名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋問題集 20171229

2017-12-29 | 大山将棋研究
後手番大山先生の手を考えます。

第1問


こういうところは突っ張ってはいけません。
A 55銀 B 42角 C 73銀

第2問


大山先生らしい手は?
A 53金 B 54歩 C 45歩

第3問


気持ちの良い手がありました。
A 46角 B 86歩 C 56歩

第4問


穴熊攻略の手筋です。
A 68歩 B 87歩成 C 28歩

第5問


気持ちよく攻めましょう。
A 86歩 B 74金 C 64歩

第6問


単に飛を引くのではなく
A 26歩 B 86歩 C 77歩

第7問


飛を逃げるのではなく
A 88歩 B 84歩 C 64銀



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(748);中飛車に居飛車穴熊(田中寅彦)

2017-12-29 | 大山将棋研究
今日の棋譜20171229
昭和58年10月、田中寅彦先生と第10回名将戦です。

大山先生の中飛車に田中先生はもちろん居飛車穴熊です。

昔から対中飛車の居飛車穴熊は66歩と止めて67金と構えます。その前に5筋の歩を切って銀を出てこれるかどうかというのが中飛車側の課題です。羽生大内戦で居飛穴がきれいに勝ってしまったので、今ではほとんど見ないですが。

本局では65歩の反発でした。飛は引くしかなくて

64歩の取り込みが大きい、と思うところですが、大山先生はツノ銀というか木村美濃の形なので耐久力がありました。引いておけばたいしたことはないです。

田中先生は65の位を取り

大山先生は位を奪還し

田中先生は5筋を押さえてから

もう一度位をしっかり守りました。

しばらく駒組みですが、大山先生の左金はだんだんに玉の近くに寄ってきます。

田中先生の24歩は攻める準備でしたが、角交換までは考えていなかったのではないかと思います。角で取られて少し当てが外れたか。穴熊も位取りも角交換には不向きな陣形ですから。ここで35歩ではぬるい感じなので角交換から

飛を走ったら86歩、嫌なタイミングです。86同歩には87歩が痛く

飛車を成ったら と金つくりを見せられました。79金と引くのではかなり薄いです。ここでは大山先生が少し良くなっているのでしょう。

54歩には馬を引き付け

と金を作って馬筋を止められ、と最善の応酬ですが、と金は大きいです。

大山先生は6筋から飛を使えるように動きだします。

馬で守られても

穴熊を乱しました。88同金に79と というのも嫌なので

田中先生の玉は穴蔵からはい出しました。大山先生は大さばきのチャンスです。銀をぶつけ

飛取りにも構わず86歩。55馬87歩成同金は79銀~68と、87歩成同玉には86歩から31馬も利きそうです。つまり田中先生は取り合いにはできず

さんざん利かされてから飛を逃げられました。

と金がもう一枚。

こうなれば中段で踏ん張るしかないです。

大山先生は普通に金を剥がしに行き

上下から寄せに行きます。

銀をぶつければもう一息。

田中先生としては入玉できるかどうかだけですが

案外にあっけなく終わりました。

田中先生は居飛穴で勝ちまくり高勝率でしたが、序盤型なんですよね。対中飛車では2枚の穴熊は薄いとはいえ、木村美濃よりも堅く、有効な戦法です。穴熊+位取りで作戦勝ちだと思っていたら、角交換でつまづきました。
大山先生の と金、馬、歩の手筋、厚みの生かし方、いろいろ参考になると思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:田中寅彦7段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5七銀(48)
14 5四歩(53)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 7七角(88)
18 7二銀(71)
19 8八玉(78)
20 9四歩(93)
21 9八香(99)
22 6四歩(63)
23 9九玉(88)
24 7四歩(73)
25 8八銀(79)
26 6三銀(72)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 7九金(69)
30 7二金(61)
31 3六歩(37)
32 4三銀(42)
33 6六歩(67)
34 5五歩(54)
35 同 歩(56)
36 同 飛(52)
37 6五歩(66)
38 5一飛(55)
39 6四歩(65)
40 同 銀(63)
41 8六角(77)
42 7三銀(64)
43 6七金(58)
44 8四歩(83)
45 6六銀(57)
46 5四銀(43)
47 6五歩打
48 8五歩(84)
49 7七角(86)
50 6四歩打
51 同 歩(65)
52 6五歩打
53 5七銀(66)
54 3二金(41)
55 5六銀(57)
56 6四銀(73)
57 5五歩打
58 6三銀(54)
59 6六歩打
60 同 歩(65)
61 同 金(67)
62 4三金(32)
63 6五歩打
64 7三銀(64)
65 4六歩(47)
66 4二角(33)
67 4五歩(46)
68 同 歩(44)
69 同 銀(56)
70 4四歩打
71 5六銀(45)
72 9五歩(94)
73 6八角(77)
74 1四歩(13)
75 1六歩(17)
76 5三金(43)
77 2六飛(28)
78 5二金(53)
79 6七銀(56)
80 6一飛(51)
81 2四歩(25)
82 同 角(42)
83 同 角(68)
84 同 歩(23)
85 同 飛(26)
86 8六歩(85)
87 2三飛成(24)
88 5七角打
89 7八金(79)
90 6八歩打
91 5四歩(55)
92 1三角成(57)
93 2八龍(23)
94 6九歩成(68)
95 5三歩成(54)
96 同 金(52)
97 2四歩打
98 5七歩打
99 2七龍(28)
100 5四銀(63)
101 7五歩(76)
102 同 歩(74)
103 4二角打
104 6三金(53)
105 7五角成(42)
106 8七歩成(86)
107 同 銀(88)
108 8八歩打
109 同 玉(99)
110 7四金(63)
111 5三馬(75)
112 6五銀(54)
113 同 金(66)
114 同 飛(61)
115 6六歩打
116 5五飛(65)
117 4四馬(53)
118 8六歩打
119 同 銀(87)
120 8七歩打
121 同 玉(88)
122 8五歩打
123 7七銀(86)
124 5一飛(55)
125 5三歩打
126 7六歩打
127 同 銀(67)
128 5八歩成(57)
129 7五歩打
130 8四金(74)
131 8六歩打
132 同 歩(85)
133 同 銀(77)
134 6八と(58)
135 8八金(78)
136 7九と(69)
137 8五歩打
138 8三金(84)
139 6五銀(76)
140 3一馬(13)
141 5七龍(27)
142 6七金打
143 5六龍(57)
144 7八と(79)
145 同 金(88)
146 同 金(67)
147 5二歩成(53)
148 8四歩打
149 4二歩打
150 同 馬(31)
151 5三歩打
152 8五歩(84)
153 同 銀(86)
154 8四銀(73)
155 5五馬(44)
156 7三歩打
157 7六銀(65)
158 8五銀(84)
159 同 銀(76)
160 8四歩打
161 7六玉(87)
162 8五歩(84)
163 4二と(52)
164 5三飛(51)
165 8七歩打
166 5五飛(53)
167 同 龍(56)
168 6七銀打
169 投了
まで168手で後手の勝ち


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20171229今日の一手(その624); 駒損しないように攻める

2017-12-29 | 今日の一手

20171229今日の一手

10月7日の名南将棋大会から、KさんとJさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があります。竜と馬を作り合って、損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。穴熊だから堅いというわけではなく、まだ手がついていないから寄せられるまでに手数がかかるという意味です。後手も馬付きの美濃囲いになれば大きな差ではないです。
先手の攻め駒は82竜と持ち駒角銀桂で4枚。
後手の攻め駒は77馬は先手玉に向かっていないので、持ち駒飛銀桂で3枚。

総合すれば先手有利です。

☆ 大局観として
玉の堅さと攻め駒の数では上回っています。駒得になれば優勢になっていくのですが、91香を取ったとしても後手も98香を取りに来るでしょうから差がつきません。駒を取れずに長期戦だと後手から端攻めとか24香~36桂とか46歩同歩47歩とかの先手にはできない攻め筋が生じやすくなります。

自玉に手を入れる必要もないので、攻めることを考えます。なるべく駒損をしないで後手玉を寄せていきたいです。もし駒を取りながら寄せられれば攻めが切れません。


△ 91竜では99飛くらいで

香を入手したことに意味がないといけません。5枚目の攻め駒は必要なくて1手攻めが遅れただけになりかねませんから。使えるのは26桂98飛成14香ですが12香打

で効果なし。やはりぬるい手です。


△ 実戦では53桂と捨てました。

一気に寄せられるのかな?とみていると、53同金42銀同金31角33玉

これは勇み足だったか?91竜22銀42角成同玉

これはほぼ角損です。後手玉がかなり不安定になったので74歩から と金を作って頑張りましたが届きませんでした。

まるでだめだったわけでもなくて、91竜では42角成と切って、42同玉に72竜が両取りでした。(私には見えにくいので困りますが。)33玉77竜

という図は(歩を除いて)銀桂と金の交換で竜を作っているので、少し駒損くらい。77竜の存在で98香を取られにくくなっているので案外に先手よしかもしれません。


○ 53に打つなら歩の方が良いです。

これでも52銀があるので後手は取らざるを得なく、53同金42銀同金31角33玉42角成同玉72竜33玉77竜

と同じ手順で銀歩歩と金の交換で竜を作っています。これなら少しだけ駒得です。竜を潜って香を取るよりも82角から91角成でゆっくり指します。後手が飛を打ち込んできたら捕獲できるかもしれません。


× 両取りの筋に気が付くと52銀

を考えるかもしれませんが、52同金31銀33玉72竜に42銀

42同角成同金寄77竜

これで悪くはないですが、前の変化よりも後手玉が堅くなっています。指しすぎなのでしょう。


△ 52歩なら

52同金は72竜で両取りです。両取りが見えなくても後手は取りにくいでしょう。33馬に91竜78飛66角

という調子です。馬と角は交換してもらえなくて55歩くらい。まあまあなのですが長くなりそうです。


△ 66角と打てば

馬が消えるので少し駒得です。けれど両取りの筋も消えるので、長くなってしまうとだんだんに駒得は消えていきます。


△ 75から角を打つと

後手は52銀を防いで何か受けるのですが、64銀と打つなら66角で得をしています。
42銀と受けて53歩同金なら26桂

44馬25銀33銀右34銀

となれば調子よく攻めが続きます。

後手としてはどこかで78飛と打って

けん制すれば難しいです。

53歩に同銀ならば

53同角成同金42銀同金31銀

33玉42銀不成同玉72竜33玉77竜

手順は違いますが、最初に53歩としたのと同じ図です。


○ 他の角打ちは61角

高美濃攻略の手筋ですね。42金引には26桂

25銀34桂同銀同角成、となって先手の駒得ですから有利が拡大します。

61角には44馬(か33馬)と守るのですが52銀

で手ごたえあり。52同金同角成31銀に91竜

香を取っておいて、78飛に36桂35馬44香同金同桂同馬31竜

という攻めを狙えば寄せられます。

後手は52銀を取らないで42金引

のほうが難しく、41銀成同金43金

と強攻するくらい。43同銀同角成同馬41竜

42銀31銀同銀43竜32銀打

これで寄せきれないのですが、34竜で14桂狙い、43銀打に36竜か45竜か14桂か、駒損をしないで(少し得をして)後手玉が弱体化しましたから、問題図よりも良くなっています。

先手から嫌な感じがするのは61角に52銀

なのですが、後手から見ると相当に怖いです。52同角成同金31銀33玉72竜

とすれば明快ですが、両取りが見えなければ(なけれは)41銀と打てば攻めは続きます。


☆ まとめ

高美濃に馬の利きがあるので後手玉も粘りが利きます。いっぺんに寄せきれないのですが
53歩同金42銀の筋
61角から52銀や26桂の筋
が有力です。強く攻めているようでもなるべく駒損しないように、駒損するのならば一気に寄せてしまえるように、と考えます。自玉が穴熊だと、駒損でも攻めてしまえ、と将棋が荒くなるのですが、攻めが切れてしまったら負けます。こういうのは穴熊ばかり指すことの弊害です。

駒損しないように攻める、駒損でも一気に寄せる、というバランスは難しく、相手玉が寄るかどうかのという局面次第です。だから攻め将棋を自認するならば読みの力を養わねばなりません。

逆に受けているときはせいぜい3択くらいで、つぶれないように確認しながら手を選ぶだけですから、読みの力が絶対に必要というわけでもありません。受けるのもいろいろなテクニックがあって面白いです。
どちらの道を選びますか?



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする