後手番加藤先生の手を考えます。
第1問
金立ち戦法の攻め方です。
A 75歩 B 55歩 C 72飛
第2問
84飛とされるのは嫌です。
A 82飛 B 74金 C 66金
第3問
これで有利がはっきりします。
A 51香 B 44角 C 58金
第4問
ぴったりした寄せの手順があります。
A 55銀 B 45銀 C 57歩
後手番加藤先生の手を考えます。
第1問
金立ち戦法の攻め方です。
A 75歩 B 55歩 C 72飛
第2問
84飛とされるのは嫌です。
A 82飛 B 74金 C 66金
第3問
これで有利がはっきりします。
A 51香 B 44角 C 58金
第4問
ぴったりした寄せの手順があります。
A 55銀 B 45銀 C 57歩
今日の棋譜20191017
昭和44年12月、加藤一二三先生と第8期十段戦第4局です。
大山先生の中飛車です。
加藤先生は53金戦法、勝ちにくい戦法なんですが。
振り飛車の受けは三間飛車で角頭を守るほうが多いです。すると5筋からも攻められるのが金立ち戦法の良いところです。
大山先生は47銀と守ります。普通は居飛車が54金~64歩~65歩とすることが多いのですが(54金と寄れるのが金を使う意味です)、加藤先生はさらに75歩。
飛は7筋に移動して攻めます。
大山先生は75歩から55歩。対棒銀や64銀ならばこれはだめな指し方ですが、金だから良いのかなあ?
加藤先生は76歩を打ってから55角
大山先生は飛を使って54飛、軽くけん制します。84飛と34飛があるから悪くなさそうですが。
66金から角に出られると84飛も34飛も指せず、77歩で受けます。数は足りていませんが77同歩成同角同角成同桂同飛成に55角があります。
53銀には56飛で角を追い
64銀と出られたらまた飛を浮いておきます。
82飛と使われたら65歩同銀34飛。これで角筋が止まるので
76歩がぴったり。
飛を追われたところで、75飛は64銀74飛65銀左でしょうか。飛を切りたくなければ75飛64銀25飛なのですが
単に25飛としたのは損です。22角の利きが通り
香を取られました。馬を消して角はさばけるのですが、駒損で26飛の働きが悪いので先手不利です。
加藤先生の66銀と言うのは何でしょうか? 86飛で問題なしだと思うのです。とりあえずは桂取りですが77銀成の意味が小さいのでおかしな手です。
71角を打たれても86飛があるので悪くありません。大山先生は89飛成が金取りになるのがつらいところです。一路金を寄せるのは辛抱の手。
加藤先生は89飛成の前に57歩成同歩同銀成。銀打の顔が立ちました(2手かけているので得ではないですが)。大山先生は金を打って
89飛成に成銀と金の取り合いです。
角を成って、銀取りが受けにくいのならばまだまだなのですが
攻防になりそうな香を打たれては形勢は良くなりません。
加藤先生は飛取りの44角。二枚飛車は厳しいですが、77角成のほうが主なねらいでしょうか。
大山先生は35歩同銀24飛、不思議な手順で飛を殺され
飛を切って39歩を打ちたかったのですね。二枚飛車も威力が半減しています。現実には77桂を助けにくいからやはり不利なままです。
77桂を取られ、51香が働きだし、
36桂を打たれては望みなしか。
銀を打ってまだ粘りますが
ひきつけた馬を消されます。
もう少し粘りますが
ここまで。
金立ち戦法は居飛車の玉が薄いので指されなくなったのですが、本譜のような対木村美濃、左金も69のままならば玉の囲いの堅さは互角です。つまり加藤先生の急戦策は正しい方向だったとわかります。
大山先生は54飛~34飛と軽いけん制の受けだったのですが、効果が薄かったのです。飛を使えなくなってからは加藤先生の快勝です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1969/12/03
手合割:平手
先手:大山名人
後手:加藤一二三十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 6八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 2八玉(38)
14 5二金(61)
15 3八銀(39)
16 4二銀(31)
17 5六歩(57)
18 7四歩(73)
19 4六歩(47)
20 8五歩(84)
21 7七角(88)
22 5三金(52)
23 6七銀(68)
24 6四金(53)
25 7八飛(58)
26 5五歩(54)
27 4七銀(38)
28 7五歩(74)
29 3八金(49)
30 7二飛(82)
31 7五歩(76)
32 同 金(64)
33 5五歩(56)
34 7六歩打
35 5九角(77)
36 8六歩(85)
37 同 歩(87)
38 5五角(22)
39 5八飛(78)
40 3三角(55)
41 5四飛(58)
42 6六金(75)
43 同 銀(67)
44 同 角(33)
45 7七歩打
46 5三銀(62)
47 5六飛(54)
48 2二角(66)
49 3六歩(37)
50 6四銀(53)
51 5四飛(56)
52 8二飛(72)
53 6五歩打
54 同 銀(64)
55 3四飛(54)
56 3三銀(42)
57 3五飛(34)
58 7三桂(81)
59 7六歩(77)
60 3四歩打
61 4五飛(35)
62 5六歩打
63 5八歩打
64 5四銀(65)
65 2五飛(45)
66 2四銀(33)
67 2六飛(25)
68 9九角成(22)
69 7七角(59)
70 同 馬(99)
71 同 桂(89)
72 6六銀打
73 7一角打
74 8六飛(82)
75 5九金(69)
76 5七歩成(56)
77 同 歩(58)
78 同 銀成(66)
79 4八金打
80 8九飛成(86)
81 5七金(48)
82 5九龍(89)
83 5八金(57)
84 6九龍(59)
85 5三角成(71)
86 5七歩打
87 4八金(58)
88 5一香打
89 7五馬(53)
90 4四角打
91 3五歩(36)
92 同 銀(24)
93 2五飛(26)
94 3三桂(21)
95 3五飛(25)
96 同 角(44)
97 3九歩打
98 7九飛打
99 5七馬(75)
100 7七飛成(79)
101 5六馬(57)
102 4五銀(54)
103 7四馬(56)
104 3六桂打
105 同 銀(47)
106 同 銀(45)
107 4七銀打
108 同 銀成(36)
109 同 馬(74)
110 5八銀打
111 3六馬(47)
112 2五金打
113 同 馬(36)
114 同 桂(33)
115 4五桂打
116 4四銀打
117 3六金打
118 4五銀(44)
119 同 歩(46)
120 5七香成(51)
121 5八金(48)
122 同 龍(69)
123 投了
まで122手で後手の勝ち
20191017今日の一手
9月15日の名南将棋大会から、KさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが後手に持ち歩があるので損得なしと見ます。
玉の堅さは同等です。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は82飛と持ち駒角で2枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
少し前はこの図で
先手からは85銀あるいは桂があるのですから、角交換しない方が無難でした。角交換して85歩を取った問題図は
後手から79角が見えますね。駒得を目指そうというときは相手からの反撃が少ないほうがよいのです。
さて問題図で後手から79角があります。馬作りを防ぐか、作らせるか。先手からも71角がありますから方針が分かれるところです。
玉の堅さが同等ですから、飛銀桂の働きで差がつきます。銀は互角として、桂は先手が使いやすく、飛は後手が使いやすいです。美濃囲いVS左美濃は中盤の戦いで差がついたら負けます。ここからの指し手で勝敗が分かれるのです。
☆ 簡単なまとめ
普通の振り飛車党ならば47金
後手の79角を避けて、後手からの攻めを受けるあるいは反撃することを考えます。
馬を作らせない手がいくつかあり、馬を作らせてもというのもないことはないです。どういう感覚を持っていますか?
△ 実戦は71角でした。
先に馬を作りたい、と角を打ったのですが逃げてもらえませんでした。(72飛35角成64銀も難しそうですが。)79角78飛46角成
ここで47銀(あるいは47金)24馬26角成
ならば駒の損得もなく互角に近かったはずです。
82角成で飛を取ったために
82同銀74歩89角68飛56角成
馬2枚は大きいです。73歩成同銀71飛66馬78飛76歩
美濃囲いには飛の攻めよりも馬の攻めのほうが強力です。先手不利になると逆転が難しい戦型で、このまま押し切られました。
○ 47金として
79角を防いでおくのが普通の手というか自然な形です。64銀76銀55歩
銀を使われるのがうるさいです。65歩66角
64銀を追おうとするのはカウンターで悪くなります。
55歩には同歩
55同銀54歩66銀65桂
桂の働きの差を主張します。77銀成には55角がぴったりで、88成銀82角成
成銀と銀は見合いだとして、桂の働きが大差で先手有利です。
後手としては56歩
56同金55歩66金77角
これは後手有利でしょう。
先手としては56歩に58飛
57歩成同金同銀成同飛66角67飛99角成53歩成
先に駒損しますが、と金が大きいので有利でしょう。
こういう攻防が一例ですが、中盤の戦いで差をつけたいのです。
△ 47銀も
角交換した場合に隙を作らない形です。64銀76銀55歩65歩
今度は65歩が利きそうですが、66角67金(これがあるから)75銀同銀同角76歩84角
銀交換で先手陣が薄いので思わしくないのです。66銀とか守ればまだ耐えられるのですが、後手から79銀、78歩、66銀、角を切ってでも強襲する筋があります。
55歩には67金
56歩同銀78歩65歩
66角を消しておいてから64銀を追います。53銀78飛69角88飛25角成38金
馬を作られても先手から55角や86歩~85歩~84歩があります。この図は先手よしのようです。
後手が55歩を突かずに78歩とするほうが悩ましく
74歩79歩成65歩
66角67金75銀とするか、75銀同銀78と同飛87飛成とするか、歩を取らせない形で悩ませるのでしょう。形勢不明としておきます。
△ 67金とするのも
79角を防いでいます。64銀76銀79角48飛75銀
銀得でも飛を成られて結構難しいです。
64銀には74歩として
93桂86歩85桂同桂
このほうが良いのかもしれません。72飛83角71飛73歩成
駒損は取り返せます。
△か○ 68金は微妙なところで
79角が残るのでかなり不安なのです。どうやらそれは大丈夫なようで、64銀76銀55歩65歩
この形も66角が成立しません。75銀同銀76歩55歩77歩成同金
先手玉が薄いですが駒得です。79角か57角で馬を作られて互角くらい。先手は左桂がさばけているのでこの後が楽かもしれません。
△か× 76銀だと
79角78飛46角成47金64馬
ここに馬を引かれるのではちょっと面白くないです。
△か× 45歩だと
79角78飛46角成47金45馬36歩
45歩を取るために64馬を避けていますが何とも言えません。
△ 65歩ならば
79角78飛46角成47金35馬36歩53馬66角
馬と自陣角では損ですが、74歩は気持ちよいです。形勢互角でしょう。
☆ まとめ
駒損は避けたいので、後手に79角から馬を作る筋は避けておいたほうが良いでしょう。
実戦の71角は飛を逃げてもらえず(逃げたら35角成がぴったりに見えるが)失敗です。
47金が普通で、普通の振り飛車党ならば(感覚か読みかで)これを選びます。その先もいくつか間違えるとまずいところがあるのですが、ちゃんと指せば先手有利になります。
間違えるとまずいというのは76銀~77桂~85銀としたのが欲張った感じだからです。苦労はありますが、桂の働きの差があるので先手有利に持っていくこともできます。
47銀、67金、68金というのは力戦振り飛車が好きな方ならば。力量があれば玉が薄くなっても左翼の戦いを有利に持っていきやすいはずです。
振り飛車党の感覚といっても、攻める振り飛車、さばく振り飛車、受ける振り飛車、抑え込む振り飛車、いろいろありますから感覚も違うでしょう。あなたが振り飛車党だとして、どの指し方がしっくりきますか?得意不得意を意識するだけでも、得意なところが伸びてくると思います。