名南将棋大会ブログ 名古屋

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20170308今日の一手(その474);自陣角の威力

2017-03-08 | 今日の一手
20170308今日の一手

2月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀歩歩と金の交換で(持ち歩があるので歩はカウントせず)、少し得ですが、馬を作られている分だけ先手の駒損です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒角金で2枚。
後手の攻め駒は21飛75馬で2枚。

総合すれば互角か、後手が少し良いか、という局面です。

☆ 大局観として
先手が47歩48銀の形を46歩~47銀と盛り上がったため、28歩~39角の筋で馬を作られてしまいました。この75馬の分だけ後手の私のほうが良くなったのか(逆転したのか)と思っていました。
でも実はこの馬は消せるのです。角を打てば交換になりそうですし、金を打って捕獲するのもありそう。(つまり直前に後手の私が1歩補充して21飛というのが甘かったわけです。)
馬と金を交換するのが良いか、馬と角を交換するのが良いか、そういう比較です。単純な駒の損得の比較だけではなく、その後に後手玉を攻められるかどうか、というのが関係してきます。


△ 実戦は86角でした。

私はこの馬が死ぬとは思っていなかったのですが、馬を逃げて54歩は終わっています。86同馬同飛28歩

は仕方なし。もし28同金なら、39角(対局時は75角があるかと錯覚していましたが)38金75角成56飛

で、問題図と比べると先手の1歩得ですが後手番です。93馬とか逃げてゆっくり指せばやや後手よしか。(問題図と形勢は変化なし。)こういうのは「一歩と一手の交換」と言いますね。どちらの価値が高いかは状況によります。

実戦は56角と打ちました。

次に84歩同歩92角成のねらい。(序盤でこの筋で動かれたのです。)ですが、29歩成84歩74桂

がぴったりした受けになりました。89飛84歩54歩同歩65桂に76角

と打ったのが、98角成と66桂をみた好手、に思えたのですが、87金で両方受かりますね。疑問手でした。先手Tさんもこれに気がつかず(というか後手の66桂に気がつかなかったようです)53金から攻めてこういう図。

12銀の勝負手に57金が見えました。ここに金が打てれば寄せやすくなり、私の勝ちです。


× 97角だと少し違います。

97同馬同香で飛車の位置がそのまま。28歩なら86角

で攻めることができそう。64角に75金としても同角同角64金

で結局64同角同歩でそこまで。28金と戻せば75角86歩39角成

38金打ではさえません。


△ 48角(57角や66角も同様になる)と打つと

74馬には65金

があるので、結局馬は消せます。

後手は最初に48同馬のほうが良いのでしょう。

48同玉から39玉と囲うなら手を得しています。でも後手から玉頭を攻められそうで、危ないところに近づいている感じです。58に戻るなら1手損しています。
57角同角成同玉、あるいは66角同馬同飛も、玉や飛をまた移動するので同じようなことになります。


○ 有力なのは65金です。

84馬に86角

と打つのがかなり厳しい自陣角です。54歩の筋を1手で受けることができないので、32玉53角成52歩

が仕方なく、86馬74歩54金75歩87馬

は先手優勢です。

最初の65金に65同馬

と金を取るしかありません。65同桂62金86角で攻めが続くかどうか。64金と打たれて

桂取りなので66歩74歩(ここで手がなくてとりあえず)49玉75歩

先手が駒得ですが、ゆっくりした展開では74金~64歩で桂を取られます。すると2枚換えなので駒損です。

戻って62金の時に87角

とこの筋に打つのが良いようです。64歩には53桂成同金54歩

この歩を87角でも支えています。52金では53角があるので、63金に96角打!74歩同角

もう一枚自陣角を打って強襲です。これは先手の勝ち。

少し戻って96角打に62金なら

53歩成同金54歩

楽しすぎます。

74桂しかないのでしょう、75歩として

桂を取れば55桂もあるし、これも時間の問題です。

つまり後手は64歩が危険で、64金

と投入するしかないです。77金51飛66金

と金も応援に繰り出し、54歩同歩55歩同歩同金の攻め筋を見ておき、その前に48玉~39玉までは囲っておけば怖いところがないですね。21飛を87角のラインで狙っているので、後手は飛車の移動が仕方ないのです。


△ 85金は64馬

なので金は空振り。75角と合わせてまだ悪くはないのですが、1手パスしている感じです。


△ 76金は

64馬や74馬なら、65金と同じこと。93馬に85金

として、馬を攻め切れるかどうか。28歩に94香同馬同金29歩成

から94香を見られて駒損で失敗です。

28歩に86角が工夫で

64歩とか受けさせて94金

ならば手順に馬が取れます。(75馬を防いでいる。)94同馬同香同香(これを手抜きにくい)28金

がどうか。銀香と角の2枚換え、ではつまらないですね。28金のところで64角以下攻めが続けばよいのですが、後手が金を持っているので受けやすいか。
先手のねらいは不発のようです。


☆ まとめ
角を打って馬を消す順は駒損が解消して形勢互角。その後28歩同金39角が残る場合はやりなおしです。
ただしどれも先手が指しやすいとは言いにくいです。それは飛車の位置の問題で、中段飛車よりは下段飛車のほうが角打ちに強いわけです。

金を打っても馬が狭い、と気が付いたら一歩前進。(普通は)65金で84馬に86角、このラインが強烈です。
65金に同馬同桂は駒得で先手よし、といかないのが難しいところなんですが、今度は87角のラインで、21飛や54の地点を狙います。
角のにらみは受けにくいのです。駒を取るための自陣角だけではなく、逃げにくい標的があるなら積極的に狙ってみましょう。升田先生を思わせるような面白い角打ちがありました。




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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
対局者です (T)
2017-03-08 20:25:10
65金が最善でしたか。見えませんでした。
5筋から殺到したかったのですが、時間が足りませんでした。  

関さんの石田流対策、優秀だと思います。
この前の大会で試してみて、勝つことができました。
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次の一手予想 (N)
2017-03-09 00:14:46
後手としては次に65歩を狙ってくるとは思うけれど、すでに玉が角道を外れているので、
先手としては▲86歩が見えて、65歩同歩88角成同金と進んだらなんとなく先手の方が良さそうだと思いました。
手持ちの角は64角とか狙って指しやすいのかなと。
なので自信はありませんが▲86歩と予想します。次回の解説楽しみです。
返信する
コメントありがとうございます ()
2017-03-09 18:20:59
私は馬が死ぬとも思わず、手はあるものですね。65金にも馬を逃げてつぶされそうです。
角交換左玉、なぜか勝率が良いです。石田流を目指す振り飛車党には指しにくい展開なのでしょう。
次の問題、88角成に同金というのが思いつかなくて同玉だとばかり。なので86歩ではない手を指してしまいました。

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