欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

月の魔力

2009-07-26 | poem
ベッドに入っても眠気はやってこず、ただ日常のあらゆることが頭の中をかけめぐる。
身を縮めるようにして、眠りの底に堕ちていきたいのに。息は静かになるわけでなく、過去の映像に呼吸は早まるばかり。触れなれたシーツの感触さえ今はよそよそしく冷たい。
窓は閉まっているけど、カーテンは開いている。
そこにはやわらかな光がおりている。
ほのかな月明かりを見ていると頭の中の喧噪がすっと嘘のようにおさまっていく。

これはどうしたことだろう?
あの明るみはわたしのなにを変えているのか。
すうっと入っていけるようなやさしい明るみに気持ちは静かにないでいく。
静けさの奥へとわたしの感覚は向かっていき、やがて意識は彼方の明るみへと。
暗闇のような広い空間をわたしは導かれるように、明るみの方へ。
体中がしだいに喜びに包まれていくような、それは不思議な感覚。
わたしの向かう先は月の明かりのような静かでやさしいヒカリ。

現実を越えていくような感覚がわたしの中にある。そこを越えていくことに不安や恐れはない。
喜びの方へと続く道をひたすらいく、そんな巡礼者のような気持ちでわたしは流れて。
暗闇のような自由な空間を、やさしいヒカリがある方へ。
やさしさに抱かれていく、そんな喜びを全身に感じながら。
気持ちもゆったりと心やわらかに。

ヒカリに抱かれ喜びの中にいるわたしの活力が。この力はどうすればいいのか?
その時、やさししい声がわたしの耳元でささやく。
"その力はあなたがあなたのなすべきことへの期待。
この世界であなたのなすべきことがなされるように。"
やさしい感触がわたしの体を触れていき、シーツの感触と月あかりのもとへ。
静かな夜に戻り、わたしはしばらく月のやわらかなヒカリに今の声を思い返す。
体はやわらかく、気持ちは心の底から落ち着いていて潤いすら感じている。
月の姿を見ようと思う間もなく、いつもの眠りへと堕ちていき、やがて、朝を迎える。
起きあがるまなざしのむこうに感じたのは、朝の澄んだヒカリとあの時に聞いたやさしい耳元での響き。


最新の画像もっと見る

post a comment