高齢者による自動車事故の多発が社会問題化している。その原因は二つある。一つは医療技術の進歩や食生活を含む生活習慣の改善で、男女を問わず日本人の平均寿命が延びていることだ。
だがもう一つの問題のほうが深刻である。はっきり言って警察庁と国家公安委員会の怠慢である。
私はさる2008年6月10日と25日の2回にわたって警察庁長官宛に文書を送付した。いまから数えると約8年半前である。
10日に送付した文書の目的は、運転免許証の再発行についての疑問が中心だったが、その中でこう述べている。
私は今年7月で68歳になりますが、70歳になった日に(私の免許証の有効期限がちょうど切れる日です)免許の更新をしないことに決めています。私はいま毎日のようにフィットネスクラブで汗を流していますが、エアロなどをなさっている方はお分かりですが、インストラクターは毎回新しいステップを考案して指導しています。若い人は1~2回やれば新しいステップをすぐ覚えますが、私くらいの年になると最後までインストラクターの動きについていけないこともしばしばあります。私はバーベルエクササイズやプールでの筋トレメニューでは若い人に負けない体力がありますが、運動神経(反射神経と言ってもいいかもしれませんが)は確実に年とともに後退していることをいやというほど知らされるのがエアロです。私が70歳になった日に、つまり免許の有効期限が切れる日に運転をやめることに決めた最大の理由です。(中略)
正直に申し上げますが、私は独身時代、平気で酒を飲んで運転していました。酒に強く、かなりの量の飲酒をしても酔っぱらうことがなかったことが、飲酒運転に対する罪悪感を麻痺させていたのかもしれません。その私が飲酒運転をピタッと止めたのは子供が生まれたのがきっかけでした。親になったという自覚が、どんなに酒に自信があっても、また万に一つの可能性であっても、飲酒運転で同乗させた子供を事故に巻き込んだら取り返しがつかないどころか死んでも死にきれないという思いを待ったからです。クルマは「走る凶器だ」という意識を強く持つようになったのもそのときからです。(後略)
続いて25日に警察庁長官宛に送付した文書では高齢者免許の更新についても具体的な提案をした。
先の文書で私が満70歳の誕生日に有効期限が切れる運転免許証の更新はしないことを明らかにしましたね。その理由は、健康のために通っているフィットネスクラブでのエアロビクス・レッスンに若い人のようにはとてもついていけないことから、例えば路地から子供が飛び出したような時に、急ブレーキを踏むか、急ハンドルを切って電柱に車をぶつけても子供を避けるかといった、とっさの正確な判断と、その判断を下す反応スピードに自信が持てなくなったからです。
さらに昨日娘の家に行き5歳の孫と遊んでいてまたショックを受けました。任天堂が発売して大ヒットし、テレビゲーム機の王座をソニーから奪い返したWiiのことは多分ご存知でしょう。そのWiiで遊ぶゲームでやはり大ヒットしたのがWiiフィットです。バランスボードの上に乗っていろいろな種類のフィットネスをする健康ゲームで、バランスゲーム・有酸素運動・ヨガ・筋トレの4アイテムに合計で48種類ものフィットネス・プログラムが詰め込まれているのですが、その中のバランスゲーム(8種類)が実に優れものです。というのは5歳の孫がバランスボードの上でぴょんぴょん跳ね回り、「じいちゃんもやってごらん」と言われ、やってみたのですが、全然ついていけないのです。バランスゲームという名前から単純にバランス感覚を養うためのゲームだろうと思っていたのですが、エアロ以上に反応速度と判断の正確さが試されるゲームなのです。
で、私の提案ですが、任天堂と共同で判断力や反応速度を3分くらいで測定できる装置を開発し、70歳以上の高齢者の免許更新時には、視力だけでなく、とっさのときの反応スピードと判断力を検査項目に加えられてはいかがでしょうか。現在70歳を超えた人が免許の更新をする場合は民間の教習所で3時間の高齢者講習を受けなければなりませんが、講義を除けば本当に必要なとっさのときの反応スピードや判断力の検査は行われていないのが実情です(実際に最寄りの教習所に高齢者講習の内容を聞きましたが、「15分ほど車に乗ってもらうが、ハンドルを握らなくても乗っているだけでいい」ということでした ※現在はいちおう数分間ハンドルを握らせているようだ)。
いま私の手元にはインターネットで検索した交通安全白書の19年版(平成)に記載されている「道路交通事故」をプリントしたもの(8ページ)がありますが、高齢者が起こす交通事故は平成元年の3倍に達しています(全年齢層の事故総数は65%に減っているのにです)。この高齢者事故をどうやって減少していくかが、飲酒運転の撲滅とともに全国の警察組織が全力で取り組まなければならない課題だと考えています。(中略)
私の人生も残りそう長くはありません。私の本職であるジャーナリストとしての活動で、日本の将来と未来を担ってくれる若い人たちのために、私にできることは何かしておきたいと思っているのですが、出版界の現状を考えると本を出すことはまず不可能です。で、マスコミにフェアな主張をさせるためにブログで読売や朝日に厳しい批判を加えたり、今回のように「警察のための国民」から「国民のための警察」に大転換していただくための提言をしたりすることにしたのです。そうした活動にご理解を賜れば私も、この年になっても社会のために何がしかのことが出来たなと思えるのですが…。
この提案を警察庁長官に行ったのは、最初に明らかにしたように2008年の6月である。その後、高齢者の平均寿命は延び続け、それとともに今日では社会現象にさえなっている高齢者の自動車事故の増加。その全責任は警察庁と国家公安委員会にある。これはもはや彼らの「怠慢」を通り越して「不作為の犯罪」に相当する、と私は厳しく弾劾したい。
だがもう一つの問題のほうが深刻である。はっきり言って警察庁と国家公安委員会の怠慢である。
私はさる2008年6月10日と25日の2回にわたって警察庁長官宛に文書を送付した。いまから数えると約8年半前である。
10日に送付した文書の目的は、運転免許証の再発行についての疑問が中心だったが、その中でこう述べている。
私は今年7月で68歳になりますが、70歳になった日に(私の免許証の有効期限がちょうど切れる日です)免許の更新をしないことに決めています。私はいま毎日のようにフィットネスクラブで汗を流していますが、エアロなどをなさっている方はお分かりですが、インストラクターは毎回新しいステップを考案して指導しています。若い人は1~2回やれば新しいステップをすぐ覚えますが、私くらいの年になると最後までインストラクターの動きについていけないこともしばしばあります。私はバーベルエクササイズやプールでの筋トレメニューでは若い人に負けない体力がありますが、運動神経(反射神経と言ってもいいかもしれませんが)は確実に年とともに後退していることをいやというほど知らされるのがエアロです。私が70歳になった日に、つまり免許の有効期限が切れる日に運転をやめることに決めた最大の理由です。(中略)
正直に申し上げますが、私は独身時代、平気で酒を飲んで運転していました。酒に強く、かなりの量の飲酒をしても酔っぱらうことがなかったことが、飲酒運転に対する罪悪感を麻痺させていたのかもしれません。その私が飲酒運転をピタッと止めたのは子供が生まれたのがきっかけでした。親になったという自覚が、どんなに酒に自信があっても、また万に一つの可能性であっても、飲酒運転で同乗させた子供を事故に巻き込んだら取り返しがつかないどころか死んでも死にきれないという思いを待ったからです。クルマは「走る凶器だ」という意識を強く持つようになったのもそのときからです。(後略)
続いて25日に警察庁長官宛に送付した文書では高齢者免許の更新についても具体的な提案をした。
先の文書で私が満70歳の誕生日に有効期限が切れる運転免許証の更新はしないことを明らかにしましたね。その理由は、健康のために通っているフィットネスクラブでのエアロビクス・レッスンに若い人のようにはとてもついていけないことから、例えば路地から子供が飛び出したような時に、急ブレーキを踏むか、急ハンドルを切って電柱に車をぶつけても子供を避けるかといった、とっさの正確な判断と、その判断を下す反応スピードに自信が持てなくなったからです。
さらに昨日娘の家に行き5歳の孫と遊んでいてまたショックを受けました。任天堂が発売して大ヒットし、テレビゲーム機の王座をソニーから奪い返したWiiのことは多分ご存知でしょう。そのWiiで遊ぶゲームでやはり大ヒットしたのがWiiフィットです。バランスボードの上に乗っていろいろな種類のフィットネスをする健康ゲームで、バランスゲーム・有酸素運動・ヨガ・筋トレの4アイテムに合計で48種類ものフィットネス・プログラムが詰め込まれているのですが、その中のバランスゲーム(8種類)が実に優れものです。というのは5歳の孫がバランスボードの上でぴょんぴょん跳ね回り、「じいちゃんもやってごらん」と言われ、やってみたのですが、全然ついていけないのです。バランスゲームという名前から単純にバランス感覚を養うためのゲームだろうと思っていたのですが、エアロ以上に反応速度と判断の正確さが試されるゲームなのです。
で、私の提案ですが、任天堂と共同で判断力や反応速度を3分くらいで測定できる装置を開発し、70歳以上の高齢者の免許更新時には、視力だけでなく、とっさのときの反応スピードと判断力を検査項目に加えられてはいかがでしょうか。現在70歳を超えた人が免許の更新をする場合は民間の教習所で3時間の高齢者講習を受けなければなりませんが、講義を除けば本当に必要なとっさのときの反応スピードや判断力の検査は行われていないのが実情です(実際に最寄りの教習所に高齢者講習の内容を聞きましたが、「15分ほど車に乗ってもらうが、ハンドルを握らなくても乗っているだけでいい」ということでした ※現在はいちおう数分間ハンドルを握らせているようだ)。
いま私の手元にはインターネットで検索した交通安全白書の19年版(平成)に記載されている「道路交通事故」をプリントしたもの(8ページ)がありますが、高齢者が起こす交通事故は平成元年の3倍に達しています(全年齢層の事故総数は65%に減っているのにです)。この高齢者事故をどうやって減少していくかが、飲酒運転の撲滅とともに全国の警察組織が全力で取り組まなければならない課題だと考えています。(中略)
私の人生も残りそう長くはありません。私の本職であるジャーナリストとしての活動で、日本の将来と未来を担ってくれる若い人たちのために、私にできることは何かしておきたいと思っているのですが、出版界の現状を考えると本を出すことはまず不可能です。で、マスコミにフェアな主張をさせるためにブログで読売や朝日に厳しい批判を加えたり、今回のように「警察のための国民」から「国民のための警察」に大転換していただくための提言をしたりすることにしたのです。そうした活動にご理解を賜れば私も、この年になっても社会のために何がしかのことが出来たなと思えるのですが…。
この提案を警察庁長官に行ったのは、最初に明らかにしたように2008年の6月である。その後、高齢者の平均寿命は延び続け、それとともに今日では社会現象にさえなっている高齢者の自動車事故の増加。その全責任は警察庁と国家公安委員会にある。これはもはや彼らの「怠慢」を通り越して「不作為の犯罪」に相当する、と私は厳しく弾劾したい。