しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

神の目の小さな塵 上・下 L・ニーヴン&J・パーネル 池央耿訳 創元推理文庫

2016-04-21 | 海外SF
再びSFに戻りました。

本作は‘12年ローカス誌オールタイムベスト36位1974年の刊行です。
解説によるとルグィンの「所有せざる人々」と最後まで争ったそうですがヒューゴー賞は受賞できなかったようです。

これまた絶版のため、Amazonで古本を注文し入手しました。

ハヤカワや創元の場合、復活が予想されますので「絶版」ではなく「品切れ」が正しいのかもしれませんが...。
私目線では新品で入手できないのは同じということで「絶版」と表現していますのであしから。

ラリ-・ニーヴン作品では「リング・ワールド」は前に読みましたが、本作はジェリー・パーネルとの共作となっております。
「リング・ワールド」が1970年刊行ですから、その4年後の作品ですね。

ニーヴン&パーネルではこの後も何作かの作品を発表しており評判のいいコンビのようですがその第一作が本作です。

内容紹介(扉記載)
上巻:
時は三〇一七年。人類は銀河系の隅々にまで支配の手をのばし、統一と戦闘とを繰返していた。帝国宇宙海軍の巡洋艦〈マッカーサー〉号で反乱軍の宇宙船との交戦から帰還したロデリック・ブレイン中佐は提督から艦長への昇進を言い渡され、艦の修理が終わりしだい首都星まで航行する任務に当たることになった。ある日のこと、正体不明の宇宙船が〈マッカーサー〉号の前に現われ、人類に接触を求めてきた。果して彼らの目的は何か……?現代アメリカSF界の話題を独占した超大作。ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネルの合作コンビによる超大作。
下巻:
「ほら、あそこ」モート人が空の果ての一点の光を指さした。「迎えの宇宙船です。さぁ、これからわたしたちの世界を案内しましょう」―――<マッカーサー>号から離れた着陸艇が、人類世界からの最初の使節団を乗せて、モート母星に降下していった。はたしてモート人は敵か?味方か? ハインラインが“人類の、知的生物とのファースト・コンタクトを描いた小説としては最高のできばえであり、わたしが今までに読んだSFの中でもおそらく最良の作品である”と絶賛した壮大な宇宙叙事詩いよいよ佳境へ!


解説によると本作執筆にあたってはハインラインにいろいろ意見をもらったとのことです。
またSF的アイディアに優れるニーヴンとストーリー展開に定評のあるパーネルの共同作業で広く受け入れられたのではないかというようなことが書いてありました。

が….私的には「リング・ワールド」のぶっとび方からの類推ですが、ニーヴン単独著作の方が好みですかねぇ。

アイディアを別にしたストーリー展開としては、ハインライン(及びアメリカ人)が好きそうな「海軍」的かつ、オールド・スペース・オペラ的な貴族の若者とやんごとなき御嬢さんの恋愛物語的内容。

ヴォルコシガンシリーズなどではパロディ的に描かれているような展開ですが(そういえば設定似ているような…)本作では真面目なのかパロデイなのかよくわからない....。
まぁわかりやすいし、ジュブナイル的にも楽しめはするのでいいんですけどもねぇ。

ただ「ファーストコンタクトものの傑作」なだけあり、異星人及びその社会の描き方、コンタクトの仕方や事件などはかなりハードかつシビアに描かれています。

ちょっとした油断が命取りになってしまう上巻最後から下巻頭くらいのマッカーサー号での事件は鬼気迫りました。

モート人の態度や社会の謎を解決するSFミステリー的要素もいっぱいでハラハラどきどき楽しめる作品に仕上がっていると感じました。

モート人の社会の気の遠くなりそうな手詰まり感も「ディストピア小説的」でいろいろ考えさせるようになっています。
3017年人類側の社会も1974年の冷戦体制よりは進歩しているものの決してユートピア的な状況ではなく、ちょっとした油断でモート人社会化してしまいそうな危うさをはらんでいるように描かれておりこの辺もいろいろ考えさせられます。

いろいろシビアな課題満載なので主人公とヒロインの典型的な王子様・お姫様的ロマンスがないと、なんとも救いのない話になりそうなのでこちらの方はこんな展開でよかったのかもしれませんね。

ラストではなんとか異星人をおしこめてひと段落なわけですが「これで本当に大丈夫?」というもやもや感は残ります。

続編が出ているようなので読みたいような気もしますが….。
「これをきれいに整理して続編書くのはは無理なんじゃないか?」という気もするので読みたくないような気も…。(笑)
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