以前も書いたが、西荻窪はチェーン店が少なく、個人のお店が頑張っている街である。
私の好きな中華食堂も多数健在で、『八龍』、『彩虹』、『ちんとう』、『坂本屋』などはすでに紹介済み。
-餃子が美味しい中華屋さん 西荻窪『八龍』-

-「街中華」の宝庫・西荻窪で餃子を-

左から彩虹、ちんとう、坂本屋の餃子
他にも行くべきお店がたくさん存在しており、マニアにはたまらないエリアであろう。
そんな「街中華天国」の西荻で、地元民から絶大な支持を受け…てはいなく、
むしろ、ちょいと異彩を放っているお店が、今回紹介する『中華料理21』だ。
私がこちらのお店を知ったのは、今から10年以上前の深夜。終電がなくなり、ヒマつぶしに歩いていたら、
こんな遅い時間なのに営業している中華屋さんがあったので、珍しいので入ってみたのだ。
「イラッサイ」と迎えてくれた店主は中国の方のようで、調理と接客をひとりでこなしていた。
その時注文したのが、ビンビールに「餃子」と「麻婆豆腐」、あと写真はないけど「鶏のカレー煮込み」。

麻婆豆腐は辛さと旨味がちょうどよく、ビールがすすむ逸品、餃子はよく覚えていないが、悪くはなかった。
ただし鶏のカレー煮込みは、鶏肉に冷蔵庫内みたいな匂いが染みついていて、正直イマイチだった。
このあと、地元在住の方々に、中華料理21についてたずねてみたところ、面白い意見が聞けた。
○年中無休で、どの時間帯も開いている
「いつ寝てるんだ?」という疑問の答えは「営業中」(笑)。客がいないときは、店内で寝ているらしい。
なお、最近はちゃんと休憩時間があるので(後述)、営業時間中の居眠りはしていない…はず。
○日本人向けではなく、店主が母国で食べていた味を提供している
最近は、やや日本式中華に寄せた感もあるが、それでも他の店では食べたことのない味の料理が多い。
具体的な料理はあとで紹介するが、味の評価についてはやはり、賛否両論ありそう。
○日によって食材や調理法が違うため、毎回味付けが異なる
これも賛否両論あるはず。さっき触れた鶏カレー煮込みも、鶏肉以外の食材は毎回違うとか。
常連客の中には「一期一会だ」と、前向きに味わっている方もいる。
そんな中華料理21さんは一時期、メニューの入れ替えもひんぱんに行なっていた。
ある日、久々に入店したところ、店内壁の貼紙メニューに衝撃的な料理を発見!

中華食堂なのに刺身サラダ! ハンバーグ! お好み焼き! さらに別の黒板には、

本日のおすすめが天ぷらの盛り合わせ! 意外と字がキレイなのも違和感に拍車をかける。
これらの料理を始めた理由を店主にたずねたところ、「ボク、料理得意だからね」と、よくわからない答えが返ってきた。
せっかくなので「お好み焼き」と、これまたお店が推しているらしい「汁なし担々麺」を注文。
まずはお好み焼きがやってきた。見た目はよくあるタイプだが…

食べてみたら「あ、味もよくあるタイプ」。美味しかったけど、自家製ではない気がする。
続いては、見た瞬間に「これは自家製だ!」とわかる汁なし担々麺がやってきた。

これ、食べかけじゃなくて運ばれてきたときの状態だからね(苦笑)。盛り付けはイマイチだが…
いざ食べてみると、ゴマの風味が濃厚だけどあとから辛さがやって来る、まさにオンリーワンの味。
それから数年後、店主の奥様もお店に出るようになり、壁にあったお好み焼きやハンバーグについては、
「やめましょう」と店主に提案(「やめろ!」と叱りつけたとの噂も)したことで、今では幻となってしまった。
奥様が手伝うようになり、過酷な「店主ひとり営業」は解消され、非・中華メニュー群もなくなったことで、
店内に漂う怪しい雰囲気もやや薄れた感はあるが、料理の味自体は、相変わらず個性的である。
ここからは、最近食べたメニューを、ざっと紹介していこう。
まずは久しぶりに頼んだ「焼餃子」。値段忘れちゃったけど、400円くらいだったと思う。

普通より大ぶりな餃子の中身は、肉と野菜の他、数年前に食べたのとは違い、ほんのり甲殻類の風味。
すぐ近くのテーブルで、奥さんが餃子を包んでいるのを見たところ、やっぱり具材に海老が含まれていた。
続いては、私の大好きなKTI=「きくらげ玉子炒め」、推定価格680円。

味付けはそんなに変わっていないが、いろんな食材を使っている様子。

肉は豚角煮(メニューにあり)を薄切りにしたものだし、ナスが入るのも珍しいよね。
そしてこちらは、現在のイチオシらしい「美味鶏」350円。読みは「メイウイジー」だ。

鶏肉の形状や焼き色は、毎回異なっているが、要するに「中華料理21風チキンソテー」だ。
和風でも洋風でもなく、しかし中華風ともいえない不思議な味。美味しいし量もそこそこあるので350円は安い。
こちらは、つい最近登場したと思われる「豚角煮鍋」。推定750円くらい…もっと高かったかな?

たっぷりの豆腐、野菜、キノコの下に、豚の角煮がゴロゴロと埋まっている。

鷹のツメが入っていたように、スープは結構辛い。身体が温まる、冬にピッタリのお鍋だ。
ここからはシメの料理を。まずは「五目チャーハン」、推定600円。

チャーハンの見た目は普通だけど、付け合わせのスープの濁り具合が怪しい。

ゴマ油の効いた中華風スープで、味自体は変ではなかった。
チャーハンは、これまで食べてきた料理と比べると、チンゲン菜(?)以外はごく普通の具材で、味付けも薄目。
シメだから薄口に仕上げてくれたのかな? そんな気遣いをしてくれる店主とは思えないが(失礼)。
こちらは、個人的に一番のおススメ「麻婆麺」。サービス価格で現在なんと390円!

提供時は丼一面が麻婆豆腐だったので、撮影前に麺を救い上げてみた。
一般的な「スープ入り麺の上に麻婆豆腐」でなく、「麺の上に麻婆豆腐、以上!」というタイプ。
なので、麻婆豆腐の濃厚な味がダイレクトに伝わるし、麺との絡みも抜群で最高にウマイ。
最初の方で紹介したように、こちらの麻婆豆腐はいつ食べても絶品だし、これで390円とはお得すぎる。
ピリ辛で食欲をそそるから満腹でも食べられるし、ここに来たら絶対頼むべき一品だね。
あと、現在はウーロンハイも190円のサービス価格なので、がぶ飲みすべし!
最後にデザートとして、自家製の「杏仁豆腐」、推定350円。

杏仁というより、ココナッツミルクっぽい味がしたような気がした。口どけ滑らかで甘さ控えめ、デザートにピッタリだ。
以上、いろんな料理を紹介してきたが、味や盛り付け、使用食材などは、あくまで私が食べたときのものなので、
注文時に違っていても、店主や私に文句をいわないように!
食事していて気になるのが、壁やらテーブルやらいろんな場所に飾ってある、著名人のサインや写真。
先日私が座った席には、店主と角野卓造さんとのサイン&記念写真が置いてあった。

「渡る世間は鬼ばかり」とあるが、色紙に名前のある店主・欧張さんも、波乱万丈な人生を歩んできたらしい。
来日して今年で34年、お店を開店してもうすぐ20年になるが、異国の地ゆえ苦労は絶えなかった様子。
西荻窪で暮らす人たちをテーマにした、「西荻町学」というサイトのインタビューにて、欧張店主は、
数字や利益を追求しすぎて、疲れてきっている日本人と接するうちに、自身も疲れるようになったと述べ、
「私日本好きよ。でも日本人働きすぎ」と苦言を呈していた。
ここ数年、まともに働いた記憶のない私(スマン!)はともかく、一部の日本人は確かに働きすぎだし、
政府が推し進めている「働き方改革」も、まだまだ実現には遠い現状だ。
仕事に追われている方も、たまにはこちらのお店でゆっくり食事をし、店主のハナシに耳を傾けてみてはいかがかな。
なお、現在の中華料理21の営業時間は、11時半から4時半。午後4時(16時)ではなく、朝の4時半だ。
仕込みや清掃などを除いても、店主は毎日17時間、それも休みなしで労働している。
「欧張さん、アナタこそ働きすぎだよ!」と心配する私に対し、「生きていくため仕方ないね」と語る、
店主を助けるためにも、訪問した際はたくさんの料理とドリンクを注文し、お金を使ってあげてほしい。
サービス商品のウーロンハイと麻婆麺だけで帰るのは厳禁!
中華料理21
東京都杉並区西荻南3-14-11
西荻窪駅から徒歩約2分
営業時間 11時半~翌4時半
定休日 不定休だけど基本的になし
私の好きな中華食堂も多数健在で、『八龍』、『彩虹』、『ちんとう』、『坂本屋』などはすでに紹介済み。
-餃子が美味しい中華屋さん 西荻窪『八龍』-



-「街中華」の宝庫・西荻窪で餃子を-



左から彩虹、ちんとう、坂本屋の餃子
他にも行くべきお店がたくさん存在しており、マニアにはたまらないエリアであろう。
そんな「街中華天国」の西荻で、地元民から絶大な支持を受け…てはいなく、
むしろ、ちょいと異彩を放っているお店が、今回紹介する『中華料理21』だ。
私がこちらのお店を知ったのは、今から10年以上前の深夜。終電がなくなり、ヒマつぶしに歩いていたら、
こんな遅い時間なのに営業している中華屋さんがあったので、珍しいので入ってみたのだ。
「イラッサイ」と迎えてくれた店主は中国の方のようで、調理と接客をひとりでこなしていた。
その時注文したのが、ビンビールに「餃子」と「麻婆豆腐」、あと写真はないけど「鶏のカレー煮込み」。

麻婆豆腐は辛さと旨味がちょうどよく、ビールがすすむ逸品、餃子はよく覚えていないが、悪くはなかった。
ただし鶏のカレー煮込みは、鶏肉に冷蔵庫内みたいな匂いが染みついていて、正直イマイチだった。
このあと、地元在住の方々に、中華料理21についてたずねてみたところ、面白い意見が聞けた。
○年中無休で、どの時間帯も開いている
「いつ寝てるんだ?」という疑問の答えは「営業中」(笑)。客がいないときは、店内で寝ているらしい。
なお、最近はちゃんと休憩時間があるので(後述)、営業時間中の居眠りはしていない…はず。
○日本人向けではなく、店主が母国で食べていた味を提供している
最近は、やや日本式中華に寄せた感もあるが、それでも他の店では食べたことのない味の料理が多い。
具体的な料理はあとで紹介するが、味の評価についてはやはり、賛否両論ありそう。
○日によって食材や調理法が違うため、毎回味付けが異なる
これも賛否両論あるはず。さっき触れた鶏カレー煮込みも、鶏肉以外の食材は毎回違うとか。
常連客の中には「一期一会だ」と、前向きに味わっている方もいる。
そんな中華料理21さんは一時期、メニューの入れ替えもひんぱんに行なっていた。
ある日、久々に入店したところ、店内壁の貼紙メニューに衝撃的な料理を発見!

中華食堂なのに刺身サラダ! ハンバーグ! お好み焼き! さらに別の黒板には、

本日のおすすめが天ぷらの盛り合わせ! 意外と字がキレイなのも違和感に拍車をかける。
これらの料理を始めた理由を店主にたずねたところ、「ボク、料理得意だからね」と、よくわからない答えが返ってきた。
せっかくなので「お好み焼き」と、これまたお店が推しているらしい「汁なし担々麺」を注文。
まずはお好み焼きがやってきた。見た目はよくあるタイプだが…

食べてみたら「あ、味もよくあるタイプ」。美味しかったけど、自家製ではない気がする。
続いては、見た瞬間に「これは自家製だ!」とわかる汁なし担々麺がやってきた。

これ、食べかけじゃなくて運ばれてきたときの状態だからね(苦笑)。盛り付けはイマイチだが…
いざ食べてみると、ゴマの風味が濃厚だけどあとから辛さがやって来る、まさにオンリーワンの味。
それから数年後、店主の奥様もお店に出るようになり、壁にあったお好み焼きやハンバーグについては、
「やめましょう」と店主に提案(「やめろ!」と叱りつけたとの噂も)したことで、今では幻となってしまった。
奥様が手伝うようになり、過酷な「店主ひとり営業」は解消され、非・中華メニュー群もなくなったことで、
店内に漂う怪しい雰囲気もやや薄れた感はあるが、料理の味自体は、相変わらず個性的である。
ここからは、最近食べたメニューを、ざっと紹介していこう。
まずは久しぶりに頼んだ「焼餃子」。値段忘れちゃったけど、400円くらいだったと思う。

普通より大ぶりな餃子の中身は、肉と野菜の他、数年前に食べたのとは違い、ほんのり甲殻類の風味。
すぐ近くのテーブルで、奥さんが餃子を包んでいるのを見たところ、やっぱり具材に海老が含まれていた。
続いては、私の大好きなKTI=「きくらげ玉子炒め」、推定価格680円。

味付けはそんなに変わっていないが、いろんな食材を使っている様子。

肉は豚角煮(メニューにあり)を薄切りにしたものだし、ナスが入るのも珍しいよね。
そしてこちらは、現在のイチオシらしい「美味鶏」350円。読みは「メイウイジー」だ。

鶏肉の形状や焼き色は、毎回異なっているが、要するに「中華料理21風チキンソテー」だ。
和風でも洋風でもなく、しかし中華風ともいえない不思議な味。美味しいし量もそこそこあるので350円は安い。
こちらは、つい最近登場したと思われる「豚角煮鍋」。推定750円くらい…もっと高かったかな?

たっぷりの豆腐、野菜、キノコの下に、豚の角煮がゴロゴロと埋まっている。

鷹のツメが入っていたように、スープは結構辛い。身体が温まる、冬にピッタリのお鍋だ。
ここからはシメの料理を。まずは「五目チャーハン」、推定600円。

チャーハンの見た目は普通だけど、付け合わせのスープの濁り具合が怪しい。

ゴマ油の効いた中華風スープで、味自体は変ではなかった。
チャーハンは、これまで食べてきた料理と比べると、チンゲン菜(?)以外はごく普通の具材で、味付けも薄目。
シメだから薄口に仕上げてくれたのかな? そんな気遣いをしてくれる店主とは思えないが(失礼)。
こちらは、個人的に一番のおススメ「麻婆麺」。サービス価格で現在なんと390円!

提供時は丼一面が麻婆豆腐だったので、撮影前に麺を救い上げてみた。
一般的な「スープ入り麺の上に麻婆豆腐」でなく、「麺の上に麻婆豆腐、以上!」というタイプ。
なので、麻婆豆腐の濃厚な味がダイレクトに伝わるし、麺との絡みも抜群で最高にウマイ。
最初の方で紹介したように、こちらの麻婆豆腐はいつ食べても絶品だし、これで390円とはお得すぎる。
ピリ辛で食欲をそそるから満腹でも食べられるし、ここに来たら絶対頼むべき一品だね。
あと、現在はウーロンハイも190円のサービス価格なので、がぶ飲みすべし!
最後にデザートとして、自家製の「杏仁豆腐」、推定350円。

杏仁というより、ココナッツミルクっぽい味がしたような気がした。口どけ滑らかで甘さ控えめ、デザートにピッタリだ。
以上、いろんな料理を紹介してきたが、味や盛り付け、使用食材などは、あくまで私が食べたときのものなので、
注文時に違っていても、店主や私に文句をいわないように!
食事していて気になるのが、壁やらテーブルやらいろんな場所に飾ってある、著名人のサインや写真。
先日私が座った席には、店主と角野卓造さんとのサイン&記念写真が置いてあった。

「渡る世間は鬼ばかり」とあるが、色紙に名前のある店主・欧張さんも、波乱万丈な人生を歩んできたらしい。
来日して今年で34年、お店を開店してもうすぐ20年になるが、異国の地ゆえ苦労は絶えなかった様子。
西荻窪で暮らす人たちをテーマにした、「西荻町学」というサイトのインタビューにて、欧張店主は、
数字や利益を追求しすぎて、疲れてきっている日本人と接するうちに、自身も疲れるようになったと述べ、
「私日本好きよ。でも日本人働きすぎ」と苦言を呈していた。
ここ数年、まともに働いた記憶のない私(スマン!)はともかく、一部の日本人は確かに働きすぎだし、
政府が推し進めている「働き方改革」も、まだまだ実現には遠い現状だ。
仕事に追われている方も、たまにはこちらのお店でゆっくり食事をし、店主のハナシに耳を傾けてみてはいかがかな。
なお、現在の中華料理21の営業時間は、11時半から4時半。午後4時(16時)ではなく、朝の4時半だ。
仕込みや清掃などを除いても、店主は毎日17時間、それも休みなしで労働している。
「欧張さん、アナタこそ働きすぎだよ!」と心配する私に対し、「生きていくため仕方ないね」と語る、
店主を助けるためにも、訪問した際はたくさんの料理とドリンクを注文し、お金を使ってあげてほしい。
サービス商品のウーロンハイと麻婆麺だけで帰るのは厳禁!
中華料理21
東京都杉並区西荻南3-14-11
西荻窪駅から徒歩約2分
営業時間 11時半~翌4時半
定休日 不定休だけど基本的になし