小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

フィギュアスケート競技会のNHKニュース7の報道スタンスは偏向しているぞ!

2013-11-10 06:16:26 | Weblog
 NHKがフィギュアスケートの世界的大会を、グランプリ・シリーズの一つであるNHK杯以外に初めて午後7時のニュースで報道しました。ちょっと古い話ですが、10月26日の土曜日です。
 そのニュースはNHKにとっては天地がひっくり返るような事件です。私はニュースを見て、おまわず「ウソ!」と小さくつぶやきました。
 その日は夕方、テレビ朝日がグランプリ・シリーズの2回目であるカナダ大会の男子ショートを放送したのでした。テレビ朝日にとっても、グランプリ・シリーズを午後7時からのゴールデンタイム以外に放送したのは、たぶん浅田真央選手の活躍でフィギュア人気が沸騰して以来初めての大事件だったはずです。
 理由は新聞のラテ欄を見てすぐわかりました。その日、テレビ朝日はゴールデンタイムにプロ野球の日本シリーズ(楽天対巨人)を中継することになっていたため、おそらく編成上の都合で夕方に放送せざるをえなくなったようです。
 私は翌朝、真っ先に新聞のラテ欄をチェックして、また目をむきました。なんとテレビ朝日はグランプリ・カナダ大会の競技を日本シリーズの中継のあとに放送するというのです。つまり野球には興味がないけどフィギュアは見たいという人にとっては、いつフィギュアの放送が始まるのか、まったくわからないという異常な事態が生じてしまったのです。
 プロ野球の中継は、普通のリーグ戦の中継だったら放送終了時間が決まっていますから、野球中継後の番組を見たい人にとっても不便は生じないのですが、日本シリーズは試合終了まで放送します。だから27日はテレビ朝日としてはできれば日本シリーズが始まる前の夕方にフィギュアの放送をしたかったのでしょうが、やはり編成上の都合で夕方には放送できず、いつ終了するかわからない日本シリーズの中継終了後に放送することにしたということです(テレビ朝日視聴者センター担当者はその理由について「編成上の都合です」としか言いませんでした。私は6時前の放送番組が再放送のコンテンツだったので、「どういう都合なのか」と何回も食い下がって聞きましたが、「編成上の都合としか申し上げられません」としか答えてくれませんでした)。
 今年のグランプリ・シリーズはスタートのアメリカ大会からカナダ大会、中国大会とテレビ朝日が独占していて、今後もNHK杯を除くフランス大会、ロシア大会、初めて日本で開催されるグランプリ・ファイナルもテレビ朝日が独占放送する予定になっています。
 実はスタートのアメリカ大会は例年のごとく二日ともゴールデン・タイムに放送しましたが、今年は放送当日の昼のニュースで結果を映像付きで報道していました。これも異例のことですが、どうせネットで視聴者は知ってしまうのだから昼のニュースで流してしまえという報道部門の判断が働いたのでしょう。
 そういえば国内でのビッグゲームは全日本選手権とグランプリ・シリーズのNHK杯ですが、この放送について面白いエピソードがあります。
 まずフィギュア人気が沸騰するきっかけとなった浅田真央選手が15歳でNHK杯に完全優勝したときのことです。この年までNHK杯は昼間に開催されていて、伊藤みどり選手が大活躍した時期以来スター選手が出なかったこともあってフィギュア人気は低迷していました。しかし、浅田真央選手がトリプル・アクセルを成功させてNHK杯でビッグデビューを飾って以来、再びフィギュア人気が沸騰したのは周知のことですが、NHKがスポーツ中継を録画で、しかも7時のニュースのあとに放送すること自体が異例なことです。基本的にNHKは海外のスポーツでも生中継を原則にしており、BS放送を始めてからは米大リーグの野球などは録画放送するケースも増えてきましたが、日本で昼間に行われたスポーツを録画で、しかもゴールデンタイムに放送したことはかつてなかったはずです。
 問題は1日目の7時のニュースでアナウンサーが「浅田真央選手がショートをトップで通過しました」と、結果を報道してしまったことです。思わず私は「そんなのあり!」と口の中で叫んでしまいました。理由は二つです。一つはNHKが国内のスポーツを生ではなく録画中継したことです。もう一つは、7時のニュースの直後のゴールデンタイムに放送されるスポーツ競技の結果を事前に報道してしまったことです。しかもNHKは新聞のラテ欄に「録画」という表示さえしませんでした。これは不作為の虚偽表示と言えるのではないでしょうか。
 私は当然NHKの視聴者センター(当時の呼称。現在はふれあいセンターと称しています)に電話をして猛烈に抗議しました。「スポーツ放送の結果をあらかじめニュース番組で報道してしまうのは、たとえば推理小説のまえがきで犯人とトリックの種明かしをしてしまうようなものだ。そんな推理小説をだれが読むか」と。視聴者センターの担当者はやはり「編成上の都合です」としか言いません。理由を何度聞いても「編成上の都合としか言えません」と突っぱねられました。
 問題は2日目のフリー競技の放送でした。新聞のラレ欄にはやはり7時のニュースのあとに放送される表示がされていたので昼ころNHKに電話して「今日も録画放送か」と聞きました。電話に出た担当者は「少々お待ちください」と調べたうえで「今日は生中継です」と答えました。で、私は安心して7時のニュースを見たのです。もし録画だったらニュースはパスするつもりでしたから。ところがニュースの冒頭でアナウンサーがかなり上ずった声で「浅田真央選手が優勝しました」と、またしても結果を事前報道したのです。私は本当に頭に来て、またNHKに電話をして「なぜ嘘をついた」と抗議しました。当時からNHKは視聴者からの電話はすべて録音していて(電話番号もわかる仕組みにしています)、その日に電話対応した担当者は「お客様に間違えた情報をお伝えしたことを確認しました。誠に申し訳ありません。厳重に注意しておきます」と謝ったので少しは怒りが収まりました。
 もう一つのエピソードはフジテレビが独占放送している全日本選手権です。NHK杯は私が猛烈に抗議した翌年から生放送になりましたが、フジテレビは昼間開催される全日本選手権は今でもゴールデンタイムに録画放送をしています。
 全日本選手権は今季からですが、オリンピック出場枠(男女とも3人ずつ)の選考基準がポイント制になり、グランプリ・シリーズ(ファイナルも含む)や世界選手権の優勝者が獲得するポイントより多いポイントがもらえる、選考基準対象競技の中で最高位を占めるほどの大会ですが、なぜか昼間に行われる競技を生中継せず、ゴールデンタイムに放送しています(今季は未定)。おかしな話です。
 もう何年前か覚えていませんが、日本で行われる競技だし、NHK杯も生放送するようになったのだから全日本選手権も生だろうと思っていました。当然放送の前半は無名選手の演技ですから7時からNHKのニュースを見たあとチャンネルをフジテレビに切り替えましたが、まだ無名選手の演技中だったのでインターネットを見ようとパソコンを起動したとたんヤフーの画面に競技結果が出ていたのです。それで初めて録画放送なのだということが分かりフジテレビの視聴者センターに電話をして、少し意地の悪い質問をしてみました。「今フィギュアの放送を見ているんだけど、これは何時に行われた競技ですか」と聞いてみました。視聴者センターの担当者は「番組担当者におつなぎします」と番組制作部門に電話を回してくれました。制作部門の担当者(女性)はいけしゃあしゃあと「いま競技中です。これは生放送ですよ」と答えたので「ネットを見ながらフィギュアを見ているんだけど、ネットでは結果が流れていますけど」と言うと、女性担当者はあわてた調子で「少々お待ちください」と電話を保留にし、男性の番組責任者と思われる方が電話に出て「彼女は勘違いしてお答えしたようです。午後1時から競技は行われました」と答えました。「番組制作部門の方が勘違いするわけないでしょう。虚偽対応するよう制作部門で決めていたんでしょう」と追及しましたが、相手は冷静さを失わず「そんなことはありません。彼女の勘違いです」と言い張りました。
 そのやり取りのあとNHKに電話をして抗議をしました。NHKは7時のニュースで全日本選手権についてまったく触れませんでしたから。その日のニュースでNHKは昼間行われたラクビーの天皇杯準決勝を映像付きで報道したのにです。
 電話に出たのは男性のアテンダーでした。その日初めて私はNHKのふれあいセンターの体制がどうなっているのかわかりました。部長―副部長―チーフまでがいちおう責任者ということになっており、視聴者が電話をかけたとき最初に対応するのがアテンダーと呼ばれる職位の人です。簡単にアテンダーとのやり取りを書いておきます。
「なぜ、フィギュア競技の全日本選手権の結果を報道しなかったのか ?」
「ちょっとお待ちください」(上司に聞きに行った様子)「民放がいま放映中で、放映権がNHKにはありませんので。しかし9時のニュースの後半やサタデースポーツでは報道する予定です」
「映像が出せないことはわかっている。しかしプロ野球などは映像なしで結果や途中経過を報道しているではないか。全日本選手権は、国内でのフィギュア競技で最高ランクの競技だ。ラクビーの天皇杯準決勝より重要なスポーツだ」
「私はそうは思いません。ラクビーの天皇杯準決勝のほうが重要なスポーツだと思います」
 あきれ返った私は「上司に替わって欲しい」と要求し、チーフに代わってもらった。チーフにアテンダーとのやり取りを話したところ、チーフから最初に返ってきた言葉は「アテンダーが自分の意見を言ったのですか」だった。
「そんなことはどうでもいい。問題はなぜ7時のニュースで日本で最大のフィギュア競技である全日本選手権の結果を映像なしでも報道しないのか」
「私にはわかりかねますので、ご意見はスポーツ部門にお伝えします」
 このやり取りがあっても、その後もNHKの報道姿勢は変わりませんでした。
 スポーツ、それもビッグ・イベントは生放送が原則です。結果を知ってしまったら録画放送など見る気がしなくなるのは当然です。なぜかフィギュア競技はNHK杯を除いて開催国の昼間にしか行いません。そしてグランプリ・シリーズは生放送ではなく、原則ゴールデンタイムに録画中継しています。国際スケート連盟(ISU)が競技の昼間開催を原則にし、放映権を獲得した放送局にはゴールデンタイムでの録画放送を義務付けているのかもわかりません。他国の放送事情は私はネットでも調べる方法がわかりませんので、調べる方法をご存じの方がいらしたらぜひ教えてください。
 それはともかく、実は今年の春、NHKの報道スタンスについてふれあいセンターの責任者である視聴者事業局・視聴者部副部長の山本健一氏とFAXで何度かやり取りをしたので要点を公開します(ブログで公開することは山本氏には伝えてあります)。

小林(4月11日) 重要な質問があります。NHKは国民の人気が高いフィギュアスケ-トの試合結果を、なぜ午後7時のニュースで報道しないのですか? 前回の世界選手権の時も、新聞が夕刊ですでに結果を報道しているのに、ニュース7では一切触れず、民放の録画中継が終了した後のニュースウォッチ9でしか放送しませんでした。世界選手権の毎日の結果は当日新聞各紙が夕刊スポーツ面のトップ記事で扱っていましたし、NHKも土曜日のサタデースポーツ、日曜日のサンデースポーツではトップニュースとして大々的に報道されました。まさか、とは思いますが、民放の録画放送の視聴率稼ぎにNHKが協力しているのではないでしょうね。もしそうなら裏で金が動いていると思わざるをえませんので。
NHK(4月17日 視聴者部の担当管理職…無記名) NHKでは、スポーツについては、公共放送として、視聴者の多様な期待に応えられるよう、プロ、アマチュアを問わず、国内外の大会や選手・団体の動向などをニュースや番組で取り上げています。フィギュアスケートに限らず、大会の意味合いや競技の結果などを総合的に判断するとともに、それぞれのニュース番組の放送時間なども勘案しながら放送しています。
小林(4月19日) 当然のことながら日本人が大きな関心を持つスポーツ競技は海外で行われるスポーツでも生中継が原則です。オリンピックのようにいくつかの競技が同時に行われるようなケースは、あまり国民の関心が高くない競技(ということは視聴率が取れない競技)は録画放送されることもありますが、国民の関心が高い競技はどんな深夜であっても生中継です(NHKだけでなく民放も)。国内で行われるスポーツ放送で録画放送が多いのはゴルフだけで、これはそれほど視聴率が取れないため、放送時間を短縮するために行っている手法で、視聴率がとれようがとれまいが日本オープンだけはNHKが生中継しています。民放も4大メジャーは必ず生中継しています(当然深夜か早朝になります)。再度同じ質問を繰り返します。なぜNHKはすでに結果が分かっているフィギュアスケートの国際的な大きな競技会や日本選手権の結果を午後7時のニュースで絶対に放送しないのですか。ちゃんとした説明を再度要求します。 
山本(4月26日) スポーツ報道の場合、競技映像の放送権の有無により、映像が使える場合、すぐには使えない場合など、さまざまなケースがあります。大会の意味合いや競技結果の重要度、速報の必要性、ニュースの放送時間帯・放送枠などを総合的に勘案し、お伝えしています。早く伝えることが必要と判断されれば、ほかのニュースと同様に映像を使えない場合でも、写真や文字の情報でお伝えしています。(※まったくのウソ。今年のグランプリ第1戦のアメリカ大会で浅田真央選手が久しぶりにトリプル・アクセルを成功させて完全復活して優勝したことと無名の新鋭・町田樹選手が2位に24点以上の大差をつけてぶっちぎりの優勝をして、グランプリ史上初の男女制覇というビッグニュースは、映像放映権を持つテレビ朝日ですら放送前の朝・昼のニュースショーで報道したのに、NHKは7時のニュースで全く触れなかった。山本氏の回答はデタラメだった)
小林(4月26日) 子供じみた言い訳はいい加減にしなさい。私は一般論をお聞きしているのではなく、なぜ常にフィギュア競技の結果を午後7時のニュースで報道しないのかの理由をお聞きしているのです。NHKは結果がすでにはっきりしているフィギュアの世界的大会について、民放がゴールデンタイムに録画中継をする場合、今まで一度も7時のニュースで報道したことはありません。
 ※今季のグランプリ・シリーズ2回目のカナダ大会はテレビ朝日が放映権を獲得したが、日本シリーズの日程と重なったため、すでに述べたように1日目のショートは野球中継の前に録画放送したためNHKもこのブログの冒頭に書いたように7時のニュースで報道したが、優勝者が決まる2日目のフリーの結果は、テレビ朝日が野球中継後に放送することになっていたため、フィギュアの放送開始時間が確定せず、肝心のテレビ朝日が朝と昼のニュースショーで結果を報道していたのに、NHKは2日目の結果を7時のニュースで報道しなかった。山本氏の言い訳がウソであることは歴然としている。さらにグランプリ・シリーズの4回目である日本大会のNHK杯に関しては7時のニュースで浅田真央選手の練習まで放映し、2日目のフリー競技が行われた日には7時のニュースの冒頭でいきなり男子競技で優勝した高橋大輔選手の活躍を報道しただけでなく、ニュースの最後のほうで報道するスポーツ報道では高橋選手の演技だけでなく、2位に入った織田信成選手の演技まで映像付きで報道した。
 私が問題にしているのは実はNHKの報道基準ではありません。人気スポーツの世界は一般的な社会常識では考えられないことがまかり通っています。たとえばグランプリには出場できてオリンピックには出場できないとか、サッカーもオリンピックに出場できる年齢制限や出場選手の人数枠が決められています。そうした制限を決めているのは国際オリンピック委員会(IOC)ではなく、国際スケート連盟(ISU)や国際サッカー連盟(FIFA)です。一般人ならだれでもオリンピックが世界最大で最高の権威あるスポーツの祭典だと思っています。しかし実はIOCはISUやFIFAの尻の下に敷かれている存在でしかないのです。NHKがISUに逆らえず、結果がすでに分かっているにもかかわらず7時のニュースで報道できないのは、NHKがISUから「もし民放の録画中継の前に結果をニュースで報道したら、NHK杯の開催権を取り上げる」と脅かされているからなのでしょう。「NHKの判断」で決められないのでしょう。
山本(5月8日) フィギュアスケートの報道についてのNHKの考え方・姿勢につきましては、これまでに回答申し上げた通りです。大会の意味合いや競技結果の重要度、速報の必要性、ニュースの放送時間帯・放送枠などを総合的に勘案し、お伝えしています。あくまでNHKの自主的自律的な判断に基づいて放送しています。

 以上がフィギュアスケートの結果を7時のニュース(ニュース・セブン)でのNHKの報道基準について、私が山本氏とFAXでやり取りした要点です。私のブログ読者の皆さん、このやり取りからNHKの報道が公正であり公共放送機関としての合理性を保っていると思われますか。私は、はっきり言ってフィギュア競技に関してはNHKは偏向報道をしていると考えています。
 たとえば11月3,4日に行われた東日本選手権の結果について、NHKは優勝者については何も触れず、安藤美姫選手が2位に入賞したことだけを映像付きで報道しました。私がNHKふれあいセンターのチーフにその理由を聞いたところ「ソチオリンピックの出場につながる大会ですから」と答えました。東日本選手権はソチオリンピックに直結する大会ではありません。全日本選手権への出場権を獲得するための競技に過ぎません。もちろん全日本選手権はソチオリンピック出場枠に直結する大会ですが、東日本選手権はフィギュア競技ではマイナーな大会の一つにすぎないのです。
 確かに安藤選手の動向には国民の多くが注目していることは事実です。しかし国民の多くが注目していることと、国民の視聴料で賄われている公共放送のNHKが、どんなことがあっても一年中変更なしで放送しているニュース7で報道しなければならないほどのことでしょうか。NHKのニュース報道には公正さがない、と私は断定します。そんなNHKに視聴料を支払う義務が国民にあるのかも疑問に感じています。