後手番大山先生の手を考えます。
第1問
升田先生の新工夫ですが、この1手で失敗に終わります。
A 45歩 B 54銀 C 32飛
第2問
ちょっとまずそうなのですが、うまく対応できました。
A 56飛 B 64角 C 27金
第3問
飛取りですが、広く見てみましょう。
A 46歩 B 74飛 C 64角
第4問
普通にやっても勝てそう(だからどれでも良い)なのですが。
A 29飛成 B 48歩成 C 22飛成
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
升田先生の新工夫ですが、この1手で失敗に終わります。
A 45歩 B 54銀 C 32飛
第2問
ちょっとまずそうなのですが、うまく対応できました。
A 56飛 B 64角 C 27金
第3問
飛取りですが、広く見てみましょう。
A 46歩 B 74飛 C 64角
第4問
普通にやっても勝てそう(だからどれでも良い)なのですが。
A 29飛成 B 48歩成 C 22飛成
今日の棋譜20190710
昭和43年5月、升田幸三先生と第27期名人戦第4局です。
大山先生の四間飛車です。
升田先生は57金戦法(金立ち戦法)です。中飛車以外では見ない対策なのですが。
45歩が来る前に仕掛けるのは勢いですが
当然の45歩に角を交換、までは必然として、36金35歩同金46歩同歩同飛ではさばかれています。55金も同銀同歩46歩同歩同飛でパッとしません。となれば34歩から
金桂の取り合いまでは必然でしょう。升田先生はここまでは研究していたはず(新戦法の序盤研究は好きでした)ですが
角を打てるから悪くないと見ていたのでしょうか。
56飛とされて、53角成55角は悪いです。このあたりから誤算がありました。銀を立って飛車を追いますが
64角を利かされて
53角成は実現しませんでした。金歩VS桂と金 の交換は損でもないのですが、先手玉(先手陣)が薄いです。歩を持っていればまだ守れるのですが
歩を入手したいので24歩は遅いけれどこれくらいか。金を打たれて
銀を引いたら55飛。58金同金27銀もあるので
57銀同飛成23歩成は仕方のないところでしょうか。これで収まってくれば何とかなりそうですが
大山先生は強く角をさばいてきました。46同角同竜37角、37歩、25飛55竜、など応手はいろいろありますが
33と寄28角成57角で飛竜の取り合いです。
43と寄は良いとして、62金寄には35角が最善だったでしょう。
銀をもらいましたが田楽刺しは痛いです。
これで角桂交換の駒損です。普通は寄せ合いでどちらが勝ちかということになるのですが
大山先生は自陣に竜を引きつけて守りました。駒得なのでこのほうがわかりやすいです。
自陣角も打って竜を責めます。
竜交換から48歩成で寄せ合いです。これは玉の位置が一路違うので振り飛車が勝ちやすそう。
升田先生の16香~51と は両取りに飛を打つねらいです。
でも取ってもらえなくてここまで。58と を防ぎにくいです。
57金戦法の良いところは、46金とした時に46銀(右か左か)と比べて45歩の反撃に対応しやすい(45同金~46金と戻れる)こと、36金や56金と1手で寄れること(銀だと2手かかる)です。
しかし本譜の対四間飛車では45歩を取れず、36金と寄るのが思わしくないので、うまくいきませんでした。玉の囲いが薄くなることもあわせて、もう使われないでしょうね。
対中飛車でも今は使われない戦法です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1968/05/07
手合割:平手
先手:升田幸三9段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二銀(71)
15 2五歩(26)
16 3三角(22)
17 3六歩(37)
18 7一玉(62)
19 5七金(58)
20 8二玉(71)
21 4六金(57)
22 5四銀(43)
23 3五歩(36)
24 4五歩(44)
25 3三角成(88)
26 同 桂(21)
27 3四歩(35)
28 4六歩(45)
29 3三歩成(34)
30 4五飛(42)
31 4六歩(47)
32 同 飛(45)
33 3五角打
34 5六飛(46)
35 4七銀(48)
36 7六飛(56)
37 7七歩打
38 6四角打
39 4六歩打
40 7五飛(76)
41 3四と(33)
42 5二金(41)
43 2四歩(25)
44 5七金打
45 5八銀(47)
46 5五飛(75)
47 5七銀(58)
48 同 飛成(55)
49 2三歩成(24)
50 4七歩打
51 5八金打
52 4六角(64)
53 3三と(23)
54 2八角成(46)
55 5七角(35)
56 1九馬(28)
57 4三と(33)
58 6二金(52)
59 4四と(34)
60 4三銀(54)
61 同 と(44)
62 5四香打
63 3一飛打
64 5七香成(54)
65 同 金(58)
66 2八飛打
67 5八歩打
68 2二飛成(28)
69 4一飛成(31)
70 1四角打
71 4二龍(41)
72 同 龍(22)
73 同 と(43)
74 4八歩成(47)
75 1六香打
76 2五角(14)
77 5一と(42)
78 7一金(61)
79 2二飛打
80 2八飛打
81 投了
まで80手で後手の勝ち
20190712今日の一手
5月2日の名南将棋大会から、IさんとFさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
竜成銀と と金の作り合いでほぼ損得なしです。
玉の堅さは同程度。横からの攻め合いでも、どちらが堅いということもなさそうです。42飛が守備駒と見れば後手玉が堅いですが、飛を取る展開もあるでしょうし。
先手の攻め駒は71竜と持ち駒桂で2枚。73角62成銀は後手玉攻略には使えていません。
後手の攻め駒は持ち駒角銀桂で3枚。
総合すれば互角か後手もちか。
☆ 大局観として
攻め駒の数で劣っています。73角や62成銀が使えれば良いのですが。問題図の前の先手の銀の使い方が悪く、攻めが難しくなっています。
形勢をよくするためには
駒得にして長期戦を目指す
玉を固めるあるいは後手玉を薄くする
攻め駒を増やすあるいは相手の攻め駒を減らす
形勢判断の3つの要素の一つ以上を向上させます。後手の42飛が攻撃に使えていないので、先手に自由度が大きいのではないでしょうか。
× 実戦では51成銀としました。
これでもまだ成銀は攻め駒とは呼びにくいです。71竜の利きが止まり、攻め駒ではなくなりました。だからとても筋が悪いです。92香(渋い)15歩同歩13歩同香15香
これは14歩と受けると難しいのですが(後この手順が出てきます)15同香14桂13玉52成銀
52同飛31竜
先手の駒損ですが後手玉が薄くなったのでまあまあ指せます。でも後手に中段玉で粘られて、先手Hさんの負けに終わりました。
○ 後で成銀を捨てるならば、捨てないで15歩とするほうが優ります。
後手は端を謝るのでは歩切れで辛いので15同歩でしょう。13歩同香15香同香14桂
香を捨てて守りの金を取れるのですから先手有利と言うか優勢です。先手玉が39であるのも好都合ですね。
後手は15同香ではなく14歩
14同香同香15歩17歩14歩11香
強く応じられると後手のほうが良さそうにも見えてきました。
他の筋としては15歩同香13歩同香14歩同香26桂
このほうがおなじみの攻め手筋です。25銀14桂同銀18香打16桂
これは16同香同歩同香15歩同香同銀14桂が実現しますね。
1つ前の図で16桂に代えて何か良い受けがあると難しいのですが、必然のように思えます。
○ 26桂を先にすると
77桂15歩55桂14歩12歩
それから端をついても謝られて今一つ足りません。
この場合は14桂と捨てるのが手筋で
14同香15歩55桂14歩12歩13香
41金12香成同玉13歩成同桂14歩
これは先手優勢です。
後手は15歩に同香も考えられます。
15同香13歩19香
24銀13香成同桂14歩
12歩13歩成同歩36桂
ここまで来れば銀をかわせないので成功です。11香には24桂同歩12歩同香11銀
長い変化ですが、ちょっとした攻め筋を組み合わせて手が続きます。
とすれば後手は26桂に25銀
先に駒を打って受けることになります。25銀自体は後手玉の囲いになっていないわけで、銀を使わせた取引は得です。端を突き捨てていないので先手玉の堅さは変わりませんし。
× 61竜は
52成銀をねらった確実な手です。普通は良い手なのですが、後手の94角が攻防です。91竜77と
先手玉が危なくなってきました。受けの手筋としては85歩同角84角成ですが58角成と切られて
58同金67銀48金68と
小駒だけでも後手の攻め駒はほぼ4枚になり、先手玉が逃げ出すところがないので後手有利かもしれません。
× ならば75桂と打って
(と金が作れないので桂を使います)77と63桂成67歩52成桂68宜成48金67と寄
63歩を取ってしまうと後手は と金攻めを行いやすいです。これは後手有利でしょう。
○ 63成銀のほうが筋が良いです。
前の変化と同じく63歩を取ってしまうのですが、77と64角成
と金取りと53成銀を見て先手有利です。攻め駒が増えたというのがわかりますね。
後手は41飛などと抵抗してくるのですが
82竜77と52成銀67歩41成銀
先手の攻めのほうが(前にやった75桂~63桂成よりも)速くなっています。成銀が攻め駒ですね。後は73角を(うまく51角成や64角成と)使えれば寄せきれます。
○ 91角成として
駒得、長期戦を目指しても良いです。71竜の利きで77と を防いでいます。ゆっくり52香~51香成を目指します。
△ 95角成とか
84角成とか
46角成とか
(これは端にも利いているので45歩と突かれて取るか91馬か)
どれも71竜の利きが守りに使えています。
△ その意味で91竜だと少し劣るのですが
52香~51香成~52成香を考えていればまあまあです。72歩95角成94歩同竜
後手に粘られても落ち着いて対応できればですが。
△ 後は28玉も
悪くはないはずです。
☆ まとめ
対振り飛車の美濃囲い攻略と左右が逆になるのですが、端の弱い左美濃ならば攻略法は似ています。端攻めがあるから簡単、と思った方は筋が良いはずです。ただし後手の持ち駒が多いし、先手も美濃囲いなので反動があります。簡単には決まらないと思った方が良いでしょう。
遊んでいる成銀を使おうとすると結構大変なのです。63成銀が良さそうだけれど、後手に と金攻めされます。ちょっと読まないとだめです。
問題図の前にちょっと失敗しているので気持ちを切り替えて、長くなってもいいやと91角成のほうが実戦的かもしれません。