今日の東京新聞・本音の欄は、「前橋と京都の乱」と題して、斎藤美奈子氏が書いていますので、紹介します。
「前橋と京都の乱」
斉藤奈子
4日の前橋市長選で、4期目をめざす自公推薦の現職を破り、野党系の元県議・小川晶候補が当選した。保守王国でまさかの快挙だった。
一方、同日の京都市長選では新人のデットヒートの末、与野党が推薦する松井田孝治の候補が市民グループの推薦と共産党の支援を受けた福山和人候補を制した。
京都市の構図はやや複雑だ。本命の松井候補は元民主党の参院議員で、立民、自民、公明が押していた。与野党相乗りになったのは維新対策だったかもしれない。ところが告示直前に、維新推薦候補の「架空の政治資金パーティーが発覚、維新は推薦を取り消し、国民民主は松井候補に乗り換えた。
こうして浮上したのが穴馬の福山候補だ。松井氏との対決を「非共産対共産」と書いた新聞もあったが、福山市は共産というより市民派の弁護士だ。これは「既成政党対市民派」の戦いで、弱小の市民派が与野党軍団を追い詰めたのだ。
となると疑問なのは立民の立場である。前橋では自公と対決して、京都では自公と手を結ぶ。裏の事情があったにしてもダサい。前橋で小川氏が勝ったのも市民の力が大きい。泉代表は次期衆院選で政権交代を宣言したが、今のままでは無理だろう。
(文芸評論家)