A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

すべての純粋で透明な心の内に

2006-02-05 21:33:01 | 美術
 吉本隆明、糸井重里著による『悪人正機』(新潮文庫)を以前、読む機会があった。その中で、吉本氏がとても深い本だとして取り上げていた『エックハルト説教集(田島照久編訳)』(岩波文庫)を最近読んだ。

 エックハルトという人を私はよく知らない。この本もキリスト教神学を勉強し、その説教が納められた本だという知識ぐらいしかなかった。田島照久の解説によると「「心の貧しさ」つまり「自由」の問題が「離脱」を介して徹底した姿でとらえられている」らしい。宗教のことを書けるほど理解も知識も持ち合わせていないのだが、いくつか引っ掛かった言葉を取り上げ、記憶にとどめたい。

P.130「わたしたちの主は次のように語る。「わたしがあなたがたを選んだのである。わたしがあなたがたを全世界から選び出したのである。わたしがあなたがたを全世界と全被造物との中から選りすぐったのである。あなたがたが出かけていって、多くの実を結び、あなたがたにその実がとどまるようにと。」

P.130-1「天の光とは、神である光のことであるが、その光は人間のどんな感覚でもとらえることができない光なのである。それゆえに聖パウロは、「神はだれも近寄ることのできない光の中に住いする」と語っているのである。」

P.201「聖アウグスティヌスは次のように言う。「人が神について語ることのできる最もすばらしいことは、内なる豊かさの知恵に従って、沈黙することができるということである」と。」