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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

府中で食べる「赤坂ラーメン」 東府中『赤坂屋』

2024年03月20日 | ラーメン、つけ麺など
かつて、『赤坂ラーメン』というお店があった。
名前のとおり赤坂で開業し、全盛期は国内外に支店を展開。マスコミにもたびたび登場する有名店であった。
渋谷にも店舗があり、1990年代半ば、当時渋谷で働いていた私も、何度か食事をしている。
ラーメンは、豚骨ベースの白濁したスープに、歯応えのある中太麺の組み合わせ。
当時の豚骨ラーメンは、九州風の細麺や、ホープ軒やラーショ系などの中細麺が主流で、
豚骨醤油スープの家系も、都内の店舗はまだ少なく、太麺の豚骨ラーメンは希少であった。

私が食べていたのは、普通の「ラーメン」か、たまに「チャーシューメン」を頼む程度。
実は赤坂ラーメンは、奇抜なメニューが多く、制限時間内に食べ切ると賞金が出る、デカ盛りの「ジャンボラーメン」や、
牛タンで作ったチャーシューのラーメン、さらには下記画像のように「スペアリブラーメン」なんて商品も提供していた。

※2002年発行 成美堂出版「首都圏 絶対食べたいラーメン220軒」より

若い頃の私は冒険心がなく、上記のようなラーメンには手を出さずじまいであった。

その後、勤務先が変わったため、赤坂ラーメンに足を運ぶ機会はなくなり、21世紀に入ると、気付けば渋谷店はなくなっていた。
他の支店もなくなっていき、最後に残った赤坂本店も、コロナ禍の影響で2021年に閉店。
それでも、本店で15年間修業した方が独立し、東府中に『らーめん赤坂屋』を開業。
一時代を築いた、赤坂ラーメンが食べられるのは、現在ではおそらくここだけである。

そのうち行こう、と思っていた赤坂屋だったが、隣駅の多磨霊園にある『やすいみ~と』に初訪問した際、
満席で入店できず、東府中のどこかでメシを喰おうと徒歩で移動中、偶然にもお店を発見し、迷わず入店。

店内はカウンター席のみで、男性店主から「いらっしゃいませ」と挨拶される。
壁には、店主が赤坂ラーメンで15年間修業したことを証明する、「免許皆伝書」のようなものが掲示してある。
券売機で食券を購入し、セルフサービスのお水を汲んで着席。
後日、券売機を撮影。基本の「ラーメン」780円は塩豚骨味で、他にも醤油味、味噌味、辛口、つけ麺などいろいろ用意されている。


21世紀では初となる赤坂ラーメンだが、やはりベーシックな塩豚骨味を選択。
数分後、真っ赤な丼に入った、乳白色スープのラーメンが登場。


具材は、チャーシュー、メンマ、ほうれん草、海苔、ネギ。丼の大きさは普通かな。


まずはスープからすすってみる。もう25年以上前のことなので、渋谷店の記憶もだいぶ薄れているが、
臭みがなく脂っこさを感じさせない、上品な豚骨スープは、やや旨味が増したものの、懐かしい赤坂ラーメンの味である。
麺も中太の縮れタイプで、渋谷店より柔らかい気もするが、その分、スープとの絡みがよくなった。


私が食べ始めた頃、常連らしい先客が、「替玉ください」と店主に告げた。
券売機には「替玉」なんて見当たらないが、可能ならば、私ももう少し麺を食べたい。
先客が食べ終わり退店したのち、替玉があるのか店主に質問してみたところ、
「大盛にすると、麺が半玉分増えるのですが、さきほどのお客さんは、あとから麺を追加したいとおっしゃったので…」と説明してくれた。
最初から大盛にすると、途中で麺のコシが失われ、冷めやすくなるが、替玉ならばその心配もない。
無論、お店にとっては手間が増えるだけなので、あくまでピークタイム外限定の特別サービスなのだろう。
申しわけないが、私も「大盛」の食券150円を追加購入し、替玉をお願いした。


半玉とはいえ、中太麺ゆえ食べ応えがあり、食後はけっこう満腹になった。スープも飲み干したし。


この20年間で、スープ、麺、具材、ついでに値段も大幅な進化を遂げたラーメン業界において、
赤坂屋さんのラーメンは、「ひと昔前の味」扱いになってしまうのかもしれないが、
私自身も、もはや「ひと昔前の人間」なので、このテイストが舌になじむ。

食後は店主に、「20年以上前に渋谷店で食べて以来の赤坂ラーメンでしたが、相変わらず美味しかったです」と感想を述べた。
店主自身も、渋谷店で勤務したことがあったようで「懐かしいですね」と振り返ったのち、
「赤坂本店も閉店してしまいましたが、自分はまだまだ頑張りますよ」と語ってくれた。
ラーメンの味だけでなく、店主の穏やかな人柄も気に入った私は、数日後に早々と再訪。

2度目に注文したのは、券売機に(醤油)と記載してある「赤坂小町」830円。
基本のスープに醤油ダレを加えたと思われる、茶褐色のラーメンであった。


食べログでは「家系みたい」「マイルドな家系」なんて感想も散見されるが、もちろん、母体の赤坂ラーメンは無関係なので、
「家系じゃねーよバカ野郎…」などと、パソコン画面に向かって毒づいたものだが、
こうしてニンニクと豆板醤を乗せてメンマを隠せば、家系ラーメンに見えなくもない。


スープは、家系ほどしょっぱくなく、醤油由来の風味を感じたのち、ほのかな旨味が残る。
個人的には、家系ではなく、『天下一品』のこってりスープの後味に近い、妙な旨味(←ホメ言葉)を感じた。
初めて食べたが、赤坂小町ラーメンはなかなかイケる! ベーシックな塩豚骨味しか知らなかった、過去の自分が悔しい。
この日は、待ち客が出るほどの盛況ぶりゆえ、店主とは会話する間もなく、食後はとっとと退店した。

3度目の訪問は、市内の某店で食事した帰りに、締めを食べるため訪問。
以前も書いたが、府中市は魅力的な個人経営の飲食店が多数存在し、実にうらやましい。
塩と醤油を頼んだので、今回は「味噌ラーメン」880円+「味付玉子」120円をオーダー。
券売機の上に、見本の写真があり、味噌ラーメンにはモヤシとキムチが乗る模様。
厨房にいる店主の作業を眺めていると、モヤシをひと袋丸ごと茹で始めたため、次の客のための茹で置きかな、と思っていたら、
モヤシはすべて、私の味噌ラーメンに入れているではないか(苦笑)。写真見本より多いぞ。


横アングルがこちら。最近はご無沙汰している、『ラーメン二郎』のような盛り具合である。


とりあえず、モヤシを沈める「天地返し」をしたのち、スープと麺をすすっていく。
味噌スープもやはり、尖っていないまろやかな味わい。モヤシはともかく、少量のキムチがいい働きをしている。
味玉は、黄身が溶け出すソフトな仕上がり。さっきの赤坂小町に半個分入っていた、固ゆでの「ゆで玉子」は70円だ。


途中で、卓上のニンニク、豆板醤、七味を追加し、一部モヤシとスープを除き、すべてたいらげた。
ここまで触れていなかったが、赤坂屋さんは、チャーシューもなかなか美味しい。
実際、ファンも多いようで、「トッピングチャーシュー1枚」110円や、各種チャーシューメンは、毎回「売り切れ」状態。
店主曰く、「夜営業開始直後(17時)ならあるかも」とのことなので、4度目は、チャーシュー狙いで17時台に訪問。

券売機からチャーシューメニューが消えていないのを確認し、「おつまみチャーシュー」550円と、
「ビール中瓶」650円、さらに大好物の「ギョーザ5個」550円の食券を購入。
まずはキリン一番搾り、そしておつまみチャーシューが登場。


チャーシューはレンジで加熱したのちタレを少量垂らし、ネギとキムチを添えて提供される。


ビールがすぐに空いてしまったので、「ウーロンハイ」450円にチェンジ。ちょうど餃子も焼き上がった。


餃子は、一般的なものよりやや大きめで、中身は野菜多めでジューシー。


店主曰く、「修行先の餃子とは異なります」とのことだが、なかなか美味しい餃子だったので、ウーハイお替わり。


まだ早い時間帯でお客さんも少なかったので、往時の赤坂ラーメンについて、店主と語らせていただいた。
私がもっとも気になっていたのが、【赤坂ラーメンと木村健悟の関係】である。
木村健悟とは、昭和のプロレスファンなら誰でも知っているが、同世代の藤波辰爾、長州力らと比較すると、人気や実績では見劣り、
歌唱力はあるが、プロレスの実力は怪しく(?)、マニアの評価が分かれる中堅レスラーである。

※アマゾンのサイトから拝借した、木村のCD

赤坂ラーメン渋谷店の壁には、なぜか彼の写真が貼ってあり、その下には、
「プロレスラーの木村健悟です。僕は赤坂ラーメンを食べて一発で気に入り、このお店の応援団長になることを決意しました」
のような内容のメッセージも添えてあった。店内に提示しているということは、非公式ではなくお店公認なのだろう。
ただ、彼が応援しているからといって、赤坂ラーメンの評価が上がるとは思えず、ケンゴに会うため来店するファン…は少なそう(苦笑)。
私自身は、3度目くらいの訪問時に、先客としてカウンター席にいた、彼の隣席に座ったことがあった。
驚いたことに、ケンゴは客としてラーメンをすすっているかと思いきや、「今日はスープがイマイチだな」とつぶやくと、
店員さんに向かって「もっと豚骨の分量を増やせ」などと、エラそうに命令しているではないか。
応援団長といいつつ、まるで店舗管理者のような振る舞いに、「ケンゴのくせに…」(失礼)と、不愉快になったものである。

上記事件(?)について、「あれは越権行為ですよね?」と店主に不満をぶちまけたところ、
「木村さんは奥さんともども、(赤坂ラーメンの)社長と親交があったようで、渋谷以外の店舗にもよくご来店してまして、
ひょっとしたら、(店員に指示する)権限があったのかもしれません」とおっしゃるが、そんな権限、社長が与えるかなあ?
温厚な店主は、ケンゴの批判は一切せず、「やはりレスラーですから、スゴイ身体をしてましたよ」と称える。
その意見については、彼を間近で見た私も、「確かに、腕も太く立派な体格でしたね」と同意した。
最近は小柄な選手も多いけど、プロレスラーはやはり、常人離れした外観であってほしいよ。
木村健悟については、拙ブログの小好評企画「私的プロレススーパースター列伝」で、改めて語ってみたい。

お客さんも増えてきたので、会話をやめて締めの食事に。この日の注文は、初めて食べる「黒麻ラーメン」830円。


基本のラーメンに自家製「黒麻ダレ」がかかっており、おつまみチャーシューの残りを追加し、さっそく食べ始める。


自家製ダレは、黒ゴマベースらしく、独特の甘味と香ばしさが口内に広がる。マー油と違い、ニンニク臭や苦みはない。


かき混ぜると、純白のスープが漆黒に染まり、木村健悟の黒タイツを思い出させた(ウソ)。


飲んで食って、お腹パンパンになり「ごちそうさまでした」。次回は未食の「つけ麺」を食べよう。

赤坂屋さんには当初、かつて食べたラーメンを懐かしむつもりで訪問したのだが、
「赤坂小町」など個人的に未知のテイストや、真摯な店主にも魅了され、回顧どころか、現在進行形のファンになってしまった。
ケンゴのように応援団長を名乗る気はないが、応援していきたいと思わせるお店である。



らーめん赤坂屋
東京都府中市若松町1-37-26
京王線東府中駅から徒歩約4分、JRなら府中本町駅から推定約25分
営業時間 11時~15時、17時~21時
定休日 水曜、年末年始
※スープ切れによる早じまいあり
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