小木の街並み散策 投稿者：佐渡の翼

小木の街は何十回となく歩いた。遊郭の名残を留める出桁造りの家が多い事には気付いていたが、注意深く見ると色々な特徴を備えた家が多いようだ。筆者は、小木の海運資料館を訪ねた際に、小木港の発展に尽力した竹村佐渡奉行の供養塔がある光善寺の場所を係りのおねーさんに尋ねたら、小木の街並み案内マップなるパンフレットを手渡された。見ると、それぞれの民家が歴史深い意味を持つ事が面白く記載されていた。こういう面白いパンフレットこそ観光案内所で渡すべきだろうと思った。恐らく、佐渡島内に住む人でもデジブックにアップしたような事実を知らないであろう。

 

小木はその昔、北前船や西回り航路の全盛時には寄港地として、そして江戸時代の金山華やかなりし頃には金銀の積出港として栄えた。往時の面影を留める街並みが保存されている全国的にも珍しい街だという。まずは尾崎紅葉と芸妓のお糸さんのラブロマンスの舞台となった「ごんざや旅館」さんの前の道を右折したらすぐ左手に尾崎紅葉の句碑があった。「汗なんど拭いてもろうて別れけり」の有名な一句である。次いで、突き当たりのＴ字路を左折して小木漁港の方へと向かうと、弥平次なる屋号のお家があった。今で言うショウウインドウに当たる「飾り窓」を供えた珍しいおうちだ。この飾り窓を残したおうちは今でも小木の街には数軒残っているそうだ。宿根木方面へと向かう道路の左右には廻船宿だった家や、洋館風の薬局、貸し座敷を提供した家、旧小木郵便局（よく見ると軒下がアーチ状になっている）、旧小木小学校、三味線掘り跡などなど、マップに従って見ていくと非常に興味深い。まずは、デジブックを見ながら、小木の街並み散策を楽しんで頂き、そしてそれが実際に散策する際の一助となれば望外の幸せである。