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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

雄弁かつ多才な愛弟子 矢部『梅吉』(後編)

2023年09月27日 | ラーメン、つけ麺など
JR横浜線の矢部駅と淵野辺駅の間、住所だと相模原市中央区鹿沼台1-1-1という1並びの場所に、
かつては『肥後っ子 大石家』という、商売っ気のないユニークな店主が営むラーメン店があった。
その後、大石家は惜しまれつつ閉店したが、同じ場所で愛弟子が、『梅吉』というお店を開業。


師匠譲りの豚骨スープと麺、そして店主のマジメさと雄弁さに、私はすぐ梅吉さんのファンになった…
までを前編で語ったので、後編の今回は、梅吉さんが提供しているラーメンについて紹介していく。
前編執筆後、梅吉さんを改めて取材。実際は、いつものようにお店で食事とラーメン談義を楽しんだだけだが(笑)。
なお、前編で掲載したメニュー表画像は、レンズの汚れで右端が霞んでいたため、改めて撮影したのを再掲載。
表側が、現在販売しているラーメン類で、


裏がトッピングやサイドメニューだ。

※上記2枚、前編も差し替え済み

ついでに、麺類4種の写真見本もある、お店入口のメニューも掲載。


撮影したのは昨年で、現在の価格はすべて+50円。前回、唯一紹介した「梅吉らーめん」は、
※ニンニク食べても大丈夫ならオススメ※などのコピーと一緒に、「豚の頭骨から丁寧に炊き上げた豚骨スープに3種のニンニク等を使った特製タレを合わせ、他では味わえない一杯に仕上げました!」という説明文も。
梅吉らーめんは、別の日には「チーズ」100円を追加し、2枚にしたこともある。


マー油などによる独特の苦みを、ダブルチーズの濃厚な風味が包み込み、臭みのない豚骨スープの旨味が増幅。
ただし、麺やキクラゲと絡んで食べづらくなる、という欠点もあるので(苦笑)、チーズは1枚でもじゅうぶんだ。


ところで、私が食べた梅吉らーめんは真っ黒だが、他人のブログなどを見ると、最近はキャラメルっぽい色をしている。
前回書いたように、梅吉店主は研究熱心なので、作るラーメンも日々、変化&進化していると思われる。

こちらは、※ニンニク不使用、柚子胡椒入り※の「らーめん」。


見た目は梅吉らーめんと同じなのだが、画像に「らーめん」とメモをした、自分を信じたい。
柚子胡椒は控えめで、感じるのはやはり、豚骨スープの旨味とチーズのまろやかさである。
後日、ぜいたくにも「チャーシュー」400円を追加し、計6枚のチャーシューらーめんにしてみた。


横アングルはこちら。丼サイズは普通だが、麺の量は160グラムと、一般的なラーメンより多め。


大石家のチャーシューは、柔らかく薄切りだったが、梅吉さんのは分厚く締まった肉質で歯応えがよく、
さらに提供直前にフライパンで炙るため、濃厚スープに負けない香ばしい仕上がりに。
この日はライス=「松源の白御飯」200円も追加し、


いつものようにチャーシュー丼を作ってみた。


あとで調べたが、この松源の白御飯とは、滋賀県甲賀市で作られている上質品らしい。
ライスにも気を配る、梅吉店主の誠実さがうかがえるが、そんな良質なお米を、そのまま味わうことなく、
すぐにチャーシューを乗せてスープをぶっかけた、私を許してほしい(反省)。

基本の【らーめん三銃士】(←勝手に命名)のうち、個人的に苦手な黒マー油が主体の「黒らーめん」は未食だったが、
先日の訪問で、今回の後編に掲載すべく、初オーダーしてみた。


見た目は他のラーメンと似ているが、先述した店頭メニューでは、※当店で最も好みの分かれる味※という見出しのあと、
「真っ黒なマー油をソースのように使い(中略)“甘味”と“苦味”と“酸味”を感じる一杯です」と解説。
相当クセのある味なのかと、恐る恐るスープを啜ってみると、最初に感じたのが甘味で、苦味や酸味はそうでもない。
九州では甘い醬油が一般的だが、その醬油をタレに使用しているようで、なかなか面白い味だ。
以前も書いたように甘党で、甘い醤油も甘い誘惑(←最近は縁なし)も大好きな私は、この商品は意外と気に入った。

だが、関東人の中には、甘い醤油が苦手な方もいるので、黒らーめんも賛否両論があったようだ。
好き嫌いは仕方ないが、ごくたまに「なんだこの味は!?」などと怒ったり、屈辱的な暴言を吐くバカもいたらしい。
未知の味や文化に戸惑う感情はわかるが、まずは「こういう味もあるんだな」と受け入れるべきで、
固定観念から抜け出せず、「甘口のラーメンはおかしい」と決めつけ怒鳴り散らすようなバカは、
どうせクレイマーか食べロガーなどのクズだろう(あ、これも決めつけだ)と、私がいつものように罵ったところ、
店主は私の罵倒には付き合わず、淡々と、納得してもらえない状況に困惑した、と振り返っていた。
梅吉店主も、先代の大石店主と同様、かなり話し好きのようだが、汚い言葉は一切使用しない(←お前も見習え)。
人柄の良さが口調からにじみ出ており、なおさら無礼な客に対して腹が立ったね。

メニュー右側の3種は、近年は固定されているが、一番左側は何度か入れ代わっている。
現在の「文化条らーめん」700円は、数年前に閉店した、熊本の『味乃文化城』という人気店の味を再現したそう。
お店から、レシピと使用していた丼を受け継いだそうで、このラーメンだけ、丼に模様がある。

このときに載せた画像を再掲

上記画像にはチーズが入っているが、他のラーメンより200円安い分、通常はチーズ抜きである。
濃すぎずしょっぱすぎず、ベーシックな熊本ラーメンで万人受けしそうなテイストだ。
梅吉店主は、九州各地のラーメンを食べ歩いており、味乃文化城店主とも、そのとき知り合ったのだろう。
大石家と同様、「この人に味を受け継いでもらいたい」と思わせるのが、梅吉店主の人柄だ。

文化条らーめんの前は、チーズ抜き、チャーシュー1枚、スープ少なめの「はじめての熊本らーめん」を500円で提供。


当時、前記のラーメン3種が800円だったので、500円はかなりのサービス価格だが、
具やスープが減っただけで、味自体はいつもと変わらず美味しかった。
さらにその以前は、黒らーめんとは対照的な商品「白らーめん」もあった。


価格は、他の三銃士と同様800円で、マー油不使用のため、お店自慢の豚骨スープがもっともダイレクトに味わえる。
個人的には、私が一番気に入ったのがこのラーメンであり、「替え玉・1玉160g」200円も頼んでしまった。

※替え玉は当時150円

麺を2玉食べるのならば、「大盛」+100の方がお得なようだが、替玉にはチャーシューが付く。店主の優しさだな。


あ、そういえば、最新の訪問で、店内の食品衛生責任者(?)の札で、店主の名前を確認してきた。
名字が梅野さんで、名前が…〇吉さんだった。最近目が悪くなって、〇部分が見えなかった。ゴメン。
くりぃむしちゅーの有田哲平さんの愛称「アリペイ」と同様(?)、梅野〇吉さんで屋号が『梅吉』になったわけだ。

先述したように、現存のラーメンもブラッシュアップが続いており、さらに店主は新作ラーメンの構想も練っている。
以前は、「最近の東京ではあまり見ない、臭ウマなラーメンを、あえて今作ってみたい」と語っていた。
臭みのないスープを出している梅吉さんが、あえて真逆のスープを出すことに興味が沸いたが、
今のところまだ商品化はしていない模様。住宅街だし、近隣からの苦情も避けられないからね。
最近は、「暑い夏場でも食べられる、冷やし担々麺」を考案中とのこと。
ベースの豚骨スープが素晴らしいので、絶対ウマいのができると思う。たとえ冬場でも食べたいものだ。

大石家の味を引き継ぎながらも、少しずつ製法も変えているそうで、特に最近は、
「ラーメンの味は全体的に濃厚になっているので、過去のままでは物足りなく思われる」らしく、
梅吉さんは近年、スープに使用する豚骨の量を以前の倍にしたそうだが、
「豚骨の価格が2.25倍になったので、コストは実質4.5倍」とのこと。うわあ、それは大変だ。
昨今のラーメン店事情の他、以前よりは食べ歩きが減ったそうだが、九州や東京のラーメン店なども教えてくれる。
先日は、都内の某店をオススメしてくれたので、近日中に行ってこようと思う。
梅野店主とは食後、ほぼ必ず会話をさせていただくが、毎回いろいろと勉強になる。
一応、現在ある商品は全種類制覇したとはいえ、梅吉さんには今後も通い続けるしかない。

ところで、卓上メニューで「当店で最も美味しい商品はこちら」と紹介されているのが、
下記の「たまごが美味しい自家製ミニアイス」。北海道の高級玉子を使っているそうだ。


私が食べたときは300円だったが、玉子の高騰かつ品薄で、現在は500円の数量限定商品に。
味の感想は、良質な玉子が引き立てたのか、ミルク成分の濃厚さが印象に残った。
「当店で最も美味しい」は謙遜だろうが、甘さ控えめで舌の上でふわっと溶ける。濃いラーメンのデザートには最適だよ。


お店のブログによると、「当時毎日店を覗いていく小さなお客様の為に作り始めた」とのこと。
ラーメンには関係のない、お子さん向けのアイスでも、手抜きなく高級玉子を使うのが、いかにも梅野さんらしい。

もうひとつ、店主がラーメンに関係なく(?)作成しているのが、自家製のお野菜
当初は、薬味のネギなどを育てていたようだが、最近はナス、冬瓜、レタス、キュウリなどなど、
ラーメンの具材やスープには、使用しないと思われる野菜を作り、知人に配っているようだ。
私も「よかったらもらってください」と仰るので、せっかくなので、レタスとキュウリをひとつずついただいた。


野菜嫌いの私だが、梅野さんが作ったのだから…と食べてみたところ、市販の野菜とは明らかに違う!
野菜ならではの香りや青臭さが鮮烈で、いかにも身体にも良さそう。このレタスとキュウリなら、私も喜んで食べるよ。
ラーメンだけでなく、アイスクリームも野菜も美味しい、梅野店主の多才ぶりに脱帽だ。



らーめん梅吉
神奈川県相模原市中央区鹿沼台1-1-1
JR矢部駅から徒歩約6分、淵野辺駅からは約7分
営業時間 最近は月~金18時~22時、土日祝11時半~14時
定休日 不定休
※定休日や時間についてはお店のブログで確認を
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