置きをしていないとは、期待が高まる。
その後、茹でたワンタンをスープに投入し、ラーメンと同じ具材を盛り付けて完成。

続いて、餃子も焼き上がった。自家製らしい、やや不揃いの縦長サイズが6個。

包みたてのワンタンには、もちろんお肉が入っている。サイズがわかるよう、餃子と並べてみた。

ワンタンは計11個入っており、メンマやチャーシューも、いいおツマミになる。

一方、餃子のアンは、お肉多めだがしつこくなく、自然な旨味が口内にあふれる、なかなか美味しい餃子である

ビールはすぐに飲み終えたが、私はアサヒがあまり好きではないので、追加するか迷っていたところ、
キリンやサッポロもある(ただし、日による)そうなので、大好きなキリンをお替わり。

「ラベルが剥がれててすみません」と謝罪してくれた、店主の誠実さが心を打つ。中身は一緒だし全然気にしないけどね。
瓶ビールの栓抜きは、下から引っこ抜くのが普通だが、ここの店主は、フタに栓抜きを引っ掛けて、持つところを上からポン、と叩いて開ける。
この一連の動作が、なかなか格好いいので、また見たくなって、このあとキリンをさらに追加。
ビールを3本飲んで酔ってきたし、ワンタンと餃子、さらにワンタンのスープで満腹になってきたので、シメは頼まず退散。
3度目の訪問では、最初にビンビールを頼んだら、キリン好きなのを覚えていてくれて感謝。

※お通しは枝豆だった
この日のアテは、「チャーシュウメンマのおつまみ(小)」350円に、「味付玉子」100円を乗せてもらった。

チャーシュー&メンマの上にはネギ、下には、たっぶりの千切りキャベツが敷かれ、醤油ラーメンのタレがかかっている。

前回学んだので、この日はビールは2本で止めておき、シメの食事として「味噌ラーメン」700円を選択。
出てきた味噌ラーメンがこちら。「キュウリが入るのは珍しいでしょ」(店主談)。

具材はチャーシューとメンマに、モヤシとキュウリにネギ。ついでに、おつまみの残り=味玉半分とチャーシュー1枚も加えた。

「神州一味噌」(を使っていた)ベースの味噌スープは、醤油ラーメンほどしょっぱくなく、マイルドな印象。
麺は、ラーメンのよりも太く平べったく感じたが、店主曰く「他の麺類と一緒だよ」とのこと。

あとから、「そういえば、今回の麺は少し太いかも」と訂正していたが、季節によって太さを変えるよう、製麺所にお願いしているのかな。
いずれにしても、味噌スープに絡んだ麺が美味しくて、すぐに食べ終えてしまった。きっと、「つけ麺 味噌」もウマいはずだ。
この日は、店主といろいろ会話させていただき、冒頭で記した「今年で開業53年目」や、「生まれが長野県」であることなどを教えてもらった。
蕎麦の名産地である長野県だが、有名な東池袋店の山岸さんを含む、丸長・大勝軒グルーブの創始者たちや、
先日前後編で紹介した『高社楼』の店主兄弟など、出身者が東京のラーメン店でも成功しているのが面白い。
全体的に安価な理由を質問したところ、「家賃もかからないし、そんなに儲ける気もないからね。そりゃあ、原価とかも上がっているけど、
お客さんに最後のサービス、ということで」。と笑顔で語る店主だが、「最後の」というワードが気になり、たずねてみると、
「(お店がある)この辺は区画整理で、もうすぐ立ち退きになるんだ」。えっ!?
い、いつ頃ですか…という私の問いに、「たぶん、営業できるのは年内いっぱい」。えええっ!?
同じ通路にあり人気を博していた、らーめん鳥繁さんの閉業も、それが理由だったのか。
新しくできる施設に入れるかもしれないが、「家賃がかかるだろうし、年齢的にも、この辺が辞め時かなあ、ってね」。
実年齢よりはだいぶ若く見える店主だが、我々客側が、無理強いすることはできない。
「今後もできるだけ通います!」と宣言し、この日はお店をあとにした。
そしてつい先日、早めに飲み屋を出て、シメを食べるために訪問。
注文したのは「どん玉」800円。こちらの名物メニューである、肉野菜をご飯に乗せる「菜肉丼」の玉子とじバージョンだ。
店主は相変わらず快活で、「今日は飲まないの?」と話しかけてくれたが、「明日早いので…」と遠慮しておいた。
しばらくして、どん玉とスープが登場。スープの器が結構大きい。

こちらがどん玉。ラーメン丼に盛られており、並盛でもじゅうぶん満足できるボリューム。

あとから、「出すのを忘れてた(笑)」とお新香も登場。繰り返しになるが、スープの器はつけ麺のタレに使うようなデカさ。

お新香の塩分は控えめで、口直しに最適。スープはラーメンやワンタンと同じではなく、酢が入るのか酸味を感じた。
どん玉の具材は、豚肉、キャベツ、人参、玉ねぎ、ニラに玉子。甘じょっぱいタレでご飯がススム。

ガツガツとたいらげ、一気に完食。会計時には「ごちそうさまでした、また来ます」と店主に告げて退散。
今回は、「荻窪で今も営業中のラーメン店」ガイドのつもりだったのに、来年には「かつてあった店」になってしまうとは(泣)。
それでも、萬龍軒さんという素晴らしいお店と、好人物の店主に出会えたことを感謝しつつ、閉店までできる限り通うつもりだ。
萬龍軒
東京都杉並区上荻1-6-1
JR荻窪駅北口から徒歩約1分
営業時間 12時~14時、17時半~22時
定休日 日曜、祝日
私自身は、プロレス、プロ野球、競馬・競輪などの過去の名選手、名プレイ、名場面について語るのが好きで、
同様に、雑誌やネットの「かつてあった飲食店」記事も喜んで読むのだが、世間の方はそうでもないようで(苦笑)。
知人からも、「今行ける店を教えてくれ」と指摘されたことだし、今回は、同じ荻窪でも現在営業中の『萬龍軒』を紹介。
お店の場所は、駅北口から出てすぐの北口駅前通商店街内にあり、斜め前には『らーめん鳥繁』があった。

こちらのお店は、この前の冒頭で触れた、御三家と称される『丸信』、『丸福』、『春木屋』ほど有名ではないだろうが、
今年で開業から53年と、ラーメンの街・荻窪で長年支持を集めている、隠れた名店だったりする。
お店の存在は知っていたが、飲んだ帰りに店の前を通ると、既に閉店時間を過ぎていたし、
ラーメン本などでも取り上げられた記憶がなかったため(取材拒否してるのかな?)、入ることがないまま数十年。
今年、たまたま早く飲み屋を出た帰りに、お店の前を通ったらまだ営業中で、
さらに店頭右側、メニュー画像が提示してある看板の「半チャンラーメン」700円が気になったので、入ってみた。

※左側の下から2番目
店内はL字カウンター席のみ。そこそこお客さんが入っており、空いていたイスに着席。
温厚そうなお父さんのワンオペで、忙しそうだったので、お冷の提供と同時に半チャンラーメンを注文。
ついでに、卓上にあったメニューも掲載。こちらは麺の部。「ラーメン」550円は、今の時代ではずいぶん安い。

余談だが、「麺」という字は中国では、小麦粉で作る商品という意味らしいので、餃子も麺類の一種なのである。
裏側はご飯、セット、のみもの。さっきの御三家は、ご飯ものやお得なセットは置いてないはず。

ブログカテゴリーは迷ったが、御三家のようなラーメン専門店ではないので、「中華食堂」扱いにした。
しばらくすると、ラーメンが登場。醤油スープの正統派だ。

いつものように横アングルも撮影。価格は安いけど、丼はやや大きめ。

具材はチャーシュー、メンマ、モヤシにノリとネギで、麺はやや縮れた中太麺。

ラーメンを少し食べたところで、半チャーハンも完成したので、揃ったところを撮影。

一般的な半チャーハンより、私の基準ではやや多め、7割くらいかな。

具材はチャーシュー、玉子、ネギとシンプルだが、味付けはなかなか濃い。

ちなみに、ラーメンも結構しょっぱく(笑)、酔っていたのでウマく感じたが、シラフだとしんどいかも。
参考までに、荻窪ラーメン御三家の単品ラーメンは現在、丸信850円、丸福800円、春木屋950円らしい。
ちょうど前回、「全チャン(というか大盛)とラーメン」で500円という、八王子『萬友亭』を紹介した直後ゆえタイミングが悪いが、
ラーメン千円時代を迎えつつある現代において、半チャンラーメン700円はかなりお得。
ただ、前回も繰り返したように、萬友亭は新規客を拒む営業方針だが、萬龍軒さんは当然、どなたでも入店OKである。
スープは少し残したが、他は全部たいらげ、丼のお店ロゴを記念撮影して退散。

隣席では、常連らしい若者客が楽しそうに飲んでいたし、お父さん店主の対応もよかったので、次回は私も飲ませてもらおうと決意。
数日後、夜営業の開店直後に訪問し、まずは「ビンビール」620円をオーダー。
まずアサヒの中瓶が出てきて、その後、冷水を注いで冷やしたコップ、さらにお通しのもやしサラダの順で登場。

おツマミとして、大好物の「餃子」400円と、「ワンタン」550円をお願いした。
注文後、店主がワンタンを包み始める。作り置きをしていないとは、期待が高まる。
その後、茹でたワンタンをスープに投入し、ラーメンと同じ具材を盛り付けて完成。

続いて、餃子も焼き上がった。自家製らしい、やや不揃いの縦長サイズが6個。

包みたてのワンタンには、もちろんお肉が入っている。サイズがわかるよう、餃子と並べてみた。

ワンタンは計11個入っており、メンマやチャーシューも、いいおツマミになる。

一方、餃子のアンは、お肉多めだがしつこくなく、自然な旨味が口内にあふれる、なかなか美味しい餃子である

ビールはすぐに飲み終えたが、私はアサヒがあまり好きではないので、追加するか迷っていたところ、
キリンやサッポロもある(ただし、日による)そうなので、大好きなキリンをお替わり。

「ラベルが剥がれててすみません」と謝罪してくれた、店主の誠実さが心を打つ。中身は一緒だし全然気にしないけどね。
瓶ビールの栓抜きは、下から引っこ抜くのが普通だが、ここの店主は、フタに栓抜きを引っ掛けて、持つところを上からポン、と叩いて開ける。
この一連の動作が、なかなか格好いいので、また見たくなって、このあとキリンをさらに追加。
ビールを3本飲んで酔ってきたし、ワンタンと餃子、さらにワンタンのスープで満腹になってきたので、シメは頼まず退散。
3度目の訪問では、最初にビンビールを頼んだら、キリン好きなのを覚えていてくれて感謝。

※お通しは枝豆だった
この日のアテは、「チャーシュウメンマのおつまみ(小)」350円に、「味付玉子」100円を乗せてもらった。

チャーシュー&メンマの上にはネギ、下には、たっぶりの千切りキャベツが敷かれ、醤油ラーメンのタレがかかっている。

前回学んだので、この日はビールは2本で止めておき、シメの食事として「味噌ラーメン」700円を選択。
出てきた味噌ラーメンがこちら。「キュウリが入るのは珍しいでしょ」(店主談)。

具材はチャーシューとメンマに、モヤシとキュウリにネギ。ついでに、おつまみの残り=味玉半分とチャーシュー1枚も加えた。

「神州一味噌」(を使っていた)ベースの味噌スープは、醤油ラーメンほどしょっぱくなく、マイルドな印象。
麺は、ラーメンのよりも太く平べったく感じたが、店主曰く「他の麺類と一緒だよ」とのこと。

あとから、「そういえば、今回の麺は少し太いかも」と訂正していたが、季節によって太さを変えるよう、製麺所にお願いしているのかな。
いずれにしても、味噌スープに絡んだ麺が美味しくて、すぐに食べ終えてしまった。きっと、「つけ麺 味噌」もウマいはずだ。
この日は、店主といろいろ会話させていただき、冒頭で記した「今年で開業53年目」や、「生まれが長野県」であることなどを教えてもらった。
蕎麦の名産地である長野県だが、有名な東池袋店の山岸さんを含む、丸長・大勝軒グルーブの創始者たちや、
先日前後編で紹介した『高社楼』の店主兄弟など、出身者が東京のラーメン店でも成功しているのが面白い。
全体的に安価な理由を質問したところ、「家賃もかからないし、そんなに儲ける気もないからね。そりゃあ、原価とかも上がっているけど、
お客さんに最後のサービス、ということで」。と笑顔で語る店主だが、「最後の」というワードが気になり、たずねてみると、
「(お店がある)この辺は区画整理で、もうすぐ立ち退きになるんだ」。えっ!?
い、いつ頃ですか…という私の問いに、「たぶん、営業できるのは年内いっぱい」。えええっ!?
同じ通路にあり人気を博していた、らーめん鳥繁さんの閉業も、それが理由だったのか。
新しくできる施設に入れるかもしれないが、「家賃がかかるだろうし、年齢的にも、この辺が辞め時かなあ、ってね」。
実年齢よりはだいぶ若く見える店主だが、我々客側が、無理強いすることはできない。
「今後もできるだけ通います!」と宣言し、この日はお店をあとにした。
そしてつい先日、早めに飲み屋を出て、シメを食べるために訪問。
注文したのは「どん玉」800円。こちらの名物メニューである、肉野菜をご飯に乗せる「菜肉丼」の玉子とじバージョンだ。
店主は相変わらず快活で、「今日は飲まないの?」と話しかけてくれたが、「明日早いので…」と遠慮しておいた。
しばらくして、どん玉とスープが登場。スープの器が結構大きい。

こちらがどん玉。ラーメン丼に盛られており、並盛でもじゅうぶん満足できるボリューム。

あとから、「出すのを忘れてた(笑)」とお新香も登場。繰り返しになるが、スープの器はつけ麺のタレに使うようなデカさ。

お新香の塩分は控えめで、口直しに最適。スープはラーメンやワンタンと同じではなく、酢が入るのか酸味を感じた。
どん玉の具材は、豚肉、キャベツ、人参、玉ねぎ、ニラに玉子。甘じょっぱいタレでご飯がススム。

ガツガツとたいらげ、一気に完食。会計時には「ごちそうさまでした、また来ます」と店主に告げて退散。
今回は、「荻窪で今も営業中のラーメン店」ガイドのつもりだったのに、来年には「かつてあった店」になってしまうとは(泣)。
それでも、萬龍軒さんという素晴らしいお店と、好人物の店主に出会えたことを感謝しつつ、閉店までできる限り通うつもりだ。
萬龍軒
東京都杉並区上荻1-6-1
JR荻窪駅北口から徒歩約1分
営業時間 12時~14時、17時半~22時
定休日 日曜、祝日