明るく正しく強いブログ

朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

ビートルズで洋食を 立川『にゅうとん』(後編)

2024年02月01日 | 洋食屋さん
「立川にこんな素晴らしい洋食屋さんがあったのか!」と、地元民の私を喜ばせてくれた『にゅうとん』


上記は、数日前に発表した前編冒頭の店頭画像のアップで、今回が後編となる。

ではさっそく、前回末尾の続きとなる、「エビドリア」からリポートしていく。ドリアはカニやチキンもあり、価格はどれも950円。


グラタンの中にご飯を入れるなんて、考えた人は天才だよな。カロリーはさておき(笑)。
具材はエビ、マッシュルーム、玉ねぎなど。他のソースをかけるクリームコロッケでは気付かなかったが、ホワイトソースの塩分は控えめ。


前編でも説明したように、にゅうとんさんの食事メニューには味噌汁、サラダ、コーヒーが付くのだが、
実はこの日、ドリアの前に「ハンバーグステーキ(玉子付)」780円も注文していた。


すると店員さんが、「(ハンバーグの)生野菜サラダがダブってしまうので、他のにしましょうか?」と提案してくれ、
マカロニサラダやポテトサラダにも変更可能らしいので、マカサラにしてもらった。
出てきたのは、いかにも業務用スーパーで売ってそうなヤツだったが(苦笑)、心配りがありがたいよ。


なお、一緒に写っているのは「ウーロンサワー」定価480円とお通しの枝豆。洋食屋さんで飲む焼酎割りも、なかなかイケる。
ハンバーグには、目玉焼きと生野菜サラダの他、よく見るとカレー風味の黄色いポテトサラダもあるし、
さらにハンバーグの下には、パスタも隠れている。デミグラスソースと絡めれば、ウマさ爆発なのは書くまでもない。


無論、ハンバーグ本体も美味しいし、最後はドリアに乗せてハンバーグドリアに。お行儀悪い食べ方、そしてカロリーの過剰摂取を反省。


他の食事類では、ナポリタンはだいぶ前に食べたので、同系統の「イタリアンスパゲティー」770円をオーダー。
地域によって異なるようだが、関東地区ではほぼ、イタリアン=ナポリタンのケチャップ未使用版、のはず。


見た目に反し、味付けは意外としょっぱく、野菜やベーコンと合わさると美味しい。そこそこ量もあり、満腹になった。


ナポリタンはいろんなお店にあるが、イタリアンスパを提供しているお店は、立川では珍しいはず。

あるときは、「カツカレー」830円も食べた。「ポークカレー」が680円なので、お得感がある。
いつものようにサラダと味噌汁が出てきたあと、大皿に盛られたカツカレーが登場。


カツが小さく見えるが、このとき紹介した東小金井『冨士ランチ』のカツカレーと同様、皿がバカでかいのである。


海のようなカレーソースに対し、島部分のライスは適量だったので、難なく食べ切った。
なお、この日は下記の「一部ドリンクが割り引きになるハッピーアワー」の看板を発見。


さっき、ウーハイを定価480円と記載したのは、あの日は300円で飲ませていただいたからである。
ハッピーアワーを知ったのは昨年9月だが、今年訪問したとき(3回前に掲載)は、この看板を見かけなかったので、もうやめたのかも。

どのメニューも安く美味しく、お腹一杯にもなるにゅうとんさんだが、前回語ったように、訪問が途絶えた時期もあった。
その理由のひとつが、ランチはさらに安すぎて、夜しか行けないのが悔しかった、である。
私らしいセコイ理由だが、ランチタイムのメニュー看板がこちら。


主菜をふたつ選び、サラダ・味噌汁・コーヒー付きのランチが770円で、単品の日替わりランチは660円。夜以上に安価である。
例に挙げて悪いが、たった今『松屋』のHPで確認したら、ランチタイムは、ほとんどの定食が770円以上する。
チェーン店で高い金払うなら、ちゃんとしたコックさんがいるお店の料理を食べた方が、満足度は高いはずだ。
私自身は、昼食は自宅で食べるのが基本だし、そもそも正午くらいまで寝ているため(恥)、ランチタイムの訪問は難しかった。
そんなある日、意を決し初のにゅうとんランチを味わうことに。13時過ぎの訪問だったが、1階は満席で、初めて2階席に案内された。
実は、数ヶ月前に八王子球場で高校野球秋季大会を観戦した帰り、ランチを食べに訪問したところ、
土曜日の13時過ぎにもかかわらず、店頭に行列があり入店を断念。平日12時台は、さらに混んでいると思われる。

主菜ダブルの「組み合わせランチ」は、+300円でさらにもう一品追加できるので、そちらを選択。
おかず3つは、牛ロース生姜焼き・とんかつ・チキンソテーの牛豚鶏トリプル制覇も企んだのだが、
さすがに下品すぎるので、チキンソテーをオムレツにし、さらにご飯は+100円の大盛で、計1170円。
まずは「そばサラダ」がやってくる。そばサラダというのを初めて見たが、少量のツユに浸した茹でそば+野菜少々であった。


野菜嫌い・麺類好きの私には最高のサラダであり、これならあと10個は食えるぞ(笑)。
しばらくすると、栄養満点のランチ一式が登場。


大盛ライスは450グラムくらいか。食が細くなった私だが、これくらいは許容範囲。


そしてこちらが、牛豚鶏の洋食3種盛り合わせに、生野菜と白スパ。


牛ロース生姜焼きは歯応えがある肉質で、とんかつはやや厚め、ほうれん草入りのオムレツは半熟の仕上がり。


メシもオカズもガツガツとたいらげ、食後のコーヒーまでキッチリいただき、大満足でお会計。

さて、前編では「現在は二代目がメインシェフ」と記したが、初代店主は引退したのではなく、
にゅうとんのすぐ隣に、『洋膳食堂 新豚亭(にゅうとんてい)』というお店を新たに開業。


要するに、今も現役シェフとして、腕を振るっているのである。
ただし、新豚亭はランチ営業のみなので、これまた訪問がなかなか叶わなかったが、


昨年末に、念願の初入店を果たしたので、その様子もリポートする。

店内の席数は少なめで、他の席との間隔が広く、ゆったりくつろげる雰囲気。
お母さんにテーブル席に案内され、さっそく卓上のメニューを確認。


品数は絞っているが、にゅうとんと変わらぬお手頃価格。
私はこちらのオリジナルである、「ミックスクリームコロッケ(エビ 牛舌)」900円を注文。
エビはともかく、牛タンのクリームコロッケは珍しいね。数分後、予想より早くランチが出てきた。


味噌汁とサラダに小皿、そして中央のコロッケの脇には、温野菜や煮物が添えられている。
チェーン店ではまず出てこない、きんぴらや里芋の煮物は、ベテランシェフならではの技術と真心だろう。


実は和食が苦手な私だが、シェフの真心に応るべく、残さず食べたよ。
メインのクリームコロッケも当然絶品で、こちらがエビで、トマトソースがよく合う。


珍しい牛タン入りがこちら。思ったより具材が多く、クリームコロッケなのに歯応えがあるのが面白い。


食後はコーヒーと紅茶が選べるので、アイスティーにしてもらい、「ごちそうさまでした」。


途中、お母さんが奥の厨房に行っている間に、新規客が入ってきたので、私が厨房に行き「お客さんが来ましたよ」と伝えたところ、
会計時にはシェフのお父さんがわざわざ出てきて、「さっきはありがとうね」と声をかけてくれた。
気さくなお父さんがメインシェフだった、昔のにゅうとんさんに、もっと通っておくべきだったね。

かつて私は、「立川駅周辺はロクな店がねえ」と不平を述べたこともあったが、 ※私以外の立川市民にも、そう思っている人はいる
にゅうとんさんと新豚亭さんは、上記発言に該当しない良店であるため、反省するとともに前言を撤回し、
今後は「にゅうとんさんと新豚亭さんは素晴らしいお店だ!」と訴え続けていくことにする。

最後にオマケ情報。にゅうとんさんは営業中、ビートルズの楽曲がBGMとして流れ、店内にはメンバーの写真も掲示してある。
つい最近、お店の脇にある看板に、「ビートルズを聴きながら、美味しい洋食を!」のコピーを発見。


おそらく、初代店主がファンなのだろう。キャッチコピーを真似て、今回のブログタイトルにしてみた。
昨夏の「新世界で朝酒を」よりは、『ティファニーで朝食を』に近いと思うのだが…。



にゅうとん 
東京都立川市曙町3-2-1
JR立川駅北口より徒歩約3分
営業時間 11時半~14時、17時~21時 第三土曜と祝日はランチのみ
定休日 日曜

洋膳食堂 新豚亭
東京都立川市曙町3-2-5(にゅうとんのほぼ隣)
営業時間 11時半~14時
定休日 日曜、祝日
※大人数での予約ならば、夜営業も可能とのこと
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地元にあって嬉しい「街の洋食屋さん」 立川『にゅうとん』(前編)

2024年01月28日 | 洋食屋さん
前々回の文末で予告したように、今回は私の地元立川市にある、洋食屋さんの『にゅうとん』を紹介。


初めて訪問したのは、たぶん20年ほど前。ナポリタンを食べた記憶があるが、写真はない。
その後も何度か通い、カニコロッケなどを食べ、味には満足したものの、以降は訪問が途絶えていた。
当時の私は、安くて騒がしい居酒屋やラーメン店ばかり通っていたため、洋食屋独特の静かな雰囲気に不慣れだったし、
なにより、「街洋食」の魅力に気づいていなかったのだ。もったいない。
先に断っておくが、にゅうとんさんは誰でも気兼ねなく入店・食事ができる、アットホームな洋食店である。

久々の訪問となったのが、このときの「ハヤシライス」である。


ハヤシライスがメインの回だったので紹介を省いたが、こちらの食事メニューには、生野菜サラダと、


日ごとに具材が変わる、熱々の味噌汁が付き、


さらに食後には、アイスコーヒーが提供されて、お会計は970円。


チェーン店の『CoCo壱番屋』や『松屋』でも、ハヤシライス及び類似商品を出している。
ココイチはサラダ・コーヒー付き(味噌汁はない)、松屋はサラダ付き(コーヒーがない)だと970円以上するし、味については比較になるまい。
チェーン店の価格も高騰している中、にゅうとんさんはここ数年で、値上げ幅は数十円程度と、価格維持に努めている。

ハヤシを食べた日は、串揚げの「豚ねぎ」180円と、「カニコロ串」220円も注文していた。


揚げ物と一緒に提供されるソース3種と、さっきのサラダに付いてきたドレッシングは、もちろん自家製で、


上記は左からそれぞれ、中濃ソース、カクテルソース、オニオンソース、にゅうとん特製ドレッシングとなる。


豚ねぎにはオールマイティな中濃ソース、カニコロにはお店推奨のカクテルソースを注いでみた。


食べてみたところ、左側がカニコロで右側が豚ねぎと、反対であったが(苦笑)、美味しさは変わらず。


特にカニコロ串は、以前から味が変わったのかは不明だが(たぶん変わっていない)、めちゃくちゃウマく感じた。
メニューは豊富だし、他の料理も試してみたくなり、その後はちょくちょく通うようになった。

こちらのお店が開業したのは、1972(昭和47)年。今年で52年目を迎える、立川屈指の老舗洋食店だ。
初代店主は、洋食の名店『津つ井』で修業をなさった腕利きで、現在は二代目がメインシェフらしい。
店内壁にも、「津つ井」と記された文字が入った、千社札風のポスター(というのか?)が、額入りで飾られている。
私は、津つ井の新川店に入ったことがあるが、味はともかく、気軽には利用できない価格であった。
名店の味を受け継ぎながら、良心的な価格に抑えている、にゅうとんさんの営業方針に感謝したい。

津つ井さんからは、【お箸で頂く、にっぽんの洋食】という流儀も受け継いでいるようで、
毎回必ず、お箸が提供される。箸袋に綴られた、“味”の文字が格好いい。


なお、カウンター席だと、上記の目玉焼きの他、カレーライスや、


海老フライ&コロッケ盛り合わせなど、かわいらしい箸置き(?)が置いてあり、食欲をそそる(??)。


また、うれしいことにこちらのお店は、店頭に日本酒メニュー看板が貼ってあるように、


飲み客を歓迎しているようなので、私もたまに、料理で一杯やってから、食事でシメることもある。
下記がドリンクメニューだが、「瓶ビール中」が590円など、料理と同様安価である。


あるときは、「ホッピー黒」セット460円を注文。中の焼酎がそこそこ多い。


酒類にはお通しもサービスされる。この日はしっかり漬かったお新香だった。


そういえば、料理のメニューを掲載していなかったので、以下で紹介。まずはおつまみ・串揚げ、


こちらはサラダ・肉料理・魚料理・とんかつ類、


そして、ステーキや、シメのお食事となる幕の内&御膳や、軽食類。


ただし、冒頭のハヤシライスを見てのとおり、軽食類は全然軽食=手軽で簡単な食事ではなく、ずっしり腹にたまるモノばかりだ。

さっきの黒ホッピーにハナシを戻す。おツマミには「鶏の唐揚」420円を選択。


前にも書いたが、洋食料理には必ず生野菜が付くので、野菜嫌いの私も食べざるを得ない。 ※トマトはいつも残すが
鶏肉は油っこさはなく、味付けもほどよい塩分。にんにく醤油の下品な味付けが好みの私だが、唐揚げは薄口の方がいいね。
焼酎の「中」280円を追加したら、接客担当の方ではなく、調理担当の方がロックグラスで提供してくれた。


元のグラスに注いでみたら、氷は追加していないのにこの量! 明らかに定量オーバーでしょ。


外ホッピーを、少しずつ注いでは飲んでを繰り返し、なんとか飲み切ったが当然酩酊。地元でよかった。
私はかつて、「立川駅周辺は中華の『四つ角飯店』以外、気軽な大衆食堂がない」と書いたが、
こちらのお店の存在を忘れていた。まあ忘れていてたというか、食堂というよりレストランという認識だったので。
安く美味しくボリューミーで、お酒も飲めて駅から徒歩圏内。にゅうとんさんは立川市の誇りだよ。

そんなにゅうとんさんで、私がもっとも感銘したのが、「三色コロッケ」800円だ。


お店自慢のカニクリームに、トマトバジルとポテトを加えた、コロッケ3種の競演である。
まずは、日本人になじみの深いポテトコロッケを、ふたつに割ってから食べてみる。


丁寧にマッシュされた、なめらかポテトには、ほんのりカレー風味がして、懐かしくもウマい!
続いては、中身はオレンジ色をした、お店オリジナルのトマトバジルチキンクリームコロッケ(正式名)。


トマトやバジルの旨味を抽出した、ミネストローネを固めて揚げたようなコロッケで、やっぱりウマい!!
そして最後は、カニクリームコロッケ。箸で切ったので見た目はよろしくないが、味自体は抜群である。


カニの風味は控えめだが、ホワイトソースは洋食店ならではのコクと香りで、ウマいに決まっている!!!
先述した、3種のソースも使ってみたが、カニコロッケには、茶色いオニオンソース(左側)も好相性だ。


過去に何個のコロッケを食べてきたかは定かではないが、ここの三色コロッケこそ、私の生涯最高コロッケである。

コロッケの感激も冷めやらぬ中、この日のシメに頼んだのがエビピラフ。
ピラフのメニューは「カニピラフ」しかないが、特別に作っていただいた。価格はカニピラフと同じ850円。


過去に何度か記したが、私は立川市にかつて存在した、『サンモリノ』というお店のエビピラフが大好きで、
メニューにあると、つい頼んでしまうのだが、そこのピラフの特徴のひとつが、緑色の粉末
乾燥パセリなのか青海苔なのかは不明だが、ご飯ものにかかっているのを見たのは、サンモリノが人生初。※確か5歳くらい
今でも、下記のような緑粉&ピラフを目にすると、ノスタルジーな感情がわいてくる。


あと、わざわざカニと変えてもらったエビも撮影。刻んだものやそのままのものなど、中小のエビがたくさん入っていた。


カニコロッケのホワイトソースと、エビピラフのエビの双方が味わえる、「エビドリア」も絶品なのだが、
ここまで長々と語ってきたので、続きはまた次回。というわけで後編につづく


にゅうとん 
東京都立川市曙町3-2-1
JR立川駅北口より徒歩約3分
営業時間 11時半~14時、17時~21時 第三土曜と祝日はランチのみ
定休日 日曜
※正式名は『洋食屋 にゅうとん』?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

洋食各種を安価でコンプリート! 北府中『キッチンきねや』

2023年12月02日 | 洋食屋さん
【日本人の好きな洋食メニュー十傑】に入ると思われる、カレー、クリームコロッケ、ハンバーグ、オムレツを、
令和の時代にもかかわらず、千円ですべて食べられるお店がある。
そのお店の名は『キッチンきねや』このときに文末で触れた、「府中市の個人経営の名店」のひとつである。
住所は府中市だが、府中、北府中、国分寺の各駅の間にあり、どの駅からも結構距離がある。
歩いてみたところ、少しだけ国分寺駅が近いようだが、国分寺街道は道幅が狭い割には交通量が多くおっかないので、
北府中駅からの美術館通りから左折、右折、左折するルートを推奨する。なので、今回タイトルの最寄り駅も北府中にした。

初回は、上記ルートを利用しディナータイムに訪問。こんな外観写真しか撮れなくてゴメン。


店内はカウンター席と、奥にテーブル席がふたつ。接客担当のおばちゃんに案内され、カウンター席に座る。
常連らしい先客が、缶のハイボールを飲んでいたので、私も遠慮なく「生ビール(中ジョッキ)」500円を注文。
銘柄はサッポロで、その後、無料お通しの枝豆も出てきた。 ※画像のビールは飲みかけ


続いて、お料理のオーダー。前もって調べておいた、冒頭の4種セットにするつもりだったが、オムレツをエビフライ&玉子焼きに変更。
調理担当のおじちゃんから「たまご焼き(←お店の表記)はないが目玉焼きなら出せる」とのことなので、同価格の目玉焼きに変更。
先客の酩酊おじさんが、「なんで玉子焼きはダメなんだ?」と問いかけたところ、おじちゃんは「出汁とかいろいろメンドーなんだよ」だって(笑)。
若い店員たちが、「どうする?」「メンドくせえから断れ」などと囁いているのが聞こえたら不愉快だが(立川の某串カツ店で経験済み)、
年長者の明朗かつ正直な告白には腹も立たず、むしろ「ですよね」と納得してしまった。
そもそも、冒頭でも明かしたように、私が注文した料理は、5品合わせて千円ポッキリなのである。

ここで、お店のメニュー表を紹介。左側は、定食やカレーライスなど。


右側は定食の他、ドリンクや一品料理も記載されている。


個人的に気になったのが、「CASH ONLY」の下の※現金をお持ちでない場合はお申し出てください。の一文。


カードしか持っていない客に対してのメッセージだと思うが、ひょっとしたら、以前『餃子の王将』のどこかの店舗で実施していた、
「金欠の客は、1時間皿洗いで食事提供」のようなサービスをやっていたりして。私もいつかお世話になるかも(苦笑)。

メニューは他にもあり、壁のボードには、50円から頼める単品が多数。私が注文した5品も、ボードの商品ばかりである。


「ハンバーグ定食にクリームコロッケ1個だけ追加」のような注文は、不可能な洋食店が意外と多いし、可能でも高かったりする。
こちらのお店のように、多彩な料理の追加を、安価で引き受けてくれるお店は貴重だよ。

さて、私が厳選した【千円フルコース】は、最初に「目玉焼き」200円が登場し、


続いて「ハンバーグ」300円がやってきた。未着の料理もあるが、温かいうちに食べよう。


お肉主体だけど肉臭さはなく、柔らかな歯触りで、見た目どおりの家庭的な味わい。


さっきの目玉焼きを半分乗せて、エッグバーグにしてみた。


数分後、「エビフライ」と「クリームコロッケ」各200円が揚がり、


さらに「ちょいがけルーだけ! カレー」100円も提供された。「カレーライス」600円じゃないけど許して。


以上、一部食べかけだけど、厳選千円フルコースが揃った! 


使い古された表現だが、クリームコロッケはとろ~り濃厚で、エビフライはぷりぷり食感。


付け合わせのタルタルや卓上のソース、さらには、カレーソースも使ってみた。


なお、キッチンきねやさんは醤油や辛子の他、洋食店では珍しい納豆のタレなども用意されている。


ビールが空いたので、「ウーロンハイ」400円に変更し、ガツガツと食べ進める。


ガキの頃から大好きだった食べ物ばかりを、たった千円で味わえるとは、本当にありがたい。

ちょうどその頃、調理を終えたおじちゃんが厨房から出てきて、店内の先述の常連客と会話を始めた。
料理の味だけでなく、お店の雰囲気もアットホームである。
途中で警察の不手際に話題が変わり、地元警官への批判が盛んになったところ、常連客が急に私に向かって、
「アンタまさか警察関係者じゃあないよね?」と確認してきたので、「私はむしろ、警察に追われる側ですよ」(←正直)と否定。
冗談とはいえ、私を関係者と間違えるということは、府中署は人相の悪い警官が多いのかも(笑)。

先客が退店し、私もウーハイを飲み終えたところで、シメのお食事を頼むことに。
選んだのは、「日本人の好きな洋食十傑」に入るかは微妙だが、私が今年、急にファンになった「ハヤシライス」だ。
まずは、ドレッシングで和えた生野菜サラダがやってくる。


さらにお漬物と味噌汁に、メインのハヤシライスが提供される。全部合わせて600円と、やっぱり安い。


ハヤシライスだけ改めてアップ。安価だけどしっかり量があり、飲み食いしたあとだとツラい(苦笑)。


味は、クセのないオーソドックス・ハヤシ。半分残っていた目玉焼きを乗せたり、


調味料同様、食堂のように充実している卓上アイテムから、


「のりたま」ふりかけを使ってみたが、ハヤシとの相性はよろしくなかった。残念。


ややしょっぱめの味噌汁も飲み干し、すっかりお腹一杯になったところで「ごちそうさまです」。
会計時、おじちゃん店主に定休日をたずねたところ、「特にないです」だって。すげえ!
では、近いうちにまた来ます、と告げてから退散。美味しい料理と温かいおもてなしのお陰で、帰路も寒さを感じなかった。

2度目の訪問はつい先日。「レモンサワー」400円を頼んだら、枝豆と一緒に「これサービス」と、エビフライまでいただいてしまった。


この日注文したのは、前回エビフライと玉子焼きに変更した、「オムレツ」400円と、「カキフライ」200円×2個。
まずはカキフライが登場。小さめサイズを2個並べて揚げたような形状だ。


たっぷりのタルタルソースは、しつこくなく、レモン汁も振りかけながら食べた。
続いて、オムレツが焼きあがる。単品ハンバーグより高い分、付属のサラダも多め。


こちらのお店は、全体的に味付けは控えめな印象だったが、このオムレツは塩分とバターをしっかり感じた。
ハシの使い方が下手で、いい写真が撮れなかったが、中身はしっかり固まった半熟仕様。


元々、玉子好きである私だが、キッチンきねやさんで一番気に入ったのはオムレツかも。

お替わりしたレモンサワーも飲み終え、料理を食べ終えたところでこの日のシメ。
壁のホワイトボードに載っていた、お店唯一のスパゲティメニュー「ナポリタン」700円と、
「ポークカツ」単品300円を同時に頼み、「とんかつナポリタン」にして食べること。
まずはポークカツが揚がる。厚みのあるお肉が全部で9切れと、300円では申しわけないクオリティ。


ひと切れかじると、ラードの旨味が広がる。激安価格だけど、手抜きがないのはさすが。
直後にナポリタンも完成。食べログなどの画像も見たけれど、食事メニューは、意外と量が多い模様。


具材は人参、ピーマン、玉ねぎに、鶏肉、ウインナー、ベーコンと、お肉が3種も入っていて、なかなかボリューミー。
ケチャップの味付けはちょうど良く、洋食屋さんなのに、勢いよくズルズルと音を立ててすすってしまった。
さっき書いたように、途中でとんかつナポリタンにしてみた。以前ここで食べた、オムレツやハンバーグのナポリタンも試したい。


すべて食べ終え、またしても満腹になったところでお会計を済ませ、少しだけおじちゃん店主とお話しした。
壁に「開店おめでとう」という知人か親族らしき方からのメッセージが貼ってあり、日付は2009年になっている。
開店した09年から、全然値上げしてないのでは? とたずねたところ、「そうだね、全然変わってないよ」。
安すぎませんか? という問いには、「確かに儲けはないけど、安い分、何度も来てくれる人もいるから」と、気にしていない様子。
最後に、オムレツが特に美味しかったことを告げ、味が濃厚に感じたのですが、チーズか何か加えているのですか? という質問には、
「いや、塩とバターだけだよ」と即答。ああ、バカ舌なのがバレてしまった!
たぶん、赤面していた私に対し、「まあ、いろいろ入っているように思わせるのが、腕の見せ所だよ」と、
誇らしげに語るおじちゃん店主に、「おみそれしました!」とばかりに最敬礼し、お店をあとにした。

2度の訪問で私が頼んだのは、洋食の主要メニューであるカレー(ライスなし)、ハンバーグ、エビフライ、クリームコロッケ、目玉焼き、
オムレツ、カキフライ2個、ポークカツ、ハヤシライスにナポリタン、それに付属のサラダや味噌汁。
これだけ食べて、3400円で済むお店はなかなかないでしょ。

鉄道駅からのアクセスはよろしくないが(※バス停はある)、近隣の人々に愛されているキッチンきねやさん。
このような、知る人ぞ知る名店と思われる飲食店が、府中市にはまだまだあるようなので、今後も探索していきたいと思う。
理想は当然、こちらのような、安くてウマくて心温まるお店である。



キッチンきねや
東京都府中市新町1-67-8
JR国分寺駅から徒歩約24分、北府中から約25分、京王線府中駅からも同じくらいか
営業時間 11時から15時、17時~21時、ラストオーダー20時
定休日 お盆と年末年始以外は基本無休
※お店近くに駐車場3台分あり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

70年超の歴史を誇る「牛汁」 淵野辺『上海ジミー』

2023年10月27日 | 洋食屋さん
私の母校・日大三高は、町田市の図師町という、どの鉄道駅からも歩くには遠い場所にある。
今も昔も、生徒の大半はバスで通学しており、私はJR横浜線の淵野辺駅発のバスを利用していた。
下校バスで淵野辺に戻ってくるのが16時台。帰宅部のくせに、育ち盛りゆえ腹は減る。
ただし、メシを喰うのはもっぱら、ふたつ隣の町田駅周辺や、友人が多く住んでいた八王子駅界隈。
淵野辺駅で立ち寄ったのは、どちらも現在はないが駅に隣接していた、『ドムドム』と立ち食いソバ店(店名記憶なし)くらい。
私だけでなく友人たちも、駅周辺に行きつけの店はなく、すぐに電車に乗り先述のエリアに移動していた。
今でこそ、『餃子の王将』や『すき家』などのチェーン店が存在するが、
あの当時、16時台に開いていて金欠高校生でも入れるようなお店が、淵野辺にあったのかは疑問である。

なので、今回紹介する『上海ジミー』も、在学中は既にあり、駅からも遠くなかったのだが、
訪問したことはなく、私が存在を知ったのは、21世紀に入ってから。
三高グラウンドで行われた練習試合を観戦した帰り、たまたま淵野辺駅周辺を探索していたときに発見したのだ。
変わったネーミングの屋号に惹かれて入ってみたら、提供された商品が、なかなか美味しかったのである。
初訪問時に食べたのが、お店の名物らしい「牛汁(ぎゅうじる)」
サイズは小と大があり、価格は小が当時600円で現在は700円、大は今も昔も+200円。
私がオーダーしたのは、小600円と「ライス」の小180円。だいぶ前なのに、珍しくガラケーではなくデジカメだ。


小と言いつつ、牛汁もライスもそこそこ量がある。特にライスは、中の間違いでは? と当時の記憶を疑っている。
牛汁は、豚汁とは違い野菜はなく、牛スジ肉と薬味のネギのみというシンプルな構成だが、メチャクチャ美味しい。
脂身は多いけれど、ドロドロではなくサラリとしており、臭みやしつこさはなく、牛肉独特の旨味やコクが豊富。
牛丼とは違うし、牛スジ煮込みでもなく、焼肉屋のカルビスープや、洋食店のビーフシチューとも異なる。
まさに他では食べられない、上海ジミーさんオリジナルの料理だ。

その後も、母校グラウンドに行くため、淵野辺駅を度々利用しているが、試合があるのはだいたい、お店定休日の日曜。
なので2度目の訪問は昨年。牛汁が食べたくなり、三高野球部とは関係なく、夜の時間帯に訪問。

前回同様、1階のカウンター席に着席。団体客は2階席へ案内されるが、私は利用したことがない。
厨房も1階だけなので、料理は昇降機で2階に運ばれ、客が自ら受け取るシステムらしい。
以前はご夫婦だけだったが、最近は息子さんと娘さんも加わり、4人体制で営んでいる。
娘さんが、お店のツイッター(X)を始めたようで、そちらからお店の外観画像を拝借。

 
隣の建物もお店の所有物件のようで、下記貼紙や石塚英彦さんのロケ訪問時の写真などが掲示してある。


SINCE1951ということは、今年で創業72年。息子さんたちで三代目となる老舗店である。
相模原や町田を紹介するサイトが、お店に取材した記事によると、名物の牛汁は、
「中国の道端で肉を岩塩で煮込んでいたのを、初代店主が見て発案した」と二代目の現店主が証言。
屋号の命名も初代で、「古き良き時代の中国と米国のフュージョン」だと現店主は解釈したとか。
相模原市には米軍基地があり、かつてはお店にも、米兵が大勢来店していたようだ。

2度目の訪問では、70年超の歴史を誇る牛汁で、「キリンラガービール中瓶」550円を飲むことに。


今回も小サイズにしたが、決して少なくないので、牛丼みたいに「並・大」という呼称の方がわかりやすいかも。


途中で、卓上の七味と紅生姜を加えたら、牛丼っぽい味になった。


牛汁ファンは多いようで、私の訪問時は毎回、お持ち帰りの購入客が、次から次へとやってくる。

瓶ビールをお替わりし、さらに壁の黒板に記載されているメニューから「キャベ玉」550円を追加。
こちらは、ちゃんとしたメニューブックもあるが、注文後はすぐ回収されるので、撮影したことはない。
黒板メニューも含め、気になる方は、お店ツイッターでも誘導している、食べログで確認してほしい。

キャベ玉とは、要するに【ニラ玉のキャベツ版】であるが、思いのほか量が多い。


ハシとほぼ同じ幅の大きな鉄板に、キャベツの千切りと玉子を炒めたものが盛られており、


味付けも塩コショウのみとシンプルだが、ビールにぴったりのおつまみである。
醤油を垂らしたり、残った牛汁を加えると、さらにウマさ増幅!


結構満腹になったので、健康を考えて退散…というのはウソで、実は近くの『梅吉』で、シメを食べていたりする。

上海ジミーさんではその後も、何度か通っているので、以下で食べたメニューを紹介していく。
なお、下記の料理以外にも、ほぼ毎回牛汁や瓶ビール、さらに「ウーロンハイ」400円も頼んでいる。

まずは、レギュラーメニューの「カレーライス」。こちらも小中大とあるが、飲み食いした後なので、
一応小600円を選択したのだが、出てきたカレーは、一般的には普通サイズであった。


さっきも書いたが、上海ジミーさんの「小表記」は、全然小じゃないので気をつけよう(笑)。
横アングルも撮影したが、よく見るとカレーには、溶けた食材のような粒々が残っている。


食べてみると、各種素材が溶け込んだような味わいながら、野菜由来の甘味よりも、ピリッとした辛さを感じる。
スパイシーなカレーに食欲をそそられ、そこそこ満腹だったにもかかわらず、すぐに食べ終えた。
こちらには「インディアンカレーホットカレーライス」(700円~)という商品もあるのだが、
お母さんいわく、「辛いのが苦手な人はやめた方がいい」レベルらしいので、私は遠慮しておく。

ここからは、黒板の日替わりメニュー(?)から紹介。こちらもシメに食べた「焼ソバ」は、なんと290円!


麺は、スーパーなどで3袋入りで売っている廉価タイプで、具材もひき肉少々とモヤシのみだが、なぜかウマいのである。
味付けは市販のソースではないので、お店独自の焼きそば専用のタレかも…それは違うか。
懐にもやさしいこちらの商品は、牛汁と一緒に食べても美味しいはずだ。

続いては、こちらも390円と、お得価格の「おつまみ生姜焼き」。


やや大きめに刻まれた豚肉と玉ねぎは、歯応えがあってビールが進んだよ。
見た目よりしょっぱくないのは、こちらがやはり、居酒屋ではなく洋食店だからだろうか。

洋食店ならではのメニューとして「オムレツ」480円もある。チーズ入り680円もあったが、まずはプレーンを注文してみた。
白く大きなお皿に、黄色いオムレツと茶色いデミグラスソースと、正統派のビジュアル。


実際食べてみたら、玉子のとろけ具合、バターの風味、デミグラスソースの旨味と、すべてが完璧。
もちろん、「中身が生」なんて失敗もなく、ちょうどいい半熟具合。


生姜焼きもこのオムレツも、三代目候補のお兄さんが、チャチャッとテキトーに作ったように見えたのだが(失礼)、
オムレツは素晴らしい完成度で、お店名物の牛汁と同じくらい感銘を受けた。
とにかく、こんなにウマいオムレツ、久々に食べたよ!
牛すじ肉とオムレツを合わせた、「オム玉丼」という魅惑の商品もあるので、近日中に食べてみようと思っている。

最後に、牛汁と並ぶ上海ジミーさんの推奨メニューである、「100%ビーフハンバーグ」を紹介。
訪問したのは7月31日。母校野球部が甲子園出場を決めた2日後である。
最初の方に記載したように、日大三高生は、過去も現在も淵野辺駅商店街との関係が深くないのか、
「日大三高 甲子園出場おめでとう」のような応援幕は、街中では見かけなかったが、
駅構内に、下記の自家製らしき貼紙を発見。淵野辺駅長さん、どうもありがとう


そもそも、淵野辺は相模原市=神奈川なので、町田市にある西東京代表の三高は、無関係ともいえる。

閑話休題、上海ジミーのビーフハンバーグについて語ろう。
基本の量が180グラムで、「デミグラス」、「テリヤキ」、相盛りの「デミテリ」などの価格は1000円で、
その他「カレー」1350円や「チーズ」1450円もあり、各種ライスは別。 ※ランチタイムは、小ライス付きで少々お得
さらに、240グラムが+300円、300グラムが+600円で、450グラムの1ポンドは+1350円。
サイドメニューとして、「目玉焼き」や「もやし特盛」などが120円、「ミニサラダ」200円もある。
この日の私は、前回食べたオムレツのソースが気に入ったので、デミグラスの240グラム、目玉焼き付きを注文。
しばらくすると、熱々の鉄板にソースをぶっかけられた、ハンバーグ一式1420円が登場。
ただ、煙モクモク状態だし、しかも熱々ソースが飛び散りそうでおっかないので、撮影したのは提供から数秒後。


横アングルも撮影したが、まだ煙が出ている。お楽しみのデミソースも、だいぶ蒸発してしまった。


ここのハンバーグはご覧のとおり、縦長に二等分し、中まで火を通した状態で提供される。
具材はモヤシ、ベーコン、追加の目玉焼き。溶けたバターとデミソースが絡み、すべてがウマくなる。
肝心のハンバーグも、粗めに挽いた牛肉の旨味と歯応えが心地よく、肉臭さは皆無。


目玉焼きを崩し、とろ~り黄身ちゃん画像も撮りたかったが、またまたタイミングを逃してしまった。


ハンバーグ自体も美味しかったし、付け合わせもそれぞれ良かったが、さっきも少し触れたように、
期待していたデミソースが、鉄板に熱されたことで、減ってしまったのが残念であった。
実は、最初に紹介した、牛汁+小ライスを食べた初訪問時に、「ハンバーグ・テリヤキ180グラム」を食べていたので、


次回はカレーかチーズを、300グラム…イヤ、1ポンドで食べてみたいね。
あと、こちらはハンバーグの種類だけでなく、チキンソテーやビーフステーキ、チャーハンや丼もの、
さらに黒板メニューもあり、とにかく品数豊富なのがありがたい。

ここ上海ジミーさんでは、三高生は見たことはないが、近隣の大学生らしき若者や、ラグビー体型の中年男性をよく見かける。
若者たちはライス大盛を躊躇なく注文し、ラガーマン風おやじはさらに、肉増量・牛汁&サラダ付きで食べている。
なのでお会計は、飲み客の私と同等の額になっているが、食後の表情は、実に満足そう。
最近、食べる量が減ってきた私には、うらやましくて仕方がないよ。



上海ジミー
神奈川県相模原市中央区淵野辺3-5-2
JR淵野辺駅から徒歩2分以内
営業時間 11時半~14時、17時~21時
定休日 日曜、祝日、夏休みなどあり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

移転後も人気は変わらぬ「まちの洋食屋」 西八王子『おがわ』

2023年05月02日 | 洋食屋さん
4月には、高校野球春季東京都大会が行われ、母校・日大三は八王子球場にて、計5試合を戦った。
全試合応援に行った私は、観戦後は八王子市内で、4度食事をしている。
5試合なのに4度なのは、5戦目は完敗にムカつき、即帰宅したからである(苦笑)。

4軒のうち3軒が初訪問のお店だったが、もっとも気に入ったのが、洋食店の『おがわ』さん。


黄色い看板に記された、「まちの洋食屋」の表記が、マニア心をくすぐる。

こちらのお店は、かつては北野駅近くにあったそうで、その後は八王子駅近くに移転。
数年前に、現在の西八王子駅至近の場所に再移転し、ネット情報によると、今年で47年目だそうだ。
時代と地域を問わず、市民の支持を集めてきた名店らしく、今から11年前の2012年には、
八王子商工会議所が主催する、第1回【八王子お店大賞】の飲食部門で、大賞を獲得している。
この八王子お店大賞、今年は超大物歌手の実家である『荒井呉服店』が、小売部門で選出された。
有名呉服店より10年以上前に受賞しているのが、おがわさんの人気と実力を証明している。

連日、大勢のお客さんで賑わっているようで、お店入口ドアのそばには、待ち客用のイスも設置されているが、


私が訪問した時間帯は、たまたまランチのピーク前で、並ぶことなく入店できた。

店内は複数のテーブル席と、カウンターが4席。屋号どおり、小川さん夫妻がふたりで営んでいる。
ホール担当のお母さんは「どこでもどうぞ」と案内してくれたが、テーブル席は遠慮し、カウンターの左端に着席。
まずは卓上のメニューを眺める。「ハンバーグ」「ナポリタン」「オムライス」など、洋食の定番が揃っている。


裏面は、サラダやドリンク類など。私がよく見ているブログによると、9年くらい価格が変わっていない


この日は母校野球部が勝ったので、祝杯として「ビール」500円を注文。
キリンとアサヒが選べるが、私は当然キリンを選択。ラガーの中瓶であった。


おつまみとして「オムレツ」550円を注文。完成するまでは、カウンター席の特権として、他の客が頼んだ料理をチェック。
カウンター席の先客に提供された、「ハンバーグ(ライス付←以下略)」800円は、目玉焼き付きで実にウマそう。
テーブル席のおばちゃん3人組が注文した、「海老フライ」1150円×3人前は、大きなエビが4本=計12本盛られていた。
しばらくすると、私のオムレツも完成。生野菜とカレースパも添えられている。


ハシで切り分けると、中身はふんわり半熟で、ひと口頬張ればバターの香り。「オムライス」も絶対ウマいと思う。


薄味のドレッシングがかかった生野菜や、どこか懐かしいピリ辛のカレースパも名脇役だ。
ビールを飲み終え、シメのお食事として、「海老ピラフ」650円と「ポタージュスープ」350円を追加注文。
まずは紙ナプキンにスプーン2種、そしてカップではなく、ボウルに入ったポタージュが登場。


先述した、海老フライおばちゃん3人組が、食後もペラペラと賑やかにしゃべっていたので、
私もつい、洋食店にいるのを忘れて、味噌汁を飲むかのように、ズズっと下品にスープを啜ってしまった。
マナー違反に気付き、以後は音を立てず慎重に口に運んだが、このスープがかなりイケる。
底に沈んでいたコーンはもちろん、液体すらも残すことなく、スプーンですくいまくった。


数分後には、オレンジ色っぽいビジュアルの海老ピラフも到着。


食べてみると、オレンジ色は唐辛子由来なのか、ジャンバラヤのように辛口。
具材の海老は小エビではなく、海老フライ用の大きいタイプを、刻んで使用している模様。


このときに少し触れたが、私はかつて立川にあった、『サンモリノ』というお店のエビピラフが好きだった。
そのお店では、食事メニューには「サンモリノ漬け」という、辛酸っぱいキャベツの浅漬けが付くのだが、
それをエピピラフに混ぜると、おがわさんの海老ピラフに近い味になる…気がする。誰か、同意してくれないかな?

ピラフも残さずたいらげお会計。計算では2050円になるのだが、お母さんが「2000円で結構ですよ」だって。
ただでさえお手頃価格なのに、この心遣いは嬉しい。「また来ます!」と告げて、その日は退散。

数日後、母校野球部の試合とは関係なく、夜の時間帯に再訪問。
西八王子駅で下車するのは、『リバティ』さんに行って以来かな。あそこの最寄り駅は、JRなら高尾なのだが。
駅南口を出てすぐの場所にある、広告看板でおなじみ『きぬた歯科』の脇を少し進めば、おがわさんに到着する。


2度目もカウンター席に座り、まずはビールと、「鳥のから揚げ」850円の単品100円引きをオーダー。
料理を待っている間は、新聞などと一緒になぜか置いてあった、毎日オリオンズの書籍を読ませていただく。

※「野球雲」第7号 -戦後の流星 毎日オリオンズ-

途中の記事に付箋が貼ってあったが、記事の著者が常連客なのかな?
榎本喜八、山内和弘など、球史に残る打者の名前に心を躍らせていたところへ、唐揚げが登場。


横アングルも撮影。唐揚げは大小合わせて計12個。ひとりでは食べ応えのある量だ。


例の名脇役・生野菜とカレースパもあるので、1本目のビールはすぐに空いた。
唐揚げの味付けは、適度でしょっぱすぎず、脂っこさも感じられない。冷めても美味しいタイプだ。
冷めても…といえば、この日はテイクアウトの注文電話が何度も鳴り、お母さんも厨房のお父さんも忙しそう。
中には、お会計8千円を超えるツワモノ客も。安価なお店の8千円なので、持ち帰り袋がはち切れそうだった。

ビールを2本飲み終わり、持ち帰り客の注文も落ち着いたようなので、シメのお食事を注文。
私の大好きな一橋学園『きっちんコバヤシ』さんや、同じ八王子の洋食店『エスエム』さんにはない商品、
「ハヤシライス」750円を選択。「ビーフシチュー」1250円も候補だったが、価格面でハヤシに軍配(笑)。
厨房からいい匂いが漂ってきた数秒後、ハヤシライスが運ばれてきた。


こちらのような、昔ながらの洋食屋さんが作るハヤシライスが、ウマくないワケがないが、
いざ食べてみたら、野菜の歯応え、牛肉の旨味、ソースのコク、すべてが想像を超えたウマさ
興奮して具材のアップを何枚か撮影したのだが、なんだかよくわからない写真に。

※一番まともな画像がコレ

カレーと比較すると、あまり食べる機会がないし、調べてみたら拙ブログでも初登場だったが、
ハヤシライスは、もっと評価されていい料理だと思う
もちろん、私にそう思わせた、おがわさんのハヤシライスが秀逸なのは書くまでもない。
ビール2本と唐揚げ12個を食べたあとにもかかわらず、スプーンが止まらず一気に完食してしまった。

食後はデザートとして、ハヤシライスと同様に昭和の時代からある、「クリームソーダ」350円を注文。


アイスを半分食べて、半分ソーダに溶かしこんでから、ストローでお上品に(←本当か?)啜った。

ビールの酔いとハヤシライスの興奮を、クリームソーダで醒ましたところで、お会計をお願い。
この日も、2850円のお代を、2800円にオマケしてもらった。「いつもすみません」とお礼を述べたあと、
お母さんに「ハヤシライスがすごく美味しかったです!」と報告。人見知りの私にしては珍しい。
厨房のお父さんも、私の感想を聞いて、笑顔を見せてくれた。
テイクアウトを利用し、もうひと皿食べたかったが、カレーやハヤシは、容器の都合で持ち帰りは不可とのこと。
これを書いている今も、頭の中はハヤシで一杯になっている。近日中におがわさんを再訪しなくては。
次は大盛にして、目玉焼きも乗せてもらうか…「カツサンド」との組み合わせもいいね。



洋食おがわ
東京都八王子市台町4-45-3
JR西八王子駅から徒歩約2分半
営業時間11時半~14時、17時~20時
定休日 水曜
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ルーツは吉祥寺の名洋食店 高円寺『ニューバーグ』(後編)

2022年06月16日 | 洋食屋さん
かつて吉祥寺に、『バンビ』という洋食店があった。
同名の洋食店は、現在も新宿や茗荷谷にあるが、関係はわからない。
創業は1961(昭和36)年で、1999年に店名を『シャポールージュ』に変更。
2017年に閉店するまで、看板には「旧バンビ」の文字が残っていたようだ。
こちらが、最近撮影したシャポールージュ跡地。バッテンマークは以前のままの様子。


私は残念ながら、お店の存在を知らず、入店したことはなかった。
2000年頃に発行された、中央線沿線ガイド的な書籍を、最近読み返してみたところ、
まったく記憶になかった、シャポールージュの記事が掲載されていて驚く。
紹介文の一部を転記すると、「情報誌常連の店」
「休日の吉祥寺デートをここからスタートという人にもいい感じ」
「昭和通りにある懐かしい洋館の雰囲気を感じさせる一軒家の洋食屋」
だって。
どうも、記事の記憶がなかった、というか興味を惹かなかった理由は、この紹介文が原因かもしれない(苦笑)。
特に3番目は、読点がなくて読みづらく、食べロガーと同レベルの駄文だよ。

文章も稚拙だが、「情報誌常連」で、「デートに最適」な、「洋館の洋食屋」と聞いたら、
吉祥寺にありがちな、高くて気取ったおしゃれメシ屋かと思い、行く気は失せる。
縁のないお店だったが、詳細を知りたくなりネットで検索。不本意ながら、食べログの投稿にも目を通した。
いろんな方のバンビ&シャポールージュ評を読んでみたら、称賛の意見が大半。
洋館風の店舗は三階建てで、落ち着いた雰囲気の中、高級メニューだった洋食を、お手頃価格で提供。
「おいしい御馳走」と「ぜいたくな気分」の双方を味わえる、ちょっと特別な社交場だったようだ。

主な人気メニューは、オムライス、シチュウ、デザートのババロア、そしてハンバーグ
食べログで見た限り、老舗洋食店にしては安く、ファミレスと同等か、ちょっと高い程度。
ランチメニューの最初に記載されている、「デミグラスハンバーグステーキ」は993円と、千円札でお釣りがくる。

ここまで、吉祥寺のバンビ&シャポールージュについて、私が知る限りの情報をつづってきたが、
今回のテーマは、タイトルでもおわかりのように、高円寺の『ニューバーグ』である。
吉祥寺で愛されて56年。お値段以上の価値がある、洋食メニューで人気を博したバンビ&シャポールージュと、
高円寺で愛されて今年で53年目。早い、安い、そこそこウマいハンバーグで、カルトな(?)人気を誇るニューバーグ。
お店の方向性は明らかに異なるし、かつてのバンビで青春時代を過ごしたファンの中には、
「そんな安っぽい店と一緒に扱わないでほしいザマす」などと不満を抱く方もいるはず。
だが実はこちらの2店、かつては同グループだったらしい。言い換えると、
ニューバーグはバンビの支店だったようなのだ!
↑久々に最大フォントを使用したが、個人的にはそれくらい衝撃の事実だったので。

上記の情報を知ったのは、古いマッチ箱などを紹介するブログの記事。
無断転記はマズいので掲載はしないが、「マッチ箱 バンビ ニューバーグ」で検索すれば、該当ブログがヒットするはず。
開店から間もない頃のバンビが、人気商品のハンバーグだけを提供する支店を出すことになった。
メニュー数を絞り、接客なども簡略化した分、値段を安く抑え、誰でも気軽に利用できるハンバーグ専門店を、
吉祥寺、そして高円寺に出店したのが、ニューバーグの始まりだそうだ。
吉祥寺店の開業年は不明だが、高円寺店は前編で記したように、バンビ開店から8年後の1969年オープン。
当時、「マルシンハンバーグ」は魚肉などを含んでおり、「イシイのハンバーグ」販売は翌1970年で、原材料も鶏肉。
牛肉と豚肉を使用したハンバーグは、庶民には手が出なかった時代に、ニューバーグは誕生したのだ。
お店には連日、大勢の客が詰め掛けたが、中でも熱心に通っていたのが、とある3人組親子。
のちにバンビから権利を買い取り、ニューバーグ高円寺店を経営することになる父の平井氏と、現店主の息子兄弟である。

さっき触れたブログで紹介された、ニューバーグのマッチ箱の脇には、支店名と連絡先が載っており、
当初は吉祥寺店、高・中通り店、高・東通り店、高・申庚通り店と、と4店舗が存在していたことがわかる。
「高・」は高円寺の略で、中通り店は現存するお店で、東通り店は、私が初めて利用したあづま通りにあった店舗、
申庚通り店は、庚申通りの誤りと思われ、数年前まで餃子の『赤天』のそばに『MASH』という系列店があったのだが、
同じ庚申通りの別の場所にも、かつてニューバーグがあったことを、平井兄弟の弟・仁さんに教えてもらった。
仁さんとは、他にもいろいろ会話させていただいたのだが、まずは、そのとき食べたメニューを紹介。
注文したのは、ハンバーグが2枚の「ダブル」750円に、+30円で片方のソースをデミグラスからメキシカンに変更。
完成したダブル+片方メキシカンソースのセットがこちら。当然、ライス、味噌汁、目玉焼き付き。


ダブルハンバーグだけアップ。オレンジ色の方が、ピリ辛風味の自家製メキシカンソース。


ラード、タバスコ、トマト、コーンなどを5時間じっくり煮込んだソースだ。追加料金30円は安すぎる!
パン粉を付けて、あらかじめ揚げ焼きしておくハンバーグは、バンビの味とは異なると思うが、
このメキシカン&デミグラスの両ソースは、バンビから受け継いだ調理法を守っているとのこと。
伝統のソース2種を残さぬよう、ハンバーグだけでなく、炒めスパゲティとも絡めて、味わい尽くした。

食後、珍しく客足が途絶えたので、先述したように、店主兄弟の仁さんと会話させていただいた。
マッチ箱に記載された以外にも1軒あり、最盛期は高円寺だけでニューバーグが4店舗あったこと、
今年4月に値上げしたけど、食材などの値上げ幅が大きく、ほとんど儲けが出ないこと、
それでも、来てくれるお客さんのために、安価を守るべく奮闘していることなどを語ってくれた。
以前と変わらず安くて美味しいです、と告げたところ、仁さんはちょっとさみしそうに、
「高円寺もずいぶん変わったからね。昔はもっと、個人店がいっぱいあったんだけど…」とつぶやいた。
私の地元立川駅周辺よりはマシだろうが、確かに高円寺も、チェーン店が少しずつ増えてきている。
お店がある中通りも、店舗の顔ぶれがだいぶ変わり、昔から残っているのは、ニューバーグを含め数店しかないはず。
コロナ禍など、個人店ならではの苦労を乗り越え、味と安価を守り続けてきた、平井さん一家に感謝したい。

最後に、一番聞きたかった「ここって、元々はバンビというお店がやってたんですよね?」と質問。
仁さんの返答は、「…ウチの父親が、先代から引き継いだんです…」であった。
前回も記したが、最近、ニューバーグを称えるネット記事をいくつか見かけたのだが、
いずれの記事も、創業者については「先代」「前の経営者」「初代オーナー」などと表記し、バンビの名前を出さない。
【吉祥寺の人気洋食店の流れを汲む】というエピソードは、お店のイメージアップに繋がるはずなのに、
店主も雑誌記事も触れようとしないのはなぜだろう。バンビの関係者に口止めでもされているのか?
さっき紹介した、シャポールージュのデミハンバーグランチは、スープ、ライス(orパン)、目玉焼きに温野菜で、
ニューバーグの基本メニュー「Aセット」は、デミハンバーグ、味噌汁、ライス、目玉焼きにミックスベジタブル。
ほぼ同内容だし、両者はやはり、関係があるとしか思えないのだが。

最後に、つい最近食べてきた、「黒カレー」サラダ付き660円を紹介。
カレーライスは近年加わったメニューで、発案者は店主兄弟の兄・誠一さんの奥様らしい。
黒カレーの食券と一緒に、「ハンバーグを追加してください」と告げながら、現金170円を渡すと、
受け取った店員さんが、「追加ハンバーグ」と記された食券を置いていく。


ちなみに、トッピングなどの追加メニューはこちら。前回の店頭画像と同様、お店のHPから拝借。


上記以外にも、「目玉焼き」50円、「チキンカツ」80円、「キリン瓶ビール(小瓶)」350円などもある。
まずはサラダ(左端)、そして黒カレー+追加ハンバーグがやってきた。


別アングルからもう1枚。こんもり盛られたご飯と黒カレーの間に、ハンバーグが隠れている。


普段はナイフとフォークだけだが、カレーにはさすがに、スプーンも提供される。


八坂の『宝来屋』で出てきたスプーンによく似ている。実は、あまり使いやすくないのだが(笑)。


カレーの味は、野菜由来の甘味と、香味野菜由来と思われる苦みのバランスがいい、欧風タイプであった。
目玉焼きの黄身を溶かしたり、ハンバーグと絡めたりして、例のスプーンでガツガツと食べ切った。
そういえばこの日は、あらかじめ仕込んで厨房内に重ねてある、ハンバーグの撮影に成功。


1日に200枚くらい仕込むらしいが、いかんせん安価なので、これだけ売ってもあまり利益は出ないんだろうな。

以上、前後編にわたり、高円寺の名店ニューバーグについて語ってみた。
一部、失礼な表現もあったかもしれないが、愛するあまりの発言ゆえ、どうか許してほしい。
繰り返しになるが、【ニューバーグ、起源はバンビ】説が、世に出回っていないのが不思議。
どちらも知名度抜群の飲食店なのに…ひょっとしたら、私は表沙汰にしてはいけないタブーに触れたのかも。
今後もし、このブログの更新が途絶えたら、私が何者かに消されたと思ってほしい(笑)。



ニューバーグ NEW-BURG
東京都杉並区高円寺北3-1-14
JR高円寺駅から徒歩約90秒 ※信号次第
営業時間 11時~22時
定休日 年末年始
※バンビとニューバーグの関係について詳しい方、情報をお待ちしております
コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大魔王も愛した激安ハンバーグ 高円寺『ニューバーグ』(前編)

2022年06月11日 | 洋食屋さん
今から25年前、私がまだ勤め人であった頃、高円寺に数日間通ったことがあった。
ランチは当然、会社周辺の飲食店を利用するのだが、どのお店も安価なのに驚かされた。
居酒屋を含め、飲食店の価格は今でも、中央線沿線では高円寺が最安だと思う。
その中でも特にバカ安だったのが、『ニューバーグ』というハンバーグ専門店。
はっきりとは覚えていないが、「ハンバーグセット400円」などと書かれた店頭の看板に誘われるように入店し、
本当に400円程度(380円だったような記憶も)で、ハンバーグ定食が食べられて、感激したものだった。

それから数年後、高円寺で飲み歩くようになり、シメに何度かニューバーグに立ち寄った。
最初に食べた、あづま通り近くの店舗はなくなっていたが、駅近くの中通り内にある店舗は、今も残っている。


上記画像は、お店のHPから拝借。今さらながら、自分のヘタな写真より、公式の画像を載せた方がマシだと気付いた。
店内はカウンター席のみで、時間帯によっては混雑するが、回転が早いため待たされることは少ない。

25年前、400円くらいだった、もっともスタンダードな「Aセット」は580円
デミグラスハンバーグ、味噌汁、ライス、目玉焼きにコーン(ミックスベジタブル)が付く。しかも、3月までは530円だった。
下記は店頭に貼られたメニューの写真。ホラ、やっぱりヘタでしょ(泣)。ちなみに「A」は、左段の一番上。


現在、『松屋』のハンバーグ玉子定食(そんな名前ではないが)でさえ720円だし、学食だって、もう少し高いのではないか。
他にも、ハンバーグ2枚の「ダブル」が750円、揚げ物2種とサラダが加わる「日替わり」は、680円とやっぱり安い。
数ヶ月前に久々の入店を果たし、日替わり=サービスセットを食べてきたので、以下で紹介しよう。
まずは、店内の券売機で食券を購入し、カウンターに置く。プラスチックの食券が懐かしいね。


すぐにナイフとフォークとナプキンが用意され、まずはミニサラダが登場。


キャベツのコールスローに、ポテトサラダも添えられる。オレンジ色のドレッシングはお店自家製だ。
しばらくすると、ハンバーグに目玉焼き、揚げ物2種や炒めたスパゲティなどが鉄板に盛られ、熱々の状態でやってくる。


最後に、ライスと味噌汁がやってきて、「日替わりサービスセット」(←正式名)が完成! このときは630円だった。

※サラダは当然、食べかけ

久しぶりに食べたニューバーグのハンバーグは、以前よりウマくなった気がする!
後述するが、昔は「肉以外のナニか」(笑)が印象に残ったのだが、この日のハンバーグは、肉の旨味をしっかり感じた。
若い頃は、目玉焼きとハンバーグ数切れとデミソースだけで、最初のライスをたいらげお替わりをしたものだったが、


もうトシなので無理せず、付け合わせのスパゲティで、残ったオカズを片付けることに。


スパゲティは塩コショウだけのシンプルな味付けで、デミソースと絡めてもおいしい。
揚げ物は日替わりで、この日はチキンカツ。付け合わせのポテトフライはさつまいもであった。


630円では申しわけないオカズの量とボリュームに感激しながら、久々のニューバーグを食べ終えた。
相変わらず客足が絶えず、終始忙しそうだったけれど、シェフは元気そうであった。

現在も地元で人気のニューバーグだが、安価ゆえに悪評を聞くこともある。
実際、高円寺在住の方に「味について語るのは野暮」と告げられたことがあるし、
かくいう私も、「味はともかく、この値段でハンバーグ定食が食べられるのはスゴイ」と、やや失礼な評価をしていた。
そんなニューバーグ関連の伝説(ややオーバー)を、賛否合わせていくつか記してみよう。
1.ハンバーグには肉以外のナニかが入っている
2.かつては、高円寺から吉祥寺までの中央線各駅に支店があった
3.売れる前のとんねるずがよく利用していた
4.バブルガムブラザースのブラザーコーンは、現在もたびたび来店している
5.「これがハンバーグかよ!?」と不満をぶちまけた客に、
シェフが「ウチのはハンバーグじゃねえ、ニューバーグだ!」と言い返した
6.元々は有名洋食屋の支店だった


一番多いのが、1のハンバーグの中身について。私が聞いたことのある噂では、
段ボールや犬・猫など荒唐無稽なモノから、オカラなどの大豆類、魚肉ソーセージ、小麦粉や片栗粉などの澱粉類、
さらに、「カップヌードル」に入っている謎肉など、いろんなモノが入っていることにされていた。
安価すぎるゆえ、「ナニかインチキしてるんだろう」という誤解が生じたのかと思われる。お店には迷惑だろうね。
今年に入り、TVや雑誌でニューバーグが何度か取り上げられ、「散歩の達人」サイトでは、
「豚肉3、牛肉7の合挽き肉を丁寧に練り込んだハンバーグは、肉汁たっぷりふっくらしたおいしさ」と紹介。
豚と牛の3:7は事実だろうが、他にもナニかが入っているのは、食べた人ならわかるはず。
あと、「肉汁たっぷりふっくら」という表現は、絶対にウソである。このライター、実際に食べていないのでは?
つい先日、夕方のニュースでもニューバーグが特集され、仕込み風景を放映していたのだが、
牛豚合い挽き肉の塊に、たっぷりのパン粉を付けて、開店前に多めの油で揚げ焼きしていた。
どうやら、ナニかの正体はパン粉だったようだ。他にも、企業秘密のモノを混ぜているかもしれないが。

余談だが、アニメ「ハクション大魔王」では、大魔王の好物はハンバーグという設定なのだが、
放映初期の見た目は、明らかにコロッケなのである。作中では実際に、油で揚げているシーンもあったらしい。
 (C)タツノコプロ
※上記画像はなぜか、「オムロンヘルスケア」のツイッターで発見

どうやら、作画担当はコロッケを描いたのだが、番組のスポンサーがハンバーグでおなじみ『マルシン』だったため、
コロッケの画のまま、ハンバーグに変更したらしい。※大魔王の声優・大平透氏らの証言あり
だが、作品中で描かれたパン粉を付けて揚げるハンバーグは、高円寺に実在していたのである。
偶然だろうが、ハクション大魔王の放映開始は1969(昭和44)年で、ニューバーグの開業も1969年である。

オーダーが入ると、あらかじめ焼き置きしてあるハンバーグをレンジで再加熱し、
その後は鉄板に乗せて、目玉焼きなどと一緒に提供するのは既述した。
この「レンジでチン」に、苦言を呈するバカが、「食べログ」などネットには意外と多いのにあきれる。
ハンバーグをレンジやオーブンで再加熱する店なんて、世の中にいくらでもある。
目の前で行うか否かの違いだけで、ニューバーグは目の前でやるけど、その分価格に反映している。
価格とのバランスも考慮せず、評論家気取りで「2度と行きません」なんて投稿している輩は、
ニューバーグだけでなく、飲食店自体を2度と利用しないでほしい。

ハナシは戻って。噂の2は、私が調べた限り、阿佐ヶ谷の店舗は確認できなかったが、
荻窪、西荻窪、吉祥寺にはかつて、支店が存在したらしい。最大で7店舗あったそうだが、現在は高円寺の1店舗のみ。
なお、ニューバーグは『MASH』という系列店があり、荻窪や高円寺の庚申通りにあった店舗がそうであった。
私は未訪なのだが、ニューバーグとの違いは「MASHの方が少しだけ高い」らしい。
先述した高円寺在住の方に、「要するに、『叙々苑』と『游玄亭』のような関係ですか?」とたずねたら、
「そんな立派なモンじゃねえ」だって。あ、やっぱり(笑)。

3と4については、私は目撃経験はないが、芸能人が多く住んでいる高円寺ならありえそうな噂だ。
ブラザーコーン氏は、名前入りステッカーが券売機に貼ってあるので、近年も利用しているのかもしれない。
5の噂はさすがに、お店の方に聞くワケにもいかず、謎のまま。

実は今回、ニューバーグについて書こうと決めたのは、6の噂「元々は有名洋食屋の支店だった」を知ったから。
すでに長々と雑文を重ね、読者の皆さんも飽きてきたと思うので(反省)、ここで中断し、次回の後編で改めて語りたいと思う。

※次回紹介予定の画像



ニューバーグ NEW-BURG
東京都杉並区高円寺北3-1-14
JR高円寺駅から徒歩約90秒 ※信号次第
営業時間 11時~22時
定休日 年末年始
お店のツイッターもぜひご覧あれ
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昭和の香り漂う「皆様の洋食店」 国分寺『フジランチ』

2022年03月28日 | 洋食屋さん
約2年前、カツカレーの記事をアップした直後、案の定カツカレーが食べたくなってしまった。
数ある候補店の中から選択したのが、これが初訪問となる、東小金井の『冨士ランチ』。
 ※左記の店頭画像は、お店のツイッターから拝借

注文したのは「カツカレー(大)」890円。出てきたのは、予想以上の大皿であった。


比較のため、カツの上にスプーンを置いてみた。無論、デザート用のミニスプーンではない。


一般的なお店の倍以上はありそうな、食べても食べても減らないカレーに悪戦苦闘。
「(大)なんか頼むからだ」とあきれる方もいるだろうが、こちらのお店のカツカレーは、
小、並、大、特盛、ジャンボと5種類あったため、大が標準サイズかと思ってしまったのだ。
ただし、890円で倍の量なのだから、価格自体は良心的である。※その後900円になった模様
カレーソースは、辛さやコクが控えめで、洋食屋さんというより、家庭的な味わいであった。
結局、時間はかかったものの、苦手なトマトと福神漬け以外は、どうにか食べ切った。


調べたところ、その後ジャンボサイズはなくなり、さらに現在は、カツカレー自体「お休み中」とのこと。
また、冨士「ランチ」という屋号に反し、昼間は営業していないのでご注意を。

カレーだけでなく、定食のご飯も大盛で、連日お客が詰め掛けている冨士ランチだが、
同名のお店が国分寺にもある。こちらはカタカナの『フジランチ』だ。


看板や外観から、昭和の香りがプンプン漂うお店で、もうすぐ創業50年になるらしい。
ハンバーグがメインでご飯は大盛と、共通点の多い東小金井店とは、親戚関係らしい。
数年前に閉店したが、かつては阿佐ヶ谷の駅前にも『冨士ランチ』があった。
「ハンバーグカントリー」など、国分寺店と同名の料理があり、ここも関係があったはず。

国分寺店はランチタイムも営業しているが、毎回行列ができており、なかなか入店できず。
先日のお昼頃、お店の前を通ったところ、満席ではあったが珍しく行列がなかったので、初訪問を決意。


並び始めたら、直後に数人の客がやって来て、私の後ろで列を作る。タイミングがよかったようだ。
待っている間に、今では貴重なショーケース内の料理サンプルを眺めたり、


入口ドアのそばに展示してある、メニュー表もチェック。
左側には全メニューを記載。カレーがなくなったり、以前より品数を絞ったようだが、お手頃価格は変わらず。


右側は主な料理の写真。さっき触れたハンバーグカントリーは、“ひき肉の玉子炒め”のことだ。


このメニュー表の中央には“安くておいしいボリュームタップリの料理”というキャッチコピーが躍る。


数分後、先客が退店し、「お待たせしました」の声と同時に入店。入口近くのカウンター席に案内された。
ホール担当は若い男性で、ご夫婦らしい男女が厨房。皆さんご家族なのかな?
感染対策のビニール越しに、お父さんシェフの調理を見学できる、特等席であった。


数あるメニューの中から選択したのは、お店の名前がついた「フジセット」1000円。
お父さんがフライパン、揚げ鍋、レンジを同時に駆使してメイン料理を仕上げていき、
補助担当のお母さんが、ご飯やみそ汁、付け合わせの生野菜やスパゲティを盛りつけていく。
厨房内はあまり広くないため、互いに接触しないよう、絶妙なコンビネーションを披露。
途中、お母さんに「もう少々お待ちくださいね」と2度告げられたのだが、
調理作業を眺めていれば飽きないし、そもそも「待たされている」と感じるほどの時間は経過していない。
最後にお母さんが、小さな炊飯ジャーで保温されていた、デミグラスソースをハンバーグにかけて、フジセットが完成。


ハンバーグ、目玉焼き、鶏のから揚げに、付け合わせの具なしナポリタンと生野菜。野菜以外(苦笑)は好物ばかりである。


みそ汁には豆腐とワカメがたっぷり、そしてご飯は、並盛のはずなのにかなり多い。


メニューに「小ライス 30円引き」と記されていたが、たぶんこれが、一般的な「並ライス」だと思われる。
+100円の「ライス大盛」は、店名同様、富士山のようなてんこ盛りになるらしいが、若くない私は遠慮しておく。
そういえば、こちらのお店ではオーダー時、「ライスは結構多いですよ」と忠告されている方も何人かいたが、
私にはその声掛けがなかった。どうやら、外見(デブ)で判断されたようだ。まあ、確かに食べ切ったけどさ。
なにしろ、オカズがウマいので、ご飯が足りないくらいだったからね。
ハンバーグは臭み消しのナツメグが効いた、上品な仕上がり。個人的には、もっと肉々しいタイプが好み。


ただし、デミグラスソースは絶品で、例のナポリタンとも絡めてズルズルすすった。
目玉焼きはご飯に乗せて黄身を崩して食べた。そして、特筆したいのが唐揚げの美味しさ。
最近、唐揚げの専門店も増えているけど、ニンニクなどの下味が過剰なタイプが多い気がする。
その点、フジランチさんの唐揚げは、醤油ベースでほんのり甘味を感じる、ちょうどいい塩梅の味付け。
もちろん、油っこさなどもなく、白米と一緒にバクバクと食べ進めたよ。
今回も、トマト以外は残さずたいらげ、すっかり満腹になったところでお会計。
レジで千円札を出すと、30円分の次回割引券をくれた。こういう、ささやかなサービスは好きだ。


レジの男性、その後厨房のお父さんお母さんにも「ごちそうさまです」と挨拶したら、
それまで、ほとんど声を発してなかったお父さんが「ありがとうございます」と声をかけてくれ、
お母さんは再び「お待たせしてすみませんでした」と謝ってくれたので、恐縮してしまった。全然待ってないのに!
フジランチさんが人気を集める理由は、味や量だけではないのがよくわかった。

つい先日、まん防解除により再開した、ディナータイムに訪問。開店直後なのに、早くも数名の先客で席が埋まっている。
ただし、シェフの目の前の特等席が空いていたので、またまた着席&見学させていただくことに。
今回は、チキンカツ+ピーマン肉詰めの「Cセット」900円をオーダー。
「デラックスセット」などに付くコロッケも気になり、「Cセットにコロッケ付ける…のはできますか?」とたずねてみたが、
残念ながらそういう注文は対応していないらしい。ワガママ言ってゴメンなさい。
注文後、お母さんがピーマンの種を取り除いて、肉を詰め始め、お父さんが鶏肉を叩き、粉を付けてから揚げる。
他の客が頼んだハンバーグも、注文が入るたびにお父さんが、肉の成型と空気抜きを行なっていた。
驚いたことに、夜の時間帯は作り置きなし!? あ、具なしナポリタンは例外ね(笑)。
作り置きはなくても、好連係により数分後には、Cセットが完成。


ピーマン肉詰めには、濃厚そうなKAGOMEのトマトケチャップがかかっていた。


あと、前回もそうだったのかは忘れたが、生野菜には赤い粉が振りかかっていた。辛くないのでパブリカかな?
ピーマンにはまだ歯応えが残っており、ハンバーグ同様、臭みのないひき肉と好相性。
チキンカツは叩かれ柔らかく、最初は塩、次に醤油、最後はやはりソースで食べた。


お酒は飲んでなかったが、お腹イッパイになったためか、帰宅後はすぐに熟睡。子供かよ。

最初の方に載せた、メニュー中央の“安くて美味しいボリュームタップリの料理”のコピーの下には、
フジランチは皆様の洋食店ですという一文が記されている。
良心的な価格で、美味しくボリューミーな料理を、ナイフやフォークではなくお箸で食べる。
飾らず気取らず、けれども温かいおもてなし。フジランチさんはまさに、庶民のための洋食屋さんだよ。



フジランチ
東京都国分寺市本町2-13-7
JR、西武線国分寺駅から徒歩約4分
営業時間 11時~14時、17時半~20時半
定休日 火、水、年末年始
※東小金井の『冨士ランチ』は、東京都小金井市東町4-38-17

※※2023年4月追記 最近は夜の営業はお休みのようです
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

30年前から食べているハンバーグ 八王子『エスエム』

2022年01月17日 | 洋食屋さん
以前、小平市の『きっちんコバヤシ』をリポートしたとき、「街洋食」という単語を使用した。
最近、一般名詞になりつつある(?)、「街中華」or「町中華」などと意味合いは同じで、
どこの街にもあるような、気軽に入店できる、安くて美味しい洋食のお店を示したつもりだった。
こちらもやはり、街中華と同様、後継者問題やチェーン店の台頭などにより、年々お店が減っており、
そもそも、「気軽」で「安価」な「洋食」という、3つの条件を満たすお店自体が少ない。
私自身、ガキの頃からラーメン店や中華食堂には通っていたが、「行きつけの洋食店」と呼べるお店はほとんどない。
唯一、今回紹介する八王子の『エスエム』さんは、30年ほど前から知っている。

正式名は『グリル エスエム』で、店名の由来は、店主の村木愉さんのイニシャルである。
ということを昨年の夏頃、こちらの記事で記した。そのとき紹介した「カツ カレーライス大盛」と、
 ※価格は1200円

「カニクリームコロッケ」850円の画像を再録。


ついでに、未公開画像のコロッケの中身も。ホワイトソースからは、カニの風味を存分に感じられる。


中のクリームだけでなく、付け合わせの野菜ソテーやマカロニサラダもウマかった。

このお店の存在は、八王子の友人宅に遊びに行ったとき、何度か出前を取ってもらったことで知った。
カレー、ナポリタン、ハンバーグライスなどの出前専用メニューの中から、私はほぼ毎回、ハンバーグを注文していた。
当時は、料理の美味しさもさることながら、「”エスエム“だってよ、ウヒヒヒ」と、店名の響きに興奮したものだった。
程度が低い、とあきれるだろうが、当時の若く好奇心旺盛な男子(笑)なら、当然の反応である。
実際、数年前までは、「八王子 エスエム」で検索すると、いかがわしいサイトの方が多く見受けられたし。
さっき調べてみたところ、こちらのお店が開業したのは、今から約50年前。
まだ「SM」という概念が、一部マニアの間でしか定着していなかった時代だと思われる。

ある日、いつもの出前ではなく、直接お店に足を運んで食事した。
店内はカウンター席と、大小のテーブル席があり、テーブルには洋食店らしくシートが敷いてある。
いつも出前に来るおじさんが接客・調理補助・出前担当で、もうひとりのおじさんがメイン調理を担当。
ふたりが兄弟で、調理担当シェフのお兄さんが店主であることを、のちに知った。
このとき、何を食べたか忘れたが(多分ハンバーグライス)、小さな厨房で、多くの注文をさばくお兄さんと、
接客、配膳、会計をこなし、さらに出前にも行く弟さんとのコンビネーションは、「これぞ職人!」とうならされた。
そんな、私の初入店から約30年が経過し、おじさんだった村木兄弟も、その分年齢を重ねたものの、
現在も元気に、ふたりだけでお店を回しており、昔より範囲は狭くなったようだが、出前注文も引き受けている。

※弟さんが乗る出前用バイク

そんなスゴイ兄弟を、私はスーパー村木ブラザーズと呼び、尊敬してやまない。
ちなみに、元ネタのファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」も、品番がHVC-「SM」であった。

シェフのお兄さんは、銀座『千疋屋』で洋食を学んだとのこと。千疋屋といえば、老舗の有名店で価格もソレナリだが、
エスエムさんでは同じメニューでも、半額かそれ以下のお値段で食事ができる。こちらが料理一覧。


そしてこちらが、サラダやスープ、コーヒーなどが付くコースメニュー。


現在「入荷待ち」になっている、サーロインステーキの「Aコース」は1900円。千疋屋だといくら払わされるんだろう?
ポークカツとポークソテーは、通常タイプに+350円で、(厚切り)が選べる。
こちらは、10年ほど前にガラケーで撮影した「ポークカツ・厚切り」1250円(現在の価格、以下同)。

※奥にビールのグラスが見える

食べ応えはあるのだが、コロモがはがれやすいのが難点。脂身もカットされていた。
同じ日に食べた「ナポリタン」800円も掲載。ピンボケ失礼。


具材が多めで、味付けはさほど濃くなく、ズズズっとマナー悪く、音を立てて一気に食べた。反省。

普段は、八王子球場での高校野球観戦後など、昼間に行くことが多いが、先日は、夜の時間帯に訪問してみた。
「ビール」600円=キリン一番搾りの中ビンと、おつまみに「魚のミックスフライ」950円を注文。
しばらくして、ミックスフライが登場。具材はエビ、イカ、ホタテ、キス、サケ。


別アングルからも1枚。付け合わせの野菜とタルタルソースもたっぷり。


野菜には、ほどよい酸味のドレッシングがかかり、レタスとキャベツの他、大根、紫キャベツ、セロリも入る。
揚げ物には、卓上のソースとタルタルを使用。タルタルは単独でもツマミにもなる。
ビールを飲み終わったので、締めとして食事メニューから「エビライス」900円を注文。
海老を茹でるところから始めて、さらにたっぷりのバターでご飯を炒めていく。
正式なピラフは、ご飯を炒めずに炊くので、こちらではエビライスと呼んでいるのだろう。

※マグカップの味噌汁付き

茹でたての海老がたくさん入っているのが嬉しい。残ったエビフライも一緒に置いてみたよ。


シェフはなるべく作り置きはしない主義のようで、注文後にひとつひとつ丁寧に作業をする。
急いでいる方はともかく、カウンター席から調理過程を眺めるのが好きな私にはありがたい。
そういえば昔、ある先輩に「お前はいつもヒマでいいよな」と罵倒されたことがあった。
仕事もなく、時間に余裕があることは否定しないが(嘆)、そんな他人を見下すほど時間に追われるよりは、
こうして、歴史ある街洋食の逸品を、目と舌でじっくり味わえる生活も悪くない…と思うよ。

最後に、私がこちらで30年前から食べている、お店自慢の料理(のはず)、ハンバーグセットを紹介しよう。
さっきのメニュー表に載っていたが、正式な商品名は「Eコース」。


メインのジャンボハンバーグに、目玉焼きなどいろいろ付いて1500円。
30年前の出前は確か1000円だったが、ポタージュやコーヒーはなかったし、物価の上昇を考えると破格である。
注文すると、まずは大きめのボウルでポタージュが出てきた。


お行儀よく、スプーンで音を立てずに味わう。クリーミーかつ濃厚、これぞ家庭では作れないプロの味。
これから「ごちそうを味わう」という期待が高まる、コースの最初を飾るのにふさわしい一品だ。
ところで、ポタージュとみそ汁、両方付くセットって珍しいよね。
その後、お兄さんシェフがハンバーグや野菜などの付け合わせを、温めた鉄板に乗せ、味噌汁をカップに注ぎ、
弟さんがサラダを用意し、ライスをお皿に盛りつける好連係を見せ、コース一式が登場!


サラダはさっきも書いた、薄味のドレッシングでセロリの香りが印象に残るタイプ。
味噌汁はお揚げやワカメなどが入り、ポタージュと比べると塩分が濃い。
メインの「ジャンボハンバーグ(目玉焼)」は、本当にジャンボで、各種野菜ソテーが添えられる。


デミグラスソースは、濃すぎずクドすぎず、肉や野菜の旨味を引き出す懐かしいテイスト。
久々のハンバーグは、写真のように玉ねぎが粗目に刻まれており、歯応えがいい


「やっぱりウマい…」とバクバク食べ進んでしまい、ハンバーグなどが残っているのに、ご飯がなくなってしまった。


当然「お替わりください」となり、目玉焼きを乗せて、再度バクバク食べ始める。「ライス」は250円。


食べ終わる頃を見計らい、弟さんがコーヒーを出してくれた。


コーヒーは苦手な私だが、砂糖とミルクをたっぷり入れて飲み、大満足で「ごちそうさまでした」。

食べたことのないメニューも多いが、現時点で私のおススメはやはり、昔から食べているハンバーグセットだ。
八王子エスエムは「Eコース」がオススメ、ぜひ覚えておいていただきたい。
上記の文だと、怪しげなお店のコース推奨のようだが(苦笑)、誤解のないように。
繰り返しになるが、エスエムさんのような、素晴らしい「街洋食」の情報、お待ちしております。



グリル エスエム
東京都八王子市横山町21-13
JR八王子駅より徒歩約8分 京王線京王八王子駅からは推定徒歩約6分
営業時間11時半~14時半くらい、16時半~20時半 ※冬場は20時くらいまで
定休日 火曜、年末年始
※出前は浅川を渡らない範囲まで、とのこと

※残念ながら、23年に閉店なさったようです
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「街洋食」の名店を発見! 一橋学園『きっちんコバヤシ』

2021年09月09日 | 洋食屋さん
数ヶ月ほど前、いつも愛読しているブログと、たまにチェックしているブログが、同じお店を紹介していた。
持ち帰り専門の餃子屋さんで、住所は小平市だが住宅街の中にあり、どの駅からもそこそこ歩く距離。
一番わかりやすいのは、JR新小平駅からまっすぐ南下し、玉川上水を渡るルート。

ある日、その道順で餃子を買いに向かったところ、途中で気になるお店を発見。


黄色い軒先テントに、“ランチ&定食”と“おいしさとボリューム”の文字が躍る。
お店の名前は『きっちんコバヤシ』。昭和の香りがプンプン漂う洋食店だ。
我慢ができず、当初の目的を変更し、吸い寄せられるように入店。
店内はテーブル席主体の計12席。上品なお母さんに「いらっしゃい」と声をかけられる。
壁のメニューを確認すれば、期待どおりの昭和価格。というか、むしろ安すぎる。


毎度のことながら、店内照明が映ってしまう、ダメな撮影で申しわけない。
見えづらいだろうから説明すると、「カレーライス」とスパゲティ「ミートソース」が500円、「オムライス」は550円。
ライス、スープ付きの定食類では、「カキフライ」が680円で、一番高価な「ポークソテー」でも1000円。
上記以外にもメニュー表があり、そこには「BEST8」の記載とともに料理が8品。
おそらく、お店自慢の8大メニューなのだろう。※撮影は大失敗したため未掲載
その8品の一番上に記載されていた「きっちんランチ」650円を注文。名称はランチだが、いつでも頼める模様。
お母さんが厨房にオーダーを告げ、寡黙なお父さんが調理を開始。
数分後、まずはお箸と紙ナプキンが用意され、続いてきっちんランチが登場。


メインのハンバーグとカニクリームコロッケに、目玉焼き、たっぷり生野菜、ライスと味噌汁。
本来はポタージュスープが付くのだが、この日は品切れのため味噌汁に変更とのこと。

ハンバーグとカニコロは、大きいのが1個ずつ。特にコロッケは大きめで、650円はお得。


デミグラスソースがかかったハンバーグは、脂肪分こそ少なめだが、肉々しさを感じる仕上がり。
しかもその下には、私の大好きなマカロニサラダも! これは嬉しい隠れキャラだ。


このマカロニだけでメシ全部喰える、と言いたいところだが、ライスも結構多いので全部は無理(笑)。
カニコロの中身のホワイトソースはやや硬め。酸味を抑えたタルタルソースもウマい。


途中でレモンを絞ったら、バターか生クリーム由来と思われる、乳製品の濃厚な風味がさらに際立った。
さすがにお店の名前を付けたランチ。すべてがウマい! と箸が止まらぬまま「ごちそうさま」。
外の“おいしさとボリューム”の文字に偽りはなく、あまつさえ“安さ”にも感激させられた。
久々の新規開拓は大正解、なにより美味しいモノをたっぷり食べられて、実にいい気分である。
ゴキゲンな足取りで退店し、再び当初の目的だった餃子店に向かい歩き出したところ、すぐに銭湯の煙突を発見。


残念ながら昨年廃業なさったようだが、近所には、たい焼き屋や私好みの中華食堂もあった。
往時には、風呂上がりに洋食や中華で一杯、お土産にたい焼き、なんてお客もたくさんいたんだろうね。
その数分後、閉店間際だったが餃子屋さんに無事到着。このお店も、改めて紹介する。 ※追記 こちらで紹介

それから少し日にちが空いたが、きっちんコバヤシさんに2度目の訪問。今度はランチタイムだ。
前回品切れだった、ポタージュスープが付くメニューの中から、「エビピラフ」500円をチョイス。
まずは、紙ナプキンとスプーン・フォークに調味料、そしてカップのポタージュが提供された。


自家製と思われるポタージュは、いつまでも熱々で、なおかつ濃厚であった。


しばらくすると、メインの「エビピラフ」がやって来て


さらに、一緒に頼んでいた「ナポリタン」500円も登場。さっき、タバスコとチーズが来たのは、このためである。


普通の人は、「今日はたくさん食べたい」「腹が減った」などの理由で注文するのだろうが、
私の場合、「あ、この料理安い。ならばもっと食べられるな…」と、腹具合より懐具合を優先することがある。
この日も、どちらも500円という安価に惹かれ、「エビピラフ」と「ナポリタン」を同時にオーダーした結果、
想像以上のボリュームの商品が提供され、悶絶するハメになったりする(苦笑)。


ナポリタンなんか、生野菜だけでも100グラム以上あるし、計500グラムはあるはず。なぜ500円なんだ!?


トマト風味もほど良く、普段は絶対に使う粉チーズの存在を忘れるくらい、一気に食べ進めてしまった。
エビピラフの方も、バター臭さを感じさせない仕上がり。福神漬けが乗るのも珍しいかな。
そもそも、エビピラフもエビチャーハンも、500円で出すお店は、今では貴重だよ。
あと、細かいことだけど、昼間の忙しい時間帯でも、調理担当はお父さんひとり。
そんな中、ふたつのフライパンを同時に振り、ピラフとナポリを同時に仕上げる技術は見事である。

ポタージュも含め、総計1キロ近いはずのダブル炭水化物を、なんとか食べ切りお会計。
この量、味、品質が、千円札1枚で済むのが申しわけない。
お店を出て裏口の方に回ると、出前用のバイクとヘルメットが置いてあった。


昭和のお店らしく、きっちんコバヤシさんは、今も出前をやっているのだ。近隣の方がうらやましい。
なのでお父さんは基本、コック用白衣などは着用せず、いつでも飛び出せるよう、襟付きシャツとジーパン姿が多い。

その後は腹ごなしも兼ねて、周辺をちょっとお散歩することに。
私が定期的にチャーシューを買いに行く『なにや』さんは、緊急事態宣言下は休業とのこと。

※追記 9月30日まで休業とのことです

なにやチャーシューが入手できないため、最近は自宅でラーメンを食べる機会も減ったよ。
なお、隣の『むぎきり』さんの店頭にも、緊急事態宣言下は休業の貼紙があった。再開が待ち遠しいね。
同じ通りの和菓子屋さんで買い物をし、再びきっちんコバヤシさんの付近に戻ってきたところ、
ちょうどお父さんが、バイクで出前に行くところだった。※後ろ姿をこっそり撮影


厨房での立ち仕事だけでなく、バイクに乗っての出前まで。失礼ながら私よりだいぶ年上だと思うけど、お元気だよ。

「日本の洋食屋さん」と聞いて、みなさんはどの料理を思い浮かべるだろうか。
私のような昭和生まれは、カレー、ハンバーグ、スパゲティがトップ3だろう。
あとは、意見が分かれそうだけど、コロッケ、カツ、ピラフ、スープ、ステーキあたりかね。
今挙げた洋食料理8種が、きっちんコバヤシさんでは全部食べられるのがスゴイ。
※追記 こちらのお店のメニューにもある、「オムライス」を忘れてた! 
というワケでつい最近、上記の中では未食だったカレーとカツ=「カツカレー」目当てに3度目の訪問。
残りのステーキ(ポークソテー)は、緊急事態宣言が明けたら、ビールのおつまみに頼もうかな。※現在は当然酒類提供中止
カツカレーは600円とやっぱり安く、申しわけないので大盛にしたが、差額は+70円だって。
注文後、厨房内をチラッとのぞいたら、お父さんが豚肉を切り分けるところだった。
揚げ置きどころか、肉にコロモを付けるところから始めるとは! 手を抜かない職人魂が嬉しい。
しばらくたって、お母さんが味噌汁と一緒に、カツカレー大盛を運んできてくれた。


予想はしていたが、大盛はちょっと身構えるレベルの迫力。


ナポリタンと同様、生野菜もたっぷり。カツと合わせたら総計1キロは超えてそう。


大盛はライスだけ増えるのかと思いきや、明らかにカレーソースも多い。+70円ではお店が損なのでは?
壁のメニュー表によると、カレー類には味噌汁は付かないはずだが、サービスだろうか。
あと、エビピラフに福神漬けが付くのに、カレーには乗らないのも面白い。個人的に、漬物類は苦手なので問題ないが。
まずはカレーをひと口…ううむ、スパイスよりコクを重視した、シチューっぽい洋風カレーだ。
ソースに具材はなかったが、溶け切らなかった牛肉片が残っていたし、野菜類も相当煮込んでいそう。
きっちんランチのときに書き忘れたが、ご飯も当然、しっかり炊けている。味噌汁の具材はワカメと豆腐とネギ。
ロース肉使用のトンカツは、スプーンでもカットできる、ちょうどいい厚さ。


カレーとライスはもちろん、カツ、野菜、味噌汁などもすべて食べ切り、この日もお腹が苦しくなった。
会計時、「先日のナポリタンとピラフもですが、安すぎませんか?」と話しかけたところ、
お母さんは「これでも少し値上げしたんですよ…」と申しわけなさそうに返答。
あとで調べたら、カツカレーは数年前より20円だけ値上げしていた。ほぼ税率上昇分である(笑)。
おいしくてボリューミーでしかも安い。こんなに素晴らしいお店、なかなかないよ。
次は「生姜焼定食」か、未知の料理「ビクトリア」(メンチカツのようなモノらしい)か。
両方食べられた若い頃に、きっちんコバヤシさんに出会いたかった。

「街中華」という言葉は一般的になったが、こちらのお店はさしずめ「街洋食」か。
いろんなお店で飲食を楽しんできた私だが、ここを超える安ウマ洋食店は……なかなか浮かばないではないか。
いきなり最高峰に達してしまった可能性もあるが、街洋食の探索はこれからも続けていきたい。お店の情報大募集!
もちろん、きっちんコバヤシさんに今後も足繁く通うのは、言うまでもない。



きっちんコバヤシ
東京都小平市学園西町2-9-20
西武線一橋学園駅から徒歩約10分、鷹の台駅からも徒歩圏内、JR新小平駅から徒歩約12分
営業時間 11時~13時半、16時半~19時
定休日 日曜
※定食類はライスなしの単品注文も可
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする