名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(202); 中飛車穴熊に加藤流袖飛車

2016-07-01 | 大山将棋研究
昭和49年12月、加藤一二三先生と第29期A級順位戦です。


大山先生の中飛車穴熊です。あれ?加藤先生は相手がだれでも44歩に25歩と突いてうそ矢倉などを防ぐタイプだったはずですが、25歩を決めていませんね。

中飛車には袖飛車から急戦を狙うのが加藤流。これに戦法の名前がついていないのですが、とても優秀です。玉を金銀4枚で守りつつ攻められるのです。

31金と引くのが大山先生の対策で、32飛から飛車交換を狙えます。多分長考して55歩です。

銀が移動したので3筋の歩を交換しやすくなりました。

飛車の横利きがあるので55歩が打てるわけですが、それでも34歩同飛55銀としたらどちらが得なんでしょう。

まあどちらでもよさそうなら大山先生は冒険をしません。おとなしく引いて、さらに角も引いてしまいます。

ここに飛車が出られるのなら形勢はともかく居飛車十分の展開のはず。

大山先生は苦心して守ります。

形が悪い(あまり見ない形)のときは何か隙があるもので、54歩を利かせ23歩と打てば取るしかないので角交換です。

4筋を破るのと19の香を取るのとの争いで

と金を作られたので大山先生はどうにかしないといけません。まずは金を使い

香を打つ。これで飛車交換です。

香をもらったので損得は消えましたが、と金がそっぽで馬を活用する味が良いので、薄い穴熊とはいえいい勝負です。

加藤先生が銀を使えば大山先生はと金つくり。ここは49歩と受けるべきでしょう。

金の取り合いは遊んでいた金だったので大山先生が得をしました。

それでも59金打と馬をしかりつけて と金を作ればまだまだ。

84桂は急所で、76桂を狙っての攻防ですが、96桂と跳ねて飛車打ちを狙う筋もあります。角を打って攻防ですが36馬とぶつけて

もう一回角を打てば74角と受ける。41飛もにらんでいるのですが、わかりにくい手ですね。

と金を寄れば桂を捨てて と金を払います。それが飛車取り。


加藤先生は素直に21飛成のほうがいいのではないかと思うのですが、43に成って金を打たせて角を使いました。

大振り替わりは何とも言えません。大山先生は小びんを攻めて

手抜きの86香に飛車を打つのが好手。

角のほうが怖いのです。ここで大山先生が有利になりました。

桂香で83を狙っていても催促して(これが怖い手なので正解ではないのかも)

角を出れば払えます。

ここではいろいろありそうですが、74香や飛があるので手段が限られます。

角から銀、飛車でした。もっといい手もあっておかしくないのですが

54の金を取れば74飛から

75香で馬が取られます。普通は75同馬同飛76歩ですよね。不都合はないと思うのですが、77歩と打ったのが敗着。飛車あたりにならないので1手違います。

手番を生かして桂馬を打てば穴熊が遠すぎて攻め合いになりません。

ゆっくりした手でも間に合います。

加藤先生は入玉しかありません。

格好いい手が出ました。これで寄りでしょう。

飛車で銀を取り

ついでに角をとる。飛角交換では89角が痛いです。

また67玉で粘ろうとしますが89角が伏線で銀をひっかけ

と金を作り

投了図。

この袖飛車急戦は優秀で、穴熊相手でも中飛車は金銀2枚で囲うわけですから居飛車のほうが堅いのです。いい勝負でしたが最後に穴熊が安全になってからは大山先生の格好いい寄せで勝ちになりました。終盤は後手のほうをもって並べると気持ちいいです。でも加藤先生もいろいろあったはずです。面白い将棋でした。







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