小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

オリンピック選手村が「ダイヤモンド・プリンセス号」になる日

2021-07-26 04:13:09 | Weblog
いろいろな問題を抱えながら、東京オリンピックが始まった。
「延期」もしくは「中止」論が世論の過半を占めていた時期、「オリンピックが始まれば空気は変わる」といった人がいた。本当にそうか。
間違いなく変わったのはメディアだった。連日オリンピック報道で明け暮れだしたからだ。民放の場合は、まだ分かる。クライアントあっての放送局だからだ。が、NHKは何か勘違いしているようだ。NHKのクライアントは受信料を払っている視聴者なのだが、なぜか政府がクライアントだと思い込んでいるようだ。そういう状況が24日にあらわになった。

●『ニュース7』をすっ飛ばしたNHKの見識
私はスポーツが大好きだ。コロナ禍になるまでほぼ週1のペースでゴルフはしていたし、やりすぎで体を壊すまでの3年ほど前までは毎日フィットネスクラブで汗を流していた。ゴルフをした後フィットネスクラブに寄ってプールで泳いだりもした。
自分が運動するだけでなく、テレビでスポーツを見るのも大好きだった。相撲だけは貴花時代を最後にあまり見なくなったけど。
これは私の勝手な価値観なのだけど、相撲には勝負という要素とは別にスポーツの美しさが、昔はあったような気がする。
「横綱相撲」とは何なのか。白鵬のかちあげ(というよりひじうち)が「美しくない」と批判を浴びた、そういう相撲の世界の「美」が貴花時代を最後に失われたように思えたからだ。
そういうスポーツの世界の「美」が、今年の東京オリンピックから失われた、と私は思った。だから、今回のオリンピック中継はいっさい見ないと決めた。23日の開会式も見なかったし(NHK BSのサンデル氏のディベート番組を見た。素晴らしい内容だった)、天皇の開会宣言での菅総理の不遜な態度は翌日、ネットで知った。
衝撃を受けたのは24日だ。TBSの『報道特集』を見た後チャンネルをNHKに切り替えた。土曜日のNHK総合テレビは午後6時から『土曜ドラマ』(見たことがないのでくだらないか面白いかはわからない)のあと6:45から首都圏ニュース・気象情報に続いて『ニュース7』が始まる。が、この日はNHKに切り替えたらオリンピックの柔道の中継をしていた。気象情報もせずに7時になってもニュースが始まらない。
どうしたことかと、NHKのふれあいセンターに電話で聞いた。なかなか電話がつながらなかったが、ようやくつながって事情を尋ねたが、電話に出たコミュニケーターも事情がつかめず責任者のスーパーバイザーに代わった。スーパーバイザーによれば、「いま柔道の決勝戦中なので、終わり次第ニュースに変わることになっています。その後のオリンピック中継はサブ・チャンネルで中継することになっています」とのことだった。
ようやく7:13に『ニュース7』が始まったが、いきなりオリンピックのニュ―スで、直前に終わった決勝戦の録画報道の後、ライブの中継に移った。
えっ、なに? と、おもってサブ・チャンネルに切り替えたらまったく同じ映像を流していた(アナウンサーは別かもしれない)。
実は『ニュース7』に入る前、NHKはサブ・チャンネルでオリンピック中継を見るためのリモコン操作を少なくとも3回ていねいに画像付きで案内していた。が、『ニュース7』は結局引き続いてオリンピック柔道の中継をした。念のためサブ・チャンネルも見たが、同じ放送を流していた。はっきり言えば、堂々たる詐欺行為だ。
「オリンピックが始まれば、空気が変わる」。
なるほど、そういうことか。メディア、とくにNHKが空気を変えてくれるという約束があったかどうかは知らないが、メディアを動かせば空気は変わるかもしれない。メディアというものの実態を国民がどう受け止めるか、国民の良識が問われている。
ただ、さすがにNHKには抗議の電話が殺到したようだ。翌25日、BSテレ朝の『激論クロスファイアー』の後NHKにチャンネルを切り替えたら7時から『ニュース7』を放送した。ただ、始まってから20分ほどはオリンピック関係の報道ばかりで、台風関東接近のニュースはその後だった。異常豪雨が続くなか、台風接近の方がニュース・バリューは大きいと思うのだが…。

●ノーテンキな小林よしのり氏の「コロナなんか風邪の一種」論
もちろん、オリンピックを目指して並々ならぬ努力を重ねてきた選手たちに責任があるわけではない。むしろ、コロナ禍が生じたせいでもあるが、オリンピック開催を巡る汚い駆け引きの様々が表面化し、選手たちが精神的にも練習に集中できない時期もあったと思う。むしろ最大の被害者は選手たちだったかもしれない。
また今から考えれば、結果論といえば結果論だが、感染爆発の状況下でオリンピックを強行開催するくらいだったら、むしろ去年開催していた方がよかった。安倍前総理のもとで最初の緊急事態宣言は5月末の予定を前倒しで5月25日に全面解除し、Go Toトラベルも8月1日スタート予定を7月22日に前倒ししていたくらいだった。去年、当初の予定通り開催していれば、無観客にする必要もなかっただろうし、仮にオリンピック開催によって感染が拡大したとしても、医療体制も今日ほどひっ迫はしていなかった。天皇の開催宣言も、去年だったら祝意が含まれていた可能性が高い。
それをあえて1年延期した。1年後にはコロナ禍も終息しているだろうという甘い見通しが背景にあった。そこには一切科学的知見による裏付けはなかった。
ノーテンキな漫画家兼評論家の小林よしのり氏は「コロナなんか風邪の一種に過ぎない」と非科学的主張をして、テレ朝の玉川徹コメンテーターや専門医の岡田晴恵氏を「いたずらに国民の不安を煽り立てた張本人」と非難している。が、実際は玉川氏や岡田氏(最近テレビではすっかり見なくなったが)の予測をはるかに上回る勢いで感染は拡大しつつあり、緊急事態宣言による規制も回を重ねるたびに厳しさを増している。
小林氏が「風邪の一種」とコロナを軽視するのは勝手だが、有名人だけに、何の根拠もなく妄言をまき散らす権利まであるわけではない。まず自ら感染予防対策を一切取らない生活をして実証してからにしてほしい。誰も小林氏を相手にしなくなるから、かえって孤独な「巣ごもり生活」を余儀なくされ、感染防止対策を取らなくても感染を免れるかもしれないが…。

 いずれにせよ、政府の最初の大きな政策ミスは「感染対策と経済活動再生の両立は可能」と考えたことによる。そのため、内閣府に感染対策と経済再生という相容れない政策担当の大臣を西村康稔氏に兼任させるというサーカスのような人事を行った。私は「ひとりシーソー大臣」と勝手に命名しているが、本来感染対策は厚労省の担当であり、経済政策は経産省の担当である。その実在する担当省の大臣に君臨する形で内閣府に特命大臣を置くことによって「二重行政」状態が定着した。
 本来「ひとりシーソー」を取るべき立場にあるのが総理大臣なのだ。それぞれの担当省庁が相容れない政策を要求してきたとき、いまどちらに軸足を置くべきかを決めなければならない重い責任を負っているのが、総理大臣という地位にあるものの宿命である。その重い責任を、西村氏がいかに優秀か否かは別にして、丸投げしてしまったのが安倍前総理であり、菅現総理である。
 はっきり言って、この時期は「ひとりシーソー」は不可能だった。そのことはブログで何度も指摘してきた。ようやくワクチン接種が始まって、感染対策と経済再生の両立政策が可能な条件が整ったのに、西村氏は軸足をまるで真逆に置きだした。
 高齢者の場合、感染したら重症化しやすいため、ワクチン接種も医療関係者等に次いで優先的に摂取するという方法を取った。このやり方ではせっかくワクチン接種が始まっても、経済再生との両立は不可能だ。
 これも何度も書いてきたが、コロナ禍が発生しやすい地域から年代を問わず重点接種すべきだった。たとえば都心のビジネス街とか飲食店が密集する繁華街で重点的な接種をすべきだった。
 そうしていれば、ワクチン接種開始後の感染拡大はかなり抑え込むことができたはずだし、飲食業者を狙い撃ちするような感染対策を取らずに済んだと思う。経済を回すということは、国民の消費活動を活発化することを意味する。そして消費活動活発化の担い手は高齢者ではなく現役世代の20~65歳くらいの方たちだ。感染拡大を防ぎ、かつ経済再生にもつながる重点的なワクチン接種をなぜしなかったのか。頭は生きているうちに使え。

●Go Toトラベルを実施できたのに、なぜオリンピックを1年延期した?
 「ひとりシーソー大臣」西村氏の最初の失敗はGo Toトラベル・キャンペーンの前倒し実施に踏み切ったことだ。昨年春の1回目の緊急事態宣言でかなり感染拡大を抑え込んだことは事実である。この経験でコロナという厄介なウイルスを甘く見てしまった。
 私も専門家ではないので、感染症についてのうんちくを傾けるほどの見識を持っているわけではないが、ネットで調べた限りでは様々なタイプがあるようだ。インフルエンザのような季節性が極めて高いウイルスもあれば、ノロウイルスのような一過性のものもある。最初に専門家たちが見誤ったのは発症した時の症状がインフルエンザに酷似していることから、コロナウイルスも季節性が高いウイルスと思い込んでしまったことだ。
だが、そういう前提で真夏にGo Toトラベル・キャンペーンを開始するくらいだったら、オリンピック延期をそんなに早く決める必要はなかった。この夏のコロナ禍の状況を考えると、オリンピックは予定通り昨年開催していればよかった。これは結果論ではない。

昨年のオリンピック延期が決まった経緯を時系列で検証する。
日本でコロナ禍が問題になりだしたのは、昨年2月初めである。26日から安倍総理(当時)が全国の小・中・高校に休校を要請したのが最初の動き。が、翌27日にはIOCバッハ会長がオリンピックについて予定通り開催を表明。
ところが3月に入って事態が急変する。まず1日の東京マラソンで一般参加を禁止、サッカーJリーグも15日以降の公式戦をすべて延期、無観客で開催予定だった選抜高校野球も急遽中止した。さらに13日にはトランプ大統領(当時)が世界の首脳としては初めてオリンピックの1年延期を提言。これで空気が一変した。24日、安倍氏がバッハ氏と電話会談で1年延期を決定した。
その間、国内のコロナ禍は都市部を中心に広がり続け、4月1日、政府は最初の緊急事態宣言を発令、ゴールデンウィーク前には解除の予定だったが、5月末まで延長を発表。が、予定を早めて5月25日には緊急事態宣言を全面的に解除した。そして緊急事態宣言中に冷え込んだ経済活動を活性化するため、Go Toトラベルを前倒しして7月22日からスタートさせた。
去年の経緯をこう振り返ってみると、少なくとも去年はオリンピックを開催しても海外からの観客をどうするかは別にしても、国内の居住者に限定すれば有観客で開催できていたはずだし、延期によってさらに混乱を拡大する結果になったことは紛れもない事実である。

●混乱に混乱を重ねたコロナ対策
政府の見通しが甘かったのは、コロナが季節性のウイルスと見誤ったことにすべての端を発していた。昨年春ごろに書いた私のブログ記事を読み返しても、専門家たちの大半が季節性のウイルスとみていたし、前倒しでGo Toトラベルをスタートさせたときも反対意見はほとんど出ていない。
が、皮肉なことにGo Toトラベルを始めたころから感染の第2波が生じ、8月中旬ころ第2波の最初のピークを迎えた。当然、Go Toトラベル中止を求める世論が沸騰したが、夏休みが終わりに近づくにつれ、いったん感染拡大は収まったかに見えた。
しかし秋の行楽シーズンに入り、第2波(第3波と位置付ける人もいるが、その間感染対策はまったく講じられていないので、私は第2波のぶり返しと位置付けている)が次のピークを迎え政府は年末年始の人流を抑え込むため12月28日、Go Toトラベルを一時中止とした。一方、感染拡大が進む中の10月末から11月初めにかけて政府はGo Toイートのキャンペーンを始めた。トラベルのほうは国交省、イートのほうは農水省が管轄し、ともに勝手に景気対策を始めたお粗末さが政策の混乱に現れている。
実はこの間、安倍前総理が持病の悪化を理由に辞任し、後継総理に安倍氏の「お小姓」を務めてきた菅氏が就任した。最初、西村氏は菅内閣の組閣で「ひとりシーソー大臣」を解任されたかに見え、実際、テレビでの露出度も一時はほとんど消滅した。
今年に入り、政府はようやく2回目の緊急事態宣言の発令に踏み切ったが(ただし適用地域を限定し、別途まん延防止等重点措置地域を指定した)、それまで無策だった間に新しい変異型のウイルスが続出し、しかも感染力が強いということもあって飲食業を中心にかなり強い規制をかけざるを得なくなっていた。
またオリンピック開催問題がなければ政府もある程度長期的視点から感染防止対策に取り組めたかもしれないが(買いかぶりか?)、緊急事態宣言も小出しに出しては引っ込め、出しては引っ込めの繰り返しになり、その間世論はオリンピックの「再延期」「中止」に大きく傾いていった。政府も組織委もこの間「決定権はIOCにある」と逃げ回り、開会式予定まであと2週間を残すという7月8日になって、ようやく5者会議(政府・東京都・組織委・IOC・IPC)を開いて(リモート会議)、無観客で予定通りの日程で行うことを決めるというドタバタ騒ぎ。すでに、この時期、来日している海外選手団もおり、いまさら「再延期」や「中止」という選択肢がない状況まできて最終決定をしたということになる。
そういう経緯を検証すると見えてくることは、去年、3月24日という早い時期に1年延期を決める必要があったのかという疑問だ。少なくとも去年であればGo Toトラベルのキャンペーンを実施していた時期でもあり、予定通り開催か延期かは6月に入って以降に5者会議を開いて決めてもよかったことを意味するからだ。まして今年の6月頃には国会でも「もしオリンピック開催中に緊急事態宣言を発令するような事態になったらオリンピックは中止するのか」との野党議員の質問に、菅総理は「そのときになったら考える」と逃げた。
そのときに、なっているのだけど~。

●「バブル方式」ではオリンピック・コロナ禍は防げない
政府はオリンピック開催による感染拡大を防ぐため「バブル方式」と称する感染防止策を行うことにした。
バブル方式とはコロナ禍以降、世界各地で行われる国際スポーツ大会で感染対策として最近、採用されつつある方法だが、選手や関係者を大きなバブル(泡)で包み込んでコロナウイルスの侵入を防ぐという方法。そのバブルのなかには選手や関係者以外は入れず、選手たちは外部の人との接触を遮断できる。考え方としては理解できるが、問題は二つある。
一つはバブルで閉じ込めた選手や関係者たちがウイルスに感染していないということが前提になる。わたしが住んでいる首都圏近郊の住宅街では、ほぼ100%の人が外出時にはマスクを着用しており、日本人は比較的ルールやマナーに従う傾向が強い。が、個人主義的傾向が強い欧米人や欧米の影響を強く受けている国の人は「個人の自由」を強く主張する。
だから、マスク着用とかワクチン接種についても「個人の自由」を強く主張する。その代わり、結果については「自己責任」という自覚も持っている。現にオリンピックに参加する選手のうちワクチン接種者は85%にとどまっている。ということは15%の選手がワクチン接種を拒否しており、彼らがコロナに感染していないという保証はない。もちろんワクチンを接種してもコロナに絶対に感染しないというわけではなく、各国の研究による免疫獲得率もまちまちである。つまりバブルの中に感染者が紛れ込むリスクは否定できず、現に大きなバブルで外部との接触を遮断しているはずの選手村で、すでにかなりの人数の陽性者が判明している。開会式の前日に行われたサッカー予選リーグで日本チームが対戦した南アは選手2人が選手村でのPCR検査で陽性が判明して試合に出場できなかった。
バブルは外部との接触を断っているため、バブルの中で感染者が出ると、いっきにクラスターが発生する可能性が生じる。クラスターという現象は老人ホームにしろ病院にしろ、居酒屋やカラオケ店なども規模は違うが一種のバブル空間で発生する。バブルの中にはウイルスは入れないという前提での感染防止策だから、バブルの中にウイルスが侵入してしまうとクラスターが発生するリスクがかえって高まる。

もう一つの問題は、選手や関係者がバブルの中から外へは一切出ないという前提があるということだ。選手の場合はある程度管理できるだろうが、報道陣などの関係者は一般人も宿泊したり食事をしたりするホテルに宿泊する。事実上、彼らをバブルで外部との接触を遮断することは不可能である。そして報道陣は自国の選手とインタビューしたりもする。ということは、選手を包むバブルの中に、報道陣は自由に入り込めるのだ。選手たちに報道陣との接触も禁止するといったことができるわけがない。
つまり、「バブル方式」とは「安全安心」なオリンピックを装うためのカモフラージュに過ぎないのだ。バブルとは「泡」つまりシャボン玉のことだ。

シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ 屋根まで飛んで こわれて消えた


 【追記】 びっくりこいた。7月31日のNHK『ニュース7』で東京の感染者がとうとう4000人を突破したことを報道した。その事実そのものはとっくにネットの速報で知っていたが、陽性率が18%になったことも報道した。厚労省が発表したデータをもとにNHKが計算したのだと思う。かつて厚労省が自ら陽性率を公表したことはなかったからだ。陽性率とは、PCR検査で見つかった感染者(厚労省は「患者」としている)の百分率である。一時、陽性率をメディアも重視していた時期もあったが、最近はほとんどのメディアが感染者数の増減だけで一喜一憂しており、メディアとしては久しぶりの陽性率報道だと思う。
 NHKは、陽性率の報道だけでなく、実際にPCR検査をした医師を登場させ、陽性者が急増していることまで明らかにした。「あり得ない」ことと、私は一瞬思った。すでに述べたように、厚労省がPCR検査の結果として陽性率を公表したことはかつてない。厚労省が発表する数字は全国と47都道府県ごとの毎日のPCR検査数と「患者」数だけである。陽性率は「患者」数をPCR検査数で割って百分率を計算するしかない。私も1年ほど前に「感染率」として計算していた(当時「陽性率」という言葉はなかったので)。
 NHKが、いまの感染状況をただならないとして、間違いなく政府が示すであろう不快感を無視して陽性率を計算して報道したのであれば、とうとうNHKも国民(視聴者でもいい)に寄り添う報道姿勢に転換したのか、と私は歓迎する。ただ、このことはものすごく勇気のいることだ。政府からの攻撃はすさまじいと思われるからだ。
 言うまでもないことだが、日本はPCR検査を受けるためのハードルが極めて高い。保健所の既得権益だからだ。
 PCR検査そのものに感染リスクはほとんどない。インフルエンザ検査と同様、街のクリニックで行ってもリスクはない。実際、アメリカのように人口密度が小さい国はドラックストアでPCR検査をしているくらいだ。だからアメリカなどは陽性率は日本に比べてかなり低い。分母(PCR検査数)に対して分子(感染判明者数)が、分母が大きいため低くなる。日本の場合、発症しなければPCR検査を受けることが事実上不可能だから、必然的に陽性率は高めになる。が、それにしても陽性率18%は異常な数字だ。検査を受けた人の5人に1人が感染者だったということを意味しているからだ。
 もう一度、考えてほしい。新型コロナは無症状期間がかなりある(個体差はある)。感染していても、無症状の人は検査を受けることができない(自費で唾液検査をしている「医療機関」もあるが)。その割合は不明だが、仮に無症状感染者が感染者全体の半分だとすると、東京都民の約4割が感染していることになる。そんな状況下で、いまオリンピックを行っていることになる。
オリンピックが終わったとき、日本の感染状況はどうなっているか。考えたくもない。(8月1日)

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厚労省が無断で「ワクチン効果」の説明を変えた

2021-07-20 04:05:22 | Weblog
卑劣にも、厚労省はホームページにおけるコロナワクチンの「効果(有効性)」についての説明を19日、無断で変えた。それまでの効果についての説明は14日にアップしたブログで紹介したとおりである。
その説明文も、これから紹介する「新説明文」も私が書き写したのではなく、コピーして貼り付けたものであり、私自身は一切手を加えていない。

●厚労省のワクチン効果についての旧説明と新説明の相違
まず旧説明文はかなり長いが、重要な個所だけ抜粋する(全文は14日のブログに掲載している)。
「日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、いずれも、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています。効果の持続期間や、感染を予防する効果についても、時間の経過や接種者数の増加に伴い、研究が進んでいます。(中略)
感染を予防する効果については、ファイザー社、武田/モデルナ社、いずれも承認前の臨床試験では確認されていませんが、現在、多くの国又は地域でこれらのワクチンの接種が進められることでデータが蓄積されつつあります。一部の国で実施された研究では、ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者(有症者・無症候性感染者のいずれも)の発生が少ないことを示唆する結果が報告されています。なお、これらのデータは臨床試験と異なり、同じ条件の対照群を置くことが困難なこと等から、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことに注意して解釈し、今後の様々な研究結果を見ていく必要があります。また、ワクチンの発症予防効果は100%ではないことを踏まえると、接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要です」

19日に改ざんされた新説明文はかなり簡略化されている。
 「新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。
 ワクチンを受けた人が受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。(発症予防効果は約95%と報告されています。)
 なお、本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります」

 旧説明文では「感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています」と明記されているのに対して、新説明文では「感染症の発症を予防します」と発症予防効果については断定的に明記している。いっぽう重症化については「予防する効果が期待されています」(旧)と記載していたが、新説明では重症化予防についての明記が削除されている。
 もっとも新説明文では発症予防効果について「感染症の発症を予防します」と断定しているのだから、発症しなければ重症化することもありえないので、発症予防効果は100%と、厚労省は認定したことになる。
本当に感染しても100%、発症を防げるのか、変異型はこれからも出てくる可能性があり、そう言い切れるのか。私は医学についてはまったくの素人だが、疑問を抱かざるを得ない。

●ワクチンで免疫は本当にできるのか?

14日のブログではイスラエルの治験結果として極めて高い「感染予防効果」があるとした忽部賢志氏が厚労省のホームページに掲載したデータについて、出処、治験方法が明らかにされていないため、あえて表示しなかったが、インチキ・データの証明として転載することにした。それが上記表である。

このデータ通りなら、ファイザー社(イスラエルのワクチンはファイザー社製)の感染予防効果は素晴らしいことになる。インフルエンザワクチンの感染予防効果は約60%といわれていることからも、日本ではコロナワクチン接種後もマスク着用、手洗い・うがい、ソーシャルディスタンスなどの感染予防対策を取る必要があるのか。

さてコロナワクチンの感染予防効果について旧説明文では「研究が進んでいます」としか記載していないが、新説明文では「本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります」と、かなり踏み込んだ説明をしている。しかも誤解を生じかねない文章になっている。
 「十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降」と、読み方によっては「2回目の接種を受けた7日経てば『十分な免疫』ができる」と解釈できる表現だ。それでいて、「現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません」と前言を翻すような文を付け加えている。どういうことか。

 なお、18日のTBS『サンデーモーニング』が、イスラエル保健省の発表としてファイザー社製ワクチンの感染予防率は64%と報道したことはすでに前回ブログの「追記」で紹介したが、日本経済新聞が7月6日に詳細を報道しているので、転記する。
 「米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンについて、イスラエル保健省がインド型(デルタ株)などの変異ウイルスへの有効性が低下したと分析していることがわかった。イスラエルのウェブメディアなどが報じた。イスラエルでは6月に感染減少を受け行動規制の大半を解除していたが、7月に入って新規感染者数が増えている。
イスラエル保健省はデルタ株がイスラエル全土に広がるにつれ、ワクチンの感染予防効果が大幅に低下し、有効性が94%から64%に下がったとみているという。一方で、重症化を防ぐ効果の低下は小さく、重症患者の増加は緩やかだという。
ロイター通信によれば、ファイザーの担当者は保健省のデータについてコメントを控えたものの「ワクチンによって、デルタ株を含むすべての変異ウイルスに対する中和抗体が確認されている」との研究結果を示した」
 厚労省はワクチン接種による本当の効果とリスクを現時点での治験をもとに、国民に正確に伝えるべでであろう。

●メディアが果たすべき使命とは…
 18日、NHKは『日曜討論』で河野ワクチン担当大臣を生出演させ、今後のワクチン接種計画について1時間に及ぶ討論を行った。が、いま国民の最大の関心事は東京オリンピックが「コロナ・オリンピック」になってしまうのではないかということだ。IOCのバッハ会長は「選手団を含むオリンピック関係者がコロナを日本に持ち込むことはない」と断言したが、すでにウガンダの選手団や南アフリカのサッカーチームから感染者が出ている。私は選手村が「ダイヤモンド・プリンセス号」になる日はそう遠くないと思っているが、少なくとも日本の「水際対策」は後手後手に回っている。そういう時期にワクチン接種時期や方法を討論している場合ではないだろうという抗議がNHKには殺到した。当たり前だ。

 さらに19日の『ミヤネ屋』では河野氏がリモート出演し、今後のワクチン接種計画についてとうとうと持論を述べたが、その中でとんでもない発言をした。
 「ワクチンを2回接種すれば、確実に免疫ができる」
 河野氏は感染症の専門家ではないが、すでに述べたようにイスラエルの最新の知見結果として感染予防率h64%というのが現時点では最も信頼できるデータだ。つまりワクチン接種によって免疫ができる人は3人に2人の割合でしかない。何を根拠にど素人が「ワクチンを2回接種すれば確実に免疫ができる」とほざいたのか。
 だから前にもブログで感染者や濃厚接触者を完全隔離するためには休業中の観光クルーズ船をチャーターして収容し、感染拡大を完全に防止するしかないと書いてきたが、組織委もIOCもサラサラそんな気はないらしい。

●国内ではワクチン・パスポートを発行できないわけ
 今月26日から海外渡航者にはワクチンを2回接種した証明書として「ワクチン・パスポート」を発行するという。
 日本人と外国人の多くは基本的な考え方が異なる。「和」の精神の一つとして日本人には「郷に入れば、郷に従え」という現地化の知恵を身につけてきた。が、欧米人の多くは個人主義である。「個人の生き方、考え方をできるだけ尊重しよう」という代わりに「自己責任」の思想も強い。日本人のように比較的単一宗教観の民族と異なり、多種多様な宗教観を抱く人たちの集団では、そうした非干渉主義が日本で言う「和」を維持するための方法なのだろう。
 個人主義は「個」の自由を最大限に尊重する。とくに報道関係者は「自由」を最大の権利と考える傾向が強い。
 つまり日本人が渡航する場合、ワクチン・パスポートを持参していれば、海外では「感染者ではない」というみなす考え方が強いからだと思う。つまり、パスポートさえ持っていれば、行動の自由を束縛されないことを意味する。
 そういう考え方が強く、しかも何よりも「自由」を最大の価値と考える報道陣(そのこと自体は、あながち間違いとは言えないが)が約5万人も来日するという。彼らに日本的な感染防止策をどこまで要求できるか。おそらく、「外出時はマスクを着用してください」とお願いするのが精いっぱいではないか。でも、外国人報道陣が、その「お願い」を聞いてくれるかはかなり疑わしい。
 ワクチン・パスポートを所有する外国の報道陣が日本の感染防止策を無視した行動を続けたら、当然ワクチン2回接種済みの日本人は怒る。まさか、そんな程度のことで暴動が生じるとは思わないが、政府や組織委、IOCなどに対する反感がどういう形で現れるか。
 少なくともマスクを着用しないで街中を闊歩する外人のオリンピック関係者は、直ちにかつ無条件に帰国させる。そのくらいの厳しい処置を取らなければオリンピックは「平和の祭典」どころか「コロナの祭典」になる。


【追記】 南アフリカのサッカーチームと男子7人制ラクビーチームから陽性者が出た。サッカーは選手2人、ラクビーは監督。とくにサッカーは22日に日本と予選リーグの1回戦を行う予定だ。IOCはどうするのか。
 私はこういう事態が生じることは必至だとブログで何度も警告してきた。とくにリスクが高いのは個人競技では柔道、ボクシング、レスリング、集団競技ではサッカー、ラクビー、バスケットボールなどの格闘系競技。とくに選手村で感染者が発生したら、その選手が入居している棟が「ダイヤモンド・プリンセス号」になる。バブル方式とやらで感染者を封じ込めるわけがない。
 これまで組織委も政府も東京都も「IOCが」「IOCが」と自己責任を放棄してきた付けだ。政治家が不祥事を追及されると「秘書が」「秘書が」と責任回避してきた構造と瓜二つ。腐りきったオリンピックなんか見たくもない。


【追記2】サッカー予選の日本対南ア戦が明日に迫った。濃厚接触者の南ア選手も試合開始6時間前にPCR検査をして、陰性であれば試合に出場させるという。理由は6時間ではウイルスはあまり増殖しないからだという。
 しかし、それは安静状態での治験ではないか? サッカーのように1選手が前半・後半をフル出場することも困難なくらいの格闘競技だ。そういう激しい運動中のウイルスの増殖についての治験があっての判断か。
 はっきり言って南アとの試合が行われるということになった場合、南ア選手には「日本選手とのソーシャルディスタンス1メートルの距離を取ること」を臨時ルールにすべきだ。1メートル以内の距離まで接近した選手はイエローカード、ちょっとでも日本選手に接触した場合はレッドカードで即退場。そうでもしなければ、日本選手の「安全安心」は守れない。
 IOCバッハ会長は、こういう事態も当然想定したうえで「安全安心」なオリンピックを約束したのだろう。日本の組織委やJOCもバッハの前に膝まずくだけでなく、少しは言うべきことは言え。(21日)


 
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厚労省のコロナ対策がしっちゃかめっちゃかになった理由

2021-07-14 00:12:26 | Weblog
私はファイザー社製の新型コロナ・ワクチン集団接種(市町村単位での接種。東京都23区のみ区単位)を2回受けて、すでに1か月経つ。2回目の接種を受けた際、問診医に「通常生活にはいつ戻れるのか」と聞いた。が、問診医の返事は冷たかった。
「当分戻れません。ワクチンを接種する前と同様の感染対策を続けてください」
そんな馬鹿な、と思ったが、接種を受ける人が行列を作って待っているなかで理由の説明など聞いて「流れ作業」の妨害をしてはまずいと思い、とりあえず理由はあとで調べることにした。

●一般のワクチンと新型コロナ・ワクチンはどう違う?
まず厚労省のホームページで「ワクチンの効果」について調べた。こういう記載があった。
「ワクチンを接種することにより、多くの方は免疫を獲得できます。ただし、ワクチンの種類によって効果(免疫がつく)が得られる割合は異なります。またワクチンの種類によって、獲得した免疫が薄れていくまでの期間は異なります」
ワクチンを接種することによって「多くの方は免疫を獲得できます」と、間違いなく記載されている。ただし、「「多くの方は」と記載されているように、まれに免疫を獲得できないケースもあることは私も一般常識として知っていた。たとえば最も身近な「インフルエンザ・ワクチン」。私の場合はインフルエンザ・ワクチンを接種した場合、インフルエンザに罹ったことは一度もない。アレルギー体質でもないし、ワクチンの効果が生じない特異な基礎疾患を持っているわけでもない。なのに、なぜ新型コロナ・ワクチンを接種しても従前と変わらない感染対策を取る必要があるのか?
で、今度はやはり厚労省のホームページで「新型コロナ・ワクチン」の効果について調べてみた。こういう記載があった。

「日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、いずれも、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています。効果の持続期間や、感染を予防する効果についても、時間の経過や接種者数の増加に伴い、研究が進んでいます。
日本では現在、ファイザー社、武田/モデルナ社、及びアストラゼネカ社のワクチンが薬事承認されており、うち、ファイザー社と武田/モデルナ社のワクチンが、予防接種法における接種の対象となっています。
いずれのワクチンも、薬事承認前に、海外で発症予防効果を確認するための臨床試験が実施されており、ファイザー社のワクチンでは約95%、武田/モデルナ社のワクチンでは約94%の発症予防効果が確認されています。
重症化予防効果については、薬事承認前に行われた臨床試験では症例数が十分ではなく解釈に注意が必要ですが、実施された臨床試験や、承認後に実際に接種された人の情報を集めた研究等から、これらのワクチンの重症化予防効果を示唆する結果が報告されており、効果が期待されています。
感染を予防する効果については、ファイザー社、武田/モデルナ社、いずれも承認前の臨床試験では確認されていませんが、現在、多くの国又は地域でこれらのワクチンの接種が進められることでデータが蓄積されつつあります。一部の国で実施された研究では、ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者(有症者・無症候性感染者のいずれも)の発生が少ないことを示唆する結果が報告されています。なお、これらのデータは臨床試験と異なり、同じ条件の対照群を置くことが困難なこと等から、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことに注意して解釈し、今後の様々な研究結果を見ていく必要があります。また、ワクチンの発症予防効果は100%ではないことを踏まえると、接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要です」

●なぜ新型コロナ・ワクチンには免疫効果がないのか
なるほど、一般のワクチンには「免疫」をつくる効果があるが、新型コロナ・ワクチンは「発症を予防する高い効果」があり、「重症化を予防する効果が期待されている」だけなのだ。ただし、「感染を予防する効果についても、(中略)研究が進んでいます」との記載もある。
が、実際どの程度感染予防効果があるのかの研究(具体的にはコロナ・ワクチンを接種すれば免疫=抗体ができたか否かの検査をすれば簡単に証明できるはず)が行われているとの発表もないし、本当に研究が行われているのかの疑問さえ持たざるを得ない。
が、実は海外では感染予防効果の研究もかなり行われているようだ。たとえばイギリスとともにワクチン接種率が最高レベルにあるイスラエルでは、性別・年齢・基礎疾患の有無などでの調査研究が行われ、ファイザー製のワクチンに関しては個別の条件にかかわらず、すべて90%以上の高い予防効果を示したようだ。「ようだ」と書いたのは、このデータの信ぴょう性が極めて疑わしいと思えるからだ。
このデータは6月30日、忽部賢志(くつなさとし)氏(国立国際医療研究センター 感染症専門医 大阪大学教授)が厚労省のホームページに発表した論文で紹介されているが、どういう調査研究方法なのかは不明である。忽部氏はそもそも、論文が厚労省のホームページに掲載されるほどの感染症の権威者である。イスラエルが発表したデータ(研究機関も調査研究方法も明らかでない)を、いくら権威者と言っても厚労省がよくホームページに掲載したなと思う。忽部氏は出所や調査研究方法不明のデータを根拠に論文でこう述べている。

「当初、mRNAワクチン(※ファイザー社やモデルナ社が開発したコロナ・ワクチンのタイプ)は「発症を防ぐ」のであって感染そのものを防ぐかどうかは分かっていない、と言われていましたが、感染を防ぐ効果も分かってきました。
発症を防ぐことと、感染を防ぐことと、別に本人にとっては同じで何が違うのか、あまり大差ないのではと思われるかもしれませんが、ワクチン接種者が感染しにくくなる、ということは、接種者がその周りの人に感染を広げる可能性が低くなる、ということです」

少なくともイスラエルの研究結果のデータを根拠に論文を書くのであれば、どの研究機関なのか(例えば研究所名なり大学名なり)、どういう方法(例えばPCR検査なのか抗体検査なのか、ちょっとほかの信頼しうる調査方法は考えにくい)で調べたのかくらいは明らかにすべきだろう。それを明らかにできないとなれば、忽部氏がでっち上げたデータと言われても仕方あるまい。
実は、私は何度も厚労省コロナコールセンターやワクチンコールセンターに電話をして確認しているが、厚労省は少なくとも現時点でワクチンに感染防止の効果があることは認めていない。にもかかわらず、にわかには信じがたいイスラエルの研究結果とやらを根拠にした論文をホームページに厚労省はなぜ掲載したのか。
 私は、ワクチン2回接種して2~3週間以降に抗体検査をすれば、抗体ができたかどうかで感染予防効果がほぼ100%に近い確率でわかるはずと思う。
が、簡単には抗体検査ができない。抗体検査をしているクリニックが少ないし、検査費用が約2万円もかかる(ネット調査)。コロナ・ワクチン接種のように無料にしろとまでは言わないが、せめて保険適用で検査が受けられるようにすれば検査件数が急増し、検査費用もインフルエンザ検査費用程度に抑えられるのではないかと思う。
政府は今月26日から海外渡航者に限ってワクチン予防接種証明書を発行するようだが、抗体検査をして免疫力を持っているという証明書を出す方がはるかに証明書としての効力も高いはずだ。だいいち「予防」というが、厚労省の認識としては「コロナ・ワクチンは感染予防のワクチンではない」という公式見解がある。そうすると、なにを「予防」するのか。「ワクチンを接種しても感染は防げないが、自分が感染しても、そのウイルスを他人に感染させることはない」とでも言うのか。そんな馬鹿なことはありえない。

●なぜコロナ・ワクチンが承認されたのか?
少なくとも厚労省が認めているコロナ・ワクチンの効果は「感染しても発症を抑える効果、重症化を抑える効果」だけである。これは厚労省が承認したワクチン(ファイザー・モデルナ・アストラゼネカの3種)のすべてに共通した承認基準である。
すでに述べたように、厚労省の定義によれば、ワクチンとは「ワクチンを接種することにより、多くの方は免疫を獲得できます。ただし、ワクチンの種類によって効果(免疫がつく)が得られる割合は異なります。またワクチンの種類によって、獲得した免疫が薄れていくまでの期間は異なります」という性質を持っていなければならない。
が、コロナ・ワクチンに関していえば、「多くの方は免疫を獲得」する効果はないとしている。せいぜい、コロナに感染したのち、発送を抑えたり、重症化を抑える効果しか確認されていない。とすれば「コロナ・ワクチン」と称しているものは免疫(抗体)をつくるためのワクチンの本質的効果ではなく、感染後の「治療薬」に近い薬効が承認の基準になったと考えたほうが正しいのではないか。
これはどういうことか。この本質的矛盾に、どうして誰も気づかないのか。NHKにも何度か、この大矛盾を伝えているのだが、理解できる能力を持った記者が一人もいないのかもしれない。

では、なぜ厚労省は「ワクチン」として承認したのか。
しつこいようだが、ファイザー社製をはじめ、いま厚労省が承認しているコロナ・ワクチンの効果は「感染しても発症を抑える効果と重症化を抑える効果」だけである。コロナ・ウイルスを予防する効果については「研究中」と公表しているだけだ。何を根拠に忽部氏の根拠不明の論文を厚労省はホームページに掲載したのか。
当然、何らかの政治的意図があってのこと、と考えざるを得ない。おそらくオリンピック・リスクを乗り切るためと考えられる。
オリンピック開催まで10日を切った。いまさら中止はできない。が、私はかなりの確率でクラスターが発生すると信じている。クラスター発生のリスクが最も高いのは選手村だ。組織委は選手村への選手の入村は競技5日前以降で、競技終了2日後には退村させるという。さらに選手たちには毎日PCR検査を受けさせるという。そこまで厳しい措置をとるということは、感染選手の入村を前提にしているからだ。つまり水際対策では感染者の入国を防げないことが分かっているからだ。実際、たった9人のウガンダ選手団の水際対策の失敗で弱点が露呈した。
さあ、どうするニッポン。

【追記】 18日のTBS『サンデーモーニング』によれば、イスラエル保健省が、「ファイザー社製ワクチンの感染予防率は64%」と公表したようだ。厚労省がホームページに掲載した忽部氏が「予防効果がある」とした根拠の「イスラエル」のデータは、私が危惧したように、完全なでっち上げ、ねつ造であることが判明した。厚労省はホームページから直ちに忽部論文を削除するとともに謝罪を表明すべきである。もちろん忽部氏の公職は直ちに罷免すべきは当然、厚労省の責任者の処分も免れえない。(18日)



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読売新聞に追随してNHKも日本国民を犠牲する側に回ったのか。

2021-07-06 03:09:39 | Weblog
NHKが公共性をかなぐり捨てた。すでに公共放送ではないことは何度も指摘してきたが、ここまでやるとはと、あぜんとした。
5日の『ニュース7』で、東京オリンピックの開催についての世論調査の結果を報道した。私は食事中で数字は多少うろ覚えであることをご承知いただきたい。ただ、食事が終えた直後の7時半ころ、NHK「ふれあいセンター」のスーパーバイザー某に電話をして、世論の動向について10分ほど話をした。
私のつたない記憶ではNHKの世論調査の結果は、「予定通り開催」が21%、「無観客での開催」が38%だったと思う。合わせると「開催派」が約60%になる。その数字が、実は確認できない。『ニュースウォッチ9』では世論調査については一切触れなかったし、ネットで調べても記録がない。どういうことか。(※世論調査ではなく、都知事選での出口調査の結果であることが判明しました。なお数字は正確でした。7日訂正)

●NHKは読売新聞と同体化することにしたのか?
私のブログの読者ならご存知と思うが、6月8日付でアップしたブログ『読売新聞の世論調査はフェアと言えるか?』で指摘したことがある。
ほぼ1か月前で、まだ再延期の可能性はかすかに残っていた時期だ。が、読売は6月4~6日にかけて行った世論調査を7日に公表したが、すでに再延期はないという前提で世論調査を行った。
通常、オリンピック問題についての世論調査は「予定通り開催」「再延期して開催」「中止」の3択で行う。この時期すでに「予定通り開催」の場合でも「観客数を制限しての開催」と「無観客での開催」で世論は分かれていたから4択での世論調査もありえた。
が、読売は「観客数を制限しての開催」「無観客での開催」「中止」の3択で調査した。要するに「再延期での開催」を意図的に外したのだ。当然「再延期派」は「開催派」と「中止派」に二分される。実際、読売の調査結果は同紙によれば「『開催する』が50%、『中止する』は48%で、世論が二分された」という結果になった。そういう結果を導くための世論捜査を目的とした調査であることは、メディアの関係者なら百も承知だろう。
読売や産経が政府の御用新聞化していることは常識だから(ただし、政治家のスキャンダルは与野党を問わず追及はしている)、読売ならオリンピック開催に世論誘導するような記事を書いたりアンケート方法を非常識なものにしたりすることには驚かないが、NHKまでが、ということになると話は違ってくる。
私がNHK「ふれあいセンター」のスーパーバイザーに申し上げたことはかいつまんで書くとこういうことだ。

世論はちょっとしたことで大きく動く。たとえば4日に投開票が行われた都議選。1週間前の世論調査では自公が圧勝するはずだった。
が、自公は過半数を取れず、惨敗が予想されていた都民ファーストが自民に迫る議席を獲得した。小池都知事は選挙を知り尽くしている。投票日の前日に突如、競り合っている選挙区を走り回って候補者を応援した。演説はしなかったが、それも小池の選挙戦術だったかもしれない。
オリンピックに関していえば、ここまで来たら「中止」は物理的にも不可能だろう。が、東京都の感染者数は増え続けている。いまさら中止は不可能ということになれば、「無観客派」が増えるのは当たり前だ。いま「無観客派」は38%であっても、このまま感染者が増え続ければ1週間後には「無観客派」が50%を超えるかもしれない。世論調査自体を否定するわけではないが、世論の動向が変化する要因をフェアに報道すべきだ。

ざっと、そういうことを話した。たぶん『ニュースウォッチ9』では、そうした調査結果の分析もするだろうと思っていたが、世論調査の結果さえ報道しなかった。先に述べたように、ネットからも消されていた。どういうことか。

●感染リスクは観客ではない。海外の選手団や関係者だ。
何度も書いてきたが、東京オリ・パラのコロナ感染リスクは観客問題ではない。実際、プロ野球やサッカーは有観客で試合をしているが、そのことによってクラスターが発生したという話は聞いたことがない。
日本人は比較的規律を守る。外国人(集団行動をする観光客は除く)が日本に来て最初にカルチャー・ショックを受けるのは、電車やバスの整列乗車だという。どうやら海外では電車やバスに乗る際、整列乗車はしないようだ。我勝ちに乗車しているのか?
同様に、日本の野球場やサッカー場では観客の大半はマスク着用、発声応援禁止といったマナーをちゃんと守っている。マナー違反をしたら、ほかの観客からつまみ出される。
今回のオリ・パラはいち早く海外からの観客入国を禁止した。さすがにバカ丸出しの組織委も、海外の観客を入れたらどういう事態が生じるかくらいはわかっていたようだ。実際、ブラジルやイギリスで行われているサッカーの大会では、これがコロナ禍での行動かと思えるほど観客は自由奔放に騒ぎまくっている。その結果、クラスターが爆発的に発生しているようだ。だから東京オリ・パラに海外の観客を入れたら大変なことになると、私は相当前からブログで警告を発していた。
幸いバカ丸出しの組織委も、海外のそういった状況はわかっていたようだ。だから、組織委としてゆいつ日本国民のために行った決断が、海外からの観客は入れないということだった。
だから、ブログでも書いてきたように、日本人観客だけだったら、一定の人数制限で感染対策は充分である。なにも1万人上限とか5000人上限といった人数制限をする必要はない。1座席ずつ空席を作れば収容人数の半分まで観客を入れても問題はない。
これも何度もブログで書いてきたが、最大のリスクは海外からの選手団や関係者(報道陣やスポンサーなど)が持ち込むリスクである。前回のブログで書いたように、すでにウガンダの選手やコーチに感染者が複数出ている。彼らはアストラゼネカのワクチンを2回接種して、その証明書も提出しているという。なのに、なぜ成田で感染者が見つかったのか。ウガンダの選手団は総数9名。しかも残りの8名は隔離もせず泉佐野市の合宿ホテルに専用バスで移動させたという。そして合宿先でまた選手一人に感染が見つかり、さらにバスの運転手や選手のコーチにまで感染が判明した。こんなずぼらな受け入れ態勢で、果たして安全・安心な大会を開けるというのか。
日本側は海外からの報道陣に対して行動制限をかけることにしているが、すでにアメリカなどの報道陣から猛反発が出ている。
報道陣だけではない。アメリカではバイデン大統領が必死になって米国民にワクチン接種を呼び掛けているが、トランプ信奉のアメリカ人がワクチン接種に猛反発し、民主党支持者との間で小競り合いも生じているという。報道陣やスポンサーなども含めると、アメリカからの入国者は万を超えそうだ。たった9人のウガンダ選手団さえコントロールできない日本の受け入れ態勢で、どうやってアメリカからの感染者入国を防ぎきることができるのか。
報道陣は「報道の自由」をタテにとって自由行動を要求するだろうし(もうすでにしている)、どうやって彼らに短時間で「日本的規律」を守ることを説得できるのか。できるわけがない。なにせ広島・長崎に原爆投下した「正当な理由」を今でも「戦争の早期終結」「米兵の犠牲防止」のためと信じている国民が大多数の国だ。が、広島に投下した原爆はウラン型、長崎に投下した原爆はプルトニュウム型。どっちの原爆が原子兵器として有効かの人体実験を行った国だ。ベトナム戦争では枯葉剤の人体実験も行った。私は中国・習近平政権の香港の自由剥奪や新疆ウイグル族への弾圧を擁護するつもりはないが、アメリカに人権擁護を主張する権利はないと思っている。
さあ、日本政府よ、「日本のルールに従えないなら、東京オリ・パラへのアメリカの参加は認めない」と言え。
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