STARLIGHT NIGHTS

信州・塩尻から発信・・・   星空と美しい風景、そして美しい音楽とともに!

♪ サイトウ・キネン・フェスティバル オーケストラコンサートBプログラム(3)

2006年09月13日 | 音楽(コンサート)
休憩中、指揮者の井上道義さんをみかけた。そしてショスタコーヴィチの「革命」。
コンサートマスターは矢部達哉。
小澤征爾のショスタコーヴィチは、もしかしたら初めてなのだろうか?録音(CD)では記憶がない。
でも、小澤さんにとってこの曲はとても合っているのではないか・・・?いかにもお得意な曲・・・という感じで、活き活きと音楽をまとめていく。
この第5番のいわく付きの話、社会主義への忠誠として扱われてきたが、いわゆる“ヴォルコフの証言”により、ショスタコーヴィチの反体制的な姿勢がこの曲に込められていのだ、という反転した評価が定着してきているそうだ。小澤さんの解釈にもそれが反映している・・・と感じたのは、第4楽章の冒頭。なんという遅さ・・・。この重い曲をこの遅さで始められるとこんなに衝撃的だとは・・・。すぐに通常の(?)テンポに戻るが、コーダの直前、再びこのテンポが再現される。そして、巨大な打撃音とともに曲を閉じる。まわりは熱狂の拍手・・・だが、手を痛いほどたたきながらこの曲の重みを感じていた自分に気づく。
カーテンコールも終わり、静まり返ったステージに眼を向けながらホールの出口に向かった。

途中ちょっとしたハプニング。チェロ主席の原田禎夫の弓が切れ、第2楽章後小首をかしげながらしばし中座・・・。演奏する側も何が起こるか分からないもの。


♪ サイトウ・キネン・フェスティバル オーケストラコンサートBプログラム(2)

2006年09月13日 | 音楽(コンサート)
続いて、ベートーヴェンの「皇帝」。
コンサートマスターは、潮田益子。
席に恵まれ、小澤征爾の指揮姿と内田光子の弾くピアノの鍵盤がよく見える席で鑑賞できた。内田さんのピアノを生で聴くのは初めて。CDではよく聴いていて、中でもモーツァルトのピアノ協奏曲の録音は素晴らしい。陰影を帯びたニュアンス豊かなピアノが特徴だろうか。「皇帝」は、ザンデルリンク指揮、バイエルン放送響との協演による録音がある。内田さんの個性から「皇帝」は不向きかと思ったが、この録音も素晴らしかった。
 それゆえ、今回の演奏も期待していた。ベストポジションだったせいか、指揮とピアノとの対峙が視覚的にも聴覚的にもせまってくる。ピアノソロの部分では、鋭い眼差しを内田さんに向ける小澤征爾。木管のソロに合わせ説妙なタイミングで鍵盤に指を運ぶ内田光子。まさに大家同士が四つ相撲を組んでいるようだ。内田さんの美しいピアニズムは、第2楽章でひときわ際立つ。ほんとうに美しい。いつまでも終わってほしくないと思いながら、第3楽章へ・・・。内田さんのピアニズムは、さらに躍動感が加わり華やかなフィナーレで曲を閉じた。実に、心地よい満足感で休憩に入る。(つづく)


♪ サイトウ・キネン・フェスティバル オーケストラコンサートBプログラム(1)

2006年09月13日 | 音楽(コンサート)
フェスティバル最終日。

○日時 2006年9月12日(火) 19時05分~21時35分
○会場 長野県松本文化会館
○演奏 サイトウ・キネン・オーケストラ
    指揮   小澤征爾
    ピアノ  内田光子
    笙    宮田まゆみ
    オーボエ 加瀬孝弘
○プログラム
    武満徹 ディスタンス
    ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」
    ショスタコーヴィチ 交響曲第5番ニ短調作品47「革命」

小澤征爾のオーケストラコンサート、最終日。今年のフェスティバルもこれが最後。どの曲も演奏者の熱い思いを感じながら聴いていた。

まずはディスタンス。
当初は、フェスティバル初年に演奏された、「セレモ二アル」の笙独奏版が予定されていたが、このディスタンスに変更された。
笙とオーボエの二重奏。タイトル通り、ふたりの奏者が距離をおいて演奏される。ステージ脇には、オーケストラの椅子や譜面台が用意される中、真ん中が空けられていて、前にオーボエの加瀬、後方に笙の宮田が配置。スポットライトの中、演奏された。
ちょっと変わった奏法で吹くオーボエに、笙の音色が絡み合いながら曲は進められていく。両者が奏でる音楽に“ディスタンス”を感じながら、最後はふたつの楽器のハーモニーが合致してこの曲を閉じた。

ステージは、ピアノとオーケストラの配置に変わり、眼の覚めるような美しい「皇帝」へ・・・。(つづく)