9月になりましたが、まだまだ暑い日が続きます。各団体も同様であると思いますが、9月は年度の中間決算期。年度計画の振り返りと残り半年の計画実施点検が必要な月です。しっかり、PDCAを実行していきたいと思います。
さて、ここ数か月間において他県労福協を始めとしていくつかの団体から、「静岡県の労働者福祉運動」についての講演依頼を受けて対応してきました。その講演の際、その主催団体が必ずと言っていいほど、静岡労福協の活動の話しに入る際に“静岡モデル”とか“お手本”という表現を使い紹介してくれます。
実際、同じ理念の元に労働者福祉の運動を展開しているといっても、他県の労福協とは活動の幅や深度には差があり、それこそ静岡の実績は他県を凌駕する面があることも感じているところです。それも、先人が脈々と労働者の福祉の活動として“ベンチャー気質と福祉の創造性”の考えで築き上げてきたものであり、大切に受け繋いでいく責任を感じています。
私の講演では、最後に、昭和49年(1974年)2月制定の『労福協 運動原則』を紹介してまとめとしています。
労福協『運動の原則』 昭和49年(1974年)2月制定
私たちが、基本理念の実現をめざして労働者福祉運動を進めていく場合
(1)労働者福祉運動は、労働者を中心とした職場や地域における永い闘いの歴史の中から生み出されたものであり、労働者の諸要求を実現する闘いの主体的条件である統一と団結の為に欠くことのできないものである。
(2)労働者福祉運動は、労働者の経済要求のうち、福祉に関する要求を通じて労働者の暮らしを高めていくものであり、その要求は保守的政治や資本のおこなう福祉とは本質的に相違するという意識で組織されていくものである。
(3)労働者福祉運動は、国にたいする社会保障拡充の闘い、資本にたいする企業内福祉の闘い、労働者の意思に依拠しておこなわれる協同事業の活動、これらの総合した力の中で拡大し発展していくものである。
(4)労働者福祉運動は、暮らしの基盤である地域を活動の拠点とし、組織、未組織を問わず、全ての労働者、家族を集結した活動として進めなければならないし、各地域の活動は、固く結び合わなければならないものである。
(5)労働者福祉運動における協同事業活動は、協同組合の理念、原則にもとづいて活動し、再収奪と闘い、労働者の福祉要求実現の闘いを促進していかなければならない。
40年以上も前に制定されたこの運動指針ですが、どうでしょうか。現時点でも少しも古さを感じず、現在においても必要不可欠な考えをまとめていると、本当に驚愕に値する内容であり、自らのバイブルとしている意味を込めて最後に紹介するようにしています。「統一と団結に不可欠」「労働者の暮らしを高める」「国・資本の福祉と総合して力を」「活動拠点は地域」「組織未組織を問わずすべての労働者へ」「再収奪との闘い」など、日常の労福協運動にしっかり落とし込み、実績を積んでいく必要があると思っています。
今年の11月から来年1月を県労福協「生活底上げ・共助拡大キャンペーン」として設定することをすでに総会で確認しています。今後理事会等でその具体的な内容を定めていきますが、すでに県労福協労働部会において様々な視点から意見をいただき、①格差社会への警鐘、②可処分所得の向上に資する運動の展開 をその柱に掲げようと検討を進めています。このことは、紹介した『運動の原則』具現化の取組みです。今後機関会議を経て、改めて各地区労福協の活動も含め県下全域における具体的な運動展開策を示していきます。多くの方の賛同を得て、多くの方に知ってもらう運動を進めていきますので、楽しみにお待ちください。(大)