本書は1992年刊の「レッド・マーズ」(ネピュラ賞受賞)の続編、1993年に刊行され1994年のヒューゴー賞を受賞しています。
1996年に発刊された「ブルー・マーズ」と併せて火星三部作とされロビンスンの代表作とされています。
本書の創元推理文庫での初版は2001年、巻末見ると続編の「ブルー・マーズ」は「近刊予定」とされていましたが、長年発刊されず「もはや翻訳出ないのでは」と思われていたようですが今年(2017年)翻訳が発刊されました。
(「グリーン・マーズ」が不人気だった???)
本自体は「レッド・マーズ」読了後amazonで古本を入手(その時点で「レッド・マーズ」と併せて絶版でした。現在は「ブルー・マーズ」発刊に合わせ復刊されています)
![](https://c1.staticflickr.com/5/4502/38120841762_7d3e989b31.jpg)
入手はしたものの「ブルー・マーズ」の翻訳が出ていなかったこともあり、読んでいませんでした。
「ブルー・マーズ」も出たことと、感想を書く本がたまっていたので長いものを読もうという感もありで手に取りました。
内容(裏表紙記載)
上巻
地下活動を繰り広げていた<最初の百人>は、突如として暫定統治機構から襲撃を受ける。ついに所在が知られたのだ。彼らは植民地の総力を結集して、一つずつ反撃を開始する―――火星の独立をめざして。今度こそしくじってはならない。現代SF界の最前線に立つロビンスンが、驚異的な取材力と卓越した想像力を駆使して描きあげた途方もなくリアルな未来の火星。三部作第二弾。
下巻
2061年のカトストロフィののち、火星社会は驚くべき復興を遂げていた。今や火星を支配する暫定統治機構は地球の企業体の化身であり、火星の緑化がもたらす可能なかぎりの富を手に入れようとしている。秘密コロニーに潜んだ<最初の100人>の生き残りたちは、これに対抗するべくレジスタンス活動に出るが。「レッドマーズ」を凌ぐ迫力に満ちた、ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作
読後の感想、まぁ面白かったんですが….。
なにかこうまとまりに欠けるというか、冒頭-中盤-終盤で話が変わってきているような感じを受けました、伏線が回収されていないともいえるのかもしれません。
三部作の真ん中ですのでこの辺は「ブルー・マーズ」で解決されるのかもしれません。
(現時点で未読)
冒頭ヒロコの隠れコロニーで成長する火星第三世代ニルガルのエピソードなどは<最初の百人>でなく「第三世代を軸に物語が進んでいくのかなー」と思わせながらも第三世代の活躍は最後まで限定的でした。
延命措置を受け生き続ける<最初の百人>を軸に物語は進みます。
地球からコングロマットの使者として派遣されるランドルフも登場の仕方からすると「もう少し動くのかなぁ」とも思わせましたがこれまた限定的にしか動けていませんでした…。
上巻のヒロコの隠れコロニーでの生活、地球でのランドルフの研修、変装(整形)して敵地(暫定統治機構)に侵入したサックスのなんとも「科学者的」な火星緑化に対する思いや大活劇はとても楽しめたので後半の展開を期待していたのですが…。
後半である下巻はサックスいわくの「疑似科学」である「社会科学」メインで話が進み少々退屈でした。
ドルサ・プレヴィア宣言採択にいたる根回しや議論の進み方はかなり理想的すぎる気がしましたし独立に至る政治学的なパワーバランスの取り方もまぁ「そんなに簡単にうまくいくかなぁ?」という感は抱きました。
かなり精神病的なマヤの行動を延々と書いている部分はちょっと入り込みにくかったです。その「心」に分け入り治療するミシェルの姿はなにやら可哀想で共感持てましたが….。
「レッド・マーズ」で主導的立場であったジョン・ブーン、フランク・チャーマーズはすでに亡くなっているわけですが…。
名前を挙げた他、ナディアなども含め相変わらず<最初の百人>が当事者となって物語は進んでいます。
本シリーズの主要ギミックである「延命措置」により、基本的に寿命で「人は死なない」で老人がいつまでもも退場しない状態になっているのですが....「そんな社会ってどう?」という問題は誰も議論していません。
まぁ火星社会は若いしまだまだ、人口が少ないのでなんとかなりそうですが、「150億人」に人口が膨れ上がっている地球だったら大問題なような…。
本作「グリーン・マーズ」は一応火星が独立を勝ち取るところで終わるわけですが、上巻での火星第三世代の課題やら・伏線も片付いておらず次作「ブルー・マーズ」と併せて読まれるものなのかもしれません。
(「ブルー・マーズ」は本作終了直後から始まり、主要登場人物もほとんど変わりないようです)
一応の完結をみた「レッド・マーズ」との違いはその辺なのでしょうが、若干穴長に感じました。
天文学やら地質学やらのマニアックな描写は前作同様(さらに)あるのでよくわからい人は読み流すかなにかしないと投げ出してしまう気がします。
私はこの辺の話結構好きなので熟読しましたが完全には理解できませんでした。
多分・・・読み流しても大丈夫でしょう(笑)
作者は相当科学的なところ調べて書いているようなので、まじめな人なんでしょうねー。
ただストーリー自体を大雑把に見るとかなり単純にアメリカ独立戦争と政治的な理想論の確立に重きを置いているようでかなり「単純な話」とはいえると思います。
<最初の百人>とくにサックスなどは個性的なので楽しめますが「繊細な話」を求める人には合わないかもしれません。
↓地質学フェチの方もその他の方もよろしければ下のバナークリックいただけるとありがたいです!!!コメントも歓迎です。
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1996年に発刊された「ブルー・マーズ」と併せて火星三部作とされロビンスンの代表作とされています。
本書の創元推理文庫での初版は2001年、巻末見ると続編の「ブルー・マーズ」は「近刊予定」とされていましたが、長年発刊されず「もはや翻訳出ないのでは」と思われていたようですが今年(2017年)翻訳が発刊されました。
(「グリーン・マーズ」が不人気だった???)
本自体は「レッド・マーズ」読了後amazonで古本を入手(その時点で「レッド・マーズ」と併せて絶版でした。現在は「ブルー・マーズ」発刊に合わせ復刊されています)
![](https://c1.staticflickr.com/5/4502/38120841762_7d3e989b31.jpg)
入手はしたものの「ブルー・マーズ」の翻訳が出ていなかったこともあり、読んでいませんでした。
「ブルー・マーズ」も出たことと、感想を書く本がたまっていたので長いものを読もうという感もありで手に取りました。
内容(裏表紙記載)
上巻
地下活動を繰り広げていた<最初の百人>は、突如として暫定統治機構から襲撃を受ける。ついに所在が知られたのだ。彼らは植民地の総力を結集して、一つずつ反撃を開始する―――火星の独立をめざして。今度こそしくじってはならない。現代SF界の最前線に立つロビンスンが、驚異的な取材力と卓越した想像力を駆使して描きあげた途方もなくリアルな未来の火星。三部作第二弾。
下巻
2061年のカトストロフィののち、火星社会は驚くべき復興を遂げていた。今や火星を支配する暫定統治機構は地球の企業体の化身であり、火星の緑化がもたらす可能なかぎりの富を手に入れようとしている。秘密コロニーに潜んだ<最初の100人>の生き残りたちは、これに対抗するべくレジスタンス活動に出るが。「レッドマーズ」を凌ぐ迫力に満ちた、ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作
読後の感想、まぁ面白かったんですが….。
なにかこうまとまりに欠けるというか、冒頭-中盤-終盤で話が変わってきているような感じを受けました、伏線が回収されていないともいえるのかもしれません。
三部作の真ん中ですのでこの辺は「ブルー・マーズ」で解決されるのかもしれません。
(現時点で未読)
冒頭ヒロコの隠れコロニーで成長する火星第三世代ニルガルのエピソードなどは<最初の百人>でなく「第三世代を軸に物語が進んでいくのかなー」と思わせながらも第三世代の活躍は最後まで限定的でした。
延命措置を受け生き続ける<最初の百人>を軸に物語は進みます。
地球からコングロマットの使者として派遣されるランドルフも登場の仕方からすると「もう少し動くのかなぁ」とも思わせましたがこれまた限定的にしか動けていませんでした…。
上巻のヒロコの隠れコロニーでの生活、地球でのランドルフの研修、変装(整形)して敵地(暫定統治機構)に侵入したサックスのなんとも「科学者的」な火星緑化に対する思いや大活劇はとても楽しめたので後半の展開を期待していたのですが…。
後半である下巻はサックスいわくの「疑似科学」である「社会科学」メインで話が進み少々退屈でした。
ドルサ・プレヴィア宣言採択にいたる根回しや議論の進み方はかなり理想的すぎる気がしましたし独立に至る政治学的なパワーバランスの取り方もまぁ「そんなに簡単にうまくいくかなぁ?」という感は抱きました。
かなり精神病的なマヤの行動を延々と書いている部分はちょっと入り込みにくかったです。その「心」に分け入り治療するミシェルの姿はなにやら可哀想で共感持てましたが….。
「レッド・マーズ」で主導的立場であったジョン・ブーン、フランク・チャーマーズはすでに亡くなっているわけですが…。
名前を挙げた他、ナディアなども含め相変わらず<最初の百人>が当事者となって物語は進んでいます。
本シリーズの主要ギミックである「延命措置」により、基本的に寿命で「人は死なない」で老人がいつまでもも退場しない状態になっているのですが....「そんな社会ってどう?」という問題は誰も議論していません。
まぁ火星社会は若いしまだまだ、人口が少ないのでなんとかなりそうですが、「150億人」に人口が膨れ上がっている地球だったら大問題なような…。
本作「グリーン・マーズ」は一応火星が独立を勝ち取るところで終わるわけですが、上巻での火星第三世代の課題やら・伏線も片付いておらず次作「ブルー・マーズ」と併せて読まれるものなのかもしれません。
(「ブルー・マーズ」は本作終了直後から始まり、主要登場人物もほとんど変わりないようです)
一応の完結をみた「レッド・マーズ」との違いはその辺なのでしょうが、若干穴長に感じました。
天文学やら地質学やらのマニアックな描写は前作同様(さらに)あるのでよくわからい人は読み流すかなにかしないと投げ出してしまう気がします。
私はこの辺の話結構好きなので熟読しましたが完全には理解できませんでした。
多分・・・読み流しても大丈夫でしょう(笑)
作者は相当科学的なところ調べて書いているようなので、まじめな人なんでしょうねー。
ただストーリー自体を大雑把に見るとかなり単純にアメリカ独立戦争と政治的な理想論の確立に重きを置いているようでかなり「単純な話」とはいえると思います。
<最初の百人>とくにサックスなどは個性的なので楽しめますが「繊細な話」を求める人には合わないかもしれません。
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