三越伊勢丹HD武藤会長逝去の報にふれて

僕は三越伊勢丹の関係者ではないものの、
小売業従事者として非常に残念な思いを感じている。

彼は超敏腕バイヤーで「ファッションの伊勢丹」を決定づけたと言われる人物。
彼がバイヤー時代に手書きで作成した年間ＭＤ計画書は、
30年以上経った今でも比類なきものらしく、伊勢丹ではバイブル化しているらしい。
一度でもいいから、そのものを見てみたい。

僕は一度だけお会いしたことがある（というか見かけただけ）。
数年前、日本小売業協会の賀詞交換会に出かけた。
会場は９階。エレベータに乗り込むと、ガタイのいい紳士がエレベーターボーイをしている。
その脇を偉そうな人々が乗ってくる。彼はにこやかに招き入れる。
９階につき、僕が一番若輩者だったので、彼に先に降りるよう促したら、
にこやかに「どうぞ（お先に降りてください）…」と言われた。
立ち振る舞いといい、ファッションといい、カッコイイ大人だなぁ‥と思った。
会が始まると偉い人達の挨拶やらが続く。
鏡割りのとき、日本小売業協会副会長、伊勢丹武藤社長と呼ばれて壇上に登ってきたのが、
さっきのエレベーターボーイ氏だった。
一生努力しても彼のカッコ良さには追いつけそうにないな、と思った。
彼こそ、真のジェントルマンだと思った。
合掌。