小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

緊急告発[GoToキャンペーン」の摩訶不思議。

2020-06-10 07:41:12 | Weblog
 GoTo事業についての様々な疑惑が国会でもメディアでも取り沙汰されている。問題は数々あるが、そもそも観光業対策は国土交通省の管轄なのだが、このアイデアは国交省からではなく官邸内から出て、黒川問題などで支持率が急落している安倍政権の支持率回復の切り札として急浮上したようだ。
 が、観光業だけでなく、コロナ禍で売り上げが激減したすべての中小企業に幅広く支援の手を差し伸べるためか、「持続化給付金」という名目で担当省庁を経産省にして、経産省はまずそのための事務経費769億円をサービスデザイン推進協議会に振り込んだ。
 このサービスデザイン推進協議会は大手広告代理店の電通や人材派遣業大手のパソナなどが設立した、経産省管轄の事業の受け皿窓口である。なぜわざわざ受け皿窓口を設ける必要があったのかはわからないが、経産省の梶山大臣によれば、「電通は直接受注しないと聞いている」という。直接受注すると問題になるような怪しげな会社に、わざわざ中間業者を通して発注する必要があるのだろうか。
 さらに胡散臭いのは、サービスデザイン推進協議会は受託費769億円のうち20億円を「中抜き」して電通に749億円を丸投げしたことだ。いったいこの20億円は中間マージンなのか。だとしたら、20億円ものマージンを払ってまで電通に業務委託しなければならない理由は何か、経産省は明確にすべきだろう。
 この中間マージン20億円が国会やメディアで問題になると、一転安倍総理が国会で「そのうち15億円はみずほ銀行の手数料と聞いている」と答弁した。みずほ銀行が何らかの業務を行ったとは考えられないから(実際、政府もサービスデザイン推進協議会も、さらにみずほ銀行自身もどういう性質の手数料かの説明をしていない)常識的に考えて振込手数料以外は考えにくい。
 で、みずほ銀行のホームページで振込手数料について調べてみた。

自行他店あて(3万円以上) 窓口660円  インターネット220円
他行あて(3万円以上)   窓口990円  インターネット440円

 まさか769億円もの巨額の現金を窓口に持ち込むバカはいないだろうから、振込はインターネット・バンキングで行われたことは間違いないと考えていいだろう。念のためみずほ銀行に確認したが、上記の振込手数料は3万円以上は一律で上限はないということだった。いくら安倍さんが非常識だとしても、国会答弁でいけしゃあしゃあと振込手数料が15億円もかかると本当に思っていたのか。また野党の議員も、この答弁を聞いて納得してしまったのか、政府も政府なら野党も野党だ。
 しかも、メディアがこの摩訶不思議な答弁に全く疑問を呈していないことだ。
メディアの社員はサラリーマンだ。仮に安倍さんが「星の王子様」だとしても、メディアの中からだれも「振込手数料15億円」に疑問を持つ人があらわれないということも、摩訶不思議というしかない。
 さらに、サービスデザイン推進協議会によれば、社員約20名が協議会とは別の場所(都内某所と言ったり、テレワークと言ったり説明がチグハグだが)で働いていて、その人件費もかかっているという。協議会は単に電通の業務委託の窓口に過ぎないのに、なぜ社員が必要なのか。いったいどんな仕事をしているのか、協議会は明らかにする必要がある。
 それに、20人もの社員を抱えていれば、給料明細はプライバシー問題で明らかにできないとしても、少なくとも健康保険や厚生年金などの社会保険には加入しているはずで、たとえ本人氏名は政府関連事業の場合の得意技として黒塗りにしても、同じ社会保険事務所から同一事業主で発行されている健康保険証や厚生年金証のコピーを提出させる必要がある。
 とにかく「中抜き」20億円の実態が明らかにならない限り経産省は協議会との契約を破棄し、委託費全額の返済を求めるべきだ。なお、私が9日、経産省中小企業庁の担当部署に問い合わせの電話をかけたが、職員は「あのー、そのー」と口ごもるばかりで、途中で電話は切られてしまった(おそらく、その職員の様子を見て上司が強制的に電話を切ったと思う。少なくとも電話口に出た職員が切ったとは思えない切れ方だったから)。



【追記】サービスデザイン推進協議会(以下、SB社と略す)はやはり実体のない幽霊トンネル会社だった。SB社は9日、事務所所をマスコミに公開し、そのときはかなりの「社員」がパソコンで作業をしているかに見えた。が、10日に野党議員数人が抜き打ちでSB社を訪問したが、夜逃げしたのか蛻(もぬけ)の殻だった。そういう状況はそれまでも何度もあったという。SB社は「コロナ対策で家でのリモート作業をしていた」と言うかもしれないが、だとしたら9日に社員をパソコンなど機材と一緒に招集したのはアリバイ作りのためだったのか、やはり社員が実在しているという証拠として社員名簿と社会保険証書類を衆参予算委員会に提出し、個人情報についてはメモ・コピーを禁止するという条件で回覧すべきだ。(11日)






トランプ大統領の暴走を止められるのはだれか? 安倍さん、あんただよ。

2020-06-05 08:50:18 | Weblog
 米トランプ大統領は気でも狂ったのか。
 全米に広がった人種差別への抗議デモの激化を鎮圧するため、トランプ大統領は1日、連邦軍の派遣を検討する旨演説した。この演説が世界に大きな波紋を呼んでいる。足元のアメリカでも、アメリカ国民を敵国から守るために存在する軍が、暴動化したデモ群衆を鎮圧するために治安出動することに対して、軍内部からも批判する声が大きくなり始めた。
 まず声をあげたのが前国防長官のマティス氏。米『アトランティック』誌に寄せた声明で「国内の都市が軍によって支配される戦場にするという姿勢は拒否すべきだ」「(トランプ氏は)私の生涯で初めて国民を統合せず分断しようとしている大統領だ」と痛烈に批判した。
 当初は「私は基本的に政治的立場をとらない。政治は成功するときも失敗するときもある」と慎重な姿勢を示していた現国防長官のエスパー氏も、3日国防総省で記者会見で「警察が担う役割に軍を使うことは最終手段であり、いまがそういう状況とは思えない」と、軍によるデモ鎮圧に反対の姿勢を示した。
 いまのところ共和党内部からのトランプ批判の声は生じていないようだが、11月の大統領選挙に向けて「トランプでは勝てない」という声が沸き起こるのは必至だ。
 確かに暴徒化し、デパートなどのウィンドウをたたき破って略奪までするようになったデモは非難されるべきだとは、私も思う。だが、デモが暴徒化するのは、力で鎮圧しようとする警察側にも大きな責任がある。香港のデモもそうだ。最初は平和的なデモだったが、座り込みなどで道路を封鎖したデモ隊を力で排除しようとしたことで、デモ隊側も力で対抗しようとしてかえって混乱が大きくなった。フランスでもマクロン大統領のガソリン税値上げへの抗議から始まった「黄色いデモ」が次第に暴徒化して略奪行為が行われる事態に発展、デモの暴徒化を防ぐ目的で「赤いデモ」が出現した。この「赤いデモ」はマクロン支持派ではなく、あくまで略奪行為はやめようという訴えのために出現し、「黄色いデモ」の暴徒化を防いだ。アメリカでも、一般市民たちがデパートなどの店前を封鎖してデモの暴徒化を防いだり、警察官の中からデモ隊に合流する人たちまで現れている。

 日本でもトランプ大統領と同様、軍の治安出動でデモ隊を鎮圧しようとした総理大臣が一人だけいた。安倍総理のおじいちゃん、岸信介だ。
 1960年、いまから60年前の6月、日本では国会議事堂の周囲はデモ隊の渦で囲まれていた。日米安保条約改定の強行採決に抗議した学生や労働者たちが国会を取り巻いたのである。その渦の中に私もいた。
 1951年、日本はサンフランシスコ講和条約を締結すると同時に日米安全保障条約(旧安保)を締結した。旧安保があまりにも日本にとって不平等な内容だとして60年1月、岸総理以下全権団が訪米して旧安保の改定を交渉、19日にはアメリカとの間で新安保を調印した。そして国内では国会で新安保をめぐって社会党と自民党が真っ向から激突、アイゼンハワー大統領の来日予定6月19日までにどうしても国会で承認成立させる必要があった岸総理は5月19日、衆院日米安全保障条約等特別委員会で新条約を強行採決、翌20日には野党だけでなく一部自民党議員も欠席する中で衆院本会議を通過した。なお参議院での議論ができる状況では到底なく、岸総理は参院での決議を諦め1か月後の自然承認を待つことにした。
 これで怒りを爆発させたのが、学生や労働者たち。戦後最大の政治闘争として今も語り継がれる60年安保闘争はこうして始まった。国会周辺にはデモ隊が連日押し寄せた。が、デモが暴徒化することはなかった。事態が急変したのは6月15日、東大生の樺美智子さんが警官隊との衝突で死亡するという衝撃的なニュースが走った途端である。新安保反対の運動が日本中に広がり、岸政権は危機的状況に陥った。
 そうした中で、岸総理は何をトチ狂ったか、自衛隊の治安出動を赤城宗徳防衛庁長官に命じたのである。赤城氏は一応万一に備え、市ヶ谷や練馬などの駐屯地に陸上自衛隊を集結させる一方、自衛隊の治安出動には頑として応じなかった。赤城氏は戦時中から岸氏の子飼いともいえるほど岸総理の信頼も厚かったが、自衛隊の治安出動の要請を受けてさすがに一存では決められず、出動態勢は整えつつ防衛庁幹部を集めて相談した。このとき、赤城氏を説得したのが戦前・戦中にかけて内務官僚や警察関係の役職を歴任してきた今井久氏だった。「やっとここまで育ててきた自衛隊を国民に銃を向けさせたら、すべておしまいになる」と主張、赤城氏もこの一言で腹を決めたという。
 こういう歴史を経て自衛隊は日本社会の中で定着してきた。もし、60年安保の時、岸総理の指示に赤城防衛庁長官が従って自衛隊を治安出動させ、流血の事故が起きていたら、岸総理の孫である安倍晋三氏の今日もなかった。トランプ大統領の親友である安倍氏だが、軍を治安出動させようとしているトランプ氏の今を見て、自分のおじいちゃんの失敗をどう伝えるべきか。本当のお友達なら、すぐすっ飛んで行って「やめとけ。お前がつぶれたら、俺もつぶれる」と、トランプをぶんなぐってでも諫めるべきではないのか。