欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

ほほ笑みの残像

2011-08-04 | poem
雨の道を歩いていくというのは、淋しくもあり、時に悲しい思い出をよみがえらせてしまうこともあります。
水たまりをよけながら、ふっと見上げた空に暗い雲がおおいかぶさっていると、まるでこれからの未来を映し出している・・、そんな妄想にとらわれたりするのです。
今までなら、自分の暗い過去と対峙するしかなかった。
それは北の国の人にある、長い冬のうつむきと同じ。
ただただ白く寒い情景と向き合う、そんな時間を過ごすしかなかったのです。

そんなわたしを救ってくれたのはあの人の作り出すほほ笑み。
寒い状況の中でも、悲しみのただなかでも、あの人とともにいると不思議と安心感があるのです。
どうしてだかわかりませんが、そのほほ笑みを見ているだけでわたしの中に春の日だまりのようなあたたかさがやってくるのです。
現状はあいかわらず冬のただ中のような冷たく厳しい状況なのですが、あの人のほほ笑みがわたしの季節を変えてくれるような気がしているのです。
長い冬のあとに訪れる、春の足音が・・。

傘の先からおちていくしずく。鼻をくすぐる湿った風も。行き過ぎる車の音も。
わたしにとって二次的なものになってしまうのです。
心に気をむけるとあの人の日だまりが感じられるから。時折よぎるほほ笑みがわたしをあたたかな方へといざなってくれているのです。
悲しいことも流れの中で手放していける。寒くつらい視界はやがてあたたかなおだやかな景色へと変わっていくと。
わたしの心のほほ笑みはそう諭してくれるのです。そして、身をゆだねて歩いていけるのです。

まるでスローな映像であなたのほほ笑みがわたしの脳裏にはいつもあるのです。
愛を交わしたあの日から。胸の宝箱には輝くものがおさまっているのでしょう。
人とは不思議なものです。こうして見せられないなにかによって不思議な希望を植えつけられるのですから。
雨の道を行きながら、わたしは大切なものの存在、輝きというものが人を明るみへ向かわせてくれることを、ほほ笑みの残像によって知ることになったのです。


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