山本太郎参議院議員の非常識な行動が話題になっています。言うまでもなく10月31日に開かれた園遊会の席で突然天皇に「直訴」した事件です。
この非常識な行動に関して、山本氏の選挙を支援した生活の党や社民党は困惑していますが、困惑どころで収まらないのが自民や公明、維新などの反山本陣営。国民の象徴である天皇は憲法で政治への関与を禁じられているのに、山本氏は天皇を政治利用したと議員辞職を迫っています。マスコミもほぼ同様な扱いで山本氏の行動を天皇の政治利用と批判しています。
全国紙5紙のうち、この問題を社説で取り上げたのは読売新聞だけですが、読売新聞社説のタイトルも『山本議員の直訴 天皇の政治利用に自覚がない』といった調子です。
で。私はちょっと違うのではないかと違和感を覚えました。そもそも山本氏は無所属で、どの政党にも属していません。彼が政治活動らしきことを始めたのはTVドラマの体当たり演技で人気が出てきた2011年で、福島原発事故をきっかけに反原発運動を始めたのが最初です。
国政への参加を志したのは翌12年12月の衆議院選挙で東京6区から出馬しましたが、このときは次点に泣きました。そして自民ブームに沸いた13年7月の参議院選挙で東京都から出馬し、反原発・反TPPなどをスローガンに善戦し、逆風が吹く中で見事に当選を果たしたのです。極左の中核派からも支援されての勝利で、それなりに東京都民の民度のレベルの「高さ」を反映した結果でした。
そんな程度の議員がそもそも天皇を政治利用などできるわけがないのは当り前の話です。脱原発派に転向した小泉元首相が行った行為であったら、天皇を政治利用しようとしたと考えられなくもないのですが、一介のタレント上がりの、元来は政治無関心層の一人に過ぎなかった山本氏の行動は、天皇を政治利用しようとしたなどと大げさにとらえるべきではなく、アントニオ猪木氏の湾岸戦争時のイラク訪問や、たびたびの北朝鮮訪問と同じく、単純な自己顕示欲から生じた政治的パフォーマンスに過ぎないと考えるべきでしょう。
それを自民の石破幹事長や維新の橋本共同代表などがちょっかいを出すものだから、山本氏の知名度はTVドラマの無関心層(私もその一人。今回の騒動で初めて山本氏なる議員がいたことを知ったくらいですから)まで含めてたちまち全国的に広まってしまいました。これだけの知名度アップを広告宣伝費に換算するといくらくらいになるか、電通に教えてほしいとマジに思っています。
そういう意味では山本氏のパフォーマンスは見事に成功したと言えなくもないのですが、山本氏の計算が間違っていたのはパフォーマンスのマイナスイメージが全国的に広まってしまうという、彼の思惑と正反対の結果が出てしまったことです。
山本氏は記者のインタビューで、マスコミが騒ぎ立てなければ政治利用と批判されるようなことはなかったのに、と嘆いていますが、それはとんでもない言い逃れで、園遊会ではテレビカメラが天皇をずっと追っていることを百も承知で、だから園遊会に呼ばれたという絶好の機会をとらえてパフォーマンスを演じたのですから、TVドラマで演じてきたように(私は見たことがありませんが)男らしく「ドジっちゃいました。勇気ある行動とマスコミが報じてくれると思ったのが、ちょっと考えが甘かったようです」とあっさり謝ってしまえば、マスコミもそんなアホを相手にしても仕方がないと、3行記事程度の扱いですんだだろうと思います。
それにしてもなぜ新人議員が園遊会に出席できたのでしょうか。その疑問を投げかけたマスコミやジャーナリストは私が知る限り皆無です。
そもそも園遊会は春と秋の2回、赤坂御苑で開催され、天皇皇后をはじめ皇族が主催者の立場で、衆参両院議長、政府首脳、国会議員、都道府県の知事、市町村長、各裁判所のトップ、各界の功績者とそれぞれの配偶者を招き、天皇皇后をはじめ皇族方が招待者と親しくお話になるイベントです。招待者の数は春がおおよそ1750人程度、秋が1000人余ですが、該当者の総数は配偶者も含めると、おそらく10万人くらいはいるのではないかと思います。その中から宮内庁が毎回招待者を選ぶのですが、参議院議員の1年生で国政にまだ何も貢献したことすらなく、しかも選挙では極左の中核派の支援を貰って当選したような山本氏を宮内庁がなぜ招待したのか、そのことに疑問を抱いたマスコミやジャーナリストはだれもいません。情けないの一言に尽きませんか。
また園遊会は招待者の位置、とくに天皇・皇后や皇太子・皇太子妃などが親しく会話を交わされる指定席が決まっていて、早いもの順に並ぶわけではありません。だから最初その指定席に山本氏が割り込んだのを宮内庁職員が見つけて列の後方に誘導したようです。で、やむなく山本氏は天皇が近くに来られた時に列をかき分けて天皇の前にしゃしゃり出て直訴に及んだということのようです。
山本氏が、福島原発の事故をきっかけに政治に関心を持ち、原発反対運動を始めるのは自由ですし、生活の党や社民党だけでなく極左の中核派の支援まで貰って選挙活動をすることも自由です。しかし天皇に自分の反原発論を訴えて、天皇が反原発運動に参加してくれるとでも思ったのでしょうか。それほどのバカではないと思いますよ。
会社員でも、能力を見込まれて突然3段抜きの抜擢をされ、そのチャンスを生かしてさらに能力を向上させる人もいれば、その逆にプレッシャーに押しつぶされてうつ状態に陥ってしまう人もいます。またそれだけの能力がなかったのに、権力を手に入れて舞い上がってしまい、周囲の顰蹙を買う人もいます。山本氏の場合、間違いなく3番目のケースです。
それなりに歴史のある政党から立候補して議員の座を射止めたのであれば、たぶん天皇に直訴するようなことはしなかったと思いますが、無所属で立候補し自民ブームが吹き荒れた参院選で自民の候補に競り勝った結果、のぼせあがったのでしょうね。
自分が蒔いた種は自分が刈り取るというのは、どの世界でも当然取らなければならない自己責任ですから、やはりマスコミだけでなく世論もあきれ返っているのですから、潔く議員を辞するべきでしょうね。それだけの味噌をつけてしまった以上、たとえタレント活動に戻ったとしても、だれも見向きをしてくれないと思いますけどね。
なお小泉元首相の脱原発発言の問題については、実はとっくに原稿は書き終えているのですが、みの門他騒動のブログ記事の閲覧者がなかなか減少せず、連休明けにでも投稿するつもりだったのですが、その間に山本氏の直訴問題が生じ、脱原発問題はそんなに急を要する話ではありませんから、この記事を割り込み投稿することにしました。脱原発問題についてはこのブログの次に投稿する予定ですが、ひょっとするとフィギュアスケートについてのNHKの報道姿勢に関する記事も現在書きかけていますので、タイミング的にどっちを先に投稿することになるか、お楽しみに……。
この非常識な行動に関して、山本氏の選挙を支援した生活の党や社民党は困惑していますが、困惑どころで収まらないのが自民や公明、維新などの反山本陣営。国民の象徴である天皇は憲法で政治への関与を禁じられているのに、山本氏は天皇を政治利用したと議員辞職を迫っています。マスコミもほぼ同様な扱いで山本氏の行動を天皇の政治利用と批判しています。
全国紙5紙のうち、この問題を社説で取り上げたのは読売新聞だけですが、読売新聞社説のタイトルも『山本議員の直訴 天皇の政治利用に自覚がない』といった調子です。
で。私はちょっと違うのではないかと違和感を覚えました。そもそも山本氏は無所属で、どの政党にも属していません。彼が政治活動らしきことを始めたのはTVドラマの体当たり演技で人気が出てきた2011年で、福島原発事故をきっかけに反原発運動を始めたのが最初です。
国政への参加を志したのは翌12年12月の衆議院選挙で東京6区から出馬しましたが、このときは次点に泣きました。そして自民ブームに沸いた13年7月の参議院選挙で東京都から出馬し、反原発・反TPPなどをスローガンに善戦し、逆風が吹く中で見事に当選を果たしたのです。極左の中核派からも支援されての勝利で、それなりに東京都民の民度のレベルの「高さ」を反映した結果でした。
そんな程度の議員がそもそも天皇を政治利用などできるわけがないのは当り前の話です。脱原発派に転向した小泉元首相が行った行為であったら、天皇を政治利用しようとしたと考えられなくもないのですが、一介のタレント上がりの、元来は政治無関心層の一人に過ぎなかった山本氏の行動は、天皇を政治利用しようとしたなどと大げさにとらえるべきではなく、アントニオ猪木氏の湾岸戦争時のイラク訪問や、たびたびの北朝鮮訪問と同じく、単純な自己顕示欲から生じた政治的パフォーマンスに過ぎないと考えるべきでしょう。
それを自民の石破幹事長や維新の橋本共同代表などがちょっかいを出すものだから、山本氏の知名度はTVドラマの無関心層(私もその一人。今回の騒動で初めて山本氏なる議員がいたことを知ったくらいですから)まで含めてたちまち全国的に広まってしまいました。これだけの知名度アップを広告宣伝費に換算するといくらくらいになるか、電通に教えてほしいとマジに思っています。
そういう意味では山本氏のパフォーマンスは見事に成功したと言えなくもないのですが、山本氏の計算が間違っていたのはパフォーマンスのマイナスイメージが全国的に広まってしまうという、彼の思惑と正反対の結果が出てしまったことです。
山本氏は記者のインタビューで、マスコミが騒ぎ立てなければ政治利用と批判されるようなことはなかったのに、と嘆いていますが、それはとんでもない言い逃れで、園遊会ではテレビカメラが天皇をずっと追っていることを百も承知で、だから園遊会に呼ばれたという絶好の機会をとらえてパフォーマンスを演じたのですから、TVドラマで演じてきたように(私は見たことがありませんが)男らしく「ドジっちゃいました。勇気ある行動とマスコミが報じてくれると思ったのが、ちょっと考えが甘かったようです」とあっさり謝ってしまえば、マスコミもそんなアホを相手にしても仕方がないと、3行記事程度の扱いですんだだろうと思います。
それにしてもなぜ新人議員が園遊会に出席できたのでしょうか。その疑問を投げかけたマスコミやジャーナリストは私が知る限り皆無です。
そもそも園遊会は春と秋の2回、赤坂御苑で開催され、天皇皇后をはじめ皇族が主催者の立場で、衆参両院議長、政府首脳、国会議員、都道府県の知事、市町村長、各裁判所のトップ、各界の功績者とそれぞれの配偶者を招き、天皇皇后をはじめ皇族方が招待者と親しくお話になるイベントです。招待者の数は春がおおよそ1750人程度、秋が1000人余ですが、該当者の総数は配偶者も含めると、おそらく10万人くらいはいるのではないかと思います。その中から宮内庁が毎回招待者を選ぶのですが、参議院議員の1年生で国政にまだ何も貢献したことすらなく、しかも選挙では極左の中核派の支援を貰って当選したような山本氏を宮内庁がなぜ招待したのか、そのことに疑問を抱いたマスコミやジャーナリストはだれもいません。情けないの一言に尽きませんか。
また園遊会は招待者の位置、とくに天皇・皇后や皇太子・皇太子妃などが親しく会話を交わされる指定席が決まっていて、早いもの順に並ぶわけではありません。だから最初その指定席に山本氏が割り込んだのを宮内庁職員が見つけて列の後方に誘導したようです。で、やむなく山本氏は天皇が近くに来られた時に列をかき分けて天皇の前にしゃしゃり出て直訴に及んだということのようです。
山本氏が、福島原発の事故をきっかけに政治に関心を持ち、原発反対運動を始めるのは自由ですし、生活の党や社民党だけでなく極左の中核派の支援まで貰って選挙活動をすることも自由です。しかし天皇に自分の反原発論を訴えて、天皇が反原発運動に参加してくれるとでも思ったのでしょうか。それほどのバカではないと思いますよ。
会社員でも、能力を見込まれて突然3段抜きの抜擢をされ、そのチャンスを生かしてさらに能力を向上させる人もいれば、その逆にプレッシャーに押しつぶされてうつ状態に陥ってしまう人もいます。またそれだけの能力がなかったのに、権力を手に入れて舞い上がってしまい、周囲の顰蹙を買う人もいます。山本氏の場合、間違いなく3番目のケースです。
それなりに歴史のある政党から立候補して議員の座を射止めたのであれば、たぶん天皇に直訴するようなことはしなかったと思いますが、無所属で立候補し自民ブームが吹き荒れた参院選で自民の候補に競り勝った結果、のぼせあがったのでしょうね。
自分が蒔いた種は自分が刈り取るというのは、どの世界でも当然取らなければならない自己責任ですから、やはりマスコミだけでなく世論もあきれ返っているのですから、潔く議員を辞するべきでしょうね。それだけの味噌をつけてしまった以上、たとえタレント活動に戻ったとしても、だれも見向きをしてくれないと思いますけどね。
なお小泉元首相の脱原発発言の問題については、実はとっくに原稿は書き終えているのですが、みの門他騒動のブログ記事の閲覧者がなかなか減少せず、連休明けにでも投稿するつもりだったのですが、その間に山本氏の直訴問題が生じ、脱原発問題はそんなに急を要する話ではありませんから、この記事を割り込み投稿することにしました。脱原発問題についてはこのブログの次に投稿する予定ですが、ひょっとするとフィギュアスケートについてのNHKの報道姿勢に関する記事も現在書きかけていますので、タイミング的にどっちを先に投稿することになるか、お楽しみに……。