飛騨の山猿マーベリック新聞

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◆父は被告のまま亡くなった…無念の息子の訴え 罪を認めるまで長期間拘束する「人質司法」これでいいのか

2023年12月28日 08時14分19秒 | ●YAMACHANの雑記帳
警視庁公安部の捜査員が「(事件は)捏造(ねつぞう)」と証言した異例の国家賠償訴訟の27日の判決で、東京地裁は警視庁の逮捕も東京地検の起訴も「違法」と判断した。1年近く身柄拘束された原告の機械製造会社「大川原化工機」社長の大川原正明さん(74)らは「捜査機関には二度とこのようなことが起きないよう検証してほしい」と訴えた。(山田雄之、佐藤航)

 「適切な判断をしてもらえた。警視庁と検察庁には謝罪をいただきたい」
起訴取り消しを巡る訴訟で国と東京都に賠償が命じられ、東京地裁前で笑みを見せる大川原化工機の大川原正明社長(左から2人目)ら

起訴取り消しを巡る訴訟で国と東京都に賠償が命じられ、東京地裁前で笑みを見せる大川原化工機の大川原正明社長(左から2人目)ら

 判決直後、地裁の正門前に現れた大川原さんは、柔らかな表情で支援者らに語った。そばには「勝訴」や「違法捜査を認定」と書かれた旗が並んだ。
 警視庁に逮捕されたのは2020年3月。「しっかり説明すれば疑いは晴れる」。1年半前に会社などの家宅捜索を受けて以降、大川原さんや従業員ら計50人が延べ291回の任意聴取に応じていた。だが、思いは裏切られた。

◆胃がんと分かっても保釈は認められなかった

 逮捕後は否認し黙秘を貫いた。起訴後、何度も保釈を請求したが、裁判所は「証拠隠滅の恐れがある」として却下し続けた。罪を認めなければ長期間、身体拘束される「人質司法」を身をもって感じた。保釈が認められたのは逮捕から11カ月後の21年2月だった。
亡くなった相嶋静夫さんの遺影を前に記者会見する長男=27日、東京・霞が関の司法記者クラブで

亡くなった相嶋静夫さんの遺影を前に記者会見する長男=27日、東京・霞が関の司法記者クラブで

 保釈の2日後。ともに逮捕・起訴された元顧問の相嶋静夫さん=当時(72)=が亡くなった。前年秋に胃がんが分かっても保釈が認められず、勾留停止という不安定な状態で入院し、命を落とした。
起訴取り消しを巡る訴訟で国と東京都に賠償が命じられ、報道陣の取材に応じる大川原化工機の大川原正明社長(右)

起訴取り消しを巡る訴訟で国と東京都に賠償が命じられ、報道陣の取材に応じる大川原化工機の大川原正明社長(右)

 東京地検の起訴取り消しから2カ月後の21年9月、国賠訴訟を起こした。地検は起訴取り消し時に無実と言わず、「自ら真実を明らかにして、名誉を回復するしかない」と決意した。
 大川原さんは判決後の記者会見で「長期勾留で相嶋さんは亡くなってしまった。なぜ逮捕する必要があったのか」と疑問を呈した。
 会見に同席した元取締役の島田順司さん(70)は、判決で違法な取り調べを受けたと認定された。「警察も検察も再発防止に向けて検証をしてほしい」と語気を強めた。

◆「お父さんの製品は疑われるものじゃなかった」

 判決は相嶋さんが亡くなったことに触れ、「体調に異変があった際に直ちに医療機関を受診できず、勾留執行停止という不安定な立場で治療を余儀なくされた」と述べた。
亡くなった相嶋静夫さんの遺影を前に記者会見する長男(右端)

亡くなった相嶋静夫さんの遺影を前に記者会見する長男(右端)

 同席した相嶋さんの長男(50)は遺影を前に、声を絞り出した。「お父さんの製品は疑われるものじゃなかったと墓前で報告したい。最期を平穏に過ごせなかった最大の要因は、裁判官が保釈を認めなかったことだ。司法関係者は改善を真剣に考えてほしい」

◆「立件ありきが浮き彫り」「流出防止には民間企業の協力不可欠」

 元裁判官の水野智幸法政大法科大学院教授(刑事法)の話 噴霧乾燥機に関する従業員らの証言を見過ごしたのは、捜査機関の立件ありきの姿勢を浮き彫りにしている。警察、検察ともに組織としての検証が必要だ。今回の原告たちへの長期勾留は、身体拘束して自白を得る「人質司法」と呼ばれても仕方ない。経済事犯であり、原告らが高齢なことを踏まえ、裁判所も早期に保釈するべきだった。
 犯罪やテロ対策に詳しい板橋功公共政策調査会研究センター長の話 東京地検が起訴を取り消した時点で捜査に不備があったことは明らかだった。噴霧乾燥機について捜査機関は勉強不足だった。近年、海外への物や情報の不正流出を取り締まるのは、経済安保の重要課題の一つだ。流出の未然防止には民間企業の協力が不可欠。今回の捜査をしっかり検証して反省し、信頼の回復に努める必要がある。
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★<社説><社説>東電の原発管理 安全安心にはほど遠い 安全安心にはほど遠い

2023年12月28日 07時56分40秒 | ●YAMACHANの雑記帳
 原子力規制委員会は、東京電力柏崎刈羽原発の事実上の「運転禁止命令」を解除する。「お墨付きを与えたわけではない」と規制委自身が言うように、安全上の不備が今も相次ぐ東電の「再生」は道半ば。東電に「安全文化」が定着したとは言い難い。このまま原発の運転を認めてもいいのだろうか。
 柏崎刈羽原発では2021年の1月から3月にかけて、運転員が同僚のIDカードを使って中央制御室に入る規則違反や、外部からの侵入者を検知する機器の不具合が長期間にわたって放置されていたことが発覚した。
 このため規制委は同年4月、柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁止した。燃料の装塡(そうてん)ができなくなれば、原発は動かせない。すでに新規制基準への適合審査を終えていた6、7号機を含め、事実上の運転禁止命令だった。
 規制委は東電に是正を求め、原子力規制庁が追加検査を実施。その結果、「自律的な改善ができる状態にある」として、命令の解除を決めた。ところが、禁止命令が出た後も、柏崎刈羽では、東電のずさんさが浮き彫りになるようなトラブルが続いている。
 今年6月、不審者の侵入を感知する照明の電源が、半年以上も入っていなかったことが明るみに出た。10月には、違法薬物の陽性反応が出た職員が核燃料を扱う「防護区域」に入るのを見逃した。係員が陰性と見誤ったためという。
 未曽有の事故を起こした東電福島第1原発内でも同じ10月、放射能汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)の配管を洗浄中の作業員が、誤って高濃度の汚染廃液を浴び、病院へ運ばれるという事故が起きている。「評定は『優』や『良』ではなく『可』だ」と規制委の伴信彦委員。山中伸介委員長も「どのような判断になろうとも、規制委が東電にお墨付きを与えたわけではない」という。こうした逃げ口上ともとれる発言と運転禁止解除の判断に整合性があるとは思えない。改善の余地は多く残り、安心にはほど遠い。規制委は厳正な監視役としての責任を果たすべきだ。
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◆沖縄の2023年を振り返るー島統合編集局長とともに解説する沖縄十大ニュース

2023年12月27日 10時42分55秒 | ●YAMACHANの雑記帳

沖縄の2023年を振り返るー島統合編集局長とともに解説する沖縄十大ニュース

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★【アベマ同時配信中】「小沢一郎が出演 政治とカネ/無意識の偏見どう直す」 12/26(火)よる9時|アベプラ

2023年12月27日 08時03分15秒 | ●YAMACHANの雑記帳

【アベマ同時配信中】「小沢一郎が出演 政治とカネ/無意識の偏見どう直す」 12/26(火)よる9時|アベプラ

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●スクープ!岸田退陣で解散4・28総選挙へ!花道訪米は3月前半に〜自民裏金隠しの総理交代

2023年12月26日 19時00分44秒 | ●YAMACHANの雑記帳

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★菅野(山尾)志桜里氏が語った! 検察の狙いは「派閥の幹部議員」 自民裏金は「親分が子分を増やすため」

2023年12月26日 12時26分19秒 | ●YAMACHANの雑記帳

菅野(山尾)志桜里氏が語った! 検察の狙いは「派閥の幹部議員」 自民裏金は「親分が子分を増やすため」

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★【日刊ゲンダイ転載】派閥裏金疑獄で安倍元首相“神格化”これだけの疑問 「還流」取りやめ指示に上脇博之氏も疑問符

2023年12月26日 08時11分07秒 | ●YAMACHANの雑記帳

 どういうつもりで「裏金キックバック」の中止を指示したのか。
 自民党安倍派(清和政策研究会)のパーティー裏金事件を巡り、会長だった安倍元首相が昨年5月の派閥パーティー直前の4月にキックバックの取りやめを指示していたと朝日新聞(23日)が報じた。キックバックの中止は当時、事務総長だった西村前経産相らが協議の上、所属議員に周知されたが、反発を招き最終的に撤回されたという。
 ジャーナリストの岩田明子

氏が、夕刊フジのコラム(12日発行)で安倍氏が2021年11月の会長就任後、キックバックについて「このような方法は問題だ。ただちに直せ」と会計責任者を叱責、事務総長らにもクギを刺したと指摘していた。
 これに沿った形の朝日の報道が出たことで、SNSでは〈安倍さんは裏のお金は無くしようと一つ一つやっていた〉〈先を見て指示するリーダー〉などと、安倍氏を持ち上げる声が次々と上がっている。

次へ >>

スキームを知っていたのは間違いない

安倍昭恵夫人の“奇抜ドレス”「即位礼正殿の儀」をブチ壊し! キックバック疑惑追及の記者に「頭悪いね」と逆ギレ 谷川弥一議員の集金力とパーティー狂いの実態 安倍新内閣はまるで“カルト内閣”…旧統一教会がらみ12人、日本会議系も12人

 しかし、不正を把握した安倍氏が正義感から「裏金キックバック」の中止を言い出したのかどうか。安倍派関係者はこう言う。
「裏金のキックバックは少なくとも20年前から行われていて、派内では『慣習』になっていた。当然、安倍さんが中堅・若手として所属していたころから行われていたわけです。安倍さんがキックバックをもらっていたかは不明ですが、昔からスキームを知っていたのは間違いないでしょう」
 20日付のスポーツニッポンの名物コラム「永田町ウラ情報 政界噂の(秘)日誌」が興味深い。安倍派関係者が次のようにコメントしているのだ。

「安倍さんは“自分が(派閥の)会長になったんだから(裏金の)発覚に気をつけろ”と言っただけ。裏金に反対したなんてのは神格化が過ぎますよ」
 実際、安倍氏の認識はその程度ではなかったか。派閥の不記載を刑事告発した神戸学院大教授の上脇博之氏が言う。
「安倍派のパーティー収入は18年の2億円台から19年に1億5000万円程度になり、20、21年に約1億円、22年は1億円を割っています。つまり、キックバックや中抜きによる裏金額が増えてきた可能性があるわけです。会長の安倍元首相が22年4月に『やり方を直せ』と強く指示したのなら、従う議員が増え、同年の収入は増えていなければおかしい。安倍元首相亡き後に、多くの議員が生前の指示を無視したというのは不自然です。実際は『やり方を直せ』ではなく『発覚しづらいやり方に変えろ』という指示ではなかったのか。安倍元首相の指示があったのかどうかを含め、疑問が残ります」
 そもそも、安倍氏の関連する政治団体は13~19年の「桜を見る会」前夜祭の収支を全て不記載にしてきた経緯がある。この問題を巡っては、安倍氏の公設第1秘書が略式起訴され、安倍氏本人の監督能力のなさが明白になった。そんな人物が正義感から「不記載はやめろ」と指示するとはとても思えないのだが。

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●12/25(月)21:45~ 緊急プレミア配信(尾形×望月)【平野貞夫さんに聞く/安倍派4氏の聴取、政界の

2023年12月26日 04時49分04秒 | ●YAMACHANの雑記帳

12/25(月)21:45~ 緊急プレミア配信(尾形×望月)【平野貞夫さんに聞く/安倍派4氏の聴取、政界の生き字引が語る裏金と歴史/安倍派・二階派の裏金、検察にも責任】

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★【横田一の現場直撃 No.247】◆河野「密告」推奨 ◆大阪「カジノ博」 ◆武蔵野市長 自公奪還 20231225

2023年12月25日 21時21分24秒 | ●YAMACHANの雑記帳

【横田一の現場直撃 No.247】◆河野「密告」推奨 ◆大阪「カジノ博」 ◆武蔵野市長 自公奪還 20231225

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★反社自民党がとてもとても嫌がる事実が明らかになりました

2023年12月25日 20時38分10秒 | ●YAMACHANの雑記帳

反社自民党がとてもとても嫌がる事実が明らかになりました

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●水森かおりの歌謡紀行・12 21 23

2023年12月25日 18時15分06秒 | ●気晴らしには浪曲演歌が一番
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★【やはた愛記者会見】(次期衆議院議員選挙 公認候補予定者 大阪府第13区・比例近畿ブロック)

2023年12月25日 09時21分23秒 | ●YAMACHANの雑記帳

【やはた愛記者会見】(次期衆議院議員選挙 公認候補予定者 大阪府第13区・比例近畿ブロック)

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★菅直人元首相地元で野党系候補敗北 東京・武蔵野市長選は自民推薦候補辛勝、自民系は18年ぶり

2023年12月25日 09時09分22秒 | ●YAMACHANの雑記帳

日刊スポーツ

松下玲子市長が次期衆院選出馬を表明して辞職したことに伴う東京都武蔵野市長選は24日、投開票され、自民、公明両党推薦の元市議、小美濃安弘氏(61=無所属)が、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党などが支持した元市議の笹岡裕子氏(37=無所属)を僅差で破り初当選した。  同市のホームページによると、小美濃氏と笹岡氏の票差はわずか339票。  同市は、先月、次期衆院選不出馬を表明した立憲民主党の菅直人元首相の地盤。同市では2005年10月以降、非自民系の市長が続いてきており、自民系の市長は2005年8月まで務めて衆院議員に転身した、土屋正忠氏以来18年ぶり。  党派閥パーティーをめぐる政治資金事件の渦中にある自民党は今秋以降、立川、青梅両市長選など東京の選挙で3連敗した。一方、今月10日に投開票された江東区長選では、都民ファーストの会特別顧問を務める小池百合子都知事が擁立を主導した元東京都政策担当部長の大久保朋果氏(52)に相乗りする形で勝利。今回は、江東区長選に続き推薦候補の勝利となった。  一方、政治資金問題に対する有権者の目は厳しく、首都東京の選挙で万全な結果が出せていないことで、次期衆院選への影響を懸念する声もある。  東京では来年、政治資金問題で党政調会長を辞任した安倍派の萩生田光一前政調会の地元、八王子市の市長選のほか、府中市長選や目黒区長選なども予定される。自民にとって来年以降も、東京の選挙において厳しい戦いとなることに変わりはない。  笹岡氏は商社勤務や市議2期を経て、今回の市長選に出馬した。2期目途中で辞職した松下前市長や菅氏、立民の蓮舫参院議員ら国会議員を含め幅広い応援を受けたが、届かなかった。  投票率は44・77%で、前回(21年)の47・46%を2・69ポイント下回った。

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◆ジャーナリスト青木美希氏が100人超の取材で辿り着いた結論「首相が決断すれば原発は止められる」

2023年12月25日 08時16分44秒 | ●YAMACHANの雑記帳

昨年から今年にかけ、日本の原発政策が大きく変わった。できる限り減らすとしていたものが、脱炭素を旗印に新増設まで容認され、COP28(国連気候変動会議)では「2050年までに世界の原発容量を3倍にする」という宣言に賛同した。福島原発からの海洋放出も地元関係者の理解なく強行された。
 あれほどの大事故を起こしながら、どうして日本は原発を止められないのだろうか──。30年にわたって原発問題を取材し続け、新著にまとめたジャーナリストに話を聞いた。
 ◇  ◇  ◇
 ──原発をめぐる方針転換をどう見ていますか。

 ずいぶん目まぐるしく、あっという間にひっくり返るなと。一番の問題は、説明責任を果たしていないことです。再生可能エネルギーを推進してきた中で今、原発を優先するルールが作られ、電気が余るからと、再エネに出力制御が行われています。1回あたりの出力制御により発電できなくなるのは最大で原発3基分の電力で、非常にもったいない。そういう議論なしに、ただやみくもに原発に邁進しているようにしか見えません。
 ──本を読んでハッと気づかされました。2011年3月の原発事故で出された「原子力緊急事態宣言」は、12年以上経った今も発令中なんですね。
 その事実が本当に知られていないですよね。通常時だと被ばく限度は年間1ミリシーベルトですが、今は国が20ミリシーベルトで避難指示を解除できるようにしてしまっている。つまり、まだ通常時に戻っていないのです。年1ミリシーベルトは毎時0.23マイクロシーベルト。除染後の避難解除された場所でも、それを超えるところがある。サーベイメーターで測ると、アラームがピーピー鳴る状況です。

──ニュースを見て「復興している」と思っている人も少なくない。被災地に頻繁に足を運ばれていますが、現実と報道のギャップを感じますか。

「復興に向けて、新しい建物ができた」などの明るいニュースを中心に発信されている状況です。例えば、NHKのニュースについて本にも書きました。福島県浪江町の津島という1400人が暮らしていた地域で、新たに完成したのは10戸の町営住宅。とてもきれいな建物で、帰ってきた女性が「本当に空気がいい」と話しているのが放送されました。そこで、実際に現地に行ってみたんです。その女性に会ったら、福島市に避難して、福島市で仕事をしているんですね。じゃあ、どれくらいこの新しい住宅に住んでいるんですかと聞いたところ、「浪江には週2日くらいかな」と答えた。帰ってきた方はもう1人いましたが、他の4世帯は移住者でした。もともと浪江町に住んでいた方ではない。明るいニュースも蓋を開けてみれば……。本当のところは行ってみないと分からないんですよね。
 ──なぜ日本は原発を止められないのでしょう。100人を超える研究者や政治家など関係者を取材されて、どんなことが分かりましたか。
 複合的な要因があるのですが、今回の原発回帰方針を見ると明らかなように、首相がまともなリーダーではないことが一番の不幸だと思います。100年後、200年後の日本の将来をしっかり見据えて、グランドデザインをもとに国をどうするかを考えていけば自明の理なわけです。国民の安全を守るというのが首相の責務ですから、その責務を放棄しているとしか思えません。
──首相の決断があれば止められるということですか。
 実はこの本を書き始めたきっかけは、ベテラン政治記者の先輩に「首相がやるって決めれば止められるんだよ」と言われたことでした。本当にそんな単純なものなのかと思って調べ始めたんです。同じことを小泉元首相もおっしゃっているし、「原子力ムラの村長は総理である」と原子力ムラの方々がおっしゃっています。官僚の人たちに聞いても、「上がこうやると決めれば、日本の持続可能性を考えるのが官僚の仕事なので、方向性さえ決めてくれれば、それに合わせて施策と対策を打っていける」と言っていました。
 ──首相が決めれば原子力ムラは動く?
 まず決めることです。その上で安い再エネの蓄電池を開発する。再エネを最大限生かすために連系線(電力会社間をつなぐ送電線)を太くする。日本は連系線が弱いので、九州の電力が余っても本州などで使われていない。これを強化しなきゃいけないという声がありながら、進んでいないんです。今後、再エネで行くんだと決めれば、さまざまな課題を優先順位の高い順に解決していくことになる。ところが、原発にまた戻るんじゃないかという感触が原子力ムラの人たちにあって、どうせまた戻るだろうということで、進まない。再エネをやっている人たちもフラフラしてしまう。裏切り行為というか、首相は日本をどうしたいのかと思います。
 ──首相が方向性を出せない背景に何がある?
 よく言われるのは、米国の意向を聞いているということ。しかし、実際その辺を調べている弁護士、シンクタンクの方が言うには、日本の原発推進派が米国にそう言わせているという構図がある。日本の原子力産業が米国のシンクタンクに多くの資金を出していて、向こうからこだまのように響いてくるというのです。
 ──米国の意向ではなく、国内に原因がある。やはり原子力ムラですか。
 そうですね。税金を原発に使える仕組みを長年使ってるわけです。そこの利益集団の経済に関係しています。企業の方にもちろんお話を聞いていますが、古い原発は減価償却が終わっているので動かせば動かすほど利益になるから、早く動かしたいと言う。電力会社の昔の知人は「青木さん再稼働に協力してください。じゃないと、うちも経営が厳しいんですよ」と言っていた。経営問題になっているのです。だからこそ、政府がしっかり「再エネで行く」と決め、再エネをやれば経営が良くなるようなソフトランディングできる仕組みをつくっていく必要がある。政府が決めることがすごく大事なんです。
 ──原子力ムラは、政官業に加え、学者、メディアの五角形。メディアの責任についてはどうお考えですか。
 中学生ぐらいの時だったと思うんですが、新聞で「エネルギーのはなし」というコラムを連載していました。放射線や放射能に慣れ親しませる形のコラムで、広告なのか記事なのか明示されていなくて。読みながら、これは何なんだろうと思っていました。広告だったんですよね。どうやって大口の広告を各新聞社が獲得して、電力会社が広告を利用してきたのかということだと思います。
■メディアが再び推進派の拡声器に
 ──事故を経て、メディアは今も原子力ムラの一角にいるのでしょうか。
 事故前と完全に一致はしていないですが、復活しつつあると思います。例えば海洋放出。初めは大丈夫なのかという報道もありましたが、だんだんIAEA(国際原子力機関)も大丈夫だと言っているから大丈夫なんだと垂れ流す報道が目立つようになった。結局、自分たちで検証せず、また原子力推進側の言うことをうのみにして国民を納得させてしまいました。推進側の言うことをそのまま拡声器になって信じ込ませる。怖い構図が復活していると感じます。

 ──今回の出版を、所属する大手紙は認めなかったんですよね。驚きです。
 社外出版手続きに基づいて届けを出したのですが、「これは過去の職務によって取得した知識や情報が主な内容となる」と判断されてしまった。「本来の業務に傾注していただきたい」「編集部門の取材活動と競合し、妨害、阻害する恐れがある」などの理由で認められませんでした。でも、ここまで申し上げたとおり、原発事故後の本当の現状が伝わっていないことや、メディアがまた推進派の拡声器になっているのが心配で、伝えなければと思いました。取材に協力してくれた方々もどんどん亡くなっていくものですから、絶対に出版しなきゃいけないと思って準備してきました。ようやく出せました。
(聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)
▽青木美希(あおき・みき) 札幌市出身。1997年北海タイムス入社。同紙休刊にともない、98年北海道新聞へ。札幌で警察担当のときに北海道警裏金問題を手がける。2010年、大手紙に入社。東日本大震災では翌日から現場で取材した。現在も個人として取材を続けている。「道警裏金問題」や原発事故検証企画の取材班として新聞協会賞を3度受賞。著書に「地図から消される街」「いないことにされる私たち」。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。
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◆年末特集「大阪万博、夢洲の呪い」~巨額上振れ、汲み取り、プレハブ、原因は夢洲(藤永のぶよ×西谷文和)【The BurningIssues】20231219

2023年12月24日 21時54分21秒 | ●YAMACHANの雑記帳

年末特集「大阪万博、夢洲の呪い」~巨額上振れ、汲み取り、プレハブ、原因は夢洲(藤永のぶよ×西谷文和)【The BurningIssues】20231219

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