こういう商売を長年やっているといろんな客が来る。ある日、某地検から、当社の顧客が刑事事件の被疑者として拘留されているが、起訴後の公判維持のために、被疑者の顧客管理データが必要なのでそれらの開示請求をしたい旨の書面が届いた。当社の顧問弁護士と相談の上、開示により、被疑者に当社との取引に関する不利益が及ばない事を地検側に確認した後、データの開示請求に応じた経緯があった。それ以後、地検の検事とは顧客の個人情報に関し、何回かやり取りをした記憶がある。そうかと思えば、北区在住の顧客が殺人事件で逮捕されたのを後でニュースで知った事がある。そんな物騒な事件を起こすような感じがしないでもないような風貌だったが、報道を見た時はまさかと思った。後日、所轄の刑事が訪ねて来て、立件のための聞き込み捜査の一環だと前置きし、その顧客の訪問時の様子などを尋ねて帰って行った。一番驚いたのは、当社の優良顧客だった人物が、当社の近傍の駐車場で首吊り自殺を図った事案であった。遺体の遺留品の中に、当社のメンバーズカードが残されていたため、刑事が顧客の訪問時の様子や顧客データの説明を求めに筆者のオフイスにやって来た事があった。当社が扱う金融商品の中にはかなりリスクヘッジが必要な物が多いため、犯罪に手を染める顧客が多い!顧客の中にはヤクザもいたし、覚醒剤使用犯、強姦者、詐欺犯などもいた。背中のくりからもんもんの見事な入墨を見せられた時は思わず後ずさりをした。凄む客、喧嘩ごしの客、いきなり暴れ出す客など、招かれざる客の枚挙にいとまはなかった。これだけ、書くと、なんかやばそうな職業ですか?と思いそうだが、ネットカフェにはオウムの逃亡犯が潜んでいたし、ホテルや飲食店には堅気の客ばかりではなく、中には反社会的な勢力も、その身を隠して来店する事だってあるだろう。
最近、筆者専属の秘書が休暇を取った時、51歳の熟女秘書が代役で付いてくれた事があった。この秘書さんの息子さんは、ジュンメンが経営する「アダム・エ・ロペ」と言うファッション店に勤務しているそうで、筆者が、「ああ、ルミネにあるあのお店ね」と言うと、「よくご存知ですねえ~」と感嘆したような声を上げた。「アダム・エ・ロペ」の主要ターゲットの客層は20代から30代のヤングだから、彼女がそう言ったのも無理からぬ話である。51歳の彼女は、筆者を見ながら「お若いですねえ~、私より年下でしょ」と言った。この秘書の勤務時に、ある40代の女性顧客がやって来た。この女性は筆者の顔を見るなり開口一番、「火野正平に似てますね、よくそう言われるでしょう」と言った。う~ん、プレーボーイとして、様々な女性と浮名を流した火野正平とは似ても似つかぬと思うのだが、女性により、いろんな人に似ていると言われる筆者である。筆者に遭遇した事のある佐渡のスナックのママさん達は、常連客に尋ねられたら「あ~、そう言えば若い頃の火野正平の面影があるかもしれないわねえ~」と答えるかもしれない。
画像は、火野正平が出演した国盗り物語のDVDです。