しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

戦士志願 L.M.ビジョルド著 小木曽絢子訳 創元推理文庫

2015-03-08 | 海外SF
またSFに戻り、人気スペース・オペラシリーズである<ヴォルコシガン・サガ>の1冊である本書を手に取りました。

本書は時系列的にシリーズ最初期というわけでもなく出版時期は最初期ですが最初に出版された作品という訳でもないですが、シリーズの中核キャラクターであるマイルズの登場作ということで<ヴォルコシガン・サガ>シリーズで最初に読むのにお薦めとされている作品です。
(内容紹介読むと創元では一番最初に出版されたのかもしれません)

最近‘12年ローカス誌オールタイムベストSF長編100のリストを参考にしてSFを読んでいますが<ヴォルコシガン・サガ>シリーズでは65位=「メモリー」70位=「パラヤー内乱」81位=「ヴォル・ゲーム」がランクインしています。
それらを読む前に「読んどきゃなぁ」と思っていた作品でした。
(ヴォルコシガン・サガ シリーズは各書一応単独でも読める内容のようです。)

また本作「SFはこれを読め!」でも激賞されていたので気になっていました。
なお本作は‘12年ローカス誌オールタイムベストでは149位。
1986年発刊。

本自体は昨年ブックオフで手に入れていましたものです。

内容紹介(裏表紙記載)
貴族に生まれながら、生来の身体的ハンデのために士官学校への道を閉ざされた17歳のマイルズ。一度は絶望の淵に立たされた彼だったが、とあることから旧式の貨物船を入手、身分を偽り戦乱渦巻くタウ・ヴェルデ星系へと乗り出した。だがさすがの彼も予期していなかった、ぬきさしならぬ状況下で実戦を指揮することになろうとは!卓越したストーリーテリングの大型作家、堂々登場!


人気シリーズということでけっこう期待して読んだのですが…。
大活劇というわけでもなく感動の大作というわけでもなく…。
普通のユーモア・スペースオペラ+兵隊物語という感じでした。

宇宙船がワープ的に航行できる「ワームホール」なるものでつながって、地球人類が銀河系全体に散らばり植民惑星やら宇宙ステーションやらで諸陣営を形成している世界観はなかなか凝った設定で、展開もまぁ先が気になるはらはらはしたものなのであまり深く考えないで読む分にはまぁ楽しいのですが….。
「SF」に「楽しい」以外のものを求める人には物足りないかもしれません。

マイルズの出身地である「バラヤー」は銀河系の中でも割と後進的な軍事惑星という位置づけで「皇帝」やら「貴族」制度が残っている設定。
このマイルズがいろいろ「障害」がありながらも「貴族」という設定になっていて、困難を抱えながら軍隊で活躍するわけですが、この辺アメリカ人好みのお話なんでしょうねぇ。

かなり無茶に話がエスカレートしていき「このままだとどうなるかなぁ?」というところから、マイルズの無茶苦茶ながらも一生懸命かつ機知に富んだ活躍で(まぁ若干ご都合主義的ですが)な頑張りが功を奏すという展開はマイルズが出る場合のこのシリーズのお約束になっていくようです。

読んでいてスケールの違いはありますが「のらくろ」を思い出しました。
のらくろは孤児(孤犬?)なわけで、マイルズは「貴族」と立場の違いはありますが体に障害を持つということでペーソスを与えられていて、その辺「のらくろ」的になっています。

マイルズが割と軽い気持ちで勢いで動いた結果として何人もの死者が出てしまうという理不尽さも、のらくろ的なヒューマニズムの欠如感ありますね(山猿やら豚には厳しい…)マイルズなりに死者やら負傷者にはかなり動揺はしていますがだんだん鈍感になってくる。

とんでもない事態でとんでもない行動をしてしまうマイルズが、いろいろ悩み傷ついて小市民的な決断を重ねて成功するというベタな展開がまぁ魅力なんでしょうね。

さてエスカレートして複雑かつ深刻になった事態を最後の最後どう始末をつけるのか?

けっこう気にはなりましたが、かなりの力技と勢いで解決しています。
皇帝の親族でもあり首相の息子の貴族であるマイルズでなければムリ…。
でもまぁこのご都合主義もこのシリーズの魅力なんでしょう。

「すごい楽しいか?」と聞かれると「うーん」ですが気楽に楽しく読むSFとしてはレベルの高い作品とは感じました。
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