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第243回 アメリカ的不在配達対策

2017-11-17 | エッセイ

 宅配業界がなにかと大変なようです。我が家もネット通販とかを、そこそこ利用してますので、ドライバーさん達のご苦労がよくわかる。受け取った時には、必ず「ありがとうございます」と声を掛けてます。
 朝早くから、夜遅くまで、とにかく時間に追われる仕事で、ドライバー不足もむべなるかなという状況です。

 宅配会社も、料金値上げ、時間指定の見直し、働く人たちの労働条件改善など、いろいろ取り組みを進めているようですが、なかなか先が見えません。

 で、誰しも考えるのは、せめて「再配達」が減らせれば、ということだと思います。

 我が家は、誰かが家にいることが多い方ですが、たまたま不在だったり、チャイムを聞き逃したりで、再配達になることが、時としてあります。再配達を手配し、指定した時間帯には、在宅して、など、それなりのストレスも感じます。

 配達業者さんも、同じ荷物を2度運ぶことになるわけですし、再配達連絡票の作成、再配達の連絡受けなど、付帯する作業が多く、負担にはなってるはずです。

 不在であっても、確実に配達でき、確実に受け取れる仕組みとして、「宅配ボックス」の実証実験が、2016年12月から、2017年3月まで、福井県あわら市で行われました(そのほかにも、いろんなレベルで、似たりよったりのアイディアと仕組みの実験がおこなわれてるようです)。

 共働き家庭106世帯に、配達、受け取りのセキュリティが施された「宅配ボックス」(ミニ冷蔵庫くらいの大きさです)を、玄関先などに設置して、実験が行われました。家電メーカーと、宅配業者2社が参加しました。

 実験の結果ですけど、再配達率は、ボックス設置前の49%が、8%まで減り、配送評者の労働時間が、期間中、一人当たり223時間減るなど、効果があった、と発表されました。
 共働きですから、設置前の数字が高いのを割り引いても、それなりの効果はあったようですが、設置費用、大きさの制約、複数個の配達ができない、など今後の課題も見えてきたようです。(後記:現在(2020年)では、開発が進んでいるようで、これもそのひとつ)



 さて、広大な国土のアメリカでも荷受人不在時の対応は、頭痛のタネのようです。日本と違うのは、不在だとドアのところに置きっぱなしで、配達完了とする業者が結構あるということです。ちょっと信じられませんが、車で乗りつけて、玄関先に置いてある宅配荷物を盗んでいく犯行の映像を見せられると、唖然とします。それで盗まれる荷物が、年間1100万個に達するというんですが、そりゃ、まあ当然でしょうね。

 それなら、不在であっても、「家の中に」荷物を置いていけるシステムを作ってしまおう、と考えるのがアメリカ人です。「新しいことやりたがりの」amazonが実験を始めた、と海外のニュースで報じられていましたが、こんな仕組みです。

 実験に参加する家には、ドアに、スマート・キーと呼ぶデジタル信号で解錠できる錠を設置します。
 そして、ネットでドア付近を監視できる専用のモニターカメラを、「室内側に」設置します。費用の方は、200ドルほどとか言ってましたから、2万円くらいでしょうか。実験といいながら、カネを取るのが、いかにもアメリカ的。

 配送業者は、配達先の玄関に着くと、スマート・キーに到着した旨の信号を送ります。ネットを介して、スマホでその情報を受けた荷受人は、1回限りの使い捨て解錠用のコードを、配達人の端末に送ります。
 配達人は、そのコードで、解錠し、荷物を室内に置いて、配達完了です。

 配達人に、けしからぬ振る舞いがないかどうかは、荷受人が、室内に設置したモニターから送られてくる映像を、スマホで、即チェックできますから、ご心配なく、というわけです。

 家の人が、普段、出入りする時に、スマート・キーの施錠、解錠をどうするかまでは伝えられませんでした。錠がスマート・キー1個だけになるわけですが、防犯上、大丈夫なのかな、などと合わせてちょっと気になりました。

 う~む、でもまあ、家が不在がちで、荷受け件数も多い人にとっては、便利なんでしょうねぇ。
 利用すれば、スマホから、ますます目が離せなくなりますけど・・・

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。