小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

緊急事態宣言より集団免疫状況をつくるワクチン接種を!!

2021-04-26 00:56:41 | Weblog
昨25日から東京・大阪・京都・兵庫の4都府県に3度目の緊急事態宣言が発令された。期間は5月11日までの17日間。酒類を提供する飲食店や大型商業施設などに休業を要請し、コロナ禍を短期で封じ込めるつもりだ。
Go To トラベルが感染拡大をもたらしたというエビデンスはない、と、国民にではなく自民党・二階幹事長に寄り添う認識を示した菅総理。この対策で短期間にコロナ禍を封じ込められるエビデンスはおありなのだろうか。

●日本でPCR検査のハードルが高いのは保健所の既得権益保護のため
今回の緊急事態宣言を効果あるコロナ封じ込め対策にするためには1回目、2回目の緊急事態宣言でコロナ封じ込めができなかった理由の検証が欠かせない。
が、メディアの報道による限り、そうした検証がなされた気配はない。多くのメディアや専門家がすでに疑問を呈しているように、「5月11日までの17日間」という極めて中途半端な期間の設定も問題だ。ゴールデンウィーク中の人出を抑え込むというなら4月29日から5月9日まででもいいはずだ。
もともと日本の緊急事態宣言は中途半端だった。そもそも第1回目の緊急事態宣言を発令した安倍総理が「日本では法律上、ロックダウンはできない」と決めつけ、「コロナ対策と経済対策の両立を図る」ことを政策の基本に据えてきた。つまり、緊急事態宣言といいながら、その実態は経済活動への負荷を極力避けるという中途半端なコロナ対策だったという真摯な反省が、政府にはまったく見られない。
日本は民主国家だから、中国のように強権で経済活動を抑え込むことまではできないにしても、私は日本がコロナ禍に襲われた昨年春ころから「両立は不可能」とブログで主張し続けた。「両立不可能」論者はまだ少なく、ノーベル賞学者の山中伸弥氏などは「日本人にコロナ患者が少ないのはマスク習慣や遺伝子的要素、清潔好きなどのファクターXがある」と主張していたくらいである。
確かに欧米に比べて日本はコロナ感染者(無症状の隠れ感染者も含めて)が少ないことは確かだ。日本の場合、コロナ禍の来襲がインフルエンザの流行時期と重なったため、私はインフルエンザワクチンの接種がコロナ禍が欧米のようには拡大しなかった可能性があると考え、山中研究所や厚労省にも伝えたことがある。とくに厚労省には先進各国のインフルエンザワクチン接種率を調べるべきだとアドバイスもした。
が、インフルエンザもそうだが、ウイルスを撃退するワクチンが開発されれば、ウイルスも人工知能的に遺伝子改造を行ってワクチンを無力化してしまうようだ。このウイルスの能力解明は人工知能開発の参考になるかもしれない。
それはともかく、日本人にコロナ患者が少ないとされている大きな理由の一つにPCR検査のハードルが高すぎるという問題もある。4月22日現在のPCR検査最大能力は185,085件に対し、検査実施数は94,257人と、検査能力の半分しか活用していない。それでも最近は検査実施数は増えているようで、つい1か月ほど前までは能力の4分の1しか検査してこなかった。
なぜ、そんな「宝の持ち腐れ」のようなことが生じたのか。日本では保健所がPCR検査の実施権限を一手に握っており、既得権益にしがみついてきたからだ。ちなみに政府のコロナ対策は国民ではなく業者に寄り添ったものである。メディアに登場する専門家と称する連中も同じ穴の狢だから、業者寄り添いの政府方針をだれも批判しない。
保健所の既得権益問題だけでなく、欧米諸国に比べてコロナ感染者が圧倒的に少ないはずの日本で、なぜ医療崩壊状態が生じるのか。

●なぜ日本では感染症専門医しかコロナ治療が行えないのか?
政府は「コロナ患者を受け入れない一定規模の病院名を公表する」と、あたかも患者寄りのようなことを舌先では言っているが、実は日本には感染症の専門医がそんなに多くはいない。その少ない感染症の専門医も大学病院や公立病院に偏っており、一般の総合病院にはほとんどいない。しかも、日本では専門医の棲み分けが強く、専門外の治療が行えないという、つまりそれぞれの専門医の既得権益の壁が厚すぎるのだ。
 日本は欧米先進国に比して人口当たりの医療機関数も医者や看護師数もかなり多い。が、専門分野の壁が分厚いため、感染症の専門医がいない総合病院はコロナ患者を受け入れられない。そういう事情を知っていながら、政府はコロナ患者を受け入れない総合病院は病院名を公表するという。
 実は、そうしてくれた方が、コロナ患者を受け入れない総合病院やコロナ感染以外の病人にとっては「あの病院ならコロナ感染しないから安心して入院できる」と、かえって喜ばれている。つまり、病院にとってもコロナ以外の病気で入院せざるを得ない患者にとっては、政府がわざわざ宣伝してくれているようなものなのだ。
 日本が欧米に比べて本当にコロナ患者が少ないなら、コロナ禍を抑えることはそれほど困難なことではない。
 まず、感染症の専門医は学閥系病院の壁を取っ払って重点地域(感染者数が多い地域)の病院に集中し、コロナ専門病院にする。その病院に入院しているコロナ以外の患者は、コロナ患者を受け入れていない病院に転院してもらう。そうすることで、院内感染も防げるし、専門病院化することによって治療の効率化もできる。全国各地にはがん専門病院があるが、そのような体制をとる。
 そのうえで全国からインターンの学生をコロナ専門病院に集中的に配備して、専門医が過重労働にならないような対策を取る。他の総合病院からの応援医師や看護師、インターンの学生たちの宿泊場所として近くのホテルを確保する。病院とホテルのあいだは専用バスで結び、通勤過程での感染を防ぐ。
こうした対策を取れば、現在公表されている程度の患者数なら医療崩壊を起こさずに治療が行える。ただ問題はPCR検査実施数が圧倒的に少ないことだ。たとえばアメリカの場合、一時の感染者数30万人(1日当たり)から、いまは6万人強まで減っている。仮に陽性率5%としても、アメリカでは感染者数が減少しつつある今日でも、毎日120万人にPCR検査を実施している計算になる。人口比で換算すると日本だったら毎日50万人をPCR検査していることになる。だが日本ではすでに述べたように第4波が襲来しているというのに、PCR検査の最大能力が20万弱、検査実施数は10万人にも満たない。
実はPCR検査そのものは、それほど感染リスクが大きい作業ではない。実際、PCR検査を独占してきた保健所(今は保健所だけでは対応できず外部の医療機関にも検査を委託しているが)の検査担当者から感染者が出たという話は聞いたこともなければ、保健所でクラスターが発生したという事実もない。はっきり言えばPCR検査のリスクはインフルエンザ検査のリスクとそう変わらないのだ。インフルエンザ検査も鼻奥から綿棒のようなもので粘液採取する必要があるが、インフルエンザ検査もコロナ検査も検査対象者がくしゃみでもしなければ検査担当者がウイルスを含んだ飛沫を浴びる可能性はほぼない。いまはPCR検査は唾液でもできるから、はっきり言えば私にでも検査できる。
だから日本がアメリカ並みの検査実施率を基準に、毎日50万人をPCR検査した場合、いまの感染者数(日本全国で約5000人)で、果たして済むだろうか。仮に陽性率を5%と低めに見ても、2万5000人の新規感染者が見つかる計算になる。政府は最大検査能力を増やしているというが、いったい何を基準に増やしているのかの説明は一切ない。まさか検査キットがせいぜい1日当たり20万セットしか手に入らないとでも言うのか。
実態は保健所(および保健所が外部委託した医療機関)の検査体制に合わせて最大検査能力を増やした格好にしているだけで、保健所の既得権を損なわない範囲が政府の言う最大能力なのだ。

●ワクチン優先接種の恩恵を受けたのは医療従事者だけではない
政府の業界に寄り添うコロナ対策は、前回のブログでも明らかにしたように、ワクチンの最優先職業者を「医療従事者等」(医師や看護師などの医療従事者だけではない)としたことでも明らかである。政府の小汚いやり方は優先接種の対象を「医療従事者 等」としたことで、ほとんどの国民は「医療従事者」に付け加えられた「等」によってどれだけ優先接種の対象が膨らんだかわからなかったはずだ。
騙されたのは国民だけではない。メディアもすべて騙された。優先接種の対象は「コロナ患者の治療に従事数医療従事者、すなわち医師及び看護師」と思い込んだ。政府の仕掛けた罠に見事にはまったのだ。
私が前回のブログ『コロナワクチン接種で厚労省にコケにされたメディアの無能さを追求する』で、そのことを明らかにした日のNHK『ニュース7』でアナウンサーも字幕も「等」を抜かして「医療従事者」と表現した。私は直ちにNHKに電話し、「誤報だ」と伝えた。その日の『ニュースウォッチ9』では「医療従事者など」と表現を改めた。が、「など」によってどれだけ対象が膨らんだかは説明しなかった。そうするためには、それまでの誤報をまず明らかにして訂正しなければならなくなるからだ。
私のブログが長くなる理由の一つとして「切り取り批判」つまり「揚げ足取り批判」は一切しないことにしているからだ。そのため前回のブログでは、あえて厚労省ホームページに記載された優先接種に関する公開文書をすべて転載することにしたというわけだ。
公文書ほど退屈な文書はなく、読者には申し訳ないことをしたと思っているが、政府のやり方の小汚さと、それにまんまと引っかかったメディアの無能さを明確にすることがこのブログの目的なので。今日はもう一度、骨子の部分だけ引用して政府のやり方の小汚さを明らかにしておく。
コロナワクチン優先接種対象の480万人についての政府発表はこうだ。「病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナ感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員」、「自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、(以下同文)」、以下略。
この優先対象者の規定で問題になる箇所は二つある。一つは「疑い患者」をだれがどうやって認定するのか。政府説明によれば「疑い患者」とは「新型コロナ感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感染症患者かどうかわからない患者を含む」とされている。私は年のせいで、しばしばむせて咳をする。紛れもなく「疑い患者」だ。
もう一つ問題があるのは「疑い患者」にも「頻繁に接する業務を行う職員」は医療機関でどういう仕事をしている人を指定しているか。私はこの1年余り、友人とも接する機会がないが、2,3か所のかかりつけクリニックにはせいぜい月1回、かかりつけの調剤薬局でも月2~3回がいいところだ。が、食料品などは買わないわけにいかないからスーパーやコンビニにはほぼ毎日行く。私は「疑い患者」だが、私と最も頻繁に接する人はスーパーやコンビニの店員だが、彼らは医療機関の従業員ではないから、リスクは大きいのにワクチン接種優先対象ではない。どうやって「疑い患者」と頻繁に接触する医療機関を決めるのか。
実際には各自治体は管轄地域のすべての医療機関(歯科医や産婦人科、美容整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、肛門科、泌尿器科なども含む)やすべての調剤薬局に優先接種の接種券をばらまいている。つまり、日本医師会、日本歯科医師会、日本保険薬局協会に属する病院・診療所・クリニック・調剤薬局の職員は「特権階級」なのだ。あるいは池袋で悲惨な自動車事故を起こした元通産省工業技術院長と同様の「上級国民」なのだ。そう解釈する以外に、怒りの持っていきどころがない。
さらにひどいのは、老人ホームの勤務者には差別待遇があることだ。病院の敷地内に設置されている老人ホーム(つまり病院が経営している老人ホーム)の従業員は優先接種対象者だが、病院の敷地外に設置されている老人ホームはスーパーやコンビニ店員と同じ扱いなのだ。
他にもある。政府はこれらの「上級国民」向け最優先接種に次いで「基礎疾患のある高齢者」「高齢者」「一般」と接種の優先順位を付けている。実は24日に私にも市役所から接種券が送付されてきたが、受付開始日は5月3日、接種開始日は5月17日で、担当部署に問い合わせたが「基礎疾患の有無は受付開始や接種開始について配慮していない」という。考えてみれば当たり前で、全市民の「基礎疾患の有無」を市が把握しているわけがなく、基礎疾患がある人はかかりつけ医などに診断書などを書いてもらう必要が生じるし、そうなるとその診断書が正確か否かを市は保険金支払い記録などを調べる必要が生じる。「医療従事者等」のケースも同様で、政府の発表では「頻繁に接する」ことが条件になっているが、そんなことを自治体が調べようがなく、すべての医療機関や調剤薬局などに接種券を最優先交付しているのが実態だ。
さあ、エビデンスが大好きな菅さんよ。これらの差別が合理的であることのエビデンスを明らかにしてもらいたい。私もエビデンスが大好きだから、菅さんとは「同好の士」のつもりなので、ぜひエビデンスについての菅基準をご教示いただきたいと願っている。

●集団免疫でコロナを撃退する方法
戦後、日本政府は国民を欺く詐欺的政策キャンペーンを少なからず行ってきたが、その最たるものは池田内閣の「所得倍増計画」だった。1960年は安保闘争で日本中が大騒動に巻き込まれた年だが、岸内閣の総辞職を受けて発足した池田総理が、「今後10年間で国民総生産を倍増する」という大風呂敷を広げたのである。世に言う「所得倍増計画」だ。ここではっきりしておくが、池田内閣が目指したのは国民総生産(現在は国内総生産が経済活動の指標になっているが、当時は国民総生産が基準だった)の倍増であって、国民所得の倍増ではなかった。「所得倍増」は巨大な錯覚キャンペーンである。
が、この夢のような計画は、結果的には計画より早く7年後には実現したのだが、相当ラッキーな偶然によって実現できたと言うしかない。というのは、池田内閣が行った所得倍増のための政策は減税・社会保障・公共投資の三本柱だけで、必ずしも有効性が保証されていたわけではない。
ただ、国民総生産倍増という壮大な政策目標が、「自分たちの所得が倍になる」と錯覚した国民に夢を与え、また1964年の東京オリンピックが予想をはるかに上回る大成功を収めて日本経済が活気づき、世界的な好況という偶然もあって日本製品の輸出が急増、国民総生産も急増、戦後の社会主義的色彩が濃厚なシャウプ税制によって国民所得も倍増した。
そういう偶然性に政府は期待しているのかどうかはわからないが、感染拡大を封じ込めるための最大の効果策は、専門家によれば「集団免疫状態」をつくることのようだ。
そのためには、不特定多数の人と接触する機会が多い職業に従事している人たちにワクチンを優先接種して、特に都心部での集団免疫状態をつくることではないか。
NHKが『ニュース7』での誤報を私が指摘し、その日の『ニュースウォッチ9』では修正したことはすでに書いたが、25日の『日曜討論』では井上アナやパネル表示では正確に「医療従事者など」としたのに、ゲストの田村厚労相や分科会の尾身会長が、ことさらに「医療従事者」と言い換えたのは、立場が立場だけに極めて悪質と言わざるを得ない。
なお、TBSの『サンデーモーニング』では局側は「医療従事者」と謝った位置づけをしていたのに対して、リモート出演していたゲストは「医療関係者」と言い換え、政府の「医療従事者等」にかなり近い発言をしたが、田村・尾身の両氏はワクチン接種の責任者的立場にあるだけに、言い間違いでは許されない。しかも二人の発言を引き継いだ伊藤アナまで「医療従事者」と発言したのはどういうわけか。すでにNHKは私の指摘により「医療従事者など」と医療従事者の後に「など」を付け加えるようにしているのに、伊藤アナは田村・尾身両氏の意図的な誤発言をカバーしたのは井上アナより劣る。『日曜討論』の司会を務める資格がない。
なお、わが国の医療従事者数は、医師、歯科医師、看護師、薬剤師まで含めて196万2000人。ワクチン優先接種対象の「医療従事者等」480万人の「等」がなんと284万人である。「等」の内容については前回のブログで書いたので繰り返さないが、許せないのは「老人ホーム」の従業員の扱いである。老人ホームはしばしばクラスターが発生して衛生管理が問題視されているが、医療機関の敷地内に設置されている老人ホームの従業員は優先接種の対象だが、一般の老人ホームの従業員は対象外である。優先接種の対象者は「新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員」と明確に規定されているから、政府は一般の老人ホームの職員には、コロナウイルスのほうから遠慮して近寄らないと判断しているようだ。であれば、クラスターが発生した老人ホームはすべて医療機関の敷地内に設置されている老人ホームだけだということを明らかにする必要がある。それがフェアなエビデンスというものだ。

● コロナ患者専門病院で患者を集中治療せよ
現在、日本では「医療崩壊」の危険性が重要視されているが、日本人よりはるかに患者が多い欧米でなぜ医療崩壊問題が生じていないのか。これは推測でしかないが、欧米では専門医の壁を超えて、専門病院で集団治療に当たっているからではないかと思われる。というのは、コロナ患者の場合、治療といっても長時間の重労働が強いられる高難度の外科手術は必要ない。ネットでコロナ治療法を調べたが、こう記してある。
「新型コロナウイルス感染症の治療法は、風邪のような症状の場合には対症療法(熱や咳などの症状を抑える治療)を行いますが、肺炎の場合は酸素投与、全身循環管理に加えて抗ウイルス薬やステロイド薬(炎症を抑える薬)の投与が奏効する場合があります。これらの治療を行っても改善せず、特に重症な場合には体外式模型人工肺(ECMO:人工肺とポンプで肺の代替を行う装置)を使用しなければならないこともあります」
この記事に記載されていない治療としては点滴、血圧、検温、投薬(アビガンやレムデシベルなど)くらいだろう。感染リスクと闘いながら治療に当たっていただいている医師、看護師の方たちを侮蔑するつもりは毛頭ないが、ほとんどの医療行為はインターンの学生でもできるような範囲の医療行為だ。専門医たちが既得権益を放棄して、専門医にしかできない医療行為に専念できるようにしたら、日本で医療崩壊など生じるわけがない。
菅総理は訪米したとき、バイデン大統領から「東京オリンピック開催を支持する」という発言を取り付けて大喜びし、さらに訪米中の17日、ファイザー社のブーラCEOに電話で交渉した結果として「16歳以上の国民全員分のワクチンが9月末までに供給されるめどが立った」と胸を張ったが、口約束どころか空手形になりそうな気配だ。おそらく「努力してみましょう」くらいの返答だったのではないか。菅総理は国民の信頼を回復したい一念で、つい口が滑ったのかもしれないが、結果的に返って国民の間で不信感が募ったようだ。
いずれにしても、コロナ禍を短期に終息させるには、医師会や歯科医師会、看護師協会などの業界団体への「配慮」とか、全国民平等にといった形式にとらわれるのではなく、感染者が急増している地域にまず集団免疫状況を作り出すことだ。
今回の緊急事態宣言では従来より厳しい規制が敷かれるようだが、酒類を提供した店の調理師免許はすべて取り消すなどの厳しい罰則も課すべきだ。一方、前回のブログで提案したように、企業や役所は午後7時以降10時まで会議室を会食用に開放するよう要請すべきだ。大学生には学食室を同様に開放したらいい。その一方、路上や公園会食は徹底的に取り締まり、浮浪者とみなして一晩留置所に放り込むくらいのことをすべきだ。
専門家が主張するように、集団免疫が最も有効であるならば、感染者多発地域で重点的にワクチン接種を行い、集団免疫状況を作り出すような対策を講じるべきであろう。

●日本はなぜロックダウンしないのか?
実はかなり前から、ちょっと嫌な気がしている。欧米ではコロナ化対策として大都市部をロックダウン(都市封鎖)してコロナ・パンデミック(大流行)を抑え込もうとしてきた。日本が第1波に襲われたとき、安倍総理は強制力がない緊急事態宣言の発令にとどめた。多くの国民や専門家は、なぜ欧米のようにロックダウンに踏み切らないのかという疑問を抱いた。私もその一人である。
緊急事態宣言では、国民に「不要不急の外出は極力避けてください」といったお願いしかできない。が、ロックダウンに踏み切った諸外国では食品など生活必需品購入や医療機関に行く以外の外出を罰則付きで禁止するという強制力が強い対策を取った。公共交通機関を運行停止したり、道路封鎖したりした都市もある。コロナ発祥の地と言われた1000万人都市の中国・武漢もロックダウンでコロナパンデミックを抑え込んだ。
日本がロックダウン政策をとらない理由について、当時の安倍総理は昨年4月1日の参院決算委で「日本ではロックダウンはできない」と述べただけで、その根拠は示さなかった。野党議員のだれも、その理由を質さなかった。野党議員も聞くまでもなく、「私権の制限」を意味するロックダウンは、憲法の制約によって実施できないと理解したのだろう。
確かに現行憲法には非常事態での「私権の一時停止」を可能にする条項がない。先の戦争への反省から国家権力の発動を厳しく規制したと思われる。それは現行憲法がコロナパンデミックのような異常事態が発生する可能性を考慮に入れていなかった欠陥と言えなくもない。
が、特措法を改正して、コロナ禍を封じ込めるための、ある程度の強制力を持てるようにすることは可能だったし、現に今年に入って一定程度の強制力を有する特措法改正も行われた。
そう考えると、なぜ安倍氏は特措法の改正をしようとしなかったのか、が疑問として残る。「うがちすぎ」と言われるかもしれないが、国民を犠牲にしてコロナウイルスに日本中を蹂躙させ、「ほら見たことか」と憲法改正への機運を高めようと考えていたのではないか。
安倍氏は自衛隊を憲法9条に書き込むための憲法改正をいきなり行うことはさすがに無理と分かり、とりあえず非常時における私権の制限と憲法の一時停止を可能にする非常事態条項を憲法に追加することで、憲法改正への道筋を付けようと考えていたのではないか。
そう考えると、安倍氏の唐突な総理辞任も、コロナパンデミックが終息した後、後継者の菅総理にコロナ禍による経済混乱などの責任を取らせて辞任させ、三度総理の座に返り咲いて自らの手で憲法改正を断行しようと考えたのではないかという疑念が生じる。それが杞憂で済めばいいのだが…。

【追記】28日、政府の高齢者向けワクチンの配布方針が判明した。26日以前は東京都・大阪府・神奈川県の1都1府・1県には他の道府県の倍の量のワクチンを配布する計画だったが、26日、急遽配布方法を変更、全国すべての市町村単位に1万回分(一人に2回接種するとして5000人分)の接種ワクチン量を配布することに変更、実施している。つまり都内(23区)、横浜市、大阪市も、過疎地の寒村もすべて同じ量のワクチンが配布されているのだ。この配布方法はメディアに公開されていなかったため、メディアは入手量が圧倒的に少ないワクチンをどのように配布しているのかが分からず、そのため、このような無茶苦茶な配布方法を報道していない。(29日)

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コロナワクチン問題で厚労省にコケにされたメディアの無能を追及する

2021-04-19 01:15:39 | Weblog
私はいま猛烈に怒(いか)り狂っている。これほど怒り狂ったのは、『マスコミに物申す』と題するブログを書き始めて以降、そう多くはない。だが、ジャーナリストが「怒る」気持ちを失ったら、世の中は真っ暗闇になる。
私がブログを書き始めたのは2008年4月27日だ。間もなくまる13年になる。このタイトルの意味について、リードでこう書いた(今もそのままブログのリード記事として必ずつけている)。
「第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか」
今はマスコミという表現はやめて「メディア」という表記に変えている。マスコミとは、言うまでもなく「マスコミュニケーション」の略。テレビや日刊新聞などの巨大メディアの総称だ。そういう巨大メディアに対して「ミニコミ」が出現した。狭い地域の情報紙が主だ。が、いまはSNSというインターネット・コミュニケーションが急速に拡大している。ブログはその走りといえよう。その後、フェイスブックとかツイッター、ユーチューブなど様々な情報発信手段が現れてきた。そうした状況下でマスメディアが生き残りのためかどうかは知らないが、あらゆる権力機構と癒着を始めている。その典型的ケースが、コロナワクチンの接種についての報道だ。

●ワクチン接種が遅れた政府の怠慢
政府の怠慢もあって日本のワクチン接種が世界の中で最も遅れている国の一つになっている。人口当たりのワクチン接種率は発展途上国にも劣る。中国が自国開発のワクチンを無償提供しているアフリカの「未開発地域」にさえ劣っているかもしれない。政府の怠慢には二つある。
一つは、ワクチン入手の手配の失敗だ。手配そのものは必ずしも遅れてはいなかった。が、ワクチンメーカーとの約束の取り付け方が甘すぎた。「買ってやるんだから、売る方は約束を守るのは当然だろう」と、勝手に思い込んでいた。が、あと出しじゃんけんに日本政府は負けた。ワクチンメーカーと口約束ではなく、契約書を結び、前金も払っていれば、ワクチンメーカーも日本政府との約束を簡単には反故にできなかったはずだ。あと出しじゃんけん組は大金をどんと積んで日本より先にワクチンを入手した。
次にワクチンの「安全性」にこだわりすぎた。薬は効果が高いほど副作用も大きい。副作用がまったくない薬は効果もほとんどない。ワクチンも同様で、効果が大きいワクチンは副作用も覚悟する必要がある。ただ効果も副作用もすべての人に一律ではない。個体差がある。厄介なのは、個体(ワクチンを接種した人)によって効果はほとんどなかったのに、副作用だけ大きかったというケースがままあることだ。当然、その逆もある。そういうことを国民に正直に説明して、接種するか否かは自己責任だということを国民に訴えることをためらい続けたことだ。場合によっては副作用によって死に至ることもありうる。  おそらくそう遠くない将来、国民の遺伝子情報の解析によって、リスクの個体差がある程度解明できる時期が来ると、私は思っている。いまの技術では総体としての確率しか明らかにされていない。つまりコロナ感染から免れる確率と副作用が生じる可能性の分析から、「あなたはワクチンを接種しますか、やめますか」としか言えない。遺伝子レベルでのリスク解明は先としても、早急にすべきことは少なくともこども・成人・高齢者の年齢差によるリスク度合いについて接種者に対する追跡調査を早急に行うべきで、場合によっては高齢者を最後にした方がいいかもしれないのだ。
ワクチン接種を受ける私たち国民が、接種を受けるべきか否かを選択するための基準にすべき最も重要な情報を政府は提供しようとしていない。これを怠慢と言わずしてなんと言う。

●ワクチン優先接種「医療従事者等」480万人はバラマキだった。
政府はワクチン接種の優先順位について、①医療従事者等 ②65歳以上の高齢者(横浜市の場合は80歳以上、70歳以上、65歳以上の3段階に分けている) ③65歳未満 という優先順位を付けている。
ワクチン接種最優先の「医療従事者等」とは、コロナ患者の治療に当たっている医師、看護師やコロナ患者が入院している病棟で仕事をしている方たちと誰でも思う。私も当初、そう思っていた。が、政府発表によれば、その対象者は約480万人だという。日本のコロナ患者数から考えて多すぎないかという疑問を持った。
で、厚労省が公表しているすべての診療科目の医療従事者数を調べてみた。データは2018年とやや古いが、医師数327,000人、歯科医師数105,000人、看護師1,219,000人、薬剤師311,000人(以上概算)である。合計で約196万2千人である。しかも、これらの医療従事者はコロナ患者の治療に携わっているだろう内科系の医療従事者だけでなく、整形外科、形成外科、脳神経外科、美容外科などの外科系や歯科、眼科、皮膚科、泌尿器科、神経内科、リウマチ科、産婦人科、耳鼻咽喉科などあらゆる医療行為の従事者を含めての数字である。ただし、なぜか厚労省は医療従事者の範疇に検査技師はいれていない。レントゲンやCT,MRI,心電図などの検査はロボットが行っていると思っているのだろうか。
この数字から生じる疑問が二つある。一つは全医療従事者196万2千人のうち、実際にコロナ患者の治療に携わっている人が何人いるかだ。4月17日現在、入院治療等を要する患者数は36,493人だ(うち重症者数は702人)。仮に患者一人当たりの治療に携わる医師・看護師などの医療従事者数を平均5人としても約18万人に過ぎない。ワクチン接種優先の「医療従事者等」480万人とのギャップについて、疑問を持たないメディアの記者は無能を通り越して「給料泥棒」と言わざるを得ない。現に私だけが日本人で初めて疑問を持った。
そうなると、次の疑問が自然に生じるはずだ。厚労省はワクチン接種を最優先した「医療従事者等」の範囲をどう指定しているのかという疑問だ。この問題については厚労省のホームページに「正確」に説明されている。優先接種の「対象となる医療従事者等」という項目でこう説明している。

 以下の方々が、早期に接種する医療従事者等に該当します。ご自身が該当するかどうかご不明な場合は、お勤め先にご確認ください。
・病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を搬送する救急隊員等・海上保安庁職員・自衛隊職員

 さらに、具体的な優先接種対象者な範囲について、こう記している。

・ 業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者や多くの疑い患者(注)と頻繁に接する業務を行うこと から、新型コロナウイルスへの曝露の機会が極めて多いこと ・ 従事する者の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であること ※ なお、ワクチンの基本的な性能として発症予防・重症化予防が想定され、感染予防の効果を期待するものではないことから、患者への感染予防を目的として医療従事者等に接種するものではないことに留意(医療従事者等は、個人のリスク軽減に加え、医療提供体制の確保の観点から接種が望まれ るものの、最終的には接種は個人の判断であり、業務従事への条件とはならない)

 これだけではまだ範囲の特定が十分でないと考えてか、別サイトでこう付け加えてもいる。

○ 病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある 医師 その他の職員 ※ 診療科、職種は限定しない。(歯科も含まれる。) ※ 委託業者についても、業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、医療機関の判断により対象とできる。 ※ バックヤードのみの業務を行う職員や単に医療機関を出入りする業者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接することがない場合には、対象とはならない。 ※ 医学部生等の医療機関において実習を行う者については、実習の内容により、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する場合には、実習先となる医療機関の 判断により対象とできる。 ※ 訪問看護ステーションの従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。 ※ 助産所の従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。 ※ 介護医療院、介護老人保健施設の従事者についても、医療機関と同一敷地内にある場合には、医療機関の判断により対象とできる。 なお、介護療養型医療施設の従事者は、病院・診療所と同様に医療従事者等の範囲に含まれる。 ○ 薬局において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある薬剤師そ の他の職員(登録販売者を含む。) ※ 当該薬局が店舗販売業等と併設されている場合、薬剤師以外の職員については専ら薬局に従事するとともに、主に患者への応対を行う者に限る。 ○ 新型コロナウイルス感染症患者を搬送する救急隊員等、海上保安庁職員、自衛隊職員 ※ 救急隊員等の具体的な範囲は、新型コロナウイルス感染症患者の搬送に携わる、①救急隊員、②救急隊員と連携して出動する警防要員、③都道府県航空消防隊員、 ④消防非常備町村の役場の職員、⑤消防団員(主として消防非常備町村や消防常備市町村の離島区域の消防団員を想定)。 (参考)「医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種における接種対象者について」 (令和3年1月15日付け消防庁消防・救急課、消防庁救急企画室、消防庁国民保護・防災部地域防災室、消防庁国民保護・防災部広域応援室事務連絡) ○ 自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する業務を行う者 ・ 患者と接する業務を行う保健所職員、検疫所職員等 (例)保健所、検疫所、国立感染症研究所の職員で、積極的疫学調査、患者からの検体採取や患者の移送等の患者と接する業務を行う者。 ・ 宿泊療養施設で患者に頻繁に接する者 (例)宿泊療養施設において、健康管理、生活支援の業務により、患者と頻繁に接する業務を行う者。 ・ 自宅、宿泊療養施設や医療機関の間の患者移送を行う者 ・ 自治体が新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の特設会場を設ける場合に、予防接種業務に従事する者であって、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接 すると当該特設会場を設ける自治体が判断した者

 この説明文にしばしば書かれている「注 疑い患者」とは「新型コロナウイルス感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感染症患者かどうか分からない患者を含む」とされている。私は年のせいか、よくむせて咳をする。「疑い患者」なのかな?
●朝日新聞のデタラメ記事
 今どのクリニックでも、必ず非接触型の検温器や消毒液は置いてある。在宅治療中の軽症患者でも、よほどのことがない限り外出はしない。しかも、「疑い患者」がたとえば歯科クリニックや眼科クリニックに「頻繁に」行くだろうか。仮にそういう患者がいたとしても、発熱症状があればよほどの緊急性がなければ、まず断られる。むしろリスクが高いのは消毒液はあっても自由に客が出入りできるスーパーなどの小売業だ。
 さらにクラスターがしばしば発生する老人ホームは、病院と同じく一種の密閉空間だ。入居者の外出規制は病院の入院患者ほど厳しくはないが、それでも今のような状況で頻繁に外出する入居者はいないと思う。コロナウイルスが自然発生するわけはないから、老人ホームでクラスターがしばしば発生するのは外部からの侵入しか考えられない。そう考えると、ウイルスを持ち込む可能性が高いのは老人ホームに勤務する従業員だ。老人ホームに入居しているような高齢者は免疫力も低下しているから、外部からウイルスが持ち込まれた場合、クラスターは容易に発生するだろう。が、厚労省の指定によれば、「医療機関と同一敷地内」にない場合は優先接種の対象にならない。「ああ おかしいね」という童謡があるようだ。たぶん、厚労省の省歌なのだろう。
 私に言わせれば、歯科医や耳鼻咽喉科などのクリニック勤務者(医師や看護師だけでなく窓口の受付係も含む)より、医療機関と同一敷地内ではなくても老人ホームの従業員をワクチン接種優先者にした方が、よほど理にかなっている。医療機関と同一敷地内だと感染リスクが高いというエビデンスがあるのか。「ああ おかしいね」。

 じつはワクチン優先接種の問題についてNHK、朝日新聞、テレビ朝日『モーニングショー』には伝えてある。NHKは『日曜討論』で、『モーニングショー』でも河野太郎ワクチン担当相が生出演した絶好のチャンスに、肝心の「ワクチン優先順位の医療従事者等の対象を教えてください」といった爆弾質問をしなかった。とくに『モーニングショー』については日ごろ舌鋒を振るっている玉川氏に、メールでこの情報を伝えたが、河野大臣のご機嫌取りばかり。視聴者から寄せられた質問のなかでも取り上げなかった。あらかじめ、質問内容について、局側が官邸に伝え、優先接種問題についての質問はしないでほしいとの要請を受け入れたのかもしれない。なにせNHK『ニュースウォッチ9』のキャスターをしていた有馬氏が、ガースー総理へのインタビューで、あらかじめ官邸側に伝えていた質問に含まれていなかった「学術会議会員の否認問題」について質問をしたことで、ガースーが「説明できることとできないことがあるじゃないですか」と色を成したことがあり、のちに山田広報官からNHKに「総理、怒ってますよ」との苦情が入ったことがあり、玉川氏も官邸にはへりくだることにしたのかもしれない。
 朝日新聞に至っては、17日朝刊でワクチン接種問題を大きく取り上げながら(記事タイトル「医療従事者、接種完了14% コロナワクチン、現場に不満も」)、まるでトンチンカンな記事を書いている。さわりの記事を無断転載する。まず朝日の記事を読む前に、朝日の記事タイトルでは「医療従事者等」ではなく「医療従事者」としている。最初から独断と偏見をもって書いた「誤報記事」であることを明らかにしておく。


 政権が「切り札」と位置づけるワクチンは高齢者への優先接種が始まった。だが、最優先の医療従事者で2回の接種を終えたのは1割程度にすぎない。
 「重症者の診療を始めて1年以上経つのに、まだワクチンがうてていない」。東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県浦安市)の感染対策室長、織田錬太郎医師はそう漏らす。
 センターは県内に24あるコロナの重症者受け入れ施設の一つ。だが、医療従事者約950人への接種は、19日以降の予定だ。「いまもスタッフは最前線で診療を続けている。(患者の診療で)実績のある病院は優先してほしかった」
 千葉県によると、ワクチンは超低温の冷凍庫がある病院の医療従事者から接種され、そこから地域の病院へ運ばれる。同センターは超低温の冷凍庫をもたない。県の担当者は「コロナ患者を受け入れる施設でも接種が遅れているところがあると承知しており、申し訳なく思う」と話す。
 病院の勤務医だけではない。自宅療養中の新型コロナ患者を診ている東京都内の診療所院長は「1回目の接種は最短で5月中旬になると聞いている」。発熱外来を設置し、コロナ患者も診る都内の別の地域の診療所院長も「1回目は4月末以降のようだ」と語る。
 首相官邸のホームページによると、15日時点の医療従事者への接種回数は約185万回。1回目は対象の約480万人の24%にあたる約117万人。2回目まで終えたのは14%にあたる約68万人。4分の3は1回も受けていない計算になる。

 朝日の記者は政府が優先接種対象とした480万人は「医療従事者」ではなく「医療従事者等」であることすら気が付いていない。すでに述べたように、医療従事者はコロナ患者治療に関与していない医師・歯科医師・薬剤師・看護師まで含めても総数で196万2千人。コロナ治療従事者は大目に見ても18万人。政府が優先者とした「医療従事者」「等」の480万人の実態は「等」に重点配分したバラマキ接種だったのである。せっかくコロナ患者の治療に当たっている現場の声をくみ上げながら、なぜ現場のコロナ患者の治療に当たっている医療従事者にワクチンが行き渡らないのかという疑問を持たないようだ。この記事は現場取材した記者と編集委員が書いているが、朝日は頭の悪い編集委員を9割減らして私を社外特別編集委員にしたら、紙面が見違えるほどよくなる。

※誤解を招くといけないので、私は「等」の人たちを優先接種対象から除外すべきだと主張しているわけではない。コロナ患者、とくに重症者を受け入れている病院では、コロナ患者の治療に当たっている医師や看護師などの医療従事者だけでなく、その病院で仕事をしている人たち(受け付け、食堂、コンビニなどの従業者など)や救急車担当の消防職員は新たな感染源にさせないためにワクチンを優先接種すべきだと考えている。
 要は、厚労省の発想は感染リスクの高い人を優先接種するということしか考えていないことに、私は疑問を呈しているのだ。もちろん感染リスクの高い人への優先接種は行うべきだが、少なくとも感染リスクの低い「医療従事者等」より、クラスターの感染源になりかねない人たち(老人ホームの従業員や飲酒が主目的の飲食業従業員、フィットネス・クラブの従業員やインストラクター)などを、コロナ患者の治療に当たっている病院の「医療従事者等」に次いで優先接種すべきではないかと考えている。ま、政府も厚労省も日本医師会や日本歯科医師会の下請け組織だから、私のような考えが生まれないのは仕方ないか。
 さらに、高齢者の接種については前期高齢者は優先的に接種すべきだと思うが、コロナワクチンは副作用もいろいろ報告されている。後期高齢者は個人差はあるが、常識的には免疫力がかなり低下していると考えられ、ワクチンの副作用率も高くなるリスクがある。しかも私自身そうだが、ほとんど外出しないし、友人との会食も控えている。「巣ごもり生活」で感染リスクを極力回避する努力をしている。とくに単身の後期高齢者は自宅内感染はほぼあり得ないから、むしろ会食機会が多い人たちへのワクチン接種を優先すべきではないかと思う。前回のブログで提案したように、会社や役所が午後7時以降は会議室を会食用に開放して、飲食店での感染リスクを回避する手段を講じるべきだと思う。現に「花見宴会」などは自分たちで場所も用意し、飲食物の用意や後片付けも自分たちでやっている。同じことを会議室を利用して行えばいいだけの話だ。
 現にイギリスではロックダウン作戦とワクチンの有効接種によって、現在はほぼ通常生活を取り戻しているようだ。
 日本にはいいことわざがある。
「転ばぬ先の杖」だ。
 先人たちが残してくれた格言を、日本の政治はすっかり忘れているようだ。
「転んでからの杖」になってしまっている。
 福祉政策も厚労省の担当だが、高齢者に対する福祉政策も典型的な「転んでからの杖」だ。
 認知症は40代から始まる、という説がある。自分の名前や家族の顔まで忘れてしまうような重症者にならないような「転ばぬ先の杖」対策をなぜ講じようとしないのか。
 体力にしても同じだ。私も昨年80歳になったが、コロナ禍になるまではしょっちゅうカラオケを楽しんだり、ほぼ週1のペースでゴルフもしていた。が、コロナ禍による「巣ごもり生活」で運動をする機会が皆無になり、家での生活は椅子とベッドだけという状態になって、ごく最近「要支援1」の認定を受けることになった。デイサービスでストレッチや軽い筋トレをこれまで2回して、1年間でこれほど体力が低下していたことにショックを受けた。私は数年前までフィットネス・クラブにも通っていたが、フィットネス・クラブのレッスンにはついていけなくなってやめたのだが、フィットネス・クラブが比較的すいている時間帯に限定して高齢者向けの軽い運動ができるように国や自治体が支援してくれたら、それこそ「転ばぬ先の杖」になる。その結果、高齢者の健康生活が送れるようになれば、医療費の軽減で元もとれる。
「転ばぬ先の杖」
 私たち日本人の祖先は、いい教訓を残してくれたのだが…。


【追記】 このブログを書き終えて、再び新たな疑問が生じた。ワクチン接種優先に入れている老人ホームと、入れていない老人ホームの差別についてである。厚労省の指針では、差別の基準は「医療機関の敷地内設置」である。敷地内に設置されていれば、老人ホームの従業員は優先接種の対象になるが、敷地外の施設は対象外ということだ。非常に明確な基準であり、そしてその基準が科学的に正しいということであれば、医療機関敷地内の老人ホームは医療機関から何メートル(あるいは何キロメートル)離れていてもコロナ感染リスクにさらされているということになる。しかも厚労省基準の「優先接種を受けるべき医療機関」の明確な基準はない。「疑い患者」の基準も科学的ではないし、「頻繁に接触する」という「頻繁」の基準もまったくない。
実際、私が住んでいる地域は首都圏の住宅街である。200メートル以内に医療機関(すべてクリニック)は数か所あるし、老人ホームも1か所ある。老人ホームの設置場所は医療機関の敷地内ではない。クリニックの「医療従事者等」はすべて優先接種の対象になっているが(確認済み)、老人ホームの従業員は対象外のはずだ(未確認)。
 ただし、老人ホームの所在地から200メートル以内にクリニックや調剤薬局は数か所ある。わたしが住んでいる住宅街でコロナ患者が発生したという話は、クリニックや調剤薬局の方に聞いても「そういう話は聞いたことがない」という。それでもクリニックや調剤薬局の勤務者は全員優先接種の対象になっており、勤務者(優先接種資格者)の名簿も提出している(すでに接種を受けたか否かは未確認)。
 医療機関の敷地内にある老人ホーム勤務者は優先接種の対象になり、ごく近くに医療機関や調剤薬局が数か所あっても、医療機関の敷地外(つまり医療機関が経営していないことを意味する)の老人ホーム勤務者は優先接種の対象外になる。
 老人ホームの問題だけではない。医療機関の敷地内に設置されている老人ホームの勤務者は優先接種の対象になるということは、感染リスクにさらされているからのはずだ。では優先接種の対象になっている「感染リスクが高い」クリニックの近辺にある一般商店や一般住居は感染リスクにさらされていないという科学的根拠があるのか。
 はっきり言えば、厚労省は医師会や歯科医師会の下請け機関であることが、このワクチン優先接種基準で明確になった。私たちの健康は、悪魔の手に委ねられている。







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「会食の人数制限」「飲食店の時短営業」ではコロナ第4波は防げない。 ※小室圭氏の「言い訳」は通用するか?

2021-04-12 05:08:03 | Weblog
政治はあくまで結果である。どんなに政策目標の見栄えが良くても、また国民受けするような政策であっても、政策目標を実現するための手段やプロセスが用意されていなければ、その政策は「絵に描いた餅」「砂上の楼閣」でしかない。
3月7日、政府は京都・大阪・兵庫の2府1県の緊急事態宣言を解除した。大阪の吉村知事の強烈な宣言解除要請に政府が屈した。この2府1県を総称する地域用語はないようだ。関西とか近畿といった地域を示す言葉はあるが、関西は1都6県の関東に対する地域用語だ。1都3県を示す首都圏に対する地域用語はない。ネットで調べてみたら、近畿という地域用語は関西よりやや広域地域を指すようだ。2府1県という、首都圏に次ぐ巨大な経済圏についての地域用語がないことにふと疑問を感じた。ちなみに3番目の経済圏である中京圏はネットで調べた結果では「名古屋市を中心とする経済圏」とかなりあいまいだ。

●蓮舫参院議員(新立憲代表代行)はなぜくだらない質問をするのか?
そんなことはどうでもいいと言えばそれまでだが、コロナウイルスも経済圏単位で活動の場を広げている。ひとの流れが、首都圏であれば東京都心(千代田・中央・港の3区と渋谷・新宿・池袋の3駅周辺)を中心にしているし、関西方面奈良大阪市の中心、中京圏は名古屋市の中心が、コロナウイルスにとってはもっとも「おいしい地域」なのだろう。こうした地域に対する徹底的な封じ込め作戦が、コロナ感染対策の中心であるべきだと私は考えている。具体策についてはあとで触れる。
1都3県に対する緊急事態宣言の解除に踏み切った菅総理に、新立憲の蓮舫参院議員がかみついた。3月19日の参院予算委である。
蓮舫議員は例によって舌鋒鋭く質問した。「いま解除して本当に大丈夫ですか」と。菅総理は「大丈夫だと、お・も・う」と答えた。「思う」という言葉は、自分の感想を述べる意味の以下でも以上でもない言葉だ。
この日の質疑について蓮舫氏は「どうしてこんなにすれ違うんだろう」とため息を漏らしたという。だが、私がため息を漏らしたいのは蓮舫議員の追及のほうだ。
私は3月22日にアップしたブログ「緊急事態宣言解除の目的は東京オリンピックのためか?」で明らかにしたように、すでにコロナウイルスは宣言を首都圏に限定して再延長した3月7日ごろを境に活発な活動を再開し始めていた。それは厚労省が原則として毎日公表している47都道府県ごとの感染者数の推移を見れば、その時期から感染者数が徐々に増えだしていることがはっきりしている。そういう時期にあえて政府は宣言の解除に踏み切った。だから私はその日のブログで「リバウンドは必至。ガースーは責任を取るか?」と書いた。
もちろん政府の政策のせいだと言いたいわけではない。民放テレビはそのころ、毎日のように都心の人出が増えだしていることを映像で報道していた。とくに若い人たちが「巣ごもり生活」に飽きてきたせいもあると思う。そうした事態に対して有効な手立てがあったかと聞かれたら、私も「ない」と言うしかない。
だが、少なくとも、そうした時期に宣言を解除すれば、おなかをすかせたコロナウイルスの目の前に極上のステーキを差し出すようなものだ。リバウンドが生じないわけがない。蓮舫氏は厚労省が公表しているデータや、メディアが連日報道している国民とくに若い人たちのゆるみをまったく把握せずに、ただ感覚で総理に噛み付いただけでしかなかった。
「女の浅知恵」などと失礼なことは言わない。私の周辺にも極めて優れた思考力の持ち主の女性はたくさんいる。ただ、蓮舫がアホだと言いたいだけだ。少なくとも「いま宣言を解除しても大丈夫か」と総理に聞くなら、「いま宣言を解除したら、猛烈なリバウンドに見舞われる」という主張を、私でも簡単に入手できるデータや都心の人出が増えだしている状況を根拠に、「まだ宣言を解除できる環境が整っていない。いま解除したらリバウンドは必至だ。それに対する対策を総理に聞きたい」と、ガースーを追及すべきだった。
連邦氏はいやしくも新立憲の代表代行だ。かつて旧民主党政権時代、事業仕訳を担当し、当時開発中だった「日の丸スーパーコンピュータ」について「1位でないとダメなんですか。2位ではいけないのか」と追及したことがある。オリンピックなら「銀メダル」でもそれなりの価値がある。が、スーパーコンピュータは名誉をかけて開発競争をしているわけではない。世界最高性能のスーパーコンピュータを持つということは、あらゆる分野の研究開発で日本が世界をリードできる「武器」を手にすることを意味する。ま、最もせっかくのスーパーコンピュータの使い方を知らないアホな研究者もいて、そのことは前回のブログ『理研の「富岳シミュレーション」はコロナ感染防止にはまったく役に立たない』で書いた。
連邦氏は国会での質疑を歌舞伎役者の見栄と同じと考えているのかもしれないが、そういうものではない。国会議事堂の委員会室は、テレビ局のスタジオではないのだ。

●「ワクチン接種は医療従事者最優先」の裏事情。
すでに明らかにしたように、これまでの感染対策では効果が不十分だったことは明白である。前回のブログでも書いたように、「会食は5人以内」という「お願い」や飲食店の営業時間短縮でコロナ感染を防げるという科学的根拠はまったくない。
厚労省の職員が20人を超える送別会を深夜までやって、その大宴会に参加した職員から数名の感染者が出たことで、コロナ感染対策の最前線にいる厚労省職員の無自覚さが連日、民放報道番組で追及されているが、では5人以内のグループに分けて会食を午後9時までに終えていれば、感染者は出なかっただろうか。
そもそも、なぜ老人ホームでクラスターが頻発しているのかを科学的に検証した人が厚労省にいないことが、私には不思議でならない。老人ホームは入居者にとっては、病院の入院患者と同様、一種の密閉空間で生活している。病院の入院患者ほど外出規制は厳しくないと思うが、コロナ禍の中でどの老人ホームも入居者の外出規制はかなり厳しくしているはずだ。それなのに老人ホームでのクラスターが多発している。まさか厚労省の職員は、老人ホームではコロナウイルスが自然発生しているなどとは、いくらなんでも考えていないと思う。20人を超える大宴会をやるような連中でも、そこまでバカではないと思う。
では、なぜ老人ホームでクラスターが多発するのか。コロナウイルスが外部から持ち込まれ、高齢者の場合,抗ウイルス力が低下しているため、少量のコロナウイルスでも容易に感染するためと考えるのが最も合理的だと思う。つまり、毎日老人ホームに出入りする職員や食材等の搬入業者がコロナウイルスを持ち込んでいると考えるべきで、そういう前提に立てばコロナウイルスの侵入をどうやって防ぐかの対策も立てられる。
政府はワクチン接種を医療従事者最優先にしていて、ほとんどの国民は政府が言う医療従事者とはコロナ患者の治療に従事している医者や看護師だと思っているようだが、実は違う。歯医者や眼科、整形外科や美容整形、調剤薬局に勤務するすべての職員が対象である。しかも窓口の受付係や、コロナ患者を受け入れていない病院の清掃員や食事係、駐車場の案内者まで含まれる。いっぽう老人ホームは医療機関ではないから、優先接種の対象には含まれない。こんな馬鹿げたワクチン接種の総責任者が河野太郎だ。もっとも、河野氏は、そうしたワクチン接種の実態はご存じないかもしれないが…。
なぜそんな馬鹿気たやり方をしているのか。自民党の大票田である医師会に媚を売るためとしか考えられない。ワクチン接種まで、選挙の時の票の行方を最重要視しているのが政治の実態であることを国民は知るべきだし、メディアはそういう実態を国民に明らかにすべきである。

●会食人数制限や飲食店の時短要請は無意味。
海外の例を見ても、ロックダウン(都市封鎖)でいったんコロナを封じ込めても、解除したらコロナがすぐ勢いを取り戻している。本当に厄介なウイルスだと思う。
日本では法律上、ロックダウンは出来ないというが、「解釈改憲」という言葉があるように、憲法ですら解釈の変更で事実上「改憲」しているのが日本の政府だ。本気でコロナと闘う気があるなら、どの法律がロックダウンの妨げになっているかは知らないが、政府は法律解釈を変更してロックダウンに踏み切ればいい。私に言わせれば、ロックダウンによる経済への打撃や東京オリンピック開催への影響を優先しているからに過ぎないと思う。
日本は欧米ほど感染者や死者が多くはないから、ロックダウンをしろと言いたいわけではない。ただ、従来の「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」では感染拡大を防ぐことは不可能だと、私は考えているだけだ。
ロックダウンのように外出規制は出来ないとしても(不要不急の外出自粛要請はいまでも有効なはずだが、「不要不急」の基準を法律で決めることは事実上のロックダウン政策と同じになるから政府はやらない)、会食人数の制限や飲食店の時短要請(違反店には罰金を科したとしても)といった従来の感染防止対策ではコロナを完全に封じ込めることが不可能であることはすでに分かっている。
ではどうしたらいいか。飲食店への時短要請は行わない。ただし、飲食店での会食は人数に限らず禁止する。どのみち飲食店以外の会食は禁じたところで取り締まる方法がないから、人数制限は意味がない。
だから、コロナ禍が収まるまで、例えば午後7時過ぎは会社や役所の会議室などを会食用に開放することにすればいい。今年はさすがに「花見宴会」はほとんどなかったようだが、「花見宴会」は飲食店ではなくサクラ見物の名所で行う。酒類や食材は自分たちで用意しているはずだ。同じことを会社や役所の会議室でやればいい。「花見宴会」と同様、後片付けは自分たちがやればいい。
そういう方法を採用すれば、会食人数を制限する必要もなければ、飲食店に時短営業を要請する必要もなくなる。頭は生きているうちに使え。

【閑話休題】 破談になったとき、婚約指輪は返すべきか返さざるべきか?
下世話の話は基本的にブログで扱いたくないのだが、3月29日のブログ『皇位継承問題についての有識者会議は「皇室典範は違憲」と答申できるか』を書いたこともあって、小室圭氏の最終(?)報告書が世論の反撃を受けていることについて、この問題を論理的に考察したら、どう考えるべきかという問題としてちょこっと書いてみることにした。
この「閑話休題」の見出しを見て、ピンとくる人はかなりの高齢者だと思う。私がまだ20代後半だったころ「水平思考」という思考法が、言葉として流行ったことがある。「言葉として」と書いたのは、意味をちゃんと理解している人はほとんどいなかったからだ。
「水平思考」(ラテラル・シンキング)は論理的思考法の「日本語」訳である。意味をネットで調べて理解しようとしても無理だ。だから小室圭氏が公表したレポートの読み方を例にとって核。
圭氏の主張の要点は、氏の母親が元婚約者から提供された400万円は、「貰ったものであって、借金ではない」の一言に尽きる。圭氏や母親がそう判断しても、あながち不法ではないとは私も思う。が、元婚約者は結婚することを前提に、元婚約者の母親に400万円という大金を提供したと思われる。何の関係もない赤の他人だったら、借用書も担保も取らずに400万円もの大金を提供するようなお人よしがいるわけがない。
私は、この400万円の性質について「提供」という言葉をあえて選んだ。「貸付金」か「贈与金」かは双方の解釈が異なるからだ。
で、婚約指輪のケースに「水平思考」を働かせることにした。婚約指輪は通常ダイアモンドの指輪である。結婚指輪のプラチナ指輪よりはるかに高価である。婚約したとき、男性が女性に婚約指輪を渡す場合、それは「貸し出し」と考える人はまずいないだろう。結婚を前提に「差し上げたもの」と誰でも考える。そのまま結婚に至れば、ダイアモンドの婚約指輪は女性の所有物になる。何らかの事情で離婚するに至ったとしても「婚約指輪を返せ」と要求する男性はたぶんいないはずだし、仮に裁判沙汰になっても返還請求は認められないと思う。
が、やはり何らかの事情で結婚に至らず破談になった場合、男性側が「返せ」と要求しなくても返すのが社会常識だと思う。もし男性側に非があって破談になったとしても、婚約指輪の返還と慰謝料請求とは相殺されない。
圭氏の言い分によれば、母親が元婚約者(以降A氏とする)との交際期間中、かなり高級な飲食店に一緒し、支払いは割り勘だったようだ。パート収入と亡夫の遺族年金で生活していた母親にとってはかなりの負担だったらしい。だけどA氏に対する好感情があって交際を断てなかったようだ。
私に言わせれば、この時点で圭氏の母親はアウト。A氏が連れて行った店で圭氏の母親に対して割り勘を要求する相手に好意を持つこと自体、私には考えられない。そういうA氏と結婚したら、自分がどういう状態に置かれるか、考えたことがないのだろうか。
圭氏によれば、破談は一方的にA氏から切り出されたという。A氏が破談を言い出した理由はわからない。民放TV報道によれば圭氏の母親の金遣いがあらすぎたというのがA氏側の言い分。事実は不明だ。もしA氏側に非があれば圭氏の母親はA氏に対して慰謝料を請求できる。
ここから圭氏の主張は、これが米国ニューヨーク州弁護士(アメリカは弁護士資格は州単位で取る必要がある)を目指す人かと、私は首をかしげた。
先に述べたように、婚約破棄のケースで男性側に非があった場合、婚約指輪と慰謝料を相殺できないというのは、法曹家でも何でもない私でも常識だ。現に、最近「NHK受信料を支払わない方法を教える党」(N国党)の立花孝志氏が東京地裁で受信料支払いを命じられ、他の訴訟での請求額との相殺を求めたが却下されたことは多くの国民が知っている。ニューヨーク州では別件での請求との相殺が認められるのかどうかは知る由もないが、少なくとも日本ではA氏が提供した400万円と、圭氏の母親がA氏に請求できるかもしれない慰謝料との相殺は不可能である。ということは圭氏は本当に弁護士資格を取れるのかという疑問すら生じる。
これが「水平思考」を駆使した論理的結論である。    











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理研の「富岳シミュレーション」はコロナ感染防止にはまったく役に立たない。

2021-04-05 02:10:33 | Weblog
3月26日、東京オリンピックの聖火リレーが福島を出発した。通常なら聖火リレーのスタートと同時に一気にオリンピック期待ムードが盛り上がるのだが、リレーランナーが走る沿道には多少人出もあったようだが、実際にオリンピックが開催できるかどうか、私たち国民の大半はしらけ切っている。
ところでコロナ・リバウンドが確実になって、実はずっと疑問を抱いてきたことについて検証してみたくなった。3月の初め、理研(理化学研究所)が発表した世界最高性能のスーパーコンピュータ「富岳」を使ってのマスク効果のシミュレーション研究についての疑問である。

●アホと違うか、理研の「マスク効果」シミュレーション
理研はシミュレーション検証した結果を3月初めに公表したが、その目的が全く不明である。相当膨大な税金を使っての研究だと思うが、何の役に立つのか私には理解不能である。専門家やメディアが疑問を呈さないことも不思議だ。
理研が発表したのは、マスクをした人が咳をした場合、飛沫がどの程度の範囲と距離まで飛散するかのシミュレーション結果である。咳をした場合に飛ぶ飛沫の勢いと量は、通常の会話で飛ぶ飛沫の勢いや量とはたぶんけた違いに多いと思う。仮に友人や家族と向き合って食事や話をしていて、突然せき込むことはある。あるいは突然くしゃみが出ることもある。頑是ない子供ならいざ知らず、常識ある大人なら仮にマスクをしていない状態(例えば飲食中)でも顔を背けて鼻・口を手で覆う。通常の人間の行動を前提にしないシミュレーションは学者の「お遊び」でしかない。
次にマスクを着けていながら正面に向かって咳をした場合、飛沫が飛ぶ最大飛距離は1.5メートルだという(不織布マスク1枚の場合)。ということは、仮に感染者と話をしていても、感染者がマスクをしていれば、その人から1.5メートル離れていればマスクなしでも感染リスクはないということを意味する。
これはシミュレーション映像を見るまでもないことだが、大きい飛沫は遠くまで飛ばない。ミクロン単位の微粒子状の飛沫は1.5メートル先まで飛散するようだが、1.5メートル離れたマスクを付けた人がどのくらいの量の飛沫を吸い込むかのシミュレーションがない。
さらに理研のシミュレーション検証の致命的な欠陥は、通常、人は鼻呼吸することを無視していることだ。喋ったり咳をした場合の飛沫は確かに顔の正面前方に向かって飛ぶが、人間の鼻の穴は豚の鼻と違ってふつうは下向きである。つまり顔の正面の空気(もちろん飛沫を含んでいる)を吸うのではなく、顔の下方の空気を吸っている。だから人間が実際に吸う空気の範囲内にどの程度の飛沫が存在し、その飛沫どのくらいの量をマスクをつけていても吸気するかを検証するのでなければ、世界最高性能の富岳を使う意味がない。いくらスーパーコンピュータの性能が良くても、富岳に計算させるための計算式がデタラメだったら無意味どころか、私たちが重大な判断ミスを犯すことになりかねない。

●理研の研究目的は「人に感染させないためのマスクの正しいつけ方」なのか、それとも「自分が感染しないためのマスクの正しいつけ方」なのか?
理研のシミュレーション画像はユーチューブで【理研 マスク効果】で検索すればいくらでも見ることができる。シミュレーションは今回だけでなく昨年も行われたが、今回のシミュレーションで明らかにされたのは咳をした場合の【二重マスクの効果】(二重にしても、不織布マスク1枚を顔にしっかり密着させたのとではほとんど効果に変わりがない)と、マスクなしで歩きながら話す場合、飛沫が後方3メートルくらい漂うということだ。
いったい、このシミュレーションは何を意味するか。
この二つのシミュレーションは、いずれも【飛沫を吸い込むことを防ぐためのマスクの着用法】とは無関係だ。コロナ感染者が咳をした場合にマスクを通り抜けて飛沫がどのくらい飛散するかのシミュレーションであって、コロナウイルスを含んだ飛沫をいかに防ぐかという視点が、膨大な税金を使ったであろう理研の研究チームにはまったくない。
もちろん、コロナウイルスが厄介なのは、発症するまで数日の潜伏期間があることはわかっており、無症状のため通常の生活を送っている「隠れ感染者」がかなり多いことは私も分かっている。かくいう私自身も可能な限り外出を控えてはいるが、餓死するわけにはいかないからスーパーやコンビニなどに週に数回は行く。少なくとも、いまのところ発症はしていないが、ひょっとしたら無症状感染しているかもしれない。その可能性はすべての国民にある。だからPCR検査を増やすべきなのだが、政府がやっていることはせいぜい最大検査能力を増やすことだけで、検査体制の拡充には無関心のようだ。だからPCR検査実数は検査能力の4分の1程度でしかない。。保健所が既得権益にしがみついているためで、私は何度もNHKに「PCR検査の闇の構造」を明らかにしてほしいと要請しているが、いまだ実現していない。PCR検査など、インフルエンザ検査と同様、街の内科クリニックでもできるのに…。
PCR検査の問題は置いておくとして、私の友人たちもみな高齢者で用心深いから、会食はほとんどしなくなった。が、仕事をしている方たちは、完全なリモート・ワークでなければ誰とも会わないというわけにはいかない。また仕事の性質によってはリモート・ワークの方が生産性が落ちるという結果も報告されているようだ。確かにリモート営業などは通販のコミュニケーター以外は実際問題として不可能だろう。ズーム会議も2~3人程度ならいざ知らず、5人程度以上になると自由闊達な議論がしにくいことも分かった。
コロナ感染の拡大を防ぐための「新しい生活様式」も、今回の緊急事態宣言で2か月が限界のようだ。3月22日にアップしたブログでもかいたように、2か月後の3月7日の解除予定を首都圏に限ってさらに2週間延期したが、ちょうど再延長したころから都心の人出が増え始め、感染者数も前週同曜日比で増えだした。首都圏より先に宣言解除した大阪や兵庫では第4波に襲われているようだ。私たち高齢者は何とかまだ「巣ごもり生活」に耐えているが、若い人たちにとっては我慢の限界だったのだろう。
「会食は5人まで」という政府の「新しい生活様式」の指針も、「5人以下なら感染を防げるが、6人を超えると感染リスクが高まる」という会食制限に合理的な根拠があるとも思えない。この指針が合理性を持つためには「隠れ感染者」がいた場合、5人までの会食なら感染拡大は4人までに収まるが、10人の会食だと感染者が9人増えるから、と理解するしかない。実に馬鹿げた指針だ。

●必要な「マスク効果」研究は、自分が感染しないための指針だ。
話が少し横道にそれたが、理研が検証すべきは、人と会話をする場合、どういうマスクのつけ方が必要か、また話し相手との距離をどの程度とれば、コロナに感染している話し相手が大声や咳をしても、コロナに感染するほどの量の飛沫を吸い込むことを防げるか、のはずだ。
つまりマスクのつけ方で、どの範囲の飛沫を含んだ空気を吸い込むのかをシミュレーションすべきだった。咳をした場合の飛沫の拡散状態をシミュレーションしたのであれば、どういう形状でマスクをつけていれば、またどの程度の距離を保っていれば、飛沫を吸い込まずに済むかのシミュレーションである。
私の予測ではマスクの上部(目方向)や横(頬方向)からの吸気はほとんど無視してもいいのではないかと思う。大半は下部(顎方向)からの吸気だと思うが、正面方向からの吸気量がどの程度かのシミュレーションが非常に重要だ。
とくに鼻づまりで口呼吸している場合は、おそらく吸気の大半は正面方向からになるので、その場合は話し相手との距離をどの程度とるべきか。
 こういった感染防止の観点から考えると、鼻だしマスクはまったく意味がないことになる。鼻だしマスクをしていてトラブルになった事件の報道をテレビで見たことがあるが、感染者でも鼻からはコロナウイルスを含んだ飛沫は通常出ない。ただ、くしゃみをした場合は鼻からも飛沫が出るので、人に感染させないためには人込みの中では鼻だしマスクはマナー違反だと思う。
そういうシミュレーションが、コロナ感染を防ぎ、また感染拡大を防ぐために必要なのではないか。小保方晴子のSTAP細胞作製実験も含め、理研の研究価値が問われていると言わざるを得ない。
私は生まれついての嫌な性分で「権威」を一切認めない主義だ。だから学生時代、左翼運動にのめり込みながらマルクスや所属していた組織のトップの考え方に疑問を呈して除名処分を食らったくらいで、だから理研の「マスク研究」にも、思考停止をして恐れ入ったりはしない。
例えば旧ソ連や中国、北朝鮮など共産圏の国は「土地は根源的生産手段」というマルクスの定義を後生大事に守り、土地の私有化は認めていないが、では「生活手段としての土地」は何を生産しているのか。杉田水脈なら「子供を生産する手段」というかもしれないが、基本的に消費を伴わない生産活動はありえない。むしろ「土地は根源的消費手段」と定義すれば、あらゆる土地がそれに該当する。
「論理的思考力はあらゆる知識に勝る」(小林紀興)

●閑話休題――「税込み価格表示」の悪だくみを逆手にとったら…。
話はまったく変わるが、4月1日からスーパーなどでの価格表示方式が変更になった。本体価格だけの表示が禁止され、税込み価格表示あるいは単品ごとの税額表示が義務付けられたのだ。
実は橋本内閣が消費税を5%にアップしたとき、やはり「税込み価格表示」を小売業者に義務付けたことがある。この時メディアは一斉に、将来の増税時に消費者が抱く「増税感」を緩和することが目的だと解釈したことがある。
が、安倍内閣が8%に増税したとき、「税込み価格表示」の義務付けを解除した。その結果、ほとんどのスーパーやコンビニ、量販店は【本体価格】と【税込み価格】を二重表示するようになった。それをまた橋本内閣時のように【税込み価格】表示だけを復活するというのかと思った。
が、4月になっても行きつけのスーパーやコンビニの価格表示方法はこれまでと変わらない。つまり本体と税込みの価格が二重表記されているのである。スーパーの店長に聞くと「本体価格だけでなく税込み価格も表示しろ」という意味なので、うちでは個々の商品の価格表示法は変えていない」とのことだった。業務用スーパーなどでは本体価格しか表示していない店があるため税込み価格も表示しろということらしい。
が、本体価格のみ表示で消費者が混乱したという話はあまり聞いたことがない。だいいち、消費税が8%に上がったとき(2014年)から、スーパーやコンビニなどは二重表示してきたし、それ以来7年も経つのに、今頃なぜ大半の小売店には関係のない表示変更を義務付けたのか。
が、個々の商品に【税込み価格(うち税額も表示)】か二重表示を義務付けるということは、消費税は個々の商品に別々にかかることを意味しなければおかしい。ところが政府はせこいことに、従来から消費税は個々の商品ごとにかけるのではなく、買い物の本体価格の総額にかけてきた。
そのやり方がなぜせこいのか。
極めて簡単なケースで説明する。1個98円の食品は税込みで105.84円になる(食品以外は107.8円)。1円以下の通貨派内から支払いは現金だろうとキャッシュレスだろうと105円だ(食品以外は107円)。が、1個98円の食品を2個買うと総額は196円になり、消費税も211.68円になる(食品以外は215.6円)。1円以下は切り捨てなので98円の食品を別々に買うと210円で済むが(食品以外は214円)、2個一緒に買うと211円(食品以外は215円)と消費税が1円増える。スーパーなどで大量に商品を買うと、レジで個々に支払うのと、まとめて支払うのとでは消費税額にかなりの差が生じる。
国がそういうせこいやり方で「塵も積もれば山となる」方式で庶民からせこく消費税を稼ごうというなら、消費者のほうは対抗手段としてレジでの会計を1品ごとにする手段で対抗したいものだ。
もちろん、そういうやり方をすればスーパーなど小売業側は悲鳴をあげる。小売業者がそういう状態になれば、チェーンストア協会など小売業者団体が政府に「消費税は単品ごとの課税にしてくれ」と強く要求せざるを得なくなる。
政府があくまで「総合課税」を主張するなら、筋としては1回の買い物ごとに消費税を支払うのは他の税体系と比べて著しく不平等であり、1年間の総消費額に対して課税すべきだという税法理論で対抗すればいい。実際に国民が「単品支払」という手段に出たら、政府も単品課税方式に転換せざるを得なくなる。政府がせこくやるなら、私たちもせこい手段で対抗したい。

【追記】水泳の池江選手がオリンピック出場を内定させた。不知の病と言われる白血病からの奇跡の回復だ。私は東京オリンピック開催は無理だと主張してきたが、池江選手のためだけにでも開催してあげたいと思うようになった。
 私も人間。熱い血も流れている。論理だけでは解決できない世界もある。何とか池江選手を世界のひのき舞台に立たせてあげたいと願う。


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